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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻5」(43)「ピネウス」:アイティオピア王国は国王ケペウス&ペルセウス側と、王弟ピネウス側に分裂し、戦(イクサ)となる!ピネウスが敗北した!

2022-08-31 15:54:53 | 日記
(1)
怪獣を倒し王女アンドロメダを花嫁に迎えたペルセウスのために、アイティオピア王国の王の祝宴が開かれ、ペルセウスがこの国の貴紳たちに、メドゥーサ退治のことを物語っていると、王宮の広場で反乱が起きた。反乱の首謀者はアンドロメダの許婚者(イイナズケ)だったピネウスだ。「やい、やい!妻を横取りされた仕返しに、こうしてやって来たおれさまだ」とピネウスが言った。かくてアイティオピア王国は国王・ペルセウス側と、ピネウス側に分裂し、戦(イクサ)となる。
(2)
国王ケペウス(アイティオピア王)がピネウスに向かって叫ぶ。「かりにも私の弟ではないか。こんな馬鹿な真似をするとは、何という気違い沙汰だ?」ピネウスは答えない。怒りにまかせ、勢いよく槍をペルセウスに向けて投げつけた。だがはずれた。ペルセウスが槍を投げ返す。ピネウスは祭壇の後ろに逃げたが、代わりに①ロイトスという男の額を槍が貫いて死んだ。
(3)
今やピネウス側の暴徒の群れが、てんでに槍を投げつける。「花婿(ペルセウス)もろともケペウス(アイティオピア王)にも死んでもらおう」と怒鳴る者たちがいる。国王ケペウスが「騒動は自分の制止にもかかわらず起こったのだ」と誓言すると、戦(イクサ)の女神ミネルヴァ(アテナ)が降臨し、神盾(アイギス)でペルセウスを守り勇気づける。
(4)
ペルセウスは、②インド生まれのアティスという若者の顔を丸太ん棒の一撃で打ち砕いた。アティスを愛(同性愛)していた③アッシュリアのリュカバスは弓をぺルセウスに向け放ったが外れ、ペルセウスの鉤なりの剣で刺し殺された。ペルセウスは④シュエネ生まれのポルバスと、⑤リュビア出身のアムピメドンを刺し殺した。さらにペルセウスは、⑥アクトルの子のエリュトス、⑦セミラミス女王の血をひくポリュデグモン、⑧コーカサスのアバリス、⑨スペルケイオスの子リュケトス、⑩蓬髪のヘリケス、⑪プレギュアス、⑫クリュトスを打ち倒した。
(5)
ピネウスは、間近に敵と相対することを避けて、投げ槍を投げる。それは的を外れ、戦闘に加わらず、どちらの側にもついていないイダスを殺した。ピネウス側は、「アイティオピア人のあいだで王につぐ第一人者」のホディテスを殺し、またプルトニノルをヒュプセウスが殺した。だがペルセウスが⑬このヒュプセウスを討ち取った。「正義をとうとび神をおそれる人物」であったエマンティオンという老人が、ピネウス側のクロミスによって首を落とされた。
(6)
ピネウスが、拳闘技で無敵のプロテアスとアムモンという兄弟を殺した。さらにペルセウスの側の「豊穣女神」(ケレス)の神官アムピュコス、竪琴の弾き語りのラムペディデス、リビュアのペラテス、メラネウスが殺された。また大地主のドリュラスがバクトリアのハルキュオネウスに投げ槍で殺された。ペルセウスが仕返しに槍を投げつけ⑭ハルキュオネウスを殺した。
(7)
ペルセウスは⑮クリュティオスと⑯クラニスの兄弟を殺した。さらにペルセウスは⑰メンデスの人ケラドン、⑱母親がシュリア女のアストレウスス、⑲かつては未来を予見するのに巧みだったが、今回は、偽りの兆しにだまされたアイティオン、⑳王の盾持ちトアクテスを倒した。
(8)
ペルセウスの働きは目ざましかった(すでに①~⑳を倒した)が、それでもまだ足りない。ぐるになった敵勢(ピネウス側)が四方から襲いかかる。ペルセウスは、大きな石の柱に肩を持たせかけて背後を安全にすると、カオニアのモルペウスの脚をぐさりと一突きして退却させた。そしてペルセウスは、㉑アラビアのエケムモンをメルクリウスの剣で殺した。
(9)
しかし武勇だけでは大勢に勝てないことを見てとったペルセウスは言った。「おまえたち自身がそうさせるとあれば、かつての敵メドゥーサの助けを求めよう。味方のものは、顔をそむけるように!」ペルセウスが、メドゥーサの首を突き出した。(a)必殺の槍を手で投げつけようとしていたテスケロスは、そのしぐさのままで、大理石の像となった。(b)ペルセウスの胸を剣で狙ったアムピュクスも石となり動かなくなった。(c)「俺さまほどの男の手にかかって死ぬきさまだ、あの世へ行っても成仏はかたいぞ」と怒鳴って攻撃してきたニレウスは言葉がとぎれ固まった。(d)飛びかかろうとしたエリュクスは、足が土から離れず、動かぬ石となり武装した像となった。
(9)-2
ペルセウス側からも犠牲者が出た。アコンテウスという兵士が、戦闘中にふとメドゥーサを見たため石となった。だがアコンテウスがまだ生きていると勘違いした(ピネウス側の)アステュアゲスが長剣で斬りつけると、剣は鋭い音を立てた。(e)アステュアゲスが呆然としているうちに、メドゥーサの首を見て彼は石と化し、驚いた表情が大理石の顔に残った。
(10)
こうしてピネウス側の200人がメドゥーサを見て石となった。こうなるとピネウスも、不法な戦いを後悔した。彼は顔をメドゥーサの首から背けながら、哀願の姿勢を取る。そして言った。「誰よりも強いペルセウス君、命だけは助けてくれたまえ。ほかのものはすべて君にさしあげよう。」
(10)-2
ペルセウスが言った。「臆病きわまりないピネウス君、卑怯者には大した贈り物となるしろものを、さしあげるとしよう。」こう言ってピネウスが不安そうな顔を向けていた方へ、ペルセウスはメドゥーサの首を持っていった。ピネウスは固まって石となった。おずおずした顔と哀願の表情、へりくだった手つきと卑屈な様子がピネウスの大理石に残った。

