風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

蒲原町

2006年03月29日 | 清水ともゑ帳
 そうして、気がついたときには見たこともない小さな駅に、親子三人で立っていた。すがすがしい潮の香と、なまぐさい魚のはらわたの臭いがいりまじったような、一種強烈な空気を胸一杯に吸込んで、ほっと生き返った。駅の標識に、
 かんばら
 と書いてあった。
 興津、由比、蒲原……と駿河湾沿いに続く半農半漁の何の変哲もないこの町が、私の第二の故郷になろうとは、私自身はもちろん、両親にしてもこの時は夢想もしていなかったのだが、あっというまに月日は流れて、少年期から思春期にかけての八年間を私はこの土地で過ごした。
             
             江國 滋/著 「はずかしい旅――蒲原」より



清水市は'03年4月に静岡市と合併をした。
そして、あさって31日には、新たに庵原郡蒲原町が静岡市と合併する。
清水区と蒲原町の間には庵原郡由比町があるのだが、その町を跳び越しての「飛び地合併」となる。
清水市が蒲原町が、静岡市と合併し、具体的にどのように変わり、変わってゆくのか、私自身はよくわからない。
けれど、同じ市となることで、私はこれまでにない親近感を蒲原町に抱いている。
上り東海道線に乗ったとき、また、旧国道1号線を車で通るとき、車窓から眺める興津(おきつ)、由比、蒲原の、宿場町の面影が残る景色がとても好きだ。
もう7、8年前になるけれど、興津から東へ富士川町まで歩いたことがある。
今日の夕方、ローカル放送で特集されていた蒲原町の風景を見て、またゆっくりと訪ねてみたくなった。
江國氏が過ごしたことのある蒲原町を。
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花散歩

2006年03月27日 | 静岡
ローカルニュースが伝えるところによると、静岡の桜は今日、満開を迎えたそうだ。
義母と夫、そして、愛犬ポポと清水区の船越堤公園へ、花見に出かけた。
桜のトンネルを抜けていく。



菖蒲だろうか。
水辺には青々とした葉が元気良く伸びている。



木道を通り、上へ上へと歩いていった。



色鮮やかな花々に出合う。



清水港方面を望む。
春霞におおわれ、海と空の青が溶け合っていた。




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あのときの木

2006年03月24日 | 清水ともゑ帳
今年1月14日に、梅の花の記事をUPした。
そのときの写真がこれ↓なのだけれど、そのとき以来、ずっとこの木を見てきた。
わずかづつではあるけれど、その後も花は咲き続けていた。



そして、数日前から、このように↓花が咲いている。



でぶ丸さんが、この木の幹は桜のようだ、とコメントを寄せてくださったとおり、やはり桜だった。
今、やっと本来の季節を迎え、うれしそうに咲いている。
それにしても早い開花だった。
昨年12月の寒波などものともせずに、年明け早々に咲いていたのだから。
いち早く春を届けてくれてたんだね。


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「桜の木は、知らないことだ」

2006年03月23日 | 清水ともゑ帳
 
  桜の木は、知らないことだ。
  人が自分に桜という名をつけたこと。
  この国の人びとが、ただならぬ愛情の念を抱いて桜を視ること。
  木はおのがいのちのうながしにあふれて、花咲き匂うばかり。
  そして、ただ、花散りしきるばかり。
  人が見ても、見なくても、桜は桜の花顔に生き、
  花期全身に艶をはりつめて、その花力を放ち尽くす。

              岡部伊都子著「桜の木は、知らないことだ」より




静岡市葵区の駿府公園のお堀端の桜。
満開までには、あともう少し。

今日は早朝から藤枝市へ出かけた。
清水から西へ車で1時間ほどのところ。
往復する道すがら、あちこちで桜を見た。
雨上がりの陽光に誘われて、
桜が伸びやかに花をほころばせていた。


