想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

招かれざるモノ、コゲラよ

2022-01-27 23:31:56 | Weblog
大晦日から元旦にかけての珍騒動は
招かれざるモノの襲来であった。



大晦日の朝。
トントントントン、トンとトン。
リズミカルな音が聞こえた。
山ではいつも朝寝坊なのがたまたま
早起きした。前夜から降っていた雪を
見ようと寝床からすぐに出た。
台所で朝のお茶を入れていると聞こえてきた。
トントントン、調子のいい音。

初めは聞き流していたが、やがて、ん?
アレ? と思いつき階段を急ぎあがり
窓を開けたら、いた! 

屋根の一番高いところの、軒下に
そやつはやってきた。
コゲラ君、それはないよ〜
こらーーと烏を追うときの大声で叫ぶと
とっとと逃げた、と思ったら
すぐそばの松の木の枝に止まっている。
羽が白に黒の斑でなかなかおしゃれ、
てなことを意ってる場合ではない。

コラ、しか思いつかない。
窓ガラスを音をたてて開け閉めすると
ようやく飛び去った。
板張りの軒天に長い切れ目が入り
端っこには穴が……。嗚呼。
トントントントン、鋭い嘴できちんと
開けてありました!

それでおしまいではなく、約10分後に
再び屋根の反対側、玄関の上の軒天に
ちゃっかり、トントンしにきた。
仕事半ばで追いやったが、それでも穴は
しっかり空いていた。

コゲラだと思うが、20年も住んで初めてだ。
たぶん、若鳥のデビュー戦なのだろう。
離れたところから我が家を眺めてみると
確かにあの場所はいい栖になりそうだ、
高いし……と小ゲラの気持ちになってみた。
強風が止んでよく晴れた今朝、ゲラめも
はりきってきたんだろう。
他に高くて虫のいそうな樹がいっぱいあるのに……

翌朝、元旦も同じくトントン。
賑やかに新年が明けた。
雪もどっさり降り続け、なかなか
緊張の年明けであった。

庭を横切り、縁側に降りたり
低木のムラサキシキブの実を啄んだり
小鳥が遊びにくるのは楽しい。
複雑である。
隣にある道場の雨戸に横一列に数個
大穴を開けられたことがあったが
当時は山に慣れていなく鳥のせいだと
わからなかった。キツツキよ、
あれから二十数年ぶり、オマエかよと
がっくりだ。
大地震でも無傷だった家だがオマエかよ、
ため息であった。

山間部の田畑での鳥獣被害はよく聞く。
駆除という猟を快くは思わないけれど
困ったものであることはよくわかった。
しかたがないのでカメ虫スプレーを
噴射して急場をしのいだ。
2週間効果があると書いてあったが
わからない。

穴は長身のガクちゃんたちが梯子をかけて
ふさいでくれることになった。
めんどくさい仕事である。
ありがとさんでござんす。

形あるものは壊れる、常日ごろそう思って
執着しないことにしているのだが
この家が好きなのだと、いまさらながら
気づいたのであった。
コゲラよ、友よ、お手やらかに…頼むよ。

山の正月篇、つづく。








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