★ピネウスとペルセウス(※ピネウス)
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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻4」(42)「メドゥーサ」:メドゥーサ自身と頭髪の蛇たちが熟睡しているあいだに、ペルセウスはメドゥーサの頭を頸(クビ)から切り離した!

2022-08-29 22:40:52 | 日記
(1)アイティオピア王国でペルセウスは、自らが怪獣から救った王女アンドロメダを花嫁に迎えた。王の祝宴が開かれ、この国の貴紳たちが顔をそろえた。客のひとりが言った。「いかほどの勇気とどのような策によってメドゥーサの蛇髪の頭(コウベ)をものにされたのか!」
(2)ペルセウスは物語った。(a)ゴルゴーンの国の入り口にある岩屋に「老女たち」(グライアイ)(※生まれた時から灰色の髪をしていた)と呼ばれる2人の姉妹が住んでいる。(※3人姉妹とも言われる。)彼女らは「たったひとつの目」をふたりで分けあって使っていた。その目を、ちょうど一人がもう一人に手渡そうとしているとき、ペルセウスが下から手を差し出し、うまくこっそり奪った。こうしてペルセウスはゴルゴー(ゴルゴーン)の国に入り込んだ。

★エドワード・バーン=ジョーンズ『ペルセウスとグライアイ』(1882年)


(2)-2 それから(b)ペルセウスは、山奥・脇道・岩場を越えて、ゴルゴーたち(※ゴルゴー3姉妹:ステンノー、エウリュアレー、メドゥーサ)の住処にたどりついた。野原や道のほうぼうに、メドゥーサを見たため石に変った人間たちや獣らの姿があった。
(2)-3 ペルセウスがメドゥーサを発見した時、(c)その視線を浴びると石になるので、ペルセウスは左手の青銅の盾に映し出したうえで、恐ろしいメドゥーサの姿を見ることにした。
(2)-4 そして(d)メドゥーサ自身と頭髪の蛇たちが熟睡にとらえられているあいだに、ペルセウスはメドゥーサの頭を頸(クビ)から切り離した。(d)-2 このとき、ほとばしり出るメドゥーサの血を母として天馬ペガソスとその兄弟のクリュサオル(※黄金の剣を持つ者)が生まれた。
(3)貴紳たちのひとりがさらにたずねた。「ゴルゴー(ゴルゴン)3姉妹たちのうち、メドゥーサだけがどうして頭髪に蛇をまじえていたのか?」ペルセウスが答えた。「メドゥーサはもとは、素晴らしい美女だった。とりわけ髪の美しさが人目を引いていた。その彼女を海神ネプトゥーヌスが、ミネルヴァ(アテナ)の神殿で辱めたという。(※ミネルヴァは知恵・戦争の女神、そして処女神。)ミネルヴァ女神は顔を背け、純潔な頬を神盾(アイギス)で隠した。そしてこの罪を罰するため、メドゥーサの髪を醜い蛇に変えた。ミネルヴァ女神は、今も敵を恐怖でおびえさせるため、自分が作り出した蛇髪(メドゥーサの首)を、胸にかざした神盾(アイギス)につけている。」

