ヤンソンス&コンセルトヘボウ、2日目はマラ2である。ロンドンシンフォニーコーラスが入るからなのか、日曜日の昼間だからなのか、チケットはSold out。リターンチケット待ちの人々が並んでいる。
一応4管編成、と言うことになるのだろうが、ステージが広くない上に、合唱、独唱者(2)用の椅子、オルガン(バービカンには備え付けのパイプオルガンがない)がステージに乗っているため、かなりぎゅうぎゅう。打楽器とコーラス席の間は極めて狭く、楽器間の移動がある打楽器奏者は辛そう。
第1楽章。今日もコンセルトヘボウのめりはりある演奏が冴える。やっぱりマーラーは生で聴くに限る。これまでiPodで聴いていたのと迫力が全く違う。金管、パーカッションが盛り上がってくるとぞくぞくする。これだけのダイナミックレンジのある音楽を家で楽しむには防音室が必要だ。第1楽章と第2楽章の間はスコアに5分以上の時間を空けるよう指示があるが滅多に守られない、とあったが、ヤンソンスはしっかり遵守。この間に独唱者が入り、遅れてきた客もついでに入る。
第2楽章、ヤンソンスの再登場でよりによって隣のおじさんが拍手!-演奏中のお行儀がよくないおじさんだったので、思わず「楽章間の拍手はNG!!」と睨んでしまった。第2楽章は緩やかな美しいヴァイオリンで始まる。途中、ヴァイオリンをマンドリンのように構えて少し長いピチカート。あ、ここなら弾ける!?最後はハープの美しい分散和音で終わり、思わず目を閉じてしまう。
第3楽章、小気味良い8分の3拍子。弦の16分音符に乗って管がメロディを奏でる、滑るような曲想、打楽器のリズムが気持ちよい。聴衆の間でもリズムに乗って体の動く人続出!フルートの信じられないような循環奏法に合わせて息を止めてみたがこちらが死にそうだった。オケの友人は、循環奏法といっても、永遠に吹き続けられるわけじゃない、と言っていたが、彼なら永遠に吹いてしまうかも?
第4楽章のメゾソプラノ、なかなか好きな声質。
第5楽章。マーラーの醍醐味。弦、管、パーカッションにソプラノ、メゾソプラノ、合唱、オルガン、さらには場外の管も加わる。弦も上手いし、管も上手い。上手いに上手いが折り重なってゆくのって素敵だ(ソプラノだけは声質といい声量といい残念だったが)。トロンボーンのとろけるような音色や場外の管の、あの遠くから聞こえてくる感じも好き。総じて明るい楽章。何でこんなに心底明るくなれたのかマーラーに聞いてみたい。
ヤンソンス、成長したなぁ。彼が23年前に地元に来たときは「田舎はムラヴィンスキーじゃないんだ」とがっかりモード(結局ムラヴィンスキーは来日できず)だったが、今思えば若きマエストロの演奏を聴いたことになる。自分も彼の成長ほどとは言わずともこの20年余りの間に何らか成長できただろうか?(相当怪しい)
今年のLondonでの最後の演奏会。今年はマーラーに始まって(最初に聴いた曲、ではなく、グスタボのマラ5ではまった、と言う意味で)マーラーに終わる年となった。来年はどんな素敵な音楽に出会えるだろうか。