風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

儀式のケーキ

2005年10月29日 | 食べもの帳
どうも食べることには貪欲になってしまいます。
マヨネーズと同じくらいに切望していたのが、ケーキのモンブランです。
9月のひと月間、デパートの仕事帰りに、毎日狙っていたモンブランのホールケーキ。
仕事の最終日の夜には、そのケーキを買って帰るのだと、ずっと心に決めていました。

最終日の朝、店のショーケースの左角、いつもと同じ場所にあるのを確認し、
「今夜、来るからね」と心の中でケーキに話しかけ、通り過ぎました。
仕事が終わり、財布片手に真っ先に店に来たら…な、なんと売り切れてました。
一ヵ月間、いつだって仕事帰りの時刻にはそこにあったのに…。
そして、「最終日にはコレ!」って、それを励みに毎朝職場へ向かっていたのに…。

その後、いくつかの洋菓子店を周ってみたものの、モンブランのホールは
見つからず、ネットで検索に取り掛かりました。
納得のいくおいしいものを食べなくちゃ、この無念ははらせない…とばかりに。
探したのは、「モンブランのモンブラン」5号(15cm)で2800円。
送料と保冷代入れると、3500円。
ちと、高いかなと夫に相談。

「ねぇ、あたし夢があるんだけど…ちょっとお金がかかるんだ」
「ふぅん、なんだ?」
「あのさぁ、一度でいいから、ホールのモンブランをナイフで切り分けないで、
 そのままフォークでつついて食べたいんだよね」
「な~んだ、そんなことか。おめぇの夢はちっちぇーもんだな。
 まっ、おめぇのちっちぇー脳みそで考えるこたぁ、どうせそんなところだよな。
 ケーキ買ってきて存分にやればいいじゃねえか」

おお、見た目の太っ腹はダテじゃないじゃん…と、
ちょっとうれしくなって早速オーダー

ジャーン、それで、今日、届きました。
栗の金箔がなんともゴージャス!



さあ、フォークでそのままいきますよ!
ゴルフでグリーン上のパットを決めるときみたいに、「お静かに」の札を掲げて、
ここは、儀式を行うように厳かにいきたいです。

10分後には… 

「おめぇさぁ、せっかくなら真ん中から突っつけよ」
と夫に言われながら、二人で獲物にいどむハゲタカのように突っつき、
10分後にはこのありさまでした。

いっぺんに食べるのはもったいないので、残りはまたあとで。
あー、大満足。
こういうモンブランを食べたかった…と思うような、イメージ通りのモンブランでした。



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さまよいネーズ

2005年10月28日 | 食べもの帳
7月16日、巴川灯ろう祭りの夜、偶然、従姉妹たちに会ってから、
ずっと探していたものが見つかりました。
地元の食品会社SSKフーズのマヨネーズです。



あの晩、居酒屋で串揚げをオーダーし、一緒に出てきた野菜に添えてあるマヨネーズから話は展開したのです。
従姉妹たちは私より年上で、3人とも50代。

「マヨネーズってさ、昔、SSKを使ってないっけ?」と一人が言うと、
「そうそう、SSKはおいしいっけね」ともう一人。
「いろいろあるけんさぁ、やっぱりマヨネーズはSSKが一番おいしいよね」と、
さらに一人がプッシュし、私を除く3人ともがうなづきあいました。

そして、間があり、
「だけんさぁ、最近、見かけないよね」
「あっ、そうだねぇ、もうないだかねぇ」
「……」
と、疑問を残したまま、次の話題へ移りました。

SSKフーズの「SSK」は清水食品株式会社の頭文字からつけられ、
地元清水に根ざしたメーカーの一つです。

そういえば、我が家でもSSKを使っていたような覚えがあります。
あるとき、A社のマヨネーズの絞り口が星型になってから、そちらに変わり、
そして、いつの間にかQ社だけを使うようになりました。

