Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

レイフ・オヴェ・アンスネス-ピアノリサイタル@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-28 00:30:00 | コンサート

レイフ・オヴェ・アンスネスのピアノリサイタルを聴いた。今年(2010年)はシューマン、ショパンの生誕200年、とあって、昨日に引き続き、今日もシューマン&ショパンプログラム。リサイタル直前のピアノのレッスンで、先生に「シューマンがどうしても好きになれないんです」と告白した私であるが、今年こそはちょっとシューマンを好きになってみようと意識して聴いてみた。

が、やっぱりシューマンは苦手である。なんというか、和音が間違っているような気さえしてしまう。最初はアンスネスが間違えたのかと思ったが、何度同じあるいは同様のフレーズが来てもその音なので、シューマンの和音が嫌いなのかもしれない。アルペジオも「要らないんじゃない?」と思うのだ。これはシューマン克服には相当の時間がかかりそうだ。

子供の情景は、後半でなぜかそのままベートーベンのピアノソナタ(第21番「ワルトシュタイン」第3楽章)に移行してしまうのではないか、という変な感覚に襲われた。

シューマンの間に演奏されたGyorgy KurtagのSeletion from Jatekokという曲は2階席一列目中央という条件もよかったからかアンスネスの手の動き、体全体で作られる表情が良く見え楽しめた。また、音も非常に表情豊かで、まるで絵画が見えるようであった。絵画、といっても古典的なものではなく、とてもシンプルで無彩色な感じだ。

後半はショパンのバラード、ワルツ、ノクターン。ワルツのリズムが非常に良かった。ポーランド人でもない私が言うのもなんだが、非常に「正しい」ワルツのリズムで、この人はおそらくマズルカも正しく演奏できるのではないか。最後に演奏されたバラードの1番は、体全体が音楽と一体化して、その動きや呼吸も音楽を作るために無駄がなかった。

アンスネスはテクニックが非常に正確で、信頼の置ける演奏家、と思われた。また音色も多彩。繰り返しのある演奏では1回目と2回目では明らかに音の表情が変わっている。直前のレッスンで和音一つまともに演奏できなかった身としては、ただただ尊敬するばかり。

アンコールで演奏されたバッハもまた素晴らしく、レパートリーの広さにも感心。それにしても、さっきまでシューマン、ショパンで、いきなりバッハをこれだけ素晴らしく演奏できるなんて-プロでもなかなか居ないように思う。

以前聴いたアムランと同じ系統の演奏家ではないか?-解釈が正確でそれを確実に表現できるテクニックがある-客層もそれを裏付けているかのように思われた。


ヨーヨー・マ&エマニュエル・アックス@バービカン、ロンドン

2010-02-27 00:30:00 | コンサート

ヨーヨー・マ&エマニュエル・アックスの演奏会。勿論、Sold out。リターンチケットを入手したため、席は2階席の5列目中央。

いくらマとはいえ、この広い演奏会場で演奏すると、「もうちょっと音をください」にはなる。これはやむをえない。音自体はとても美しい。この楽器自体の音が好きな音であることから、Wigmore hallで聴いていたら、絶対に泣いていた、と思われる。この人数でこの値段、Wigmore hallでやったら、一人いくら取れるだろう。£200は確実か?そう思うと、4月のジョシュア・ベル£40は相当安い。勿論、マの人気は特別なものがあるが。

マの人気が特別であることは、観客の反応からも見て取れた。現れたとたん、歓声があがるのである。勿論、ロックコンサートのような歓声ではないが。出てきただけで歓声って?と思うが、それだけ期待しているのだろう。

曲目はシューマン、LiebersonのRemembering Schumann (2009, UK premiere)、ショパン。

シューマンはそれほど好きな作曲家ではないので、あまり聴いたことのない曲が多かった。アックスの伴奏が、出すぎず、やわらかい音で終始マを支える感じが素晴らしい。2人の素晴らしい関係が音や演奏態度にも表れる。曲の間に2人の交わす会話が気になる。

Liebersonが意外と良かった。2009年に作曲され、UK premiereであるので、勿論初めて聴いたのだが、とても良かった。マが現代曲を相当得意としていることが見て取れたような気がする。シューマン自体より好きかも?

