スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

文藝春秋

2014年12月12日 | 雑感
雑誌『文藝春秋』が面白い。 10日発売した月刊誌だが、先月10日に亡くなった高倉健さんの
病床で綴った最期の手記が掲載されていた。


というか最後の手記が掲載されていたので『文藝春秋』新年号を購入したというのが正解だ。

     

健さんの手記は諸行無常ではじまり合掌で結んでいたが、健さんらしい真摯な文章で人生感・死生観が
綴られていた。 とても病床からの原稿とは思えない力強さを感じたのは私だけでしょうか。


健さんには、≪あなたに褒められたくて≫≪南極のペンギン≫≪旅の終わりに≫などの著書もあり、
第5回日本文芸大賞エッセイ賞も受賞しているくらいの名文家でもありました。

ノンフィクション作家・沢木耕太郎氏の「深い海の底にー高倉さんの死」と題した健さんへの追悼文もよかった。

改めてご冥福をお祈り致します。

今年話題になった朝日新聞の慰安婦問題で<捏造記者>と言われた植村隆氏の独占手記も掲載されていた。

ソウルの「韓国挺身隊問題対策協議会」メンバーからの一本の録音テープ(元朝鮮人慰安婦の証言)のみをもとに
原稿を作成、記事にしたとの事。


情報力の無さが捏造とまでエスカレートしていく、、記事にした二日後(それまでは証言者が取材も拒否、名前も
明かさずだったのが)一転なぜか会見に至る。その後慰安婦に至る経緯に、義父に連れていかれた
とか様々な情報が新たに出てくる。 

しかし「だまされて慰安婦にされた」と書いたが、暴力的に拉致した類の強制連行ではないことは
認識していたようで、ここでも強制連行とは書いていないと主張。


バッシングもひどいもので捏造記者と言われネットでの中傷も過激化されていく。

新たな大学の雇用契約も解消され、唯一勤務する札幌の某大学にまで、<売国奴・国賊なぶり殺しに
してやる。すぐに辞めさせろ。やらないのであれば天誅として学生を痛めつけてやる>
などとの名無しの手紙。

記事が書いた時代まだ生れていない娘までにも及んだという。
<こいつの父親のせいでどれだけの日本人が苦労したことか。自殺するまで追い込むしかない>などと。

詳しくは手記を読んで判断してほしいが、それにしても報道とは恐ろしいものです。

勿論、情報の正確さ・レベルの高さを必須とすべきは報道・マスコミの責務です。

まだ全ては読んではいないが、今回の『文藝春秋』は戦後70年記念号として、70の人がそれぞれ戦後を
語っており読み応えのある一冊になっている。 定価930円。 宣伝料は特にいただいていない。