従姉妹たちがそれほどまでに「おいしい」というマヨネーズ。
どうしても試してみたいと思い、灯ろう祭りの翌日から、私は区内区外、
あちこちのスーパーや個人商店を探したものの見つかりませんでした。
そろそろ、使用中のマヨネーズがなくなるころとなり、一昨日、メーカーへ問い合わせました。
教えていただいた場所を地図で確認すると、灯台下暗し。
うちの近くにありました。



この場所にSSKがあることを知りながら、小売はしてもらえないと思い込んでいたので、
通り過ぎていました。
従姉妹たちに配る分も含めて、500g入りを5本を買ってきました。
2.5kgを手に提げながら、ついついまた路地裏をさまよいつつ、散歩もしてきました。

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ぶらり、電車を追う散歩

2005年10月25日 | 静岡
今朝は犬の散歩で、浜田親水公園に行きました。
公園からは、JRと私鉄の電車の両方が見えます。

(写真左)巴川橋梁を行くJR東海道線。
この車両の色、関西方面では快速電車で、
神戸で走っているのを見たとき、「あら?」と思ったのを覚えています。

(写真右)私鉄の静鉄電車です。
私が高校生のころ、急行もあったと思うのですが、現在は各駅停車です。
急行が通過するときは、メロディが流れていたと思うのです。



今日は、ジャスコの火曜市、特売の日です。
買い物へ出かけたついでに、周辺の散策をしました。

ほほう、これが架け替え前の「太鼓橋」のモニュメントですね。
mixiのお友達のkayさんからうかがったことがあります。
な、なんと…「太鼓橋」についての説明を読んで、「へえへえへえ」と言っちゃいそうでした。



ここに立っている黒い柱は、鉄道のレールで作られた橋脚だったそうです。
これで約70年もの間、橋を支えていたとは…。



以前の「太鼓橋」の写真ですが、たぶん、この矢印の部分だと思うのです。
ち、ちがうかなぁ。
このあたりの区間は、JRと静鉄電車が平行して走っています。

馴染みのあったものが変わっていくのはさびしいけれど、こんなふうに当時の面影が少しでも残っているのはうれしいものです。

新しく架け替えられた橋の下を通っていく静鉄電車



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思い出のデパート

2005年10月24日 | 静岡
私が小学生のころ、清水に「花菱」というデパートができました。
デパートが珍しくて、そこに出かけるのがうれしくて仕方ありませんでした。
「エスカレーター」を初めて見たのもその店です。
ある日、友人と二人で「花菱」に出かけ、エスカレーターを上ったり降りたりしていました。
そのうち、遊びの方がエスカレートして、下りのエスカレーターを駆け上ることまでしていたら、
エスカレーターガールのお姉さんにたしなめられました。

「花菱」はそのうち「ヤオハン」に変わりました。
「ヤオハン」が閉店して久しいのですが、建物はそのまま残っていました。


'05.6月20日撮影

かつては、本当に「満車」で、入庫待ちの車が連なっていました。



「ヤオハン」が閉店後も、写真のとんかつ屋さんだけは営業していました。
そろそろ「カキ」がおいしい季節。
「比呂竹」のカキフライを食べに行こうと、先日来、夫と話していました。
ところが、この建物の解体に伴い、先週金曜日をもって店じまいとなり、
もう食べることができなくなりました。。
今日、お店の前を通ったら、片付けをしていました。



ここの一角はどんなふうに変わるんだろうと思いながら、いろんなことを思い出しました。


★日の出マリンパークからの今朝の富士山



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明日の風景

2005年10月23日 | 静岡
若いころは、やみくもに海外を旅行したくて仕方なかった。
それが、30代後半から少しずつ変わってきた。
英語とドイツ語を耳にすると血が熱くなるのに、同じくらいに日本語に興味がわいている。
国外を見て歩きたいと思うのに、生まれ育った清水から目が離せなくなっている。

