Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

アイーダ@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2011-03-26 19:00:00 | オペラ
アイーダがロイヤルオペラハウスで掛かっていたので、行ってみることにした。最近は、お買い物がてら歩いてゆくのが習慣。いつものコーヒー屋で豆を買い、おやつはLa Maison du Chocolatにしようか源吉兆庵にしようか、なんて考えながらピカデリーサーカスへ向かうと、何と道が機動隊のような人々によって封鎖されている。裏道から行っても、やはりどちらにもたどり着けない。なんてこと!これでは明日のおやつがない。。。

今日のアイーダはMicaela Carosiが妊娠のため降板、Liudmyla Monastyrskaが代役(Websiteも更新しよう!)。ということでちょっと不安を感じていた。果たしてー

私はMonastyrskaの声はなかなか好きだ。声質も声量もあって素敵。ただ、見た目がー最近のオペラ歌手は見た目もスレンダーで美しい人が多のだけれどーしかもバレエとのコンビでの演出では、ダンサーの恐ろしく美しい肢体とあまりに違って。。。

それにも増して見た目がっかりだったのはアムネリス役のOlga Borodina。エジプトのお姫様(20歳)というよりはお母さん。あー、エジプトのお姫様は格好いい役回りだと聞いていたのに、これじゃ。。。

そして、さらに、見た目も声もがっかりだったのがラダメス、Carlo Ventre。私の苦手な部類の声質のテノール。絞り出すようで声量が少ない感じ。最初からエンジンをかけるのが難しいのは理解するけれど、最初のアリアでオペラ全体への期待感が決まるのだからもう少しがんばってほしかった。。。それに、Monastyrskaとの二重唱でも、ほとんど声がかき消されていた。

一方、アイーダの父親、エチオピア王のCarlos Almeguerはなかなか良い声質と声量だった。

生まれながらにして与えられてしまった地位に見合わない論理力、精神力しか持ち合わせない人々の悲劇。歌手の力がもっとあって、劇中に引き込まれていたら別だろうけれど、客観的に観てしまうと、論理の破綻がひどくて、字幕を読んでいて思わず吹き出してしまった。最後、二人で洞窟で死んでゆくのは良いけれど、アイーダ、エチオピアのお姫様だったら毒薬の用意くらい訳ないでしょう?それを呷ることをお勧めするわ。いくら愛する人とはいえ、餓死するまでには時間がかかる。お互い、どんな異臭を発するようになるか、想像しただけでも恐ろしい。。。

と、まるでオペラにのめり込むこと無く、帰宅。いつもの通りチャーリングクロス駅へ向かうと、なんとトラファルガー広場は暴徒と機動隊、およびその見物客でごった返していた。さらに駅は封鎖。一瞬血の気が引いた。が、幸いにも家の近くを通るバスに飛び乗ることができた。いやいや、オペラどころではない土曜日になってしまった。


マリス・ヤンソンス、内田光子、バイエルン放送交響楽団@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2011-03-25 19:30:00 | コンサート
今日のロンドンは夏を思わせるような朝だった。空気はひんやりとしているのだけれど、日差しがこれから暑いくらいに気温が上がることを告げていた。会社の桜の蕾も、まるで目に見えるような速度で膨らんでゆく。

こんな日は家に帰ってしまうのがもったいないーしかも、今日はなんとなく良い演奏会があるような気がして、ネットでチェックすると、マリス・ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団の演奏会が。ピアノは内田光子。最初は車いす席しか残っていなかったが、午後になって少々高いけれどピアノの鍵盤がしっかり見えそうな良い席に空きが出たのでチケットを購入。

今、中堅、に分類されるであろう年齢の指揮者の中では一番のお気に入り、マリス・ヤンソンス。1曲目は内田光子のピアノでベートーベンのピアノ協奏曲第3番。聴いていてなんだかシューベルトを思い出していた(本当はモーツアルトを思い出すべきなのだけれどー特に第1楽章は)。昔、サントリーホールで内田光子の弾くシューベルトの最後のソナタを聴いて、公衆の面前にも関わらず大泣きしたことがあったわ、なんて。

