Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

シンデレラ@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-11-20 19:00:00 | バレエ

週末再びBerlinへ出かけるはずだったのだが、土壇場でキャンセルになったので、久しぶりにRoyal Opera Houseへ出かけた。

今回の出し物は「シンデレラ」。このBlogにコメントを下さるMARJINKA-Apollo さんお薦めのコジョカルがシンデレラを踊るはずの昨日だったのだが、怪我のためヌニエスがシンデレラ役。王子はペネファーザー。

プロコフィエフの音楽はどうも脳の笑い中枢を刺激するように思えてならないのだが、昨日はプロコフィエフの他にも笑いの要素がたくさんちりばめられていた。最大の要素は2人の姉役。子供の頃聞いたシンデレラのお話は、継母や連れ子の二人の姉がとってもいやな人だったのだけれど、昨日のお話はちょっと違う。

「いやなお姉さん」ではあるのかもしれないけれど、あれだけ抜けていると憎めない。可愛らしいお姉さんたち。しかも、お姉さんなのに、男性ダンサー(Gary Avis & Philip Mosley)が演じている。

第2幕目に「三つのオレンジの恋」からの曲が使われているところがあるのだけれど、そこの場面ではまさに「三つのオレンジ」が登場。金柑のような小さなオレンジ、普通のオレンジ、特大(ブンタンのような)の3つがトレイに載せられて運ばれてくる。王子が真ん中のオレンジをシンデレラに渡すと(何でも中庸が肝心?)、2人の姉はミニと特大オレンジをお手玉のようにして遊びだす。

ヌニエスはとても締まった、細い体つきのダンサーで、ちょっとオードリー・ヘップバーンを思い出さないでもない(相変わらず古い)。上手いダンサーは手足が長く見えるような気がするのだけれど、彼女もちょっとそんな印象。ペネファーザーはなかなか体格が良い。個人的にはあまり好みではなく、どちらかといえばThe Dancing Masterを演じたJose Martinの方が好きかな?彼は主役を演じるにはちょっと線が細すぎるのかもしれないが。Dancing Masterを演じただけあって、とても綺麗な踊りに見えたけれど。

久しぶりのロイヤルオペラハウス、楽しく笑って家路に着いた。


オネーギン再び@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-25 23:30:00 | バレエ

先日(10月12日)に見たバレエ「オネーギン」が大変に気に入って、ググっているうちに、ちょっと贔屓にしているSteven McRae(Lensky)らがキャストに入っている回もあることを知る。公演最終日の今日、突然約束が反故になってしまい、また一列目のチケットが手に入ったので行ってみた。

相変わらず美しいお顔のSteven。ちょっと女性的すぎるかもしれないけれど-宝塚の「男装の麗人」といった風。バレエ自体は、前回観たとき(吉田さんとの「くるみ割り人形」だったか)より、今ひとつ調子が良くなかったような。でも、とてもやさしい感じがにじみ出ていて、素敵。最後の挨拶の際のTakadaさんを扱う仕草も、極めて紳士的。

前回はオネーギン役のThiago Soaresが圧倒的に上手かったように感じたが、今回は突出するキャストは居なかったが、粒ぞろいな感じ(Onegin: Johan Kobborg、Titiana: Mara Galeazzi、Olga: Akane Takeda)。

第3幕目は、前回の方が圧倒的に印象的だった。最後の手紙を破る場面の恐ろしさと美しさは今でも心に残っている。何が違ったのだろうか。バレエも、踊りもさることながら、「演技力」のようなものが要求されるのだろうか。

こうやって、同じ演目をキャスト違いで観るなんて、相当危険な道に足を踏み入れてしまったような気がする。


魔法使いを見つける力@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-19 01:30:00 | バレエ

ロイヤルオペラハウス(ROH)友達の転勤が決まり、今日は最後のROH。そこで、知り合いの美容師さんにお願いをして髪をセットしていただいた。我ながら(見た目は)素敵な淑女(?)に変身できたのではないかと思う。友人も「最初わからなかった」と言うし(怒)、他のお客さんの視線も感じる。

別々に取ったチケットをボックスオフィスで隣り合わせの席に変えてもらうようお願いするが、画面上では見つからないらしい。係りのお姉さんは最初「開演直前ならば席がでるだろうから、それまで中に入らずにまた戻ってきて」と言うので、「中のBarで飲み物もいただきたいし・・・」というと、「何とかなるかもしれない」と言ってマネージャーと思しきおば様の所へ。おば様マネージャーの鋭い視線がこちらに向く。ここで怯んではならない、とJapanese Imperial Smileを返す。

果たして、2人並んで座れる席を提供していただいた。ありがとう、親切なお姉さん&おば様マネージャー。

さて、今日の演目はLa Valse、Invitus Invitam、Winter Dreams、Theme and Variations。La Valseは、音楽が大好きなラヴェルのLa Valseなのに、肝心の音楽が。。。非常に残念。今日のオケとこの間Danが振ったオケは同じではないの?あるいは英国のオケにLa Valseは無理なのかしら?