巴川のこの曲がり具合がとても好きだったり…、



目を転じた向こうの、行き交う車に人の営みを感じたり…、



そのまた向こうに見える富士山の姿に感動したり…、



見慣れたはずの風景でも、初めて見る景色のように新鮮に感ずる。
そして、もっともっと清水を見たくなる。
明日は、どんな景色に会いに行こうかな。


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ビッグパペットカーニバル

2005年10月22日 | 静岡


ハーバードリーム2005というイベントのビッグパペットカーニバルを、清水区さつき通りで見てきました。

数日前、夫が愛犬を連れて港へ散歩に行ったとき、これらのパペットが広場に置いてあったらしいのです。
その様子を私に説明したのですが、あまり要領を得ませんでした。
「広場に行ったらな、こ~んなでっけえ人形があるだよ」
と、両手を大きく広げて話すのです。
「ポポが威嚇して吠えるかと思ったけえが、なんともねえっけだよ」
って、言われても、私はどのくらいの大きさのどんなものがあったのかわかりませんでした。

…で、その「でっけえ人形」がこれだったんです。



ポポの散歩がてら、沿道で見ました。
ポポにとっては2度目の対面。
でも、大きすぎて威嚇する対象にはならないようです。

ハワイアンを踊るお姉さんたち、とてもきれい!



昨日、ローカルテレビで、このカーニバルについて紹介していました。
その情報によると、これらのビッグパペットは、1台が約1トンあるそうです。
そして、フランスのニースから船で運ばれてきたということです。



明日もパレードがあり、夜は花火も上がるそうです。

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Art日和

2005年10月21日 | 清水ともゑ帳
今日は二つの展覧会へ行ってきました。
まず最初に、JR静岡駅近くの駿府博物館で開催されている「美人画の世界」へ。



上村松園の絵が大好きです。
5年前に秋野不矩美術館で見たとき以来なので、この絵画展を心待ちにしていました。
そのときも、そして今日も、上村松園の絵の前に立ったら、感動でうるうるしてしまいました。

帰りがけにその他の絵画展のリーフレットを眺めていたら、その中に恩師、太田昭先生のカードを見つけました。



小学校1年、2年生のときの担任の先生でした。
義務教育の最初の2年間が、太田先生で本当に良かったと思います。
冒険の楽しさ、創造の楽しさ、想像を膨らませることの楽しさなど、
たくさんの「楽しい」を体で覚えることができたからです。
来月、開かれる先生の個展にはぜひ出かけたいと思います。

次に向かった先は、JR東静岡駅近くのグランシップ静岡です。
こちらでは、「ロベール・ドアノー展」が開催されています。



以前から、「市役所前のキス」というこの写真を始め、そのほかの作品も好きでした。
でも、作品や作者について知識を持とうとしなかった私は、これらが彼の作品だということを、つい最近になって知りました。
そして、彼がニューヨークに住んだ人と思い込んでいました。
それは、私が初めて彼の写真を知ったのがN.Yだったからです。
一目見て気に入って、ポストカードを買って帰りました。
それと、友人がN.Yからのお土産にと届けてくれたのが、この写真のカレンダーだったからです。
今日、見てきたのは、恋人たちの写真以外にも、労働者や踊り子、
子どもたちの写真が生き生きしていて、すぐそこで動いていそうでした。

今日は、ゆっくりじっくり絵と写真を楽しむことができました。

★JR東静岡駅からの富士山



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松山あげ

2005年10月20日 | 食べもの帳
昨日は夫と義母と3人で買い物に行きました。
たまには行ったことのないスーパーで買おうということになり、
少し離れたところまで車を走らせました。
「いつもと違う店に来るとおもしろいねぇ」なんて言いながら、
カートを押していると…。



「松山あげ」、おお、これは初めて見ました。
早速、カゴへ。
義母と二人、「へぇ、油抜きしなくていいんだぁ」と、調理法を読みました。
味噌汁、煮物、ばら寿司、炊き込みご飯、うどん、そうめんなどなんでもOKだそうで。

パッケージに「伊豫名産」とあります。
「伊予」でないところがまた何ともいい感じ。
今朝、お味噌汁に入れてみました。
いつもの油揚げと風味が違います。
これは、うどんやそばに入れた方が、もっとおいしいのではないかと思いました。
松山あげを生で食べてみたら、乳児用の白いおせんべいみたいな感じです。
ふわっとしていて、口どけがいいです。
天かすを四角にしたような感じでもあります。