いつも舞台の上の内田光子はまるで妖精のようだと思う。ただ、あの前屈運動のようなお辞儀は。。。尤も、それも可愛らしい、とイギリス人の目には映るのかもしれないが。

後半はリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」。彼が過去の作曲した曲があちらこちらに散りばめられている。「死と変容」は生まれて初めて買ったCD(LPを自分で購入したなんて、もう化石かしら?)だったなあ、などと、思ったり、直接の引用はないようだけれど、ケルンで聴いたGustavoの「アルプス交響曲」を思い出したり。

これだけ大編成の曲で、しかも指揮者が良いとなると、本当はこういうお高い席より、コーラス席からヤンソンスを眺めながら演奏を聴く方が楽しいんだけれど。約45分といわれる演奏時間が、あっという間に過ぎてしまって、最後は「え、もうお終い?」。なぜかアンコールの直前に内田光子が舞台上に現れた、と思ったらアンコールの演奏が始まり、彼女は舞台の端に体育座り。彼女らしい。

良い演奏会だった。最近歳のせいか、音楽を聴くと涙腺が緩くなりがちである。


空がとっても青いから

2011-03-19 12:00:00 | ロンドン
今日のロンドンは素晴らしくお天気が良い。空は真っ青、空気はひんやり。でも、この日差しの中を歩くと、少し汗ばんでくる。

あまりにお天気が良いので、久しぶりにSloane Square近くのPoilaneまで散歩がてら出かけた。このところ、クロワッサンにアカシアの蜂蜜を掛けて食べるのが気に入っていて、先週はCarluccio'sというイタリアンカフェのクロワッサン、今週はPoilane。

店員さんがクロワッサンをビニール袋に入れようとするので、紙袋に入れて、とお願いする。これは代々木八幡のイェンセンもそうなのだけれど、折角美味しいできたてペストリーやクロワッサンをビニール袋に入れてしまったら、焼きたてパンからの蒸気でべたべたになってしまうー。イェンセンは、頼んでも紙袋に入れてくれなかった(コストが違うらしい)。安いパンを売っているのではないのだから、コストをパンに乗せてでも、最良の状態で商品を味わってもらうようにすれば良いのに、と思ったことを思い出す(今は変わっているだろうかーもう10年程昔の話だ)。

家に帰って、クロワッサンにアカシア蜂蜜をたっぷり。コーヒーを濃いめに入れて食卓に着く。クロワッサンの見た目は、他のお店(例えスーパーでも)の方が美味しそうに見えるのだが、さてお味は?

ああ、至福。やっぱりPoilane、美味しい。素材が厳選されているに違いない。嫌なにおいが少しもなく、素直な味がする。見た目では他のお店のクロワッサンの方が良いかもしれないが、味は断然こちらが美味しい。しかも1つたったの£1.10(Carluccio’sは£1.50)。

Poilaneの後、お彼岸だからと日本の有名な和菓子屋へ向かった。お目当ては勿論「牡丹餅」。お店に入ると、あるある。

ところが、名前が「おはぎ」とあるのだ。年寄りの私にとって、春は「牡丹餅」、秋は「おはぎ(お萩)」なのに。「おはぎを2ついただけますか」と言う自分が悲しい。無視して「牡丹餅2つ」と言いえばよかった。

牡丹餅は夕飯の後のデザートにしよう。今日のサラダはチコリとパプリカのサラダとスモークサーモンならぬスモーク鱒。今日はフェンネルも買ったし、今から楽しみ。

色気より食い気のお彼岸である(いつもだけれど)。


至福の席、至福の時間ージョシュア&スティーブン@シンフォニーホール、バーミンガム

2011-03-05 19:30:00 | イギリス
昨日と同じメンバー&プログラムの演奏会がバーミンガムで開かれた。このプログラムを知ったのは、バーミンガムが先で、プログラムーブラームスの二重協奏曲ーを見て、バーミンガムがどんなところかは知らないけれど、とりあえず席を確保したのであった。そのお陰で(?)ソリストの目の前、最前列中央少々左寄りー面識のある演奏家に対してこの席は失礼かな、とも思いつつ、欲求には勝てず。