前半最後はショパンの「序奏と華麗なるポロネーズ」。いつこの曲を集中して聴いていたのかバックグラウンドが思い出せないのだが-懐かしい。ショパンだけあって、ピアノパートにショパンらしい美しいフレーズが沢山ちりばめられている。その部分になると、マはピアノを聴くような仕草をして、チェロを控えめにする。2人が協奏している感じが素晴らしかった(でもアックスの伴奏はちょっと??な部分もあり残念)。

後半はシューマンの幻想小曲集Op.73とショパンのチェロソナタ。本当にマのチェロの音は美しい。音楽は皆で共有するべきものだから、このバービカンの大ホールで皆で聴くのは悪いことではない。でも、やっぱり、Wigmore hallくらいの適正なサイズのホールでマの演奏を聴いてみたい。昔堤剛氏の演奏をヴァイオリンの先生のホールで聴いて、あまりの美しさにヴァイオリンが弾けなくなったことを何度も思い出した。目を瞑って聴くと、本当に美しい音だけに自分が満たされてゆく。でも、こんなではない、もっとすごいはず、そんな思いで演奏を聴いていた。

良い演奏会ではあった。皆が叫ぶ理由も分かる。でも、マから受けられるエネルギーはこんな程度ではないはず。満足度70%2000人と、満足度98%500人とどちらが大事なのだろう、と思いながら家路についた。


ドゥダメル&ヨーテボリ交響楽団、マーラー交響曲第9番@ヨーテボリ、スウェーデン

2010-02-26 00:30:00 | Gustavo Dudamel

ドゥダメル指揮、ヨーテボリ交響楽団でマーラーの交響曲第9番を聴いた。

ドゥダメルが、なぜ、今マーラーの第9番なのか、とても気になっている。演奏会前に会った時に「後で教えてあげるよ」といわれたきり、結局聞けないままになってしまった。

始まる前は、とても心配だった。フルート、BPOのように上手く吹けるだろうか、とか、第1楽章はごちゃっ、としてしまわないだろうか、とか(ドゥダメルの場合、これは心配しなくてよいのだろうが)。

演奏が始まって、とにかく、ヴァイオリンの音が素直で揃っていることに感動した。勿論、ウィーンフィルの艶やかさはないのだけれど、どちらかというとすっきりとしていた。また、とても心配したフルートが、上手い。音自体も美しい上に、息の漏れる音も聴こえない。エキストラなのかと思ったが、後から聞いたところ、ヨーテボリ交響楽団のco-principal flutistなのだそうだ。なかなかの好演で、斜め前のおば様は泣いていた。

第2楽章はドゥダメル印の入った演奏。アーティキュレーションのつけ方が、ドゥダメル節である。ちょっとやりすぎかな、という気もしないでもないが。最後のクラリネットの音がもう少し透明に響いてくれると良かったか。予習のカラヤン、BPOの終わり方が素敵だったので、どうしても比較してしまう。

第3楽章。ロンド・ブルレスケ。残念ながら、ヴィオラのソロが。。。今日(26日)の演奏では、彼は間違いなくきちんと弾けていると思うので、その演奏を聴いてみたかった。

第4楽章。ヴァイオリンパートは素直に美しい。確かにマーラーにしてはシンプルなオーケストレーションかもしれないが、死を前にすると人間シンプルになるのかもしれない。残念ながらホルンは、音を間違えずに吹く、というレベルにとどまってしまっていた。きちんと歌わなければ、シンプルなだけに美しく聴こえない。この克服は、なかなか難しいか?

と、気になる部分を列挙したが、全体として、チーム・ヨーテボリ&ドゥダメルの素晴らしい演奏だったのではないかと思う。全員がドゥダメルを信頼して演奏しているのが見て取れた。演奏者が真剣な目で指揮者を見ているのって好きだ。また、特に管楽器など、自分が演奏していない時に他のパートをきちんと聴いている様子も好きだ(某オケのflutist、あなたに私は言いたい)。ヨーテボリ交響楽団はドゥダメルと共に、物凄く成長しているのではないか、と思うのだが、どうだろう。第1楽章が終わった時は「どうよ」と思わずDebora(LA PhilのCEO)を振り返って見てしまった私である(が、彼女は隣のLA Phil関係者としゃべっていた)。

レコーディングのマイクが多数下がっていたので、会場の方に伺ったところ、録音はされたが、契約の関係でCD化されるか否かは微妙、とのこと。CD化されたら、是非購入したい。前から7列目のほぼ中央、という位置ゆえに美しく聴こえたのか、確認してみたい。