20年ほど前のこと、福井県に住み始めて、あちらの豆腐屋さんで初めて油揚げを見たときは、
その大きさと厚さに驚きました。
静岡では、長方形で薄いものが店頭に並んでいるのですが、
福井のは、15cm四方くらいの正方形で、厚揚げと薄揚げの中間ぐらいの厚さでした。
新しい「食」の発見は楽しいものです。

そういえば、初めて白いはんぺんを見たときも驚いたものでした。
しかも、そちらの方が主流だと知って…。
静岡で「はんぺん」と言えば、いわしのすり身で作った「黒はんぺん」です。
これ以外のはんぺんがあるなんて、当時は想像もしていませんでした。
私は人前では気取って「はんぺん」と言ってますが、
本当は「はんべ」と言う方がしっくりきます。
味噌汁は「おつけ」、油揚げは「お揚げ」と言う方が馴染めちゃうんです。

温かいものが恋しい季節、今度は松山あげ入りのうどんが楽しみです。



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黄金まんじゅう

2005年10月18日 | 静岡
昨日、やっと食べたっけだよ、黄金まんじゅう。
踏切んとこにさあるじゃん、高田さんって。
いつから食べられるのかなって、ず~っと待ってたっけだよ。



以前、記事にした、清水中央銀座の高田さんが先週、開店しました。
今年の春から、新築工事をしていました。
再開はいつかなと毎日、工事の進み具合を見ながら、お店の前を通っていました。


(高田さんのご了承を得て、写真を撮らせていただきました)

春の記事にも書きましたが、このおまんじゅうは父が給料日に、私たち子どものために買ってくるおみやげでした。
温かいまま家に持ち帰りたい父は、ジャンパーのポケットに突っ込んでくるので、緑の包みはいつもつぶれていました。
黄金まんじゅうは気温の低い時期だけのものなので、昨日、私が食べたのは1年半ぶりのことです。
やっぱりおいしい!
子どものころの思い出や懐かしさを差し引いても、ぜったいおいしい!
多くの清水っ子が開店を待ち望んでいたと思います。
こちらのお店はソフトクリームもおいしいんですよ。

★今日の夕焼け


(清水千歳橋付近)

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砥鹿神社のお祭り

2005年10月15日 | 静岡
今夜は、清水庵原地区にある砥鹿(とが)神社のお祭りに行ってきました。
夕方から、あいにくの雨でしたが、境内はお祭りの活気にあふれていました。



先月30日の昼間訪ねたとき、ブルーシートで覆われていたところは土俵でした。
私が境内に着いたときは、ちっちゃい子どもたちの「泣き笑い相撲」が行われていました。
立会いの前から、泣き出してしまう子も…。
元気良く泣いて、すくすく育ってね。



ちびっ子力士たちの姿もあります。
「はっけよ~い、のこった、のこった!」
小学校低学年ながらたくましい取り組みです。



今日は、あちこちの神社でお祭りがあったようです。
砥鹿神社へ向かう途中でも見かけました。
子どものころは近所にある神社のお祭りへ出かけたものですが、長じてからは遠ざかっていました。
今夜は短い時間ながら、お祭りが楽しめたので、来年は他の神社のお祭りをいくつかはしごしてみたいと思いました。

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チャンチャン井戸

2005年10月12日 | 静岡
子どものころから不思議に思っていたことがありました。
私はよく母方の親戚へ遊びに行っていたのですが、その親戚は清水区の下清水というところにあります。
「下」があれば「上」もあり、上清水という町名もあります。
現在、清水は「区」になりましたが、当時は、清水市上清水、清水市下清水、清水市清水町…と、市の名前に、さらに「清水」が続く町名があるのはなぜなのか、と思っていたのです。
「清水」という名の起こりは、「チャンチャン井戸」にあることを数年前に知ったのですが、その場所を確認していませんでした。



清水区浜田小学校の裏の細い道を入ったところに、井戸はありました。
これまで、何度か通ったはずの道だったのですが、気付きませんでした。
意識をするのとしないのとでは、すぐそこにあるものでも見えていなかったりします。



