「Swallow」は「飲み込む」の意。映画は、食べ物以外の物体を飲み込み続ける「異食症」となった新婚の妊婦を描く。
(1)
ニューヨーク。ブルーカラーの家出身のハンター(ヘイリー・ベネット)は、大企業の御曹司リッチーと結婚し誰もがうらやむような暮らしを手に入れた。しかし、仕事に忙しくまともに話を聞いてくれない夫。また彼女を蔑ろにする義父母(マイケルとキャサリン)など、彼女の日常は孤独で息苦しい。
※生きた羊が殺され、リッチーとハンターの結婚発表の食卓に出される。不吉な血塗られた予感。
※義母は「自己啓発」本をハンターに渡す。ハンターを気に入らない。
※義母は「髪をロングにしたら」とハンターに言う。「リッチーの好みはロングよ。」
(2)
ある日、ガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは、ガラス玉を飲み込む。さらに画鋲を飲み込む。ハンターは痛みとともに、充足感と快楽を感じる。異物を飲み込むことに多幸感を抱く。その後、ハンターはバッテリー、ねじ回しなど次々と飲み込む(Swallow)。
※ハンターは、最初は「氷」の硬さに惹かれた。「異食症」の予兆。
※「自己啓発」本に「新しいことを試みよ」と書いてあった。ハンターはガラス玉を「初めて」飲み込んだ。
※「絹のネクタイにアイロンをかけるな」と、リッチーがハンターに対して怒る。
※ハンターが義母と会う。「あなたは本当に幸せ」と義母がハンターに「謎かけ」する。
(3)
やがてハンターの妊娠が判明。夫と義父母は待望の第一子に歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はさらに深まる。リッチーがハンターを産婦人科へと連れて行く。腹部に異物が発見され、緊急手術によって飲み込んできた異物が取り出された。医者はハンターが「異食症」であると診断する。リッチーの両親はハンターに精神科の治療を受けさせる。
※掃除機に引っかかった鋭いピンをハンターは飲み込む。自傷行為。舌に刺さり出血する。ハンターは、一度吐き出すが、ついに飲み込む。ひどい痛み、しかし幸福感。
※ハンターが下血する。リッチーが様子を見に来るが、ハンターは隠す。
※ハンターは電池を呑みこむ。
※ハンターは「自己啓発」本を読みながら、頁を破り取って食べる。
※多くの異物がハンターの胃から見つかる。
※「異食症」と知ってリッチーが激怒する。
※精神科医が尋ねる。「異物を飲む快感」をハンターが述べる。
(4)
両親の命令もあり、リッチーは看護師ルエイ(男性、シリア内戦の経験者)にハンターの昼間の行動を監視させる。ハンターは息苦しさを感じ、ルエイへの敵意を剥き出しにする。ルエイが「異食症になったのは贅沢な暮らしが原因だ」と考えていたこともハンターの癇に障った。ハンターは隠れて異食を続ける。
※ルエイはハンターが部屋にもどる前に、身体検査する。だがハンターは部屋に隠しておいた金属ねじを呑みこむ。
(5)
ある日の精神科の治療で、ハンターは医者に告白した。「母親は酒場で見知らぬ男性にレイプされたと聞いている。私はそのときにできた子供だ。犯人は刑期を終え出所した。その男ウィリアム・アーウィンが、私の実の父親だ」。精神科医が「お母様は中絶を考えなかったのか」と尋ねると、ハンターは「母は敬虔なキリスト教徒(熱狂右派)なので、どんな理由があっても中絶はしない」と答えた。
※「継父は優しかった。母に疎まれることもなかった。」とハンター。
(6)
ほどなくして、ハンターはリッチーが自分の病気を友人らに漏らしていたことを知り、精神的なバランスを一段と崩す。リッチーと彼の両親はハンターを強引に施設に入院させることにした。ところが、入院の当日になってハンターは彼女に同情したルエイの協力によって脱走する。
※「知られたくなかった」とハンター。「みんな心配してくれてるんだ」とリッチーは気を悪くした。
※ハンターとリッチーは和解の努力もする。「変わり者でごめんね」とハンター。「理解する努力をする」とリッチー。
※精神科医が、母親のレイプの件をリッチーに電話で伝える。その電話をハンターは聞いてしまう。秘密を知られたハンターは精神的なバランスを崩す。ルエイが心配する。(ルエイはシリアの戦争帰りで優しい。)
※ハンターは、看護師ルエイの隙をみてドライバーを飲み込む。ルエイからのリッチーへの連絡で、ハンターは病院へ運ばれ、手術を受けた。
