想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

鳥の巣

2013-12-30 22:08:51 | Weblog

雪の日の晴れ間に写真を撮ろうと森庭へ出た。
カメがあれを、と指差した方を見上げた。
高く伸びた枝が折り重なったところに鳥の巣が乗っている。
このへんでよく鳴いている野鳥かな、と聞くとあの大きさは
小鳥じゃないと思うよという返事、うまいこと作ってるなあ
としばし感心して見ていた。まったくもってかなわない。

樹々は葉を落として枝も幹も丸裸だ。でも寒そうではなくて、
そばに寄ると樹の体温が伝わってきそうだ。生きている証の。
積雪量はさほどではないが、体感温度はキリキリと冷たい。
新しく降った雪の下は凍ったままだ。
雪の白と樹々の灰褐色、そしてたまに見える空の青。
静寂のなか、朗らかな気が満ちている。
時々、どさりと雪の落ちる音がするほかはしんとして。

突然、パーンという鉄砲の音が響く。
その音で俗世に引き戻されるまではこれぞ我が世界と、楽しい。
享楽生活とは異質な、無碍孤独にある楽しさだ。
だから雪に覆われる冬が一年のうちで一番楽園らしくなる。
自然を通して大いなる意志にふれる季節だ。

そして、ここに来て初めて君のいない冬をどう乗り切ろうかと
案じていたけれど、だいじょうぶなようである。
君はいないということじゃなくて、わたしの方が君に近づく
ことができたと、今はよくわかる。
君は自然の一部、大いなる意志に初めから融けていたわけで。
ヒトから「心ある』人へと誘い、
寄り添いながら教えてくれたんだった。





ぷーちゃんの円墳で、ぐるりと足跡をつけながら廻る。
そばにいたときと同じように歌いながら、廻る。
いっしょにいるのと同じ。
雪の日にはしゃいでいたね、子どもだった時も爺ちゃんに
なってからも、雪がとても好きだった。
白く化粧した円錐形、丸みがあるからカマクラみたいにも
見えて、いい眺めだ。
もうじき一年が経つ。







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雪の日に覚る

2013-12-19 15:26:25 | Weblog



ジョリ姉さん(たぶん)はじっと耐えている。
江戸チイママの気まぐれヨシヨシに耐えている。
耐えているが悪い気はしないのだろう。

外はとうとう積もるほどの雪になった。
こんなの序の口でこれからずんずんと降ってくる。
除雪車が待ち遠しくなり、時に不安でうろうろしたりもする。
でも、雪はうれしい。悪い気はしないのである。

うれしいと言っても雪やコンコンと喜んでいるというのではない、
こどもっぽいことは否めないがこどもではない、れっきとした
大人びた理由がある。
雪が降ると、放射能の影響が遮断され空間線量がぐんと下がる。
測定器の数値を見て、ほわっとうれしい。あちこち測って、しだいに
うれしさは盛り上がる。ああ、ああ、ここもここも低いと。
トンと足を打って跳ねて小躍りする…。

これ、九州や四国の人はまだ味わっていない喜びではないか?
東京の人も一部の人しか知らない喜びではないか?
一生できれば味わいたくない喜び、嬉しさというのもあるという真実。
知ってしまった…何にたとえよう…もない。


一晩降ってさらに積もった。



猫は埋もれてしまうのでカメが踏みしめて道を作った。
その猫道を喜んで小走りにやってくる。
そして縁側へジャンプする。


こんにちはー、あたいですー。

そして、ぐいぐいとかわいさを押し付けてくる。



ぷ~ちゃんがわたしのなかで微笑んでいます。
これから日々雪景色です。






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君がいた

2013-12-12 01:15:59 | Weblog

やっと行ってきた。ちばわんin品川。
一年ぶりに会う友人も愛犬を亡くしているので誘ったら二つ返事で
やってきた。
収容期限が迫っていてボランティアに引き出してもらい命拾いした
犬や猫たちが、新たな家族との出会いを求めるお披露目会だ。
ネット上で里親探しの写真をよく見る。なかなか日程が合わず、
今回初めて会いに行った。

成犬と別の部屋で、子犬大集合、犬好きにはたまらん光景である。
彼らがいた場所は動物愛護センターという名称だが、その実態を
どのくらいの人が知っているのだろうか。
センターには期限付きで保護されている子犬がまだたくさん
「倍返し」状態でいると、預かりママさんがブログに書いておられた。

ちばわんのような保護団体が引き出せるにも限度がある。
引き出した犬たちを新しい引き取り手がみつかるまで仮親になる
ボランティアは常時募集されているが、なり手は多くないのだろう。
期限になれば殺されてしまうことを知って、やむにやまれずという
ことなのだから犬好きの趣味と思われては困る。
それにしても「殺」処分とは…日本は壁で隔てた闇の中で残酷な
所業をし、それにへ理屈をこねる。
今もって人間性を尊ばない後進国、というよりさらに後退し続けて
いるように思えてならない。