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春爛漫くじ

2006年03月22日 | 清水ともゑ帳
今日、初めて宝くじを買った。
「春爛漫くじ」というもの。
これまで、宝くじは買っても当らないと思い、宝くじを買うのなら何か他のものを手にした方がいいと思っていた。
でも、今回はちょっと本気で宝くじに賭けてみようと意気込んだ。

もう何ヵ月か前、気持ちが沈んでいたときに、ブームに乗って「六星占術」の本を手にしてみた。
占いによりどころを求めるなんて…とずっと思っていたけれど、気分が少しでも上向きになりそうなものなら、とその本を読み始めた。

「六星占術」によると、私は水星人(マイナス)になる。
今年は「財成」の年で、宝くじなどを買うと当るらしい。
そして、買う場所は、東南の方角がいいとのこと。

先日のグリーンジャンボの時は、車で30分ほどかけて、三保方面まで宝くじ売り場を探しに行ったけれど、見つけられなかった。
そして、もう一度探してみたら、家から歩いて15分ほどのところの「エスパルスドリームプラザ」(通称ドリプラ)に売り場があることがわかった。
そして、買う日も運気のいい日を選んで出かけたけれど、売り切れだった。
他の売り場を紹介されたけど、東南の方向でなければ意味がないように思い、買わずじまいだった。

今月13日から「春爛漫くじ」が売り出されているのを数日前に知り、再びドリプラの売り場へ。
今日は、私の運気が「財成」の日なのだ。
な、なんと、シャッターが閉まっている。



運がないなぁ、と思いながら近づいてみると、「休憩中」の貼紙が。
休憩時間が終るまでのあと15分を待って、窓口へ行った。
何しろ初めてのことなので、夫のアドバイス通りに「バラでください」と言ったら、連番しかないとのことで、連番で買った。
…でも、それが前後賞なんてことで、あとで功を奏するかもしれない。

テレビの番組では、私と同じ水星人(-)の加藤茶に細木先生は言っていた。
「もし、宝くじが当らなかったら、あたしに文句言っておいで。今まで文句言ってきた人はいないから」と。
ああ、当りますように!


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発券機

2006年03月18日 | 清水ともゑ帳
スーパーやショッピングセンターなどに設置されている、「お買い物券発券機」を初めて使った。
クレジット機能がないポイントカードだというので、カードについての説明を何も聞かずに、誘われるままカードを作った。

そんなカードが何枚かあるのだけど、そのうち2枚が、この3月末をもってカードが変わるという。
それに伴い、現在貯まっているポイントも無効になるらしく、早目に買い物券に交換しておいた方がいいらしい。
私は今まで、貯めたポイントがどのように還元されるのか知らずにずっと使っていた。
なので、「お買い物券発券機」が店に設置されていることも知らなかった。

私は、この手のタッチパネルの機械がすごく苦手。
駅の券売機やセルフのガソリンスタンド、コンビニでのコピーに写真の現像、金融機関での振込みなどなど……。
画面に書かれている内容を把握しようと読んでいるときに、後ろで順番を待っている人のイライラを背中で感じると焦ってしまう。
それとか、画面に見入っている私を、困っているのではないかと係員が気をきかせて、私の代わりにいとも簡単に機械を操作すると、些細なこととはいえ、こんなところでも自分のふがいなさを感じてしまう。

貯めたポイントを買い物券に変えるため、まず、最初にAという店でドキドキしながら発券機の前に立った。
何度、カードを入れても戻ってきてしまう。
カードを裏にしたり表にしてみたり……。
画面をよく見たら、「発券」なのか「ポイント確認」なのか選択しなければならなかった。
そうか、わかった、とばかりに、今度はスムーズに事が運んだ。
500円の券が1枚だった。
利用していた割には少ない気がするけど……。
ちょっと残念な思いを抱えながら、早速その券で買い物をした。