※両親はハンターを強引に施設に入院させようとする。「施設に行かないなら離婚だ」と父親が言う。子供が生まれるまで「7カ月間、施設に入る」とハンターは署名。ハンターの「結婚指輪」を義母が預かる。
※看護師ルエイの協力で、ハンターが脱走する。
※ハンターは、通りかかった車に乗せてもらい、モーテルに泊る。
(7)
その夜、電話でリッチーに別れを告げたハンターは、リッチーから口汚く罵られ、リッチーへの想いを断ち切った。
※電話で「とにかく帰って来てくれ」とリッチー。「あなたのために無理してた。でももう帰れない」とハンターが言う。「恩知らずのクソ女め。僕の子供を返せ」とリッチー。
※ハンターは不安になり「土」を食べる。
(8)
その後、ハンターは実の父親を訪ねた。彼は結婚し、幼い娘とともに幸せに暮らしていた。父親と2人きりになった時、ハンターは父親に詰め寄った。父親は「過去の自分の行動を恥じている」と言った。そして「ハンターは自分のような恥ずべき存在ではない」と言った。
※ハンターは、母親のもとに帰ろうと電話する。だが「部屋がない」と母親から、拒否された。
※そこで、ハンターは実の父親を訪ねた。パーティーの最中だった。アーウィン(父親)の誕生日だった。
※ハンターは、自分が「ジル・マッコイの娘」、つまり「アーウィンの娘」だと正体を明かした。驚くアーウィン。ハンターは、母親をレイプしたアーウィンを責める。アーウィンが「私は当時、自分を神だと思っていた。特別な大物だと思い込んでいた。だが刑務所に入って、自分が神でなく、ひどい男だとわかった」と言う。そしてアーウィンが「恥ずかしいことだった」と謝る。「君は何も悪くない」とアーウィンがハンターに言った。
(9)
ハンターは、自分の気持ちに整理をつけた。ハンターは1人でクリニックを訪れ、中絶薬を処方してもらう。ハンターは、フードコートで昼食をとりながら薬を飲み、公衆トイレで中絶する。(胎児を流す。)
(10)
映画のメッセージ:私は多くの事を見てきた。さまよってきた。力を蓄えた。成長した。多くの人を失った。でも歌い続ける。私は強くなった。諦めない。健康でいる。そして愛する人と過ごす。何度も繰り返し挑戦して、世界を手に入れる。
《感想》身分、階層、生活様式、教育等に「格差」のある結婚は、困難が多い。
(1)
ニューヨーク。ブルーカラーの家出身のハンター(ヘイリー・ベネット)は、大企業の御曹司リッチーと結婚し誰もがうらやむような暮らしを手に入れた。しかし、仕事に忙しくまともに話を聞いてくれない夫。また彼女を蔑ろにする義父母(マイケルとキャサリン)など、彼女の日常は孤独で息苦しい。
※生きた羊が殺され、リッチーとハンターの結婚発表の食卓に出される。不吉な血塗られた予感。
※義母は「自己啓発」本をハンターに渡す。ハンターを気に入らない。
※義母は「髪をロングにしたら」とハンターに言う。「リッチーの好みはロングよ。」
(2)
ある日、ガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは、ガラス玉を飲み込む。さらに画鋲を飲み込む。ハンターは痛みとともに、充足感と快楽を感じる。異物を飲み込むことに多幸感を抱く。その後、ハンターはバッテリー、ねじ回しなど次々と飲み込む(Swallow)。
※ハンターは、最初は「氷」の硬さに惹かれた。「異食症」の予兆。
※「自己啓発」本に「新しいことを試みよ」と書いてあった。ハンターはガラス玉を「初めて」飲み込んだ。
※「絹のネクタイにアイロンをかけるな」と、リッチーがハンターに対して怒る。
※ハンターが義母と会う。「あなたは本当に幸せ」と義母がハンターに「謎かけ」する。
(3)
やがてハンターの妊娠が判明。夫と義父母は待望の第一子に歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はさらに深まる。リッチーがハンターを産婦人科へと連れて行く。腹部に異物が発見され、緊急手術によって飲み込んできた異物が取り出された。医者はハンターが「異食症」であると診断する。リッチーの両親はハンターに精神科の治療を受けさせる。
※掃除機に引っかかった鋭いピンをハンターは飲み込む。自傷行為。舌に刺さり出血する。ハンターは、一度吐き出すが、ついに飲み込む。ひどい痛み、しかし幸福感。
※ハンターが下血する。リッチーが様子を見に来るが、ハンターは隠す。
※ハンターは電池を呑みこむ。