多頭飼育の悪質ブリーダーが放置した子、野犬(捨て犬の果て)
が産んだ子、生まれてすぐに捨てられた子、いずれも劣悪な状態
から救われた子にはとても見えない。
ボランティアさんたちの手で毛並を整えてもらい、生来の魅力を
発散している。人間でも犬でも猫でも、生きものの赤ん坊は
見る者を無条件に癒してくれる。
かわいいだけで買い、飼い犬にし、きまぐれに捨てる、そういう
人間がいる一方、保護し育て慈しむ人々もいる。

預かりママさんのブログで見ていた白い子犬、エクレアちゃんに
まず挨拶した。緊張でおなかが緩くなってしまったのよ、と抱っこ
されてゆたっとしているエクレアちゃん、写真通りキュート。


ママさんちに引き取られたばかりの時とはくらべものにならない、
ふわふわの毛になって、ママさんの愛情がよくわかる。
やさしい成犬になりそうだ。



リルちゃん。雑種でいくつもの血が入っているらしい。
成長したらどう変貌するのかなと、犬種をたずねたのだが、
答えは不明。でもそんなに大きくはなりませんから大丈夫、
という返事。小型犬が好まれるのだろう、大きくならないと
強調されて苦笑いだった。ラブラドールのゆったりとして
頑丈なところが好きなのであるが…言えなかった…。
眼がしっかりとして印象的、賢そうで大きくなくてもいい感じ
の子だった。

そして、カートをのぞこうとしたら、チョイ待ちと声がかかったのは
この子、まだワクチンをしていないそうで、消毒薬を差し出される。
シュシュっと手をきれいにしてからご対面。


かくまちゃん(八重の桜から頂戴した名前だそうな)
一緒にいた友人が「ああ、西島君ですね」と言いママさんが
そうそうと頷く。なるほど、西島君……たくましいってこと?
もう一頭いて、そちらは尚之助だそうな。
八重の桜、あんまり詳しくないので、ふんふんと相槌をうち、
抱っこさせてもらう。ボーダーコリーの血が入ってるらしい
西島君はかわゆい盛りで、そのまま連れ去りたいほど。


動物愛護管理法が改正され、虐待と遺棄の罰則も定められ、
愛護動物、犬猫等を捨てることは禁じられている。
しかし愛護センターには日々、何らかの事情で飼えないからと
犬や猫が持ち込まれ、引き取ってもらえる。
狂犬病や感染症などの公衆衛生の観点から野良を回収する
という意味と同じらしい。そんなことだから捨てる人は
後を絶たない。野良ももとを辿れば家猫、飼い犬であるし。
3.11以降、原発事故も含めて被災した人々は、故郷を離れる
時、愛犬愛猫をやむなく手放したり置き去りにした。
そういう事情とはまったく違う、人間の利己的な都合が
「殺」処分のシステムを継続させている。
飼主が高齢になって面倒をみれなくなったり、亡くなったり
して収容されるケースもある。

問題は、行政機関に引き受けてもらえば自分で殺す実感がなく、
罪悪感もないことだ。あっても薄い、自分の手を使わないから。
収容期間が一週間、ということは余命は7日。里親を探して
くれると思って…という人は、現実を見てはいないだろう。
引取り手がなければ殺されることも知っていて、あれこれ
いいわけをしながら持ち込んでいる。
ボランティアさんたちが急ぎ引き出し保護する理由は殺させ
ないためである。
ザル法のような今の法律では捨てる人はなくならないだろう。
保護犬を家族に迎えるという選択がもっと広まっていくといい
のだが。



親分と呼ばれたりベイビーと呼んだり、ぷ~ちゃんだったり、
生後50日から15年間ずっと一緒に過ごした君。
人と生活するためのルールを覚え、犬らしい本能で人を助けもし、
ノーリードにしても勝手をしなかった。いつも離れなかったし、
遊んでいても呼べば戻ってきた。
先に立って先導役をするときもあった。
これは犬を主人に服従させるということを基本にした考え方からは
異論があるだろうが、人よりも勝れた嗅覚や本能的な危険察知能力
をいかんなく発揮してそばにいた。
上とか下とかではなく一つで、補い合う関係だった。

犬と暮らし、人が学べることは多い。
まっすぐで素直、シンプルな命のひびきは人を快活にしてくれる。
立ち上がり歩み続ける勇気が、あまり力を入れずともできることを
教えてくれる。
信頼することを、犬だけに求めるのではない。
人がその手を緩め頬を緩めたとき、犬はそばに静かに座る。
そして、ひとつにつながったものを、犬のほうから断ち切りはしない。