ジョシュには悪かったかもしれないけれど、結論から言えば、こんなに素晴らしい音をこの席で聴かせてもらって、感謝の言葉もありません。

スティーブンの音は昨日と同様、とても美しく聴こえた。やっぱりチェロの音って琴線に触れる気がする。第二楽章、こちらを向いて演奏するときには、譜面が透けて見えたので、譜面を追いながら楽しむーでも、ふと、譜面なんて追いかけていると、脳の違う部分が活性化してしまい、音楽を楽しんでいなかったんじゃないかと反省。

ジョシュのイタリアは今日も制限速度ぎりぎりで走っていた。第四楽章の最初はちょっと制限速度を超えてクラッシュ寸前だったかも。でも、楽しかった~。クラシックというより、ロックヴァイオリニストになれるよ、ジョシュ。演奏中もジョシュは汗だくだったけれど、演奏後見たらヴァイオリンも汗だく。もしかして、ストラドの妙なる調べの元はニスではなく汗では(冗談です)?指揮をするというより、自分が音楽に乗ってしまう感じのジョシュ。指揮法、ちゃんと習っているのかな(失礼な発言)。

そして、後半。ブラームスの二重協奏曲。ヴァイオリンもチェロも、素晴らしい音と技術を目の前で聴かせて/見せていただいて、本当に幸せだった。オーケストラとしての音のバランスは勿論良くない席だけれど、2人の音に関して言えば、80%位は私が吸収していたのでは、と思えるのでそれで満足。第二楽章のフレージングが2人異なるように聴こえたのは楽譜がそうなのか、二人の感覚が違うのか、覚えているうちに確認したい。第三楽章はヴァイオリン協奏曲の第三楽章も同じなのだけれど、後の短い音が重く感じられる奏者と、軽く感じられる奏者があるように思う。ここもスティーブンが前者、ジョシュは後者ーと、最近よく一緒に活動する2人でも違いがある。ベストパートナーはこれらが自然と一致する人なのだろうか。

あら、ちょっと文句が多かったかしら?でも、とても美しく楽しく、至福の時を過ごすことができました。ありがとう!


楽しい演奏会ージョシュア・ベル&スティーブン・イッサーリス@カドガンホール、ロンドン

2011-03-04 19:30:00 | コンサート
ジョシュア・ベル、スティーブン・イッサーリスがブラームスの二重協奏曲を演奏する、というので出かけた。この二重協奏曲のことばかり考えていたので、前半のハイドンとメンデルスゾーンの「イタリア」に関しては、それらがあるということだけしか認識していなかった。

会場に着くと、舞台の真ん中にチェロ台が置かれていて、はて、何をするんだろう、と思いきや、イッサーリスがチェロで弾き振り。お尻を向けられて演奏を聴くのは、勿論ピアノコンチェルトの弾き振りでは経験があるけれど、とても不思議。しかもチェロ。うーん、正直、彼の指揮は必要だったのか?

次いでコンマスの位置にピアノ用の椅子が置かれたことから、ジョシュが弾き振りをするのだろうということが想像できた。この曲はオケで弾いたことがあるので、一緒に行った友人に「明日はヴァイオリンを持って行って紛れ込む」などと言ってはみたものの、やっぱり(?)ジョシュ、とにかく速い!これは無理だ、脱落する。。。
ジョシュはノリも良いし、見た目もなかなか素敵なので、演奏をありがたく拝聴するというよりは一緒に踊りたくなる感じ。演奏としてどうだったか、というより、素直に目で楽しんでしまった。

最後のブラームス。これは、ちゃんと指揮者も登場。イッサーリスのチェロの音が美しかった。カドガンホールはこじんまりとしたホールなので、イッサーリスのガット弦しか張らないストラドには丁度良いのかもしれない。ジョシュは高音にいつもの「ブリリアント」な響きが少なかったような気がしたが気のせいかホールのせいか。それでも、この2人のカップリングは、現役の演奏者の中では私にとって相当嬉しいコンビネーションに入るので、聴けて幸せであった(ベストはジョシュ&ヨーヨー・マ?)。

明日はバーミンガムで同じ曲目を演奏する。かぶりつきの席なので、こうした楽しい演奏会を聴く(見る?)にはぴったり、とちょっとウキウキしてきた。