それほど太い木ではない。けれども、見た目以上に重い。二人がかりで支え
短くしていく。この段階はまだ先端の方を伐っただけである。
主幹を倒すのはこれから。
冬の晴れた日、風がない日はめったにないので、雑木の間引きをして景観を
整える。木を伐るのはもったいない、という考えもあるけれど、ここは住処
でもあるので日当りをよくし、選んだ木がよく育つようにして、景観を作る。
十年前には木ばっかりで先が見えないほどだったけど、今は歩道もあって
ちょっと庭園に近づいてきた。
根気と継続。言うは易しだし、人の批評はできても実行には時間と経済と
それから精神力がいる。
どんな精神かというと、夢を描く力。
大地ははじめ、みんな荒野だったのだ。
人が降り立った場所は、楽園ではない。
荒ぶる神々が支配する地を、実りの地に変えていく。
その前に、豊穣と楽園を夢見る力、理想を想う力がなければ
はじまらない。