スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

なるほど・ザ・ワードⅡ(塩野七生編)

2014年06月21日 | 雑感
読書していて ”ん~なるほど ” と思われる言葉がいくつかある。

できる限り 書きとめるようにしている。 イタリア歴史専門家・塩野七生(シオノナナミ)の本もしかり。     

      

 ≪ ローマ人の物語 ≫ より

   『人間の運・不運は、その人自身の才能よりも、その人がどのような時代に生きたか、のほうに関係して
    くるのではないか』

   『ユダヤ教やキリスト教の神は人間に命令する神である』

   『イエス・キリストは人間は「神の前に平等である」と言ったが、「神」を共有しない人間でも平等である
    とは言ってくれていない』

   『中世からはじまるキリスト教文明も、奴隷制度の全廃はしていない。キリスト教を信ずる者の奴隷化を禁止
    したにすぎない。だからユダヤ教信者を強制収容所に閉じ込めるのは、人道的には非でもキリスト教的には
    非であると言い切ることはできない』


 ≪ ローマ亡き後の地中海世界 ≫ より

   『人間世界を考えれば、残念なことではあるが、戦争の熱を冷ますのは平和を求める人々の声
    ではなく、身もフタもない言い方をすれば、カネの流れが止まったときではないかと思ったりする』

 
 ≪ 十字軍物語 ≫ より

   『彼らの間での争いが絶えない世界、、人々の争いを止めさせるには、宗教しかないと思ったのだろう』

   『それにしても、こうも敬虔で深い信仰を持っている人々同士が、なぜ争わなければならないと思ってしまう
    が、残念なことに、信仰を持つことによって戦争が絶滅されたことがないのは、人間世界の現実である』


 ≪ ローマ人への20の質問 ≫ より


   『ギリシャ人はゼウスをはじめとするオリンポスの十二神に神像を献ずるときも、
    神々の最後には必ずいまだ知れざる神へ、と銘打った神像を置くことを忘れなかった。
    いまだ自分たちが知らない真理があるかも知れないと彼らは考えたからです。
    真理の専有という思い上がりを捨てるよう説いたのが、ソクラテスの哲学でありましたから』



先日、塩野七生・向井理の「魅惑のイタリア大紀行」(ルネッサンスとはなにか)がBSで放映されておりました。

締めに向井さんが ”ルネッサンスってなんでしょうね ”との問いに、塩野さんがこう答えていた。
”私もわからない わかろうとしない方がいいですよ 永年歩き続けた先人に失礼です ”、、、と。


”感じるだけでいいんです。 だから旅をするんです ”、、、とも

塩野さんは現在77歳。 50年以上ものイタリア史研究の大家である。

”わかろうとしない方がいい ”  これぞ 達人。  なるほどザ・ワード。 

 何事も そう なのかも知れませんね。