ヨーテボリ再訪@ヨーテボリ、スウェーデン

2010-02-25 23:00:00 | ヨーロッパ

ドゥダメルの演奏会-マーラー交響曲第9番-のためにヨーテボリ再訪を決定。全工程24時間という少々強行軍。

British Airwaysはロンドンからヨーテボリへの直行便を出していないので、今回はSASで。乗り込んでみると、なんとLA PhilのCEOであるDeboraが乗っているではないか。思わず挨拶に行ってしまう私。

ヨーテボリに着くと、外はかなりの雪。気温が高めのため、湿った大粒の雪だ。しかし、雪が珍しい私は(この冬はロンドンも大分降っているが、こんなに本格的な雪ではない)、ただただ見惚れてしまう。

切り立った崖に雪が積もっている様を見ると、ウィトゲンシュタインが隠遁したノルウェーの湖のほとりは、こんなだったのだろうか、と思う。また、頭の中には、シベリウスの交響曲が自然と流れる。

しかし、シベリウス=フィンランドなのに。ウィトゲンシュタインが隠遁したのはノルウェーなのに。ヨーロッパ人が、日本、中国、韓国の見分けがつかないのと同様、私にはスウェーデン、フィンランド、ノルウェーの区別が全然ついていない。

さて、ホテル。演奏会会場から少々遠かったかと反省。最初に案内された部屋が気に入らず、変えてもらう。ビジネスセンターへボーディングパスを印刷しに行こうと部屋を出ると、そこにはなんと、GustavoとDeboraらが。お仕事中だろうし、遠慮しようかな、と思っているとGustavoが「H~i!!」と相変わらずの笑顔で声を掛けてくれたので、挨拶。Devoraにも、先ほどはどうも、またLAにも伺います、と再度ご挨拶。

その後、演奏会会場横にある美術館で時間をつぶす。恐ろしく人気のない美術館である。今日はVan Dyckの絵の前に陣取って、マラ9を聴く。なんと豊かな時間だろう、こんな素晴らしい絵画の前で、一人思索に耽ることができるのだから。

さて、午後6時、美術館の閉館時間だ。演奏会場はちょうど開いたようだ。演奏会への期待と不安を心に抱きながら美術館を後にした。


Welsh Cake

2010-02-22 14:00:00 | イギリス

Welsh Cakeという食べ物がある。その名の通り、ウェールズ地方のおやつ。直径5cm、高さ1cmくらいの平べったいスコーンのような食べ物で、中には小さな干しブドウとシナモン、ナツメグなどのスパイスが入っていて、周りに砂糖が振ってある。紅茶と大変に相性が良い。

マークス&スペンサーのものが比較的ポピュラーで、私も常備して会社で家で、小腹が空くと頂いている。

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先週の金曜日、お腹をすかせた同僚にこれをおすそ分けしたところ、ウェールズ人の彼女、早速実家に電話を掛けて、お母様にお手製Welsh Cakesを作ってくれるよう依頼してくれた。

さて、明けて月曜日。

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M&Sのものよりは、少し小ぶりでスパイスが程よく効いている-M&Sのものより格段に美味しい。

丁度良いサイズ、ということもあって、パクパクとお腹に収まってしまう。皆、とまらないらしい。「○○(私の名前), it's your fault!」といいながら、Welsh Cakeを一つ、また一つ、と容器から取り出してゆく。何故、私のせい?と思うが、まあ、いいか。帰りにお土産として2つほど頂いてきたし。


ブラームス、ピアノ五重奏曲 by Doric String Quartet@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-21 16:30:00 | コンサート

ウィグモアホール、2週連続の「Sunday Morning Coffee Concert」。今日はDoric String Quartetの演奏でベートーベンの弦楽四重奏曲Op.18-4とブラームスのピアノ五重奏曲Op.34。

ブラームスは先日ベルリンのリハと同じ曲であり、特に好きな曲の一つ。

四重奏団で演奏を聴くと、「寄せ集め」にはない良さに気づく。特にフレーズの中の膨らめ方など、一朝一夕にはできない細部がきちんと詰められている感じがする。一方、「寄せ集め」の良さは、一人一人のテクニックの高さかもしれない。

ブラームスでは第一楽章の最初のテーマの膨らめ方が、こういう演奏聴いたことなかった、とまずはっとする。ファーストヴァイオリンの使用している楽器は1708年製のGallo Tanoniという楽器とのことだが、予習で聴いていたイタリア四重奏団の楽器と似たような、ちょっと金属がかったきらきらとした音がする。

ピアノがちょっといっぱいいっぱい気味で残念。ブラームスはピアノの名手だったというし、難しいのだろう。これまでポリーニの演奏で聴いていたので、普通に弾けるものだと思えていたけれど、やっぱりポリーニ、上手いのだわ。

