ピュイ&キュイの徒然

ポーセリン・ペインティングや美術館・お寺巡り・バードウォッチングのことなどの覚書です

ムラサキの夢

2011-06-28 17:51:44 | 日々のこと
オオムラサキ オス



メス



日本名 オオムラサキ
英語名 Great purple emperor 
日本の国蝶です

聖徳太子が制定した官位十二階の最高位の濃紫を名前に戴いた美しく
気高い蝶です

私たちに馴染みが深い、アゲハやモンシロチョウと違い、一年で一度だけ
この時期に成蝶になります
ゆっくり成長して幼虫で越冬するのです

蝶といえばお花の蜜を吸う、と思われていますが、このオオムラサキは
クヌギ、コナラなどの樹液を吸います
・・・カブトムシやクワガタムシと同じですね
他には熟れきった果物など(ちょっと腐った位が好きみたい)


幼虫の食草は、榎(エノキ)だけ
このエノキは七色に輝くタマムシも育てます
美しい花が咲くわけでもなく、美味しい実もできないエノキはどんどん
切り倒され、それに伴って、オオムラサキ、タマムシなどは姿を見せなく
なりました。
それに加えて人が山の手入れをしなくなった為、クヌギやコナラも樹液を
出さなくなってきています

今年、縁あって、このオオムラサキの幼虫の世話を引き受ける事に。。
アゲハやモンシロチョウで経験豊富な私でも、本当に苦労の連続。

預かった幼虫が全て羽化してくれて安堵してます
乳母の役目も終わると、寂しいですね
今まで積み重ねた経験も役にたちました!
成長に伴う脱皮の時、足場を無くして困ってる幼虫の助け方
とんでもない場所で蛹になってしまった時の移動方法・・・
マニアックですが・・・

何より、オオムラサキという準絶滅危惧種を育てる上で、今までに
無いくらい熱心に昆虫の事、蝶の事、いろいろ調べました。
「一頭の蝶をめぐって交錯する複雑な人間関係」も嫌という程学びました


来年の飼育はどうしようか・・・と頭の中は紫色になっている自分にも
笑ってしまいます。

今朝、見事なクロアゲハのメスが羽化しました
鹿鳴館の夜会に行けそうな漆黒のイヴニングドレスをまとった蝶です
「オオムラサキさんも美しいけど、あなたも十分綺麗よ」
と旅立ちを見送りました





「オオムラサキから学んだこと」
「オオムラサキに教えてもらった事」がたくさんあり、

オオムラサキは私たちに宿題を残して飛び立っていきました



アトリエ・ラ・ヴィータ