DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

David Lodge (1935-),「けち」("The miser"), 1998:悪意を持った《虚構》すなわち《意図的に探し出された可能的偶然的連関》!

2018-03-31 17:02:21 | 日記
(1)
第二次大戦直後だった。 It was just after the Second World War had finished.
花火は、どの店でもまず売られていなかった。 Fireworkes were rarely sold at any stores.
当時、ウォッピー、ドレイキー、ティモシーという名前の3人の少年がいた。 At that time, there were three young boys whose names were Woppy, Drakey, and Timothy,
かれらは友達で、花火が好きだった。 They were friends each other and liked fireworks.
しかしどの店も花火を売っていなかった。 However, any shops didn't sell them.
(2)
ある日、3人は、小さな小屋を見つけた。そこでは一人の老人が花火を売っていた。 One day, three boys found a small shed where an old man sold fireworks.
彼らは各自、花火を買ったが、とても高価だった。 Eacn of them bought fireworks which were so expensive.
(3)
しばらくの間、彼らは花火に火をつけなかった。彼らは、ひたすら眺め楽しんだ。 For some time, they didn't fire fireworks, which they only looked at and appreciated.
しかし、ついに、ウォッピーとドレイキーは花火に火をつけると決めた。花火は豪華ですばらしかった。 However, in the end, Woppy and Drakey decided to fire fireworks, which were extravagantly splended.
ティモシーはと言えば、彼は「けち」だった。 As for Timothy, he was “the miser”.
彼は、そんなにも高価な花火に火をつけることができなかった。 He couldn't fire such expensive fireworks.
(4)
数週間後、警察官がティモシーの家に来た。彼が言った。「君たちに花火を売ったあの老人は泥棒だ。ティモシーは花火を警察に証拠品として引き渡さなければならない。」 Some weeks later, A policeman came Timothy's house. He said, 'The old man who had sold you fireworks is a robber. Timothy has to hand over them to police as evidence."
教訓:「けちな者」は、しばしば不幸となる。 LESSON: “The miser” often becomes unhappy.

《感想1》
これは、「けち」(the miser)に対する悪意の物語だ。
《感想2》
「けち」のTimothyはひどい目にあったが、しかし、「けちであること」と、「花火を没収されること」との間に、「必然的連関あるいは蓋然的連関」がない。
作者は、悪意を持った《虚構》すなわち《意図的に探し出された可能的偶然的連関》を作り出し、「けち」(the miser)を嘲笑する。
《感想3》
作者は、「けち」を嘲笑して楽しむ。(ア)「けちが嫌い」なのか、または、(イ)「どんな人間につても、嘲笑して楽しむのが趣味」なのか、いずれかだ。
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今、このざまで嫌になっている原因:(1)お前は人を裁けるのか、(2)女難の相、(3)政治的スタンス、(4)極貧、(5)「謙虚」&「良い子」、(6)人間関係

2018-03-31 07:35:42 | 日記
一生懸命、生きてきたのに、今、このざまで嫌になっている。原因を振り返ってみる。
(1)
「暴力は、不正だ。なぜ力ある者だけが、特別なのか?」君は、昔、そう思った。だが、「お前は人を、裁ける立場にあるのか?」と非難された。
(2)
君は鼻の下が長い。それは、世の常として、君には「女難の相」があった。誠に、ひどい結果になった。
(3)
君は「世間知らず」だ。政治的党派の差違について無知だった。少年時代の環境が重要だ。君の環境が、君の政治的スタンスに強い影響を与えた。
(4)
君は少年時代、金がなかった。極貧と言っていい。君は下層で馬鹿にされた。
(5)
「謙虚でいなさい」との教えを叩きこまれ、「良い子」であろうとした。そのため、自己プレゼンテーションの能力をなかなか伸ばせなかった。
(6)
人間関係のコントロールは難しい。その数々の失敗で、君は苦労した。今も苦労が続く。人嫌いになりつつある
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[笑い話] 優しい旦那様    

2018-03-30 18:40:04 | 日記
ある男が言った。「もう1年間、妻に話しかけていない。話の腰を折らないことにしてるから。」
A man said, "I have not spoken to my wife from my side for as long as one year.I am always ready not to interupt her talking."

《感想》
優しい旦那様だ。辛抱強く妻の話を聞く。妻は元気がいい。夫婦二人の関係では、妻のおしゃべりは、美徳だ。
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茨木のり子(1926-2006)「みかんの木」1971年(45歳):①むかし、②お姫様、③むかしばなし、④杏と蜜柑、⑤雪と橘、⑥理科の先生、⑦小学校、⑧蜜柑の木、⑨子供たち、⑩照れて!

2018-03-29 19:20:53 | 日記
 みかんの木

むかし
四国のお姫さまが
信濃の国へ嫁入りしたとき
ふるさとの杏の木を持ってきて植えた
信濃がいまも杏の産地なのは
そのせいであるという

Long, long ago, a princess in Shikoku district married and went to Shinano district.
At that time, she brought a plum tree of her homeland with her and planted it there.
As a result, Shinano district became famous for having many plum trees, which is true even now.

むかしばなしに習い
わたくしも
一人の男と結婚したとき
ふるさとの蜜柑の木を一本持参
関東では根づくかしらとあやぶんでいると
七年目にかわいい実をつけたのだった

I followed the old tale.
When I married one man, I brought an orange tree of my homeland with me.
I wondered whether it could make root in Kanto district or not.
However, it had a small pretty fruit for the first time after 7 years since it had been planted.

