スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

偽文書 と プロパガンダ

2015年11月15日 | 雑感
当ブログで ≪偽経≫ や ≪偽書≫ なるものにより、我々人間社会はいかに文化慣習・風俗
・風習の中に潜む この ≪闇≫ みたいなものに惑わされてきたか、ということを幾度か記したことがある。


≪神君様御掟目十六箇条宗門檀那請合掟≫ なる江戸時代の偽書といわれる書物が、檀那寺との
密接な関係の必要性と、葬式の際での戒名を授かることの掟(おきて)を定めたものとして、
現代に多大な影響を与えたということを先日のブログでもとりあげた。

古文書のなかの偽文書なるものをもう少し探ってみようと思い、下の二冊を読んでみた。 

         

偽文書とは、読んで字の如く偽造された文書、虚偽を記載した文書をいうのだそうだ。

勿論それ自体は史料価値を有しているわけで、批判されるのはそれを利用しようとするヤカラなのだが。

戦国大名はその家系・家格の権威づけの為、各手工業者・商人から芸能の民にまでその権利を正当化
する為、戦国時代から江戸初期にかけて最も多く偽文書が創られたという。


江戸時代に入り、その首謀者は引回しの上獄門、共犯者も死罪などと、厳しい取り締まりが行われるが、
いつの世も ≪自らの権利を正当化≫ させん為とはいえ、時代を超えて作成・伝来され続けたようです。

現代風に言いなおせば ≪プロパガンダ≫ のなにものでもない。 そんな気がした。

今や、文書しかない当時とは比べものにならないほど情報は多様化している。 

現代でも最近こんな事が起きた。 ロシア機がシナイ半島東部で墜落した事件だ。 
すぐISから犯行声明が出された。 原因究明に直接携わっていない米英だが、早々独自の情報から
ISの仕業と決めつけた。 知ってか知らずかトルコ・ロシアは異なる見解を示す。 
今度はロシアが一転、ISの可能性を示唆したという。 

それぞれの国の思惑(権益)が、それぞれ異なった錯綜情報・プロパガンダを全世界にまき散らす。
あのイラク侵攻もロシアとウクライナ問題も、慰安婦も南京世界遺産登録問題も皆、権益奪取合戦プロパガンダだ。

偽文書やプロパガンダは、それを保持しようとする社会では有効に働き、文化・文明・歴史・慣習
・伝統・そして民族性までも ≪ 偽のメモリー ≫ が ≪ 事実 ・ 真実 ≫ として形作られていくという。


日本を形作ったといわれる 「古事記」 や 「日本書記」 もこれら偽文書に列挙されていた。
秘伝書などは消えていく運命にあったが、歴史上の偽書は生き残る。組織の関与がそうさせるのだろうか。

戦時でも、極東軍事裁判においての証拠とされた 「田中上奏文」 という偽文書もあったという。
アメリカで発表され中国で流布、日本の侵略性の有力な証拠として当時の反日として利用されたようだ。

なにが真実 ?  騙されるなかれ ではあるが もう手の届かないところへ来ているのかも知れない。