意外と良かったのがInvitus Invitam。音楽も知らないしバレエの内容も知らなかったけれど、今日見た中では一番美しかった。音楽もプーランクの曲をトーマス・アデスが編曲したもので、綺麗だった。

Winter Dreams-音楽はなじみのあるチャイコフスキー。先日のオネーギンで素晴らしい演技を披露してくれたThiago Soaresも出ていたけれど、オネーギンの方がよかったかしら。悲しい話にちょっと疲れてしまい、また友人も翌日出張というので、ここで帰宅。

それにしても、美容師さんって、すごい。まるで、シンデレラが魔女に魔法を掛けてもらったように、私も彼女に魔法を掛けてもらったような気がする。

彼女といい、Gustavoといい、私、もしかしたら魔法使いを見つける才能があるのかも?


人生は不条理である-バレエ・オネーギン@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-13 01:30:00 | バレエ

バレエ「オネーギン」。プーシキンの『エフゲニー・オネーギン』に基づく。音楽はチャイコフスキーの曲をクルト=ハインツ・ストルツェが編曲。

主な登場人物は、オネーギン(Thiago Soares)とその友人レンスキー(Genesia Rosato)、タチアナ(Roberta Marquez)、オルガ(Yuhui Choe)。

レンスキーの許婚オルガとその姉妹タチアナ。タチアナはオネーギンに恋をし、恋文を認めるが、それをオネーギンに目の前で破られてしまう。オネーギンはタチアナの気持ちを知りながらオルガに興味を示し、レンスキーの怒りを買い決闘に。オネーギンは決闘でレンスキーを殺してしまう。数年後、タチアナの元を訪れたオネーギンは、今更ながらにタチアナへの気持ちに気づき恋文を認めるが、逆にタチアナにそれを目の前で破られて幕となる。

「人生は不条理である」を地で行くようなストーリー。第三者の立場から見たら、ボタンを一つ掛け間違えただけなのに、主人公のオネーギンは、友人を殺し、その許婚に悲惨な運命を受け入れさせ、愛し愛された女性に別の男性との人生を与え、真実の気持ちに気づいた自らを拒絶させる結果を招く。タチアナとオネーギンは死ぬまで互いへの気持ちを持ち続けながらそれを幸福な形で昇華させること無く人生を生きる-死を迎えることが不幸なのではなく、求めるものが何かを知りながら、それが決して成就されない状態で「生きる」ことが不条理であり不幸なのである。

美は悲劇の中に宿る、といいたくなるような美しい舞台-装飾、照明-であった。バレエも、オネーギンを演じたSoaresが素晴らしかった。身体的に恵まれている上に-手足の長いこと-、バレエも素晴らしかったと思う。

我々一人一人の人生も、多かれ少なかれ、このようなものなのだろうか。タチアナ-最後、愛する人でありながら、おそらくずっと愛してきた人でありながら、道理を通して拒絶する-とても素敵だ。

でも、出来ることなら、不条理の中にではなく、幸福の中に生きたいものである。


驚嘆!ボリショイバレエ@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-08-06 23:30:00 | バレエ

来期のオペラチケットの交換が必要なので、ロイヤルオペラハウスへ行かなくては、と思っていたところ、今日の公演がボリショイバレエだという。バレエは全く分からない私だが(他が分かるわけではないが)、それでもボリショイバレエが有名なことくらいは知っている(=何も知らないに等しい)。

チケットは勿論完売。チケットセンターに連絡すると、「当日券は会場に並んでいただきます」-え、いつものオペラは2時間前くらいまでネットで買えるのに?

ま、いつもオペラの当日券は意外と出るように見受けられるので(並んだことはないが)、他の用事を済ませつつ、オペラハウスまで運動がてら歩いていった。当日券の列は20名くらいか。

ところが、1時間待っても列があまり短くならない。チケットを売りたい人から直接買っている人も居たが、本当に動かない。係りの人が来て、この辺り(私の前の人が尋ねていた)は、ギャンブルするようなものだね、と言い放って行ってしまった。

えー、そんなに可能性低いの?