橘(タチバナ)の実は 雪ふる日にも 常緑の葉かげに輝いて
みち行く人をも たのしませる
近くの小学校から理科の先生に引率されて
子供たちもやってくる「皆さん これが蜜柑の木です」
二列に並んだ小さな目玉らに まっすぐ観察され
蜜柑は照れて いっそう赤味を増してゆく

Fruits of the orange tree shine even on a snowing day behind ever green leaves and also make people who pass by joyful.
From a neaby primary school, many children come here brought by a teacher of natural science, who said "Everybody, this is an orange tree."
Oranges are sinserely watched by many pairs of eyes of chidren’s.
As a result, they blush and become redder.

《感想1》
①「むかし」は、それだけでエキゾチックだ。「むかし」や「廃墟」は、ロマン主義の必須アイテムだ。
②「お姫さま」は、美しくかわいいものの代名詞。美しくなく嫌な性格の「お姫さまも」もたくさんいるのに、いつでも「美しく」「かわいい」とイメージされる。不思議だ。

《感想2》
③なぜ「むかしばなし」に習うのか?類似点が多いから連想されたのだ。(ア)詩人は女だし、お姫さまも女だ。(イ)嫁入りする姫と、結婚する私は同じ。(ウ)そして、両方とも遠くに移る。しかも、(エ)四国や信濃は、どちらも緑濃い美しい地だ。
④「杏」と「蜜柑」は、どちらもおいしく、かわいい実をつける。いい取り合わせだ。現実の「蜜柑」が、むかしばなしの「杏」に追いつく。

《感想3》
⑤「雪」の白色と、「橘」(蜜柑)の実の黄色の対照は、鮮やかで美しい。自然の美しさだ。
⑥「理科の先生」は、実地の教材を探すのに、いつも苦労する。蜜柑の木は都会で珍しいのから、彼は、見つけて、うれしかったろう。
⑦のんびりした時代だ。「小学校」の近所の家の庭に、小学生たちが蜜柑の実を見にくる。
⑧子供にとって、この「蜜柑の木」の観察の思いでは、おそらく誰にとっても一生の記憶に残るだろう。平和で平穏な思い出だ。先生が偉いと思う。
⑨「子供たち」は純情だ。新奇なものに素直に感動する。見るものが、死体や爆撃でなく、蜜柑でよかった。
⑩蜜柑が「照れる」かどうか、本来、わからない。しかし時間とともに「赤味を増してゆく」のは事実だ。子供たちに「まっすぐ観察され」、「照れて」、「赤味を増してゆく」と詩人が思っても、蜜柑が、素直な人間だったとしたら、ありうるだろう。
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David Lodge (1935-), 「起きようとしない男」, 1998:「この世の現実が、最強、最高、至高である」との説!&死は、ひたすら謎だ!

2018-03-29 10:39:32 | 日記
“The Man Who Wouldn’t Get Up”(「起きようとしない男」)

(1)
ある寒い朝、男は、ベッドから出たくない。妻がいる。子供も二人いる。家はボロボロ。通勤は面倒だ。仕事もくだらない。「惨めな世界!」「人生になんの愛着(love)もない!」彼は、起きたくない。布団の中が一番、いい。彼は「起きようとしない男」だ。
(2)
そうして1週間がたち、1カ月がたち、彼は、身体も衰弱し、筋肉も落ち、もはや一人で歩けない。医者が来たが、男は、「病気でない」と言った。僧が来たが、男は、「この世から撤退したのだ」と言った。男のために、看護婦が付いた。
(3)
彼は、「起きようとしない男」として有名となり、テレビが取材に来た。励ましの手紙や募金が、たくさん届いた。妻は、お金(募金)が入って喜び、家の内装をきれいにした。彼は「実存主義的聖者(an existencialist saint)」と評された。
(4)
数カ月がたち、男は、さらに衰弱し、ベッドの上で、「死は甘美だろう」と思った。聖堂の天井画のように、天使と聖者が彼を招く。彼は、身体が軽くなったように感じ始めた。彼は、天に浮遊し、死の世界に招かれることを期待した。彼は、衰弱した手と足で掛布団を払いのけ、天への上昇を待った。
(5)
だが何も起きない。天井には石膏の割れ目が見えるだけ。天使も聖者も見えない。そして、ひどく寒いだけ。妻を呼んでも、看護婦を呼んでも、誰も来ない。彼は、突然気づく。彼の望む永遠は、「寒く、惨めで、天使も聖者もなく、誰もいない」世界だ!男は、「起きたい!助けてくれ!」と叫ぶが、誰も来てくれない。

《感想1》
「この世の現実が、最強、最高、至高である」との説だ。
人が、この世で、「人生になんの愛着(love)もない」と思ったところで、そんなものは、大嘘だ。
そして、「甘美な死」は幻想だ。
「永遠」の至福など、この世の側から見たら、「寒く、惨めで、天使も聖者もなく、誰もいない」だけ。それは荒れた墓場にすぎない。
著者は、徹底した現実主義者で、死の夢想、宗教的幻想、至福の天国・極楽など、一切信じない。

《感想2》
だが死は、虚無であって、何もない。至福も幸福もないが、惨めさも苦痛もない。
著者David Lodgeは、死を「寒く、惨めで、天使も聖者もなく、誰もいない」とイメージするが、それは誤りだ。
虚無は、イメージを拒否する。それが虚無だ。

《感想3》
「君は、虚無から突然出現し虚無に返る」。これ以上のことは、人には分からない。
ただしこの言明も、実は、推定にすぎない。
この推定が、一番もっともらしいが、検証できない。

《感想4》
もちろん、「地獄がある」との言明も推定、「輪廻し生まれ変わる」との言明も推定だ。
死は、ひたすら謎だ!
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