翌日は、Bという店に行った。
この店はあまり利用したことがなく、たまに買い物をしても千円も使ったことがない。
ポイントはほとんど貯まっていないだろうけど、でも流されてしまうのはもったいない。
前日の経験をふまえ、今度は少し自信をもって機械に挑んだ。
「えっ?」
思わず目を疑った。
券の枚数が「7」と表示されている。
パネルにタッチしたら、ジージーと音を立てながら、次から次に、500円券が7枚印刷されて出てきた。
おお、すごい!
3500円分を手にした。
有効期限までは1年あるし。
文字通り、「ふところがあったかくなった」気分。
それに、なんたってこの機械が使えたってことが。

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キム兄の料理

2006年03月16日 | 食べもの帳
昨日、『はなまるマーケット』の「はなまるカフェ」で、キム兄こと木村祐一さんが紹介していた料理を作ってみた。
とても手軽にできそうに見えたのと、いつもながら正直な反応を示すヤックンの「おいしい!」が、本当においしそうだったから。
レシピは下記に↓

私はキム兄のレシピに少しだけ手を加えた。
人参のほか、大根を薄い短冊切りにして一緒に炒め、そして、生姜のみじん切りも入れてみた。
夫の反応は、
「辺見えみりは、こんなにうめぇもんを作ってもらってるんだなぁ」
…だった。

ほんとにチャチャッとできる簡単な一品。
主婦にとってはありがたい。
ごはんのおかずにも、お酒のおつまみにもどちらでもいける。

キム兄は以前から好感をもって見ていたけど、料理をしているときの手つきやトークもさらにいい感じだった。
料理本も出ているようなので、ますます興味がわく。
塩昆布を使ったこの料理、我が家の定番になりそうだ。

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【材料】

豚バラ肉…150~200g (3~4cmに切る)
人参…1/3本(短冊切り)
塩昆布…10本くらい(細かく切る)
酒・コショウ…少々
薄口醤油…大さじ1
サラダ油…少々

【作り方】(うろ覚えですが…)

1.フライパンに油をしいて、豚バラ肉と人参を炒める。
2.塩昆布、酒、コショウを加え、味をなじませる。
3.仕上げに薄口醤油で味をととのえて、できあがり。



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街頭インタビュー

2006年03月14日 | 清水ともゑ帳
近ごろ、テレビで街頭インタビューに答えている人につくづく感心し、見入ってしまう。

数ヵ月前のこと、清水駅前銀座アーケード街を、夫と一緒にぷらぷらと歩いているときだった。
見覚えのある男性キャスターがマイクを持って近寄ってきた。
後ろからは、カメラさん、照明さん、そして、ディレクターらしい人もぞろぞろと。

「清水市が静岡市と合併して2年以上経ちますが、合併後に何か変化したことは日常でどうお感じですか」という問いだった。
「……」
まぶしいライトを手のひらでさえぎりながら、夫と私は顔を見合わせたまま、どちらも何も答えられないでいた。
すると、「便利になったことなどありませんか」
と次の質問になり、夫が、
「便利ってのはあまり感じないけど、大型不燃ゴミの回収は、今までの清水のやり方のほうがよかった」
と、やっと具体的なことを口にできた。
私も隣でうなづいていると、
「奥さまもそのようにお感じですか」
と訊かれ、
「はい、そうです」と返した。

おそらく、テレビ局の人が聞きたかったのは、ゴミの回収などではなく、もっと他のことだったのだと思う。
合併については、日ごろ、考えていることはあったような気もするのに、突然マイクを向けられたら、自分の考えなどふっとんでしまった。
……というより、もともと空っぽであったことに気がついた、という方が正しいかも。

そのとき以来、テレビで放映される街頭インタビューを、意識して見るようになった。
どの人も落ち着いて自分の意見を述べている。
「この人っち、すごいよねぇ」と、夫に話しかけると、
「編集してあるに決まってるじゃん」と言う。
それはわかる、編集でまとめてあることぐらい、私にだって。
でも、それにしても……。

新聞の一面に載る難しそうな政治、社会問題について、いきなりマイクを向けられても動じることなく、自分なりの意見を理路整然と語っている場面を見るとあらためて、世間にはすごい人たちがいっぱいいると思うのだ。