チェロは、ベートーベンでエンドピンが2回ほど外れた。そのためブラームスで登場した時、必要以上にエンドピンを床に打ち付けて、聴衆の笑いを誘っていた。ホルダーを使わず許されるところが流石ロンドン。東京だったら、会場からダメだしが出るに決まっている。チェロは低音がとても美しい音-と酔いしれていたら、とちった。。。

第三楽章のスケルツォ、チェロの出だし(Cのピチカート)の速さに、目が丸くなる。が、その後主にヴィオラのもたつき気味(というより、チェロが速すぎだけれど)の演奏によって速度は修正される。演奏会後に楽屋で、ファーストヴァイオリンAlex Redingtonの知り合いの方と、この出だしの速さに驚いたことで盛り上がった。やはり、誰が聴いても速すぎだったらしい。

こんな感じで、実は第三楽章は相当崩壊気味の演奏だったのだが、それでも、このブラームスの名曲に本当に涙が出そうになる。なんと美しい曲なのだろう。いつかこの曲を自分で弾いてみたいものである。

帰りに、HMVに寄ってみたら、2,3人先客がいた。皆ブラームスのピアノ五重奏曲を買いに立ち寄ったらしい。Wigmore hallも演奏者やWigmore hallで出しているCDだけではなくて、プログラムで取り上げた曲のCDも揃えておけば売り上げが上がるのに!


嬉しい言葉-カプソン兄弟他@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-18 23:00:00 | コンサート

カプソン兄弟らによるコンサート、最終回はブラームスのヴァイオリンソナタ第3番、ピアノトリオ第2番、ピアノ四重奏曲第2番となかなか渋い選曲。

ヴァイオリンソナタはこれまで3回の中で一番良く楽器が歌っていたように思われた。思わずサイン会で、「Panetteが要らなくなったら私が引き受けるので、連絡してくださいね」などといってしまう始末。低音は暖かく豊かで、高音は艶やかで煌びやか-本当に美しい音のする楽器である。

トリオは相変わらずカプソン兄弟の息がぴったりなところに、アンゲリッチが覗き込むような視線を送りながら合わせてゆく。

今日最も気に入った演奏はピアノ四重奏。第二楽章の最後のチェロの音が、今も頭の中で鳴っている様な気がして、思わず顔がほころんでしまう。ああ、やっぱりチェロを習いたい。昔、本当はヴァイオリンではなくてチェロを習いたかったのだった、ということを思い出す。

第四楽章は大変に歯切れの良い曲。思わず曲に合わせて体が動いてしまう。音楽って、本当に美しくて、楽しいものなのだ。今日の予習で聴いていたDomusのCDや今日の4人のCDでは、ちょっと冗長な気がしないでもないピアノ四重奏第2番だったが、ライブは本当に楽しい!

サイン会で、これまでもらっていなかったヴィオラのGerard Causseのサインをお願いしていたら、隣に居たゴーティエが、彼が最近リリースしたCDを一緒に持っているのを目ざとく見つけて、

「I will take care of it」と私の手からCDを持っていってサインをしていた。

Gerardにお礼をいい、ゴーティエと別の話を始めてしまい、彼がCD本体に書いてくれたメッセージに気がつかなかった。家に帰ってCDを聴こうとケースから取り出すと、

「Thank you for always be(ing) there」

と書かれていた。ファン冥利に尽きる、とても嬉しい言葉だった。


「The King of the 3rd movement」カプソン兄弟他@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-16 23:00:00 | コンサート

カプソン兄弟らによるウィグモアホール演奏会。2日目の今日は、ブラームスのヴァイオリンソナタNo.1、ピアノトリオNo.1、ピアノ四重奏No.3。大好きな曲の詰め合わせ。

日曜日に比べてルノーのヴァイオリンも良い。日曜日はあまりに楽譜を見すぎていたように思う。今回も楽譜は置いていたが、日曜日に比べて、楽譜を離れて演奏していたように思う。ヴァイオリンソナタなんだから、暗譜して欲しいなぁ(と記憶力の足りない私が言ってよいのか?)。折角のPanetteをもっと歌わせてあげて。第二楽章の重音、特にG線が怪しい。聴いていると背筋がぞわぞわする。。。どうも今日はG線の調弦が安定しないようだった。

日曜日と同様、トリオはとても良かった。3人の息がぴったり。カプソン兄弟は、兄弟だけあって、笑ってしまうくらい呼吸法も同じなのだが(=生を聴かれたら意味が分かります)、それをピアノのアンゲリッチがきちんと読む、といったところ。第三楽章の最初のチェロのフレーズ、素敵だった。

