Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

移動祝祭日

2007-10-26 08:58:27 | パリ

「もし、きみが、幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過ごそうとも、それはきみについてまわる。なぜなら、パリは移動祝祭日だから」Hemingwayの有名な一節である。

私がParisを初めて訪れたのは、既に青年時代を過ぎていたような年齢だったし、ましてそこに住んだわけでもない。しかし、生まれて初めて訪れた外国がParisだったことは私の人生に大きな影響を及ぼしているに違いない。どこへ行っても、基準がParisになるからだ。もう10年以上も前、恥ずかしくなるような長いリムジンの中から眺めた夜のParisはえもいわれぬ美しさだった。別のところにも書いたが、夜のParisの美しさは格別と思う。そして、私にとってのもう一つの基準、それはRitz

Ritz lunchは楽しい。標準化されることのない仕事について再び思いをめぐらす。今回は、最初の箸休めも出てこなければ、サラダにパンもついてこなかった。しかしながら、デザートにはこれでもか!といわんばかりのプチフールがついてきた。

それにしても、Ritzで何より素晴らしいのは客層である(勿論、訪れれば店員が挨拶に来るなじみ客のことであり、私のようなひよこちゃんのことではない)。既に一人では足元もおぼつかないご老人が、店員に支えながらバーに入ってくる。彼は、店員といろいろと会話を楽しみ、その後一人でワインと食事を始めた。次に入ってきた女性は、私と目が合うと少し微笑み、席に着いた。店員が挨拶に来る。その出で立ちときたら!ゆうに70歳は超えていると思われるが、きちんとした身なり、宝石。背筋も伸びて、凛としている。外国は危ない、と、宝石も身に着けていなければ、ポロシャツ、ジーンズ、セーター、ウォーキングシューズという自分が恥ずかしい。そのうち遅れてパートナーがやってきた。彼のスーツと彼女のシャツは嫌味なくコーディネートされている。すごい。

これぞRitz。これぞParis。いつまでもついて回る移動祝祭日。


『秋涼し 手ごとにむけや 瓜なすび』

2007-10-26 08:57:06 | イギリス

松尾芭蕉の有名なこの句と英国料理の不味さ(正確には英国料理の不味い部分)とは私の中で分かちがたく結びついている(一応断っておくが、私はこの句の優しい響きが大好きである)。

英国料理は、おそらく最近になって美味しくなったのだろう。かつては不味かったに違いない。普段、会社の食堂は結構美味しいと思っているが、こちらに来て体重がうなぎのぼりの私は、少し節制することにした。即ち、ジャガイモは食べない。油で揚げた野菜は食べない。マヨネーズ、油の類は避ける、である。

これを実行してみて気がついた。酷く不味い。昔、英国留学をした少女が、英国料理の不味さ(夕食はいつもゆでた根菜類)に泣いた、という話を聞いたことがあるが、まさにその通り。泣きたいほど不味いのである。

英国人は、これが結構平気なようだ。会社で、おやつを食べるのは私の得意技なのだが、同僚も食べないわけではない。しかし、食べるものが違う。私は、ケーキやチョコレート。同僚も勿論チョコレートなど普通のおやつも食べるのだが、時にきゅうり(本当に!!日本のよりかなり太いものをキリギリスのようにかじる)、にんじんを生のまま、適当な大きさに切ってラップに包んで持参して、ぼりぼりとかじるのである。まさに「手ごとにむけや 瓜なすび」が目の前で展開されるのである!

松尾芭蕉のこの句が載っていた教科書の解説には、「昔は貧しくて、瓜やなすびがおやつだった」と書いてあった記憶がある。今の英国は貧しくはないと思うが、文化的な違いなのだろうか、きゅうりやにんじんがおやつなのだろう(電車の中でも、子供が母親の持つおやつ袋からにんじんを出してかじっていたのを見たことがある)。

英国料理は意外と美味しかった、などといっていた私は愚か者に違いない。なぜなら、美味しくなっている原因は、脂肪分や糖分が多く含まれた料理が増えたからに他ならないから。このところBBCでは繰り返し肥満人口が増えたことを警告している。これは、間違いなく美味しくなった英国料理が原因だ。私にとっても他人事ではない。しかし、芭蕉の時代に帰れ、といわれると、正直、つらい。