ボランティアさんたちに抱かれた子犬たちがまっすぐに面会者を
見上げる。媚びもなく、まるで悟ったかのようにもみえる。
命とははかないものだと切実に感じながら、つながることの喜びを
懐かしく思い出した。







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野に学び、境を立つ

2013-12-07 22:32:32 | Weblog
山は雪になった。
例年どおり、決まりどおり、雪虫の飛んだ数日後に初雪で、
そしてジョンレノンの命日前には必ず少し積もるくらいの雪が
降る、必ず。自然の決まりごとらしい。

あいまいな内容のまま審議を打ち切って可決した特定秘密保護法。
あいまい、曖昧と指摘され、その答弁も曖昧模糊として打ち切った。
ああ、境なく乱れきった様である。

みのえとは境と書く。
古伝先代旧事本紀大成経の根幹「五鎮」の中の言葉である。
境(みのえ)を境界線の意だと字から解釈しがちだが、線ではない。
人の思い、情、心、それらの動きとハタラキは線では表せない。
また神ならなおのこと。

境の章は「境を立つる」という。
いかにするか。それは他の四つ、神・心・理・気とあいまって立つ。
邪と私を断ち、理にそって明らめ、かたよりのない状態のとき、立つ。
政府が強引に推したかの法案は、まさにこの逆の状態で、内に私欲を
秘めていることが曖昧さに顕われていた。
整いようがなく綻びている。

恣意的な解釈の恐れがある、とたびたび指摘されてきたが、恣意的
とは「私する」ことである。自分の欲のままにしたいようにする。
つじつまのあわないことだらけ、理を明らかにせよと迫られても
明らかにすると、私欲がバレてしまうので隠すしかない。
秘密を守る法律を作る過程でありながら、何一つ明らかにしなかった。
国会は何をする場所か?ということからすでに外れた。
暴挙と言われるゆえんである。

ここでそのことをまた繰り返し言わなくてもおおかたの人々がよく
わかっているだろうからそれはいい。
古伝を学んでいるので、「境」という一字が示す大事さに思いを
致しているだけだ。
心乱れるとき、境の字を思い出す。
そして正して、明るき元へ帰ろうと努めてきたから。
理に遠く外れた悪事は決して成就はしない。綻びから始まるものは
千々に乱れていくだけだ。
そこに尊い命が巻き込まれていくことだけは、止めなければと思う。

小さな、塵のようなわたくしが
止めるなどと言っても何ができようか。
涙ばかりが流れる。
けれども、神(魂)は嘆かず、為さず、作さず、思わず。
境を立て、生まれるを待つのみ。

日本に古来ヤマトダマシイという言葉は無かった。
言葉はいつも誰かが恣意的に作り、作られたものが伝わり、居座る。
現実の目の前にあることをよく見つめ、感じている者にとっては
場違いな居心地のよくない座りの悪い言葉がある。
そういう言葉の一つがヤマトダマシイだろう。
これは江戸の封建時代に為政者と蔓んだ国学者がまことしやかに
言い放ち、一度生まれた言葉は一人歩きした。
明治の御代にはじまった長い長い戦争の時代、都合よく最も頻繁に
使われた大和魂、はなはだ迷惑な言葉であった。

今日本の若い男子はつとに乙女チックである。
好きな色は黒か白かと問うと白と答える数が多い。
紬と純絹を見せればすべすべを手にとるだろう。
どこにも剛健なヤマトはない。
変わったのであろうか?
いや、そもそも剛健なる大和そのものが、つくりものであったことに
そろそろ気づくべき頃ではなかろうか。



平和な今がいちばんいいよ、どうして戦争なんかするの、
もういいじゃん、という若者たちはわかっている。
秘密にして何がしたいのか。
てっとり早く破壊に破壊を重ね、常に不安と恐怖を煽ることで
混乱した世の中を牛耳ろうとする者が語るエセ民主主義に
ぼんやりと従わない。
それは平和に育ったからこそ失わずにもっている人間らしさだ。
そのことをさらに自覚する時、言葉少なの若者も声を上げる。

よく学び、境とはいかにして立つかを闘いながら知るだろう。
他を思いやり、義しみ、深き智慧をもって協調していくときに
争わうことなく自他共に生きることができる。

自然のなかにカラダを委ねていっとき自我を忘れてみる。
なにもかもがじめたい、勝ち抜きたいなどと、偏狭な考えは消え、
空っぽになるから。
空っぽから、境を立てること、そこに入れるのは…
「私」ではなく仁、今ふうに言えば「愛」だろう。

ps:縁側通信
ジョリちゃんは江戸ちゃんに寄り添って、さささとご飯を
二度食いし、いっしょに井戸小屋へ帰っていった。
黒いチビも一緒にいるらしい…川の字で寝るのかな






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