井戸は道路と宅地にまたがるようにあります。
写真手前が道路で、塀の向こう側は民家の駐車場です。
チャンチャン井戸のあるこの場所は、「清水」のおへそのように思います。
この場に立ってみて、飲料水が身近で確保できることのとてもありがたさを、あらためて感じました。
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薄皮シリーズ

2005年10月11日 | 食べもの帳
昨年の今ごろも薄皮シリーズについての記事をUPしました。
そのときは私がいかに「薄皮つぶあんぱん」が好きかということを熱く語ってしまいました。
今、読み返すと恥ずかしいものがありますが、それでもまた書きたくなりました。
と、いうのも新たなるものを発見したからなのです。



「豆乳クリームパン」はこの夏、血まなこになって見つけました。
私はmixiの「薄皮つぶあんぱん」のコミュニティに参加しているのですが、そちらの掲示板で、この「豆乳…」が話題になっていました。
やっと買えたときのうれしかったことったら、もう…。

そして、昨日、「薄皮こしあんぱん」も見つけました。
これについては何も情報を得ていなかったので、「豆乳…」以上の驚きがありました。
それで、すぐにでも食べたい衝動にかられ、こしあん派の夫と1個ずつ食べたあとに写真を撮ったので、3個入りみたいに写ってしまいました。
でも、ちゃんと5個入りです。
このシリーズ、次々と出ているので、きっと人気が高いのだと思います。
お味は…というと、どちらもおいしかったのですが、毎日でも食べたいのは、やっぱり基本の「薄皮つぶあんぱん」です。
2002年日韓共催のワールドカップのとき、TVの試合観戦に欠かせなかったこのあんぱん、来年のドイツワールドカップには丸4年になります。
私は、来年もおそらくテレビの前で、あんぱん片手にサッカー観戦していることと思います。

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スプウンの運び方

2005年10月10日 | 清水ともゑ帳
先日、初島でイタリアンレストランへ行ったときのこと。
私はつくづくナイフ・フォークの使い方が下手で苦手だと思った。
そして、いつもこういった料理を前にすると、太宰治の『斜陽』の冒頭部分を思い出す。

スウプのいただきかたにしても、私たちなら、お皿(さら)の上にすこしうつむき、そうしてスプウンを横に持ってスウプを掬(すく)い、スプウンを横にしたまま口元に運んでいただくのだけれども、お母さまは左手のお指を軽くテーブルの縁(ふち)にかけて、上体をかがめる事も無く、お顔をしゃんと挙げて、お皿をろくに見もせずスプウンを横にしてさっと掬って、それから、燕(つばめ)のように、とでも形容したいくらいに軽く鮮やかにスプウンをお口と直角になるように持ち運んで、スプウンの尖端(せんたん)から、スウプをお唇のあいだに流し込むのである。 ―太宰治『斜陽』より―

テレビなどの映像で、女優さんが食べ物を口にするとき、私はいつも気になる。
この人は、フォークやスプーンをどんな角度で口に運ぶのかと観察してしまう。
そして、「お母さま」のように、口と直角に運ぶ方が優雅だと思う。
真似しようと思うけれど、いつもできずにいる。

…で、先日もうまくできなかった。
これまでなら、「まぁ、いいか」と済ませていたけれど、今回は、なぜできないのかをちょっと考えてみた。

それはきっとうちの母のしつけと、我が家の食卓の狭さにあったのだと思う。
母は食事のとき、「肘を張らず、脇をしめて食べなさい」といつも言っていた。
脇を広げて食べるのはみっともないし、小さなちゃぶ台を家族5人で囲んでいるから隣に座る者にぶつかると言うのだ。
脇が開いていると、「行儀が悪い!」と肘をガツーンと叩かれたものだった。

ナイフ・フォークで肉を切るときは、ある程度、脇を広げないと力が入らない。
先日の伊勢エビは、殻から身をはがすのが、一苦労だった。
そして、『斜陽』のようにスプウンを口と直角に運ぶのには、脇をしめたままでは優雅に運べない。
脇にすきまを作ることにとても抵抗を感じる私は、「かず子」のようにフォークもスプーンも箸も横にしたまま口に持っていく。