Chez Bruce

2007-10-26 08:55:45 | レストラン

ドイツに住んでいる友人がLondonを訪ねてくれた。グルメであるこの友人とChez Bruceという新英国料理/フランス料理(ガイドブックによって説明が違う)のお店を訪問した。

前菜はちょっと重いけれどウサギを注文。やっぱりジビエの季節よね、ということで。なぜか英国料理は垢抜けないが、美味しい。日本の家庭料理に通じるものがある。なぜかというと、かなり甘しょっぱい味付けになっているからだ。ウサギの肉のほかには、キノコ、栗のような木の実、ニョッキにパン粉とチーズがまぶしてあって、家で食べるちょっと豪華な「秋グラタン」といったところ。

メインは、友人は羊を、私はSea Bassを注文。こちらは、バターのシンプルな味付け。魚の下にほうれん草がひいてあり、その他の付け合せはマッシュポテト(天敵!)にズッキーニとトマトが焼いてあるのみ。前菜が重かったので丁度良いか。友人の羊もなかなか美味しそうだった。ただ、前日、午前3時までしゃべった上に、朝も友人のお土産のIrish breadを欲張ったために、Sea Bassは半分でgive up

デザートはオレンジとコアントローのパンナコッタ。上にチョコレートサブレのチュイルが乗って、「Good presentation!」。なかなか濃厚だったにもかかわらず、やはりデザートは別腹、あっという間にお腹の中に納まってしまった。

ワインは、Nuit-St-George01年。一瞬だけ花開いたけれど、やはりブルゴーニュは難しい。友人曰く、01年の限界、とか。

以上2人で120ポンド弱。日本円にするとひどく高いが、1ポンド100円価値説を唱える私の感覚としては、そんなものかな、というところ。日本のランチワイン込み一人6000円のお店と同等でしょう。レストランは、8割強の席が埋まっていて、食に対する関心の高さが伺われた。ちなみに、ゴードンラムゼイの予約も試みたけれど、すでに満席だった。土曜日のランチは半年くらい前に予約しないと、といわれた。本当、どこの国も変わらない。。。


次のParty

2007-10-26 08:53:42 | ロンドン

英国には不思議な食べ物がある。たとえばライスプディング。甘いお米なんて。。。

しかし、パンは甘くても塩味でも美味しい。ご飯だって、why not!?

昼食の時、同僚が市販のライスプディングとやらを食べていた。フランス人の彼女が食べているのだから、悪くないはずだ(偏見?)。そこで同じものを試してみた。見た目はちょっと離乳食みたいだけれど。。。うん、悪くない。結構いける(これが危険)。

再び会社の昼食時、ダブルクリームの話になった。私が「あんなに濃いクリームは、東京銀座にあるHERMES Caféのコーヒーゼリーの上に乗っているクリームを思い出させる。HERMES Caféでクリームについて質問をしたら、企業秘密といわれて教えてもらえなかったけれど、きっとダブルクリームと同じようなものだと思う」という話をしたら、HERMES Cefeにも、濃厚クリームにも、何の質問もしなかった彼らだけれど、「コーヒーゼリー??」とそこに引っかかってしまった。こちらではアイスコーヒーはポピュラーでないと聞いたことがあったのでちょっと危惧していたけれど、やっぱりコーヒーゼリーを知らなかった。。。

ということで、次のPartyは、私の誕生会を兼ねて「甘いものParty」。メニューはライスプディング&コーヒーゼリー(HERMES Caféのコーヒーゼリー再現)に決定。

ついでに、もしピアノが搬入できれば、こちらではChopsticks(箸)として知られる「猫踏んじゃった」Competitionを開催しようと思う。


Lunch @ Ritz

2007-10-05 18:18:06 | カフェ

この間のRitzでのランチに気を良くした私は、今回再びRitzBar Vendome)にて昼食。今回は、前回よりずっと良く晴れていたにもかかわらず、寒いから、と外に出してはいただけなかった。何人の方が「テラスで食事を」と訪れただろう。ことごとく断られていた。絶対面倒だっただけだと思う。外気温はかなり上がっていたはずだ。。。

今回はシャテルドンに海老のシーザーサラダと、大好きなミルフィーユ、エスプレッソを頂いた。海老のサラダはなかなか美味しかった。でも、今度は鶏のシーザーサラダにしようかな。朝食もいただけるようで、美味しそうだったけれど、朝食にするとミルフィーユが入らなくなってしまいそうだし、究極の選択。。。?