でも、チケット交換もあるから、とりあえずダメと分かるまで並んでいることに。

すると、係りの人が、£90の席が1つだけありますが、どうしますか?と聞いてきた。も、勿論、買います!-どうやら、ペアの人が多く、またシングルの人は安いチケットを探していたお陰で、お鉢が回って来たらしい。

バルコニーの最前列中央左寄りの席。これを当日£90ならば文句は言えまい。ま、出来次第だが。

オペラに慣れていると、バレエの出だし、演者がまったく声を出さないことが奇妙に思える。今日は「ドン・キホーテ」。といっても、バレエ上の主役は彼ではないが-とりあえず最初彼が舞台に現れる。その手つきの芸術的なこと。声を出せない代わりに、手が雄弁に語る。いや、なんとも妖艶なその動きを観ていると、思わず真似をしてみたくなる。

主役はKitriがNatalia Osipova(ナタリア・オシポワ)、BasilがIvan Vasiliev(イワン・ワシリエフ)。このプリンシパル2人が抜群に上手い。この2人の日(今日と日曜日)のチケットが完売、ということのようだ。この2人が上手いということは素人目にも明らかなのだが、バレエは本当にわからないので、他の人になると、ちょっと眠気が。。。

それにしてもワシリエフの滞空時間の長さよ。ナタリアも、良く回る。月並みだが、こうして笑って踊るために、彼らは一体どれだけの努力をしたのだろう。幾ら、才能に恵まれたとはいえ(それでも、彼らも完璧ではないのだ-プリンシパルになったばかりという若い彼ら、益々の発展を祈念したい)。

ロイヤルオペラハウスでのカーテンコールは初めて見た(普段は皆結構諦めが良い)。2回目、3回目はワシリエフはサービスで、中からジャンプしながら登場し客席からの更なる喝采を浴びていた。

結構なものを拝見いたしました。£90の価値、充分にありました。ありがとう。


吉田都&スティーブン・マックレー「くるみ割り人形」@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2009-12-03 00:30:00 | バレエ

昨日の演奏会についてMailをやり取りしていたMさんが、今日はロイヤルオペラで「くるみ割り人形」をご覧になるという(ご紹介ありがとう)。もしやプリンシパルの吉田さんが踊られるのかしら、と見てみるとその通り!

舞台横£30の席か立ち見席£10の2席しか空きがない。年寄りは座りたいわ、と舞台横を選択。行ってみると、多少視界が限られる部分もあるものの、殆どかぶりつきの素晴らしい席であった。

ロイヤルオペラハウスは、オペラハウスなのにいまひとつ音響がよくない。今日の席はオーケストラピットの横なのでやむをえないが、ヴァイオリンの一人一人の音まで聴こえる(混ざって聴こえない)。フルートがなんとなく「もたっ」とした演奏に思われる。バレエの伴奏とはいえ、もう少しがんばろう!

舞台は後半の吉田さんとスティーブン・マックレーが出てきてから素晴らしい。思わず見入ってしまう、とはこれだ。バレエの流儀なのだろうが、ちょっとしたシーンごとに(そこそこの演技でも)拍手をするのは煩わしく思えて、拍手は省略していたのだが、彼らの演技には迷わず大きな拍手。アンコールで出てきてくれないかとちょっと長めに拍手。でも、次にも踊りがあったのね(くるみ割り人形を観るのは実は初めてで、何も分かっていない)。ロシアンダンスの人たちにも拍手。コサックダンスのような踊りは相当きついはずだが、そんな様子を見せない。流石、そうでなくっちゃ。

吉田さんは44歳だそうだ。プロなのだから年齢と比較して物を言ってはいけないのだろうけれど、やっぱりすごい。44歳であれだけ舞台をくるくる、くるくる回って、それでもにっこり笑ってポーズ。足を後ろにそらせても、筋肉をぷるぷるいかにも震わせたりしない。どれだけの努力と才能があれば、ここでこうして笑えるのだろう。

スティーブンは、プログラムの写真を見て、この素敵なお方はどなた?と思っていたら登場-感激いたしました。彼は見た目がソフトで私好み(ミーハー)。踊りも悪くない。何と、まだ23歳だそうだ。44歳の吉田さんと踊って、全く遜色のない風格がある。ちょっと注目してしまおうかしら。

いけない、いけない。はまるのは音楽だけにしておかないと。

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なお、今日の演技はOpus Arteから2010年にリリースされるDVDと映画のために録画されているとのこと。