懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

政治が芸術に口出しをする時

2022-05-23 19:07:17 | バレエ
何だか生きにくい世の中になってきたようです。

このブログも辞める時はさくっと決断したほうがいいのかも、と思い始めています。(変な警告メッセージが出て、引くなら早い方がいいと思った。)

さて。

キエフ・シェフチェンコバレエの夏の来日公演。
男性出演者1名の変更。に加えて、演目変更。(5/13付)
「白鳥の湖」「眠りの森の美女」⇒「ジゼル」「海賊」

単なる劇場都合の変更なら良いんだけど。
演目の変更は、主催の光藍社さんHPによると、(詳しくはそちらをご覧あれ)
「ウクライナ国立歌劇場は、ウクライナ文化省からの要請により、チャイコフスキーほかロシア人作曲家の演奏及び使用を控えることを決定いたしました」云々というのが理由。

それを見て自分がぱっと思ったことと、主催者HPに記載してある想いが、ピタリ一致していて。

芸術に国境無し!

時間もないので、詳細な自分コメントは割愛するけど。

参考までに、戦争・紛争によるこの種の制限は、歴史的に、欧米の研究者の言では、
例えばボストン交響楽団はベートーベンを絶対に演奏しない(ドイツだから)ということがあって、これは当時の英国の公共情報省による、情報操作の一環だったそうですが。(アメリカ国民にドイツを憎むよう仕向けて戦争へと導く道らしい)

興行は興行なので、今回予定されてるバレリーナにとって、オーロラ姫等よりジゼルやメドーラの方が得意なのかどうか?とか、ちょっと疑問に思う現実的な事もありますね。興行をやるからには、誇り高い芸術家たちが満足できる水準の舞台であってほしい。踊り手が納得できる、自信もあってやりたい演目をやってほしい。(妥協は良くないかもしれないけど、代替案として、もう少しダンサーたちにあってる別の演目があればいいのだけど)

音楽的には、一流の音楽家から3流の音楽家の作品に変わってる。バレエは音楽も大事。

主催者は、まだ日本のウクライナへの支援がそんなに動いてない時期に、いち早く支援の一環として、困難もある中でこの公演をやることを決断し、それはどちらかというと英断だったと思います。なので、この展開がいかにも残念です。

ウクライナ政府は、以前にも日本の自治体に奇妙な申し入れをして困惑されていましたが・・・。
余りにも狭量。ダイバーシティからほど遠い。これで自由と民主主義と言われても。

チャイコフスキー3大バレエは日本のバレエファンに非常に人気があり、良くも悪くも、「白鳥」をやっとけば日本だとお客さんは入る、意欲的実験的な演目だと一部マニアは喜んでも、興行的に集客が厳しい、というはっきりした傾向があります。(私は、実験的な意欲作も、チャイコの古典も、内容良ければどっちもいいけど、集客はそうもいかない)、ちょっとこういうウクライナ政府側の判断は、日本のクラシックバレエ公演にはあわない考えのように思います。

主催者さんは、劇場側と話し合いを続けるとの事なので、支持するし、善処を期待しますが。
どのみち、芸術の内容に政治が口を出して変更させる、というのは、良からぬ世の中の傾向だと感じています。

せっかく、ウクライナ応援という事で、無理を押してこの企画をした主催者が気の毒な展開になり、心苦しく感じます。

自由と民主主義というけれど、名ばかり。
不自由が広がっています。

まずは、残念なお知らせ、その3、という事で、報告まで。
(もはや世界のチャイコフスキーであり、ロシアだけの作曲家ではないと思います。波風を立てない為に、他に代替できるならそれも良いですが、ジゼルとか、をオーロラ同様に素晴らしく踊れるのかどうか、というのもキモだと思います。せっかくの企画なので、万難を乗り越え、素敵に踊れるダンサーを見たいです。)

芸術監督のエレーナ・フィリピエワさんのコメントにはほっとしました。

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