ミルフィーユは前回ほどには感動しなかった。でも、昨日ご一緒いただいた方が、毎日、毎回出来上がりが同じでないとしても、人間が作っているものだからそれが当たり前で、それを楽しむのがフランス風だ、と仰っていた。なるほど、そういう考え方もあるか、とちょっと「目から鱗」だった。ある一定水準以上である必要はあると思うけれど、その水準を超えた上で「揺らぎ」を許す余裕は必要なのかもしれない。完全に同じだったら、確かにそれは工業製品と同じでつまらないはずだ。毎回毎回、前回より美味しくなるのは理想かもしれないけれど、そうはいかないのが人間の人生。人間の作るものだ、それが当たり前なのだろう。そういう意味では、今日のミルフィーユも十分美味しかった。また食べたい、と思うのだから、合格だろう。今度はいつ食べようかな。来月の誕生日に来ようかな? 


Bar Hemingway

2007-10-05 18:14:50 | バー

ランチがかなり重かった私達は、8時過ぎてようやくBarにでも入ろうか、と言う気持ちになり、RitzBar Hemingwayに向かった。Ritzと聞くと、構える方もいらっしゃるかもしれないが、このBarはかなりカジュアルだ。音楽も含めて。スピーカーはなかなか立派なものだけれど、クラシックな感じというよりはモダン。それから、チェイサーが洒落ている。お水にレモンを入れるのはよく見かけるけれど、ここはクランベリーのようなものが入っている。握りこぶし程度の少しずんぐりとしたグラスに水と氷と赤くて丸くてかわいらしいクランベリー、悪くないと思う。

ParisBarではミニハンバーガーが人気なのだろうか。Park Hyatt Vendomeにもあった。私は生春巻きを注文。普通の生春巻きだけれど、巻いてある野菜の刻み方にRitzを感じる(?)。とても細くて綺麗な千切りだった。お酢の味は、日本のものとは違ったけれど、ヨーロッパの普通のワインビネガーとも少し違うような気がした(普段私の口には入らないような高級ビネガーだったのかしらん?)。

Bar Hemingway2つの場所から成り立っていて、一つは少し狭くてカウンターがメインでその周りにいくつかテーブルと椅子が置いてある、BarらしいBar(何と乏しい表現力)。もう一つは小さなカウンターとソファの席が余裕を持って置かれている、いかにもホテルのバー。狭いほうのバーは一杯で少々賑やか過ぎる気がしたので、もう一方に入ってみた。外国からのお客様(Ritzの滞在客?)が多いようだった。聞こえてくる言語は英語に少しフランス語が混ざる程度。あとは、若い男性の単独客を複数見かけた。彼らは待ち合わせか何かのように、暫く周囲を見回したりして、少しだけ滞在し、いつの間にやら消えていた。誰と、どこへ行ったのだろう。。。Barにいるとついつい自他の人生について思いをめぐらせてしまう。


Parisの美

2007-10-05 18:12:33 | パリ

Parisが美しい街であることは、誰もが認めるところだろう。しかし、高所からの眺めは、特筆すべきものがない、というのが私の感想だが、どうだろう?