あっ、それともう一つの要因にも思い当たった。
それは、スプーンならまだしも、フォークや箸の尖端が自分に向かってくるのが恐いのだ。

食事の作法としてはどうなんだろう。
やはり口と直角に持っていくものなんだろうか。
和の料理を食すときは、食器を手に持つから、脇が閉まっていた方がきれいに見えそうだ。
すると、箸を口と直角にするのには、少しばかり無理があるような気もする…。

氏には申し訳ないけれど、私にはこの冒頭部分の印象だけが記憶に残り、作品の細部のほとんどが欠落してしまった。
これを機に再読してみたいと思う。



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紺屋さんとお味噌屋さん

2005年10月07日 | 静岡
外へ出て働く仕事の期間はすでに終わったのに、気持ちはまだ「仕事モード」を引きずっています。
「今度の出勤はいつだっけ」とカレンダーを見てしまったり、旅行中には何度も「今日は仕事じゃない日だよね」と思いながら、携帯電話のスケジュール画面を確認していました。
毎日のように仕事したわけじゃないのに、どうも切り替えがうまくできていません。

先月中旬には、路地裏散策ができるだけのゆとりもあったのです。
そうそう、この紺屋さんの写真は、まだUPしてないんだっけ。
9月15日に写しました。



店先の瓶には、染色の液が入っていたのかな。
静岡市葵区には、「紺屋町」という名前が残っています。
清水区にはどのくらいの紺屋さんがあるんでしょう…わかりませんが。



子どものころ、酒屋さんのおじさんがしていた藍染の前掛け(エプロン)がなんだかとても好きでした。
この前まで働いていたデパートで、中元歳暮の繁忙期になると、売り場の課長が藍染の前掛けをして仕事する姿が、かっこよく見えていました。

紺屋さんのすぐ近くにお味噌屋さんも発見。
写真の字は判読できないかもしれませんが、電話番号には局番がなく三桁の番号のみです。
それだけで、老舗というのがわかります。



清水銀座から北へ入った道に、こんな雰囲気のあるお店があるなんて知りませんでした。
店内がうまく写っていませんが、お味噌の樽とお醤油が並んでいました。
日本人の調味料の定番、お味噌もお醤油もぜひ試してみたいものです。
藍染のエプロンして料理するのもいいかな。

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エクシブ初島クラブ

2005年10月06日 | 清水ともゑ帳
姪夫婦と私たち夫婦の4人で初島クラブへ、行ってきました。
このホテルがオープンする数年前、まだ、独身だった私は、ここで働きたいと思っていました。
そのころから、憧れのホテルの一つでした。



初島へは、熱海からフェリーで約20分です。
昨日、出かけるときはあいにくの雨でした。
今朝の初島は少し雲が残っていましたが、朝食をとっているころから少しずつお天気が回復してきました。
昨日、熱海を出るときと、戻ったときのbefore afterです。



部屋の中はこんな感じでした。
晴れていれば素晴らしいオーシャンビューだったのですが…。



夕飯はホテルから少し離れたイタリアンレストラン「ポルト」でとりました。
お天気が良ければ、たぶんサンセットディナーなども良かったと思うのですが、このころはどしゃぶりの雨でした。
でも、中の雰囲気は温かみがあり落ち着いた雰囲気です。
初島ならではの魚介類を中心としたシーフード料理でした。
伊勢エビに手をつけた途中で、「写真を撮らなくちゃ」と写したので、せっかくの盛り付けが乱れてしまいました。
デザートはワゴンで運ばれ、「お好きなものをご存分に…」でしたが、別腹にも余裕がないほどおなかいっぱいになってしまい、あまり食べられませんでした。
写真のデザートは、姪のだんなさんのプレートです。



仕事をしているときは10分でさえ長く感じることもあるのに、楽しい時間は瞬く間に過ぎてしまいます。
あっという間の一泊二日の旅でした。


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