★ペルセウスとメドゥーサ
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映画『43年後のアイ・ラヴ・ユー』Remember Me(2019、西米仏合作):認知症のリリアンは「昔のクロード」を思い出したが、「今のクロード」が「昔のクロード」だとはよくわかっていない!

2022-08-29 15:27:29 | 日記
アルツハイマーで過去の記憶を失った元恋人リリアンに、「思い」を伝えようと奮闘する70歳の老人クロードの物語!
(1)70歳のクロード(ブルース・ダーン)は妻を亡くし、LA郊外に一人で住む元演劇評論家。親友のシェーンが近くに住む。娘の夫は女性関係がだらしなく、クロードが嫌う。孫娘タニア(高校生)は、父母の関係が腹立たしく家出を考えている。と老後を謳歌していた。
(2)ある日、クロードは新聞で、昔の恋人で人気舞台女優だったリリアン(リリィ)(カロリーヌ・シオル)がアルツハイマーを患って施設に入った事を知る。
(3)演劇評論家だったクロードは、女優リリアンと20代の頃、恋人同士だった。だがリリアンはパリに住み、クロードはニュー―ヨークに住む。そしてリリアンには夫がいた。ニューヨークでクロードが「駆け落ちしよう」と言った時、リリアンは「夫に行ってからにする」とパリに戻る。だが結局、リリアンは夫と別れなかった。2人の恋はこうして終わった。(クロード27歳。)
(4)諦めたクロードは別の女性と結婚した。彼には、娘が一人、そして孫娘タニアがいる。妻はすでに亡くなった。今や、クロードは、もう一度、リリアンに会いたいと願う。クロードは、アルツハイマーの「フリ」をしてリリアンと同じ施設に入居するという大胆な「嘘」を思いつく。
(5)シェーンの協力のもと、施設の審査をパスし、クロードは、遂にリリアンと念願の再会を果たす。だがリリアンの記憶からクロードは完全に消し去られていた。そんなリリアンに、クロードは毎日のように二人の想い出を語りかける。彼女の好きな百合の花を部屋いっぱい送り、一緒に、リリアンが好きだったガーシュインのCDも送る。リリアンは少しづつ昔を思いだし始める。
(6)そんな時、家出して、クロード(祖父)の家に泊めてもらおうと思った孫娘タニアが、クロードがアルツハイマーと偽って施設に入ったことを知る。そして亡くなった妻(祖母)と結婚する以前に、クロードがリリアンと恋人同士だったことを告げられ、タニアはクロードの行為を理解する。
(7)ある日、施設で演劇を見る催しが計画されているのをクロードは知る。そこで、クロードは孫娘タニアと一緒にある作戦を実行する。本来の演劇を中止させ、その代わりに、昔リリアンが演じたシェイクスピアの『冬物語』を施設で観るようにした。『冬物語』はタニアの高校の演劇部が演じた。
(8)それを見たリリアンは昔を思い出し、演劇部の生徒が台詞に詰まった時、リリアンが舞台にあがり台詞を見事に述べた。彼女は、昔を思い出し、かつて恋人だったクロードのことも思い出す。
《感想》ただし認知症のリリアンは「昔のクロード」を思い出したのであって、「今のクロード」が「昔のクロード」だと、はっきりわかっているわけでない。
(9)クロードは、認知症が改善したということで、親友シェーンの申し立てにより、施設を出る。今も健在なリリアンの夫は、妻の認知症の治療に役立つという観点から、クロードがリリアンと会うことを許可する。

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「ボケないための8ルール」(『女性自身』2022/9/6号):①行ったことのない店、②違った服、③違う食材・レシピ、④散歩・運転のルート、⑤SNS、⑥投資のリスク経験、⑦恋、⑧肉!

