今から20数年前の1月、職場の先輩と二人でギリシャ、フランスを旅行したときのこと。
フランスではパリから電車に乗り、ベルサイユ宮殿へと向かった。
宮殿からの帰り、駅への道すがらに小さなパン屋さんを見つけた。
おなかがすいていた私たちは、すかさず店に入った。
私が選んだのは、短いバゲットに野菜、チーズ、ハムがはさまれたサンドイッチ。
店を出て、パリまでの電車の時刻表を見ると、あと数分で発車してしまうことがわかった。
私たちは乗り遅れまいと、手にパンを握ったまま必死で走った。
駅までの距離はどれくらいだったろう。
ホームに着くと、電車はゆっくりと加速を始めていた。
先輩は私に「乗るよ」と声をかけ、勢いよく車両の外側の手すりをつかまえ、デッキへと飛び乗った。
私も続けて、グイッと手すりを握り、反動をつけて乗った。
空席を見つけ腰掛けると、
「まるで、映画のワンシーンみたいだったね」
と、二人で得意げに顔を見合わせた。
そして、さっき買ったばかりのパンをほおばった。
窓外には雪におおわれた田園風景が広がり、馬がのどかに歩いていた。
それから何年か経って、私は、このとき食べたサンドイッチが「カスクート」というのを知った。
カスクートの味が忘れられず、いろいろなパン屋さんを回った。
ところが当時、店頭に出ていたフランスパンは、あのときのパンの食感とはまったく別物だった。
あれはフランスでしか食べられないものなのだ、とあきらめ、「カスクート」の名前もいつしか私の頭から消えた。
そして、10数年前、清水区庵原町に引越してからのこと。
この町にある「シュクール」というパン屋さんに、見た目がそっくりの「カスクート」を見つけた。
家に戻り、すぐにパンをかじった。
「これだ!」
食感といい味といい、まさしく、あの日のカスクート。
パンを噛むほどに、パリ行きの電車で見た景色が目の前に現れてくるようだった。
以来、どれだけ、「シュクール」に通ったことだろう。
庵原を離れてからも時々、お店に行った。
けれど、昨年12月、久しぶりに寄ったら、シャッターは降り、看板もはずされていた。
先日、このブログに、まこさんからのコメントで、「シュクール」が原保育所前に移転し、新装オープンすることをおしえていただいた。
今日のお昼はここのパンを食べることを期待して庵原へ出掛けた。
けど、残念。
月曜日の今日は定休日だった。
せめて…と思い、新しくなったお店をカメラにおさめてきた。
フランスではパリから電車に乗り、ベルサイユ宮殿へと向かった。
宮殿からの帰り、駅への道すがらに小さなパン屋さんを見つけた。
おなかがすいていた私たちは、すかさず店に入った。
私が選んだのは、短いバゲットに野菜、チーズ、ハムがはさまれたサンドイッチ。
店を出て、パリまでの電車の時刻表を見ると、あと数分で発車してしまうことがわかった。
私たちは乗り遅れまいと、手にパンを握ったまま必死で走った。
駅までの距離はどれくらいだったろう。
ホームに着くと、電車はゆっくりと加速を始めていた。
先輩は私に「乗るよ」と声をかけ、勢いよく車両の外側の手すりをつかまえ、デッキへと飛び乗った。
私も続けて、グイッと手すりを握り、反動をつけて乗った。
空席を見つけ腰掛けると、
「まるで、映画のワンシーンみたいだったね」
と、二人で得意げに顔を見合わせた。
そして、さっき買ったばかりのパンをほおばった。
窓外には雪におおわれた田園風景が広がり、馬がのどかに歩いていた。
それから何年か経って、私は、このとき食べたサンドイッチが「カスクート」というのを知った。
カスクートの味が忘れられず、いろいろなパン屋さんを回った。
ところが当時、店頭に出ていたフランスパンは、あのときのパンの食感とはまったく別物だった。
あれはフランスでしか食べられないものなのだ、とあきらめ、「カスクート」の名前もいつしか私の頭から消えた。
そして、10数年前、清水区庵原町に引越してからのこと。
この町にある「シュクール」というパン屋さんに、見た目がそっくりの「カスクート」を見つけた。
家に戻り、すぐにパンをかじった。
「これだ!」
食感といい味といい、まさしく、あの日のカスクート。
パンを噛むほどに、パリ行きの電車で見た景色が目の前に現れてくるようだった。
以来、どれだけ、「シュクール」に通ったことだろう。
庵原を離れてからも時々、お店に行った。
けれど、昨年12月、久しぶりに寄ったら、シャッターは降り、看板もはずされていた。
先日、このブログに、まこさんからのコメントで、「シュクール」が原保育所前に移転し、新装オープンすることをおしえていただいた。
今日のお昼はここのパンを食べることを期待して庵原へ出掛けた。
けど、残念。
月曜日の今日は定休日だった。
せめて…と思い、新しくなったお店をカメラにおさめてきた。