(1)
昔、昔の話だが、設定はアーサー王の時代の話だ。
《感想1》
アーサー王のが実在するかどうかは不明だが、6世紀のブリタニア(英国)の王とされる。
(2)
魔法使いマーリン(Merlin)が、乞食の姿で放浪していた。ある晩、彼は農民夫婦に親切にされ、一晩泊めてもらった。マーリンは感謝し、子供がいない夫婦に、「小さな子供が生まれる」と約束した。それが親指トムだ。
《感想2》
親切にすると、恩返しされる話として、日本では「鶴の恩返し」がある。こちらは、お礼は子供でなく財貨だ
子供が授かる話に「桃太郎」があるが、これは理由なく川から桃が流れて来る。(なお《桃を食べて若返ったお爺さんとお婆さんの間に桃太郎が生まれた》という回春型の話もある。)
「かぐや姫」も、理由なく竹の中から発見される。これは、お爺さんとお婆さんが金持ちになり、「棚からぼた餅」の話だ。
(3)
妖精の女王(the Queen of the fairies)が名づけ親となり、「親指トム」の名をつけた。彼は女王の名づけ子(godson)だ。
《感想3》
こうして親指トムは、妖精の女王の加護を受けることとなった。彼は祝福された子供であり、身分上、妖精族に属す。すごい!桃太郎もすごいが人間族だ。親指トムは、月人族に属すかぐや姫に似る。
(4)
親指トムは賢く育つ。やがて彼は旅に出る。ある時、カラスが、彼を引っつかみ空を飛んだ。トムは抵抗し、海に落ち、魚に食べられてしまう。アサー王の召使が、その魚を捕る。城で、腹の中から親指トムが元気に出てきた。賢く愉快な親指トムは、やがて、アーサー王に気に入られ、騎士(Knight)の称号を与えられる。彼は、トマス・トム卿(Sir Thomas Tom)と命名された。
《感想4》
「一寸法師」の話に似ている。巨人が「大男総身(ソウミ)に知恵が回り兼ね」と言われるのに対し、小人は知恵を働かせ成功する。腕力よりも狡知が推奨される。
(5)
アーサー王の妃が、親指トムを嫉妬し、王に、「トムは王妃に対し無礼なことをした」と讒言(ザンゲン)した。王はそれを信じ、トムを罰そうとする。
《感想5》
嫉妬は、宮廷人の行動の大きな動機だ。『源氏物語』では、帝(ミカド)の寵愛を一身に受けた桐壺更衣(キリツボノコウイ)が、周りから苛め抜かれて亡くなる。
(6)
親指トムは、蝶々に乗って逃げる。しかし蝶々が突然、城内に落下し、トムは女王につかまってしまう。女王は、トムをネズミ捕りの中に閉じ込め殺そうとする。前夜、猫がネズミ捕りに腕を突っ込んだ時、隙間からトムは逃げる。トムはアーサー王に、これまでの事情を話す。女王が謝り、トムは名誉を回復した。
《感想6》
人間は、残酷だ。女王は、トムを平然と殺すつもりだった。「人の支配」の時代は、「法の支配」と異なり、支配者が気分次第で、何でもできる。
(7)
親指トムは、ある日、散歩中、突然、巨大な毒蜘蛛に襲われる。トムは、針の剣で勇敢に戦うが、殺される。アーサー王と臣下たちは、トムのために美しい大理石の墓碑を立てた。墓碑銘には「ここにトマス・トム卿、勇敢で高名な騎士が横たわる」と刻まれた。
《感想7》
「めでたしめでたし」(ended happily)(and they lived happily ever after)に終わらない点が悲しいが、英雄譚としては名誉ある立派な結末だ。
昔、昔の話だが、設定はアーサー王の時代の話だ。
《感想1》
アーサー王のが実在するかどうかは不明だが、6世紀のブリタニア(英国)の王とされる。
(2)
魔法使いマーリン(Merlin)が、乞食の姿で放浪していた。ある晩、彼は農民夫婦に親切にされ、一晩泊めてもらった。マーリンは感謝し、子供がいない夫婦に、「小さな子供が生まれる」と約束した。それが親指トムだ。
《感想2》
親切にすると、恩返しされる話として、日本では「鶴の恩返し」がある。こちらは、お礼は子供でなく財貨だ
子供が授かる話に「桃太郎」があるが、これは理由なく川から桃が流れて来る。(なお《桃を食べて若返ったお爺さんとお婆さんの間に桃太郎が生まれた》という回春型の話もある。)
「かぐや姫」も、理由なく竹の中から発見される。これは、お爺さんとお婆さんが金持ちになり、「棚からぼた餅」の話だ。
(3)
妖精の女王(the Queen of the fairies)が名づけ親となり、「親指トム」の名をつけた。彼は女王の名づけ子(godson)だ。
《感想3》
こうして親指トムは、妖精の女王の加護を受けることとなった。彼は祝福された子供であり、身分上、妖精族に属す。すごい!桃太郎もすごいが人間族だ。親指トムは、月人族に属すかぐや姫に似る。
(4)
親指トムは賢く育つ。やがて彼は旅に出る。ある時、カラスが、彼を引っつかみ空を飛んだ。トムは抵抗し、海に落ち、魚に食べられてしまう。アサー王の召使が、その魚を捕る。城で、腹の中から親指トムが元気に出てきた。賢く愉快な親指トムは、やがて、アーサー王に気に入られ、騎士(Knight)の称号を与えられる。彼は、トマス・トム卿(Sir Thomas Tom)と命名された。
《感想4》
「一寸法師」の話に似ている。巨人が「大男総身(ソウミ)に知恵が回り兼ね」と言われるのに対し、小人は知恵を働かせ成功する。腕力よりも狡知が推奨される。
(5)
アーサー王の妃が、親指トムを嫉妬し、王に、「トムは王妃に対し無礼なことをした」と讒言(ザンゲン)した。王はそれを信じ、トムを罰そうとする。
《感想5》
嫉妬は、宮廷人の行動の大きな動機だ。『源氏物語』では、帝(ミカド)の寵愛を一身に受けた桐壺更衣(キリツボノコウイ)が、周りから苛め抜かれて亡くなる。
(6)
親指トムは、蝶々に乗って逃げる。しかし蝶々が突然、城内に落下し、トムは女王につかまってしまう。女王は、トムをネズミ捕りの中に閉じ込め殺そうとする。前夜、猫がネズミ捕りに腕を突っ込んだ時、隙間からトムは逃げる。トムはアーサー王に、これまでの事情を話す。女王が謝り、トムは名誉を回復した。
《感想6》
人間は、残酷だ。女王は、トムを平然と殺すつもりだった。「人の支配」の時代は、「法の支配」と異なり、支配者が気分次第で、何でもできる。
(7)
親指トムは、ある日、散歩中、突然、巨大な毒蜘蛛に襲われる。トムは、針の剣で勇敢に戦うが、殺される。アーサー王と臣下たちは、トムのために美しい大理石の墓碑を立てた。墓碑銘には「ここにトマス・トム卿、勇敢で高名な騎士が横たわる」と刻まれた。
《感想7》
「めでたしめでたし」(ended happily)(and they lived happily ever after)に終わらない点が悲しいが、英雄譚としては名誉ある立派な結末だ。