そして、今日のメインイベントは勿論、ピアノ四重奏。ピアノ四重奏の中ではNo.1が最もポピュラリティが高いそうだが、個人的にはこのNo.3が一番好き。第三楽章など、絶対恋人と寄り添いながら聴きたい。残念ながら今日は一人だが。。。

しかし、今日は一人で聴いて正解だった。家でCDをだらだら聴くのならば、第三楽章を恋人と聴くのがロマンチックだろうが、こんなに濃密で美しい第三楽章を目の前で演奏されたら、隣の恋人を考える暇など絶対にない。いや、却って邪魔かもしれない。間違いなくブラームスへの、あるいは演奏家への愛の方が、どうしても強くなってしまう。

演奏会の後、花屋で一目惚れした薄紫の薔薇のブーケを持ってゴーティエを訪れた。小さなブーケだったのに、花の香りを嗅ぎ、とても喜んでくれた。ブラームスの第三楽章、素晴らしかった、と伝えると、素晴らしい曲だよね、というので、

You are the King of the 3rd movement.

といったら、とても嬉しそうに微笑んでいた。


ジュリア・フィッシャー、バッハ無伴奏パルティータ@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-14 23:45:00 | コンサート

ジュリア・フィッシャーによるバッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全曲演奏会第2夜はパルティータ。3番、1番、2番の順で。

朝、ほぼ同じ席(朝B8、夜B12)でルノーの演奏を聴いたが、音が全く違う。物凄い煌びやかで輝かしい音。Wikiでガダニーニと読んでいるが、ガダニーニとは信じられない-聴けば聴くほど、まるでガルネリのように聴こえる。

松脂がつきすぎていたのか、ところどころ弦と弓が滑りすぎてしまって、音の出ない部分もあるなどしたが、気になる部分といえばそのくらいで、やはり彼女はヴァイオリニスト全体の中でも、相当上手い部類に入ると思う。聴きながら思わず頭の中で現役ヴァイオリニストの順位表を作ってしまう自分に気づく。

昨日同様、同じフレーズの繰り返しの表情付けやピアノ、フォルテの弾き分けなど、非常に工夫している。また、1番のDoubleなど、大変なスピードで弾き切る-素晴らしいテクニック。

そして勿論、2番-最後のシャコンヌは大変に素晴らしかった。先日のギル・シャハムは、演奏技術は素晴らしかったが、いまひとつ自分の中にあるシャコンヌと相容れない部分も多かったが、フィッシャーのシャコンヌは、自分がこう弾きたい、というものに近いものがあった気がして、大変楽しむことができた。

さて、恒例の写真。手の写真を、といったら、「どんなポーズが良いかしら?」といわれたので、お好きなポーズを、というと「では、ヴァイオリンを弾いている感じで」といって。

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カプソン兄弟&アンゲリッチ@ウィグモアホール、ロンドン

2010-02-14 16:30:00 | コンサート

カプソン兄弟による演奏会、第一回目は日曜のランチタイムコンサート。

ブラームスのチェロソナタ第二番、ヴァイオリンソナタ第二番、ピアノトリオ第三番の3曲、シェリー酒つき(私は飲めないけれど)で£12という大変お得な演奏会。

まずはゴーティエによるチェロソナタ。テクニック的には申し分なく思われた。ただ、個人的にはこの楽器の音がそれほど好きではない。ので、演奏会終了後、ストラドにしないの?と尋ねてみたところ、ストラドよりこちらのほうが気に入っている、とのこと。ガルネリのチェロってあまり聴いた経験がないけれど、どうなのだろう?

ルノーによるヴァイオリンソナタ。折角のPanetteがあまり鳴っていない気がする。ところどころ、Panetteの素晴らしい音はするが-(後方にいた友人によるとよく音が出ていた、とのことだが、夜のジュリア・フィッシャーと比べてもやはり音が出ていなかったように思う)。なぜブラームスを弾きたいのかしら?とちょっと疑問に思う。

最後のピアノトリオが今日の演奏では一番気に入った。さっきまでやる気のなさそうな音をしていたPanetteが今はチェロやピアノに負けじと鳴っている。この調子で火曜日、木曜日の演奏会を乗り切って欲しい。

日本の習慣に従ってヴァレンタインのチョコレートを持って楽屋へ。ゴーティエは、「お腹が出ちゃうよ」とおどけていた。