今回、シャイヨー宮とサクレクールの2箇所からParis市内を眺める機会があった。シャイヨー宮は夕暮れ時、サクレクールはとても良く晴れた昼間だった。いずれも、「高いところに上っている」という爽快感はあったものの、Parisの街や建物が特に美しく見えるわけではないように感じた。一つには、Lyonやイタリアなど南の街は建物を作る石材の色が黄色、屋根は茶褐色と暖かい感じがするが、Parisの街並みはグレーと屋根の青銀色のため、高所から見たときに少し暗い印象になってしまうのではないだろうか。

これに対して、夜、セーヌ川に掛かる橋から見るParisは本当に美しい。建物がナトリウムランプでぼおっと照らされ(ナトリウムランプのオレンジ色は少し蝋燭の明かりの色と似ていて、これが石材のグレーを照らし、銅~金色に光る)、建物の素晴らしい装飾が影を作り、えもいわれぬ美しさだ。Parisを見るには、夜、少しだけ距離を置いたところから-セーヌ川に掛かる橋やホテルの部屋から河岸や広場を見つめる等-鑑賞するのが一番美しいのかもしれない。


オランジェリー美術館

2007-10-05 18:11:22 | パリ

オランジェリー美術館は10年以上振りの訪問。初めてParisを訪れたときに来て以来。最近、モネに対する興味を失いつつあったことと、またオランジェリー美術館自体が改装中だったため、訪れることがなかった。入ってみると、以前は階下にあったと思っていたモネの睡蓮の一連の作品が1階に2部屋に分かれて展示されていた。自然光を取り入れるような造りで、絵が傷まないか少々不安になるが、専門家が作っているのだから問題ないのだろう。ただ、雨漏りするらしく、しかもそれが作品に近いところらしく、近々また改修に入るらしい。フランスらしい、というか、ヨーロッパらしいというか。

感動は予期しない時にやってくる。今回も、折角オランジェリーに誘っていただいて、楽しめるか本当は少々不安だった。しかし結局、そんな不安は杞憂に終わり、今日初めてお目にかかった方をソファで待たせるほど没入してしまった。一目見たときには、楕円に近い展示室の長径がわの桜~藤色の綺麗な部分に目が行ったが、ゆっくり見て回りはじめると、入り口から遠い側の短径の群青色の部分に、本当に吸い込まれてしまった。現実と虚構の区別がつかなくなる、というのだろうか、まるで自分がモネの庭に居る-モネが絵を描いていたその瞬間、夜、日が落ちて徐々に暗くなる時間-ような、美しく晴れていたその日を惜しむような気持ちが湧き上がった。まだ、モネの睡蓮の庭を訪れたことは無いけれど、いつか行ってみたい、と思った。


Lunch @ Paris

2007-10-05 18:08:25 | パリ

英国に居る間は、できるだけ多くの方に知り合いたいと思っている。そこで、大学の先輩に紹介いただいたParis在住の方にお目にかかるため、週末Parisに出掛けた。

前日までParisは雨模様だった、とのことだけれど、土曜日はなかなかのお天気。Gare du NordからRERに乗ってクリュニー中世美術館の近くへ。3年ほど前、高校時代の友人と此処を訪れ、いい歳をして高校生のようにはしゃいだことを思い出す。ある時代の友人と会うと、その頃の自分たちに戻るので恐ろしく思うことがしばしばである。

美味しくて安くて有名、というレストランに連れて行っていただく。ランチは土曜日だと言うのに、前菜、メイン、コーヒーにフランスらしく赤ワイン(デカンタ)がついて一人13ユーロ。今はユーロ高だから割高感があるかもしれないけれど、多分13001500円と思うのが妥当なのだと思う。そういう意味ではとてもコストパフォーマンスが良いお店と思う。前菜は、ちょっと不思議な緑の野菜のスープ(意外と、ほうれん草か何かなのかもしれないけれど、香料のせいかこれまでに味わったことがない感じがする)。これにクリームが真ん中に浮かんでいるのはフランス(ヨーロッパ?)風だ。メインは魚か肉を選択で、肉はFois de volaille(鳥の肝臓)といわれたので、魚を選択する。魚は白身魚と蟹の身をトマトの中に詰めて、甲殻類とクリームのソースを掛けて、その上にカレー風味のスパイスを振ったもの。ソースはクリームが含まれているだけあってかなり濃い。そしてエスプレッソ。食べていた時は、デザートが欲しい!と思ったけれど、その後、夜遅くまで、ずっとお腹がいっぱいだった。さすがクリーム、フランス料理。腹持ちが良い。観光客がほとんど訪れることがなく、秘密にしておいて、とのこと。Parisを訪れる機会のある方はmailでこっそり私に聞いてください。