DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

「死骸の首」『スペイン民話集』岩波文庫:怨念は晴らされねばならない!&悪人は罰せられねばならない!

2019-04-18 19:42:05 | 日記
 「死骸の首」 A head of a corpse

(1)ある女が長く女中として働いた。彼女はかなりの金を貯めたので故郷に帰ろうと思った。しかし一人で帰郷するのは危険だった。 A woman woked for a long time as a maid. She saved faierly much money and wanted to get home. But it was dangerous for her to travel home alone.
(2)彼女は隣家の男に一緒に行ってほしいと頼んだ。彼は親切にも承諾した。 She asked a man of her neighbor to travel with her. He kindly said O.K.
(3)途中、男は彼女の首を切って殺した。彼は彼女の金を盗んだ。彼は秘かに家にもどった。 On their way, the man cut her kead and killed her. He stole her money. He secretly went back his house.
(4)ある日、奇妙な声が彼に言った。「いつか、お前は罰を受けるだろう。」声は繰り返し聞こえた。彼は意気阻喪し病気になった。 One day, a strange voice said to him, “Someday, you will be punished.” This happened again and again. He became discouraged and ill.
(5)ついに絶望的になって彼がその声にたずねた。「どこで私は罰を受けるのか?」声が答えた。「セビリヤだ。」その後、彼が声を聴くことはもはやなかった。 At last, the man desperatly asked the voice, “where will I punished?” It replied, “At Seville.” After that, he didn’t hear the voice any longer.
(6)数年後、男はもう声のことを忘れた。ある日、彼は大金をセビリヤで稼ぐチャンスを得た。彼はセビリヤに行った。 After some years, the man already forgot the voice. One day, he had a chance to get much money at Seville. He went there.
(7)セビリヤで、男はたまたま市場に行った。彼は料理して食べるため、羊の頭を買った。しばらくすると二人の警官がやってきた。彼らが男に尋ねた。「お前の袋の中に入っているのは何だ?」 At Seville, the man happened to go to a market. He bought a head of a sheep to cook and eat. After a while, two policemen came to him. They asked him, “What is it in your bag?”
(8)男が答えた。「羊の頭です。」警官たちが袋の中を見た。そこには女の死骸の首があった。 The man replied, “It’s a head of a sheep.” The policemen looked into the bag. They found a head of a corpse of the woman.
(9)裁判の後、男は絞首された。声の予言は、成就された。 After a trial, the man was hanged. The prophecy of the voice was realized.

《感想1》殺された女の怨念が、ついに恨みを晴らした。女の魂は救済されたはずだ。いつの時代、どこの国にも、怨念を持つ魂が出現する。
《感想2》悪人は罰せられねばならない。いつの時代、どこの国でも、殺して金を奪う者は悪人だ。
《感想3》正当な話だが、同時に恐ろしい話だ。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイデガー『存在と時間』(1927)「第1部」「第1編」「第3章 世界の世界性」「第14節 世界一般の世界性の理念」(その1)

2019-04-18 12:30:27 | 日記
※「第1部 現存在を時間性へむかって解釈し、存在への問いの超越的地平として時間を究明する」
※「第1編 現存在の準備的な基礎分析」

(1)世界の「現象」学的(かつ存在論的)記述とは、存在者の「存在」を挙示し、「存在構造」を概念的=カテゴリー的に画定することだ!
A 「世界」を「現象」として記述するとはどういうことか?
A-2 世界の内部で現れてくる「存在者」(Ex. 家、木、人間、山、星)を枚挙し、それらの「形相」を描写し、それらに生じる出来事を物語ることは、「前現象学的」であって、「存在的」な記述に過ぎない。
《感想1》「現象」の概念については、「第7節 考究の現象学的方法」「[C]現象学の予備概念」を参照のこと。

B 世界の「現象」学的記述とは、存在者の「存在」を挙示し、「存在構造」を概念的=カテゴリー的に画定することだ。
《感想1-2》これが「存在論的」記述だ。(⇔「存在的」な記述!)

(2)すべてのものの基礎になる自然物!
C 「世界の内部に存在するもの」は「自然的事物」と「価値を帯びた」事物だ。後者の事物性は、前者の事物性をもとに組み立てられているから、「自然物の存在、自然そのもの」が「第一の主題」だ。
C-2 「すべてのものの基礎になる自然物、実体の存在性格は、実体性である。」

(2)-2 「自然」への存在論的問いは、しかし、「世界」への存在論的問いでない!
D だが「自然そのものも、世界の内部で出会って・・・・発見できるようになる一つの存在者にすぎない。」つまり自然は「世界」でない。

(3)「価値を帯びた」事物も、「世界」の内部にある存在者であり、「世界」という現象に行き合わない。
D 「価値を帯びた」事物は、「現存在がさしあたってたいていそのもとに身おいている存在者」だが、「世界の内部にある存在者」にすぎない。
《感想2》「価値を帯びた」事物への存在論的問いも、「世界」への存在論的問いでない!

(4)「『世界』はすでに・・・・『前提』されている」!
E かくて「世界の内部にある存在者を《存在的に》描写しても(※上述(1)参照)、またこの存在者の存在を《存在論的に》解釈しても(※上述(2)(2)-2(3)参照)、・・・・『世界』という現象に行き合いはしない。・・・・どちらにおいても『世界』はすでに・・・・『前提』されている。」(64頁)

(5)「どの現存在もそれぞれ自分の世界をもつ」のか?
F 「世界」が「現存在の存在性格」の一つであることは、「どの現存在もそれぞれ自分の世界をもつ」ということか?
F-2 それでは「世界」は「主観的なもの」か?
F-3 そうだとすると、「われわれがみなその『なか』で存在しているはずの『共同の』世界」がどうして可能なのか?

(6)世界一般の世界性!
G 「あれこれの世界ではなく『世界一般の世界性』」こそ、われわれがめざしているところだ。どの道を通れば、この現象に出会うのであろうか。」(64頁)

(7)「世界」は、「現存在ではない存在者」の規定でなく、「現存在そのもの」のひとつの性格だ!
H 「『世界性』は・・・・・・世界内存在の一つの構成契機(※世界)の構造を指すものである。」そして「世界内存在」は現存在の実存論的規定(※実存範疇)だから、「世界性」もひとつの「実存範疇」である。
H-2 「世界」を問うとき、われわれは、「現存在の分析論」の主題的領域の内にある。
H-3 「存在論的にみれば、『世界』は、・・・・現存在ではない存在者の規定ではなく、現存在そのもののひとつの性格である。」

《感想3》再確認:ハイデガーの「実存」の概念について(参照「第4節 存在問題の存在的優位」(64頁))
◎「現存在の本質は、そのつどそれの存在(※実存)をおのれの存在として存在しなくてはならない、ということにある。」だから「この存在者(※現存在)の呼び名として、・・・・(※存在者の表現でなく)存在表現たる現存在という名称がえらばれた。」
◎「現存在は、自己自身をいつも自己の実存から了解している。」
◎「実存」は、「おのれ自身の(※様々な)可能性」である。この可能性のいずれかが、現存在によって決定される。現存在は「これらの可能性」(「実存」)を、①「みずからえらんでいる」か、②「それらの可能性のなかへたまたまおちいってきた」のか、③「すでにはじめからそのなかで成長してきた」のか、いずれかだ。(12頁)
◎「実存をおのれのものとして掌握する(①)にせよ、あるいはそれを逸し去る(②③)にせよ、実存はそのつど現存在によってのみ決定される。」
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする