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★保守だからこそ自由社版教科書に反対します


↑ これについては後で説明します。
 
扶桑社から関係を解消された「新しい歴史教科書をつくる会」が自由社という出版社から出した中学校歴史教科書を採択した横浜市で、滑稽な現象が起きています。
 
横浜市教職員組合(日教組加盟)が自由社版教科書の問題点を書いた「中学校歴史資料集」を組合員に配布したことに対し、「つくる会」は、自由社版教科書を使わせない授業マニュアルであり、学校教育法に定められた教科書使用義務に違反していると反発し、横浜市教委や自民党市議たちは「つくる会」側に立っています。共産党が民主党支持の浜教組を応援するという“民共連合”もできています。
 
まず第一に、左翼がこういう手段を取ることは想定の範囲内です。そもそも「つくる会」は自虐教科書の氾濫を憂慮し「自国に対してここまで悪意に満ちた教科書を国費で子どもに押しつけるのは、国民の教育権に対する許しがたい侵害」(『国民の油断』の藤岡信勝氏のまえがき)という認識から生まれたはずです。「悪い教科書は使うな」「『つくる会』の教科書を採択しなくても、せめて副読本として使え」「教科書が悪くても教師は授業でカバーしろ」「近現代史の授業改革だ」という立場です。
 
自分たちの教科書が採択された後、左翼に邪魔されたからといって「教科書の使用義務」を持ち出すのはダブルスタンダード(二重基準)です。歴史観で論争すればいいのです。「教科書の使用義務」を持ち出したら、あくまで自虐教科書を採択する地域の教育は永遠によくなりません。そういう地域には自虐教科書の間違いを正す「授業マニュアル」を配り、教師の意識を変えるべきではありませんか? そのための「自由主義史観研究会」だったのではないですか?
 
さて、大事なことは、自由社版教科書が、浜教組や共産党が非難し自民党市議が擁護するような立派な教科書かという点です。
 
検定に出された自由社版教科書は2年前の平成20年12月、文部科学省から516か所にも上る欠陥を指摘されて不合格となりました(「つくる会」は未だに不合格の事実を会員に公表していません)。
 
再申請しましたが、さらに136か所の検定意見が付き、自由社はそれを受け入れて昨年4月にようやく合格しました。
 
翌月、自由社版教科書の市販本である『日本人の歴史教科書』が発売された後、当ブログは、自由社版教科書が扶桑社版を大部分コピーしつつ、コピーしなかった部分で自虐的に改悪している―という事実を連載で指摘しました。
 
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪〈上〉←クリック など
 
すると自由社は、当ブログの指摘を一部受け入れて、文部科学省に40か所に上る自主訂正を申請し、供給本(生徒たちに配られる教科書)で直しました(その訂正は市販本には未だに反映されず、店頭に並んでいます)。訂正内容は下記で報告しました。
 
★あくまで「安重根は韓国独立の志士」の自由社版←クリック
 
安重根については「射殺」を「暗殺」に直しただけで、「韓国独立の志士」はそのままです。他社より詳しい三・一独立運動の記述などの自虐的内容も変わっていません。扶桑社版にある菅原道真、阿倍仲麻呂、岡倉天心、乃木希典の名前も載っておらず、基本的な傾向は同じです。皇后陛下の頭も切られたままです。
 
韓国併合100周年をめぐる菅首相談話と自由社版教科書の朝鮮関係の記述は瓜二つです。
 
★菅談話と自由社版教科書の記述は同じじゃないか←クリック
 
自由社版教科書は自虐教科書です。浜教組や共産党は、扶桑社版ではなく自由社版が採択されたことに胸をなでおろさなければいけませんし、自民党市議は自由社版の自虐的な内容を問題にしなければなりません。あべこべなのです。
 
しかも、自由社版教科書はこれだけ訂正してもまだミスがあります。下に掲載したのは自由社が先月、生徒たちに配った「お詫びと訂正」リーフレットです。
  
生徒たちが使っている教科書に写真の裏焼きが7枚もあったというのです。
 
・3ページ「キトラ古墳」(5枚中4枚)
・19ページ「仮面土偶」
・67ページ「壇ノ浦の戦い」
・86ページ「応仁の乱 真如堂縁起絵巻」
 
フルカラー5ページの正誤表リーフレットです。こんなことは教科書史上、前代未聞です。これを該当ページに糊で貼り付けなさいと言わなければいけない先生たちも、貼り付ける生徒たちもかわいそうです。
 
自由社は、教科書を回収して刷り直さないところがなんともセコいです。 
 

 
横浜市の自由社版教科書採択を主導した今田忠彦教育委員長は、自分ではいいことをしたと思っていたのでしょう。しかし保守を挙げての称賛がないので「どうなってるんだ?」と首をひねっているでしょう。真相は、これまで説明したような構図です。自虐的で欠陥だらけの教科書を選び税金で購入したことを猛省してください。
 
横浜の自民党市議の皆さんはこのブログをよく読んで、保守政治家らしい行動をとってください。
 
私たちは、保守だからこそ自由社版教科書に反対します。

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★平成13年夏…金鍾泌と「西尾つくる会」が残した禍根

わが尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船を沈めようとした殺人未遂船長を菅内閣が釈放して、問題が収まるかと思ったら謝罪と補償を要求されたり反日デモが起きたり…。やくざ国家に譲歩してはいけないという典型ですが、9年前に「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長)は同じようなことをして、重大な禍根を残しています。教科書問題史上特筆すべき「西尾つくる会」対韓屈服事件の真相を明らかにします。

扶桑社の中学校歴史教科書が最初に検定に合格した平成13年、韓国が内政干渉を行い、在日本大韓民国民団も採択妨害を繰り広げました。韓国政府は5月8日、わが国政府に扶桑社版の記述について25項目の修正要求を突き付けました。
 
西尾幹二氏ら執筆者は採択戦まっただ中の7月2日になって、検定に合格しているにもかかわらず、朝鮮関係の9か所について文部科学省に自主訂正を申請しました。9か所のうち5か所は韓国政府が修正要求した部分でした。西尾氏は翌日の産経新聞に次のような長いコメントを発表しました。
扶桑社の教科書が市販され、全国津々浦々からさまざまな反響が寄せられた。韓国の多くの友人たちからも心のこもった助言があった。それらを検討した結果、記述を改めた方がいいと思われた点については、教科書の完成度をさらに高めるため、自主的に訂正することにした。
まず、「海を渡った大和朝廷の軍勢は、百済や新羅を助けて、高句麗とはげしく戦った」(38ページ)との部分については、当時の全体状況についての歴史解釈として妥当性が十分主張できるが、文中で依拠史料とした広開土王碑文には、新羅の日本への救援要請について明記されていないため、「新羅」の国名を削除する。
「中国の服属国であった朝鮮」(185ページ)、「朝鮮やベトナムは…中国の歴代王朝に服属していた」(198ページ)に用いられた「服属」の語は、「従いつくこと。つきしたがうこと」(広辞苑)の意で用いたが、韓国の友人から「この語によって傷つけられた」と聞いて、それぞれを「中国の強い政治的影響下にあった朝鮮」「朝鮮やベトナムは…中国歴代王朝の強い政治的影響下にあった」に改めることとした。
われわれの教科書はもともと隣国の人々の心を傷つけたり、侮ったりする気持ちをいささかも持っていない。
韓国併合(240ページ)に関する「一部に併合を受け入れる声もあったが」の記述にも同様の思いで対処した。一進会という韓国内にあった合邦促進団体が最盛時には二十数万(当時の総人口は約千三百万人)の会員を擁し、合邦請願書を出していた事実がある。さりとて、一進会の会員の動機がきちんと報われたという証拠もない。そこで、この一行を削除することにした。
われわれは今後も、建設的な指摘には謙虚に耳を傾けていきたい。通常、検定合格後の自主訂正は世間に知らせないものだが、われわれはそれをきちんと公開する。近く、文部科学省から、韓国や中国からの再修正要求に関する精査の結果が発表されるようだが、外国の干渉が教育という国家主権の基本を侵すことは絶対にあってはならない。

自主訂正申請を受けて、西尾幹二氏お気に入りの福田康夫官房長官(西尾氏は後に、安倍晋三氏より福田康夫が首相にふさわしいと産経新聞「正論」欄←クリック に書きました)が手回しよく「自主訂正を高く評価する」と記者会見で語りました。
 
「西尾つくる会」の韓国への屈服で最も問題なのは〝朝鮮は中国に服属していた〟と〝韓国併合の際、韓国内に併合を受け入れる声もあった〟という当たり前の記述を、検定に合格しているにもかかわらず引っ込めたことです。具体的には
p185
中国の服属国であった朝鮮
         
中国の強い政治的影響下にあった朝鮮
 
p198
朝鮮やベトナムは…中国の歴代王朝に服属していた
         
朝鮮やベトナムは…中国の歴代王朝の強い政治的影響下にあった
 
p240
韓国の国内には、一部に併合を受け入れる声もあったが、民族の独立を失うことへのはげしい抵抗がおこり
         
韓国の国内には、民族の独立を失うことへのはげしい抵抗がおこり
としました。
 
1週間後の7月9日、わが国政府は韓国政府の修正要求に回答しましたが、「扶桑社版の誤りは『新羅を助けて』の部分だけ」というものでした。つまり文科省は〝朝鮮は中国に服属していた〟〝韓国併合の際、韓国内に併合を受け入れる声もあった〟は修正の必要はないと突っぱねたのに、「西尾つくる会」は文科省を飛び越える自虐ぶりで朝鮮に服属したのです。
 
3年後の平成16年、扶桑社は改訂版を検定申請する際、〝朝鮮は中国に服属していた〟〝韓国併合の際、韓国内に併合を受け入れる声もあった〟という記述を復活すべく、再び白表紙本に書きました(検定申請時の「つくる会」会長は田中英道氏。8月から八木秀次氏)。

ところが、文科省は前回合格させたこの記述を認めませんでした。

扶桑社版教科書(平成16年度検定、17年度採択、18年度使用開始)の検定結果
p163←クリック 「服属」→「朝貢」 「支配」→「影響」
p170←クリック 「一部に併合を受け入れる声もあったが、」を削除

前回検定の