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『ガラスのうさぎ』

2006年03月11日 | 清水ともゑ帳
今日は藤枝市へ『ガラスのうさぎ』というアニメーション映画を観に行ってきた。
この作品を自主上映した主催者の I さんに、初めてお目にかかったのは、昨年の秋だった。
とても柔和な方、と思ったのが、私の第一印象だ。
達筆な字で、美しい文章を書かれる素敵な女性なのだ。

物語は、12歳の少女・敏子が東京大空襲の体験し、その後の混乱と厳しい生活を生き抜きながら、平和を願いを娘、孫へと語り継いでいく内容となっている。
主人公の敏子は、この戦争で両親と妹二人を亡くしているのだが、I さんもお父さまを戦争で亡くされたとうかがった。

上映会場に着いたとき、長い列を目の当たりにして、私の胸に思わずこみ上げてくるものがあった。
I さんとスタッフの方々の熱意ある働きかけが、実を結んでいると感じたからだ。
原作者の高木敏子さんは、NHKで来月放映予定の、『課外授業ようこそ先輩』に出演されるそうだ。
高木さんは、子どもたちに、自分のメッセージを伝えきってきたと話されていたそうだ。

I さんが今日この日のためにがんばってこられたこと、そして、作品が伝えたかったメッセージが私の心に深く深く入った。
その想いがなかなか言葉にならず、とてももどかしい。



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Vステップ

2006年03月06日 | 清水ともゑ帳
先日、通販でステップ台を買った。
以前から欲しいなとは思っていた。
けれど、外へウォーキングに出かけるか、すでにあるエアロバイクをこげばいいことと思いなおしていた。



3年前まではエアロビクス、水泳、山登り、マラソンなど、からだを動かしていたけれど、近ごろは何もしていないに等しい。
カレンダーには8年前から毎朝、体重、体脂肪率を書き込んで管理している。
今年に入り、その数値が「軽くヤバイ」状態になった。
それでも体重はあまり増えていないので、まだ大丈夫と油断していた。
が、今月に入ってから、「かなりヤバイ」になってしまった。
過去8年間で最高の体脂肪率に。
食べ物を制限するのではなく、運動量を増やすことで元に戻したい。

ステップ台は3段階に高さが調節できる。
写真の高さは約20cmで、これが一番高い。
踏み台昇降の要領で、エアロビクスのVステップの動きをし、負荷をかけている。
さらに運動量を増やしたいときは、両手にダンベルを持ち、手足の振りを大きくする。
テレビを見ながらなど、「~ながら」でしていても、同じ動きをたとえ10分間でも続けるというのは、はなかなか退屈なもの。

以前、テレビで、ある年輩の俳優さんが、「人間は足から枯れる」と言っていた。
ちょっとした敷居の段差でもつまづいてしまうのだと……。
夫と二人、年を重ねていくのに、互いに健康でいなければ、と思う。
多少退屈なことでも、足腰が弱ってしまわぬよう、運動は続けていこうっと。

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春待ちの食卓

2006年03月02日 | 清水ともゑ帳
惣菜コーナーをのぞいて、いつも気になりながら、迷った末に手を引っ込めてしまうのが、ちくわの磯辺揚げ。
うちで簡単にできるから、買うのはもったいないと思ってしまう。
そのくせ、いざとなると、せっかく揚げ物をするのなら、もう少し凝ったものにしようと思い、結局、家では作らない。

けど、先日、ちょっと思い立って、久しぶりに作ってみた。
できあがったちくわの磯辺揚げは、青海苔が鮮やかだった。
それは、芽吹きの色、うぐいすの色のように思え、食卓は思いがけず春めいたものになった。
ちくわも青海苔粉も旬の食材というわけではないけれど、春を待つ気持ちは、磯辺揚げを季節の特別な料理のように感じさせてしまうのだ。

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 しみずマリンロード(旧国鉄清水港線)の菜の花


ずっとずっと向こうまで、菜の花が咲いている


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