※ハンターは「自己啓発」本を読みながら、頁を破り取って食べる。
※多くの異物がハンターの胃から見つかる。
※「異食症」と知ってリッチーが激怒する。
※精神科医が尋ねる。「異物を飲む快感」をハンターが述べる。
(4)
両親の命令もあり、リッチーは看護師ルエイ(男性、シリア内戦の経験者)にハンターの昼間の行動を監視させる。ハンターは息苦しさを感じ、ルエイへの敵意を剥き出しにする。ルエイが「異食症になったのは贅沢な暮らしが原因だ」と考えていたこともハンターの癇に障った。ハンターは隠れて異食を続ける。
※ルエイはハンターが部屋にもどる前に、身体検査する。だがハンターは部屋に隠しておいた金属ねじを呑みこむ。
(5)
ある日の精神科の治療で、ハンターは医者に告白した。「母親は酒場で見知らぬ男性にレイプされたと聞いている。私はそのときにできた子供だ。犯人は刑期を終え出所した。その男ウィリアム・アーウィンが、私の実の父親だ」。精神科医が「お母様は中絶を考えなかったのか」と尋ねると、ハンターは「母は敬虔なキリスト教徒(熱狂右派)なので、どんな理由があっても中絶はしない」と答えた。
※「継父は優しかった。母に疎まれることもなかった。」とハンター。
(6)
ほどなくして、ハンターはリッチーが自分の病気を友人らに漏らしていたことを知り、精神的なバランスを一段と崩す。リッチーと彼の両親はハンターを強引に施設に入院させることにした。ところが、入院の当日になってハンターは彼女に同情したルエイの協力によって脱走する。
※「知られたくなかった」とハンター。「みんな心配してくれてるんだ」とリッチーは気を悪くした。
※ハンターとリッチーは和解の努力もする。「変わり者でごめんね」とハンター。「理解する努力をする」とリッチー。
※精神科医が、母親のレイプの件をリッチーに電話で伝える。その電話をハンターは聞いてしまう。秘密を知られたハンターは精神的なバランスを崩す。ルエイが心配する。(ルエイはシリアの戦争帰りで優しい。)
※ハンターは、看護師ルエイの隙をみてドライバーを飲み込む。ルエイからのリッチーへの連絡で、ハンターは病院へ運ばれ、手術を受けた。
※両親はハンターを強引に施設に入院させようとする。「施設に行かないなら離婚だ」と父親が言う。子供が生まれるまで「7カ月間、施設に入る」とハンターは署名。ハンターの「結婚指輪」を義母が預かる。
※看護師ルエイの協力で、ハンターが脱走する。
※ハンターは、通りかかった車に乗せてもらい、モーテルに泊る。
(7)
その夜、電話でリッチーに別れを告げたハンターは、リッチーから口汚く罵られ、リッチーへの想いを断ち切った。
※電話で「とにかく帰って来てくれ」とリッチー。「あなたのために無理してた。でももう帰れない」とハンターが言う。「恩知らずのクソ女め。僕の子供を返せ」とリッチー。
※ハンターは不安になり「土」を食べる。
(8)
その後、ハンターは実の父親を訪ねた。彼は結婚し、幼い娘とともに幸せに暮らしていた。父親と2人きりになった時、ハンターは父親に詰め寄った。父親は「過去の自分の行動を恥じている」と言った。そして「ハンターは自分のような恥ずべき存在ではない」と言った。
※ハンターは、母親のもとに帰ろうと電話する。だが「部屋がない」と母親から、拒否された。
※そこで、ハンターは実の父親を訪ねた。パーティーの最中だった。アーウィン(父親)の誕生日だった。
※ハンターは、自分が「ジル・マッコイの娘」、つまり「アーウィンの娘」だと正体を明かした。驚くアーウィン。ハンターは、母親をレイプしたアーウィンを責める。アーウィンが「私は当時、自分を神だと思っていた。特別な大物だと思い込んでいた。だが刑務所に入って、自分が神でなく、ひどい男だとわかった」と言う。そしてアーウィンが「恥ずかしいことだった」と謝る。「君は何も悪くない」とアーウィンがハンターに言った。
(9)
ハンターは、自分の気持ちに整理をつけた。ハンターは1人でクリニックを訪れ、中絶薬を処方してもらう。ハンターは、フードコートで昼食をとりながら薬を飲み、公衆トイレで中絶する。(胎児を流す。)
(10)
映画のメッセージ:私は多くの事を見てきた。さまよってきた。力を蓄えた。成長した。多くの人を失った。でも歌い続ける。私は強くなった。諦めない。健康でいる。そして愛する人と過ごす。何度も繰り返し挑戦して、世界を手に入れる。
《感想》身分、階層、生活様式、教育等に「格差」のある結婚は、困難が多い。