2022-08-28 22:19:22 | 日記
(1)なじみの店ばかりでなく、話題の店や「行ったことのない店」に行く。脳に日常の変化を経験させ、活性化させる。Cf.「外食は行きつけのお店しか行かない」、「同じ著者の本しか読まない」、「料理のレシピがいつも同じ(増えない)」、「会話もワンパターンしか言わない」はダメ。
(2)「服」はなるべく、これまでと違ったものを着てみる。日常生活にメリハリをつけ、脳の若さを保つ。
(3)「食べ物」の種類を変える。「食材」を増やす。これまで使ったことのない食材を使う。また違う「レシピ」で、新たに料理のレパートリーを増やす。
(4)「散歩・運転」では、普段あまり使わない「ルート」を選んでみる。
(5)「SNS」で他者とのキャッチボールを楽しむ。
(6)少額で「投資」をしてみる。リスク、アクシデントのありうる経験は、脳の刺激になる。
(7)魅力的な異性にときめく(「恋」をする)と、若返る。
(8)「肉」を食べる:(a)男性ホルモンor女性ホルモンの維持に役立つ、(b)脳の神経伝達物質セロトニン(鬱になるのを防ぐ)の材料を供給する。
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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻4」(41)「ペルセウスとアンドロメダ」:怪獣の生贄とされたアイティオピアの王女アンドロメダを、ペルセウスが救い花嫁とした!

2022-08-26 20:04:37 | 日記
(1)
朝が来て、ペルセウスは、翼のついたサンダルを両足に結びつけると、足の翼を動かして空に飛びあがる。無数の国々が眼下に過ぎ去り、やがてアイティオピアの田野が視野に入る。ここでは、罪もないアンドロメダが、神アムモン(※古代エジプトの太陽神)の命令で、不当にも「母親の暴言」を償わされていた。乙女が荒い岩に両腕をつながれている。
(2)
ペルセウスは乙女の並外れて美しい姿に呆然とし、わら知らず彼の心は燃え上がった。ペルセウスが尋ねると、乙女は自分の名(アンドロメダ)と国の名(アイティオピア)を告げ、「母親が自分の美貌を高慢にも鼻にかけていたので、神の怒りをかい怪獣の生贄とされた」と答えた。その時、海鳴りがとどろき、怪獣が来襲した。
(3)
乙女は悲鳴をあげる。悲しげな父親ケペウス(アイティオピア王)と母親カッシオペア(王妃)が駆け寄る。ペルセウスは「ユピテルを父とし、蛇髪のメドゥーサを退治したペルセウスが、娘ごを怪獣から救ったら、娘ごを花嫁として頂戴したい」と両親に言った。両親はこの条件を受け入れ、ひたすら懇願し、加えて「領国を持参金にしよう」と約束した。
(4)
怪獣が巌(イワオ)に近づくと、ペルセウスは足で地を蹴って、空へ飛びあがった。海原にペルセウスの影が映ると、獣は荒々しくその影を襲った。ペルセウスは、まっさかさまに虚空を舞いおり、怪獣を剣で次々と突き刺した。深傷を負った怪獣は、暴れまわる。ペルセウスは、獣の下腹に3度、4度と剣を刺し通し、ついに怪獣を倒した。
(5)
乙女(王女)は救われ、拍手と歓呼が海辺にあふれた。アイティオピア王と王妃は大喜びし、王女アンドロメダをペルセウスの花嫁とした。
(6)
勝利の後、ペルセウスが、海草を敷いてメドゥーサの首をその上に置いた。すると怪女の魔力にかかり、海草は固くなった。これを見て海の妖精(ニンフ)たちは大喜びし、その海草の種子を波にまき散らした。かくて今もなお珊瑚は、メドゥーサの首の魔力で固くなった海草と同じ性質を持つ。珊瑚は大気に触れると硬直し、水の中で柔らかかった枝が、海から引き上げられると、石のように固くなる。

★ウィレム・ファン・スワーネンブルフ「ペルセウスとアンドロメダ」
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