ドゥダメルがモーツァルトC-minorミサ曲を振るというので、三度目のイェーテボリ参りをした。
この曲はモーツァルトが父親にコンスタンツェとの結婚の承諾を得るため、彼女のソプラノの技量を見せようと作曲された、といわれているが、コンスタンツェの技量ではこの曲は歌えなかったらしい。いや、歌えたら、相当上手いということになるだろう。魔笛の「夜の女王」もそうだけれど、モーツァルトの歌曲って、ソプラノ難しくないですか?
ま、結婚相手なんて歌の技量で決めるものじゃない、ってモーツアルトは父親を説得すべきだろう、とは思うけれど、そのおかげでこの曲が残ったから良しとすべきか(どうせなら完成させて欲しかったけれど-何度聴いても、曲が終わっていない感じがして気持ち悪いのだ)。
聴く曲は歌えるほど聴くが、聴かない曲は全く聴かない私。モーツアルトの歌付きの曲では、レクイエムを聴くことが圧倒的に多く、このC-minorを聴くことは殆どない。そんなまっさらな状態だからか、バッハやヘンデルの曲が自然に頭に浮かんでくる。天才モーツァルトも先人に学んだ、という証拠なのだろう。
さて、ソリストは下記の通り。この曲、ソプラノ2人の活躍の場は多いが、テノールやバス、特にバスは殆ど出番がない。
Miah Persson, sopran
Ida Falk Winland, sopran
Toby Spence, tenor
Markus Schwartz, bas
ソプラノMiah Perssonはなかなかの技巧派とみた。声を転がしたりするのも上手いし、巻き舌も綺麗。Ida Falk Windlandは、声に少しメゾソプラノのような迫力がある。残念ながら最高音がいまひとつ出切らなかったのと、声を転がすのが得意ではないようではあったが。
テノールのToby Spenceは、とても神経質なのか、自分の出番が来るまで、不安げに聴衆を眺めたり(不安なのなら、そんなに一人一人を見つめなくても良いのに。。。)、Gustavoに問いかけるような視線を投げたり、落ち着かなかった。しかし、まあまあ上手く歌った(特にSanctusの部分は良かった)。Markus Schwartzは、あまりに出番が少なすぎて。。。でも、バスとは思えない声質だった(彼はバリトンなのかと思った)。
全体的に、なかなか良い出来だったとは思うけれど、聴衆も含め、早く「地域のコーラスグループ(&オーケストラ)」から脱却して欲しい-コーラスの演奏が終わったところで拍手した人!!ま、ロンドンくんだり(のんぼり?)から、この演奏を聴きに来ている方が余程物好きなのだろうが。
前から3列目は、「聴く」には前過ぎるかもしれないけれど、歌手のエネルギーが伝わってくるし、Gustavoの動きをきちんと目に収めることができて楽しかった。コーラスに指示をしていたときの手の震えが今も目に焼きついている。
明日の演奏も楽しみである(ちなみに前から2列目-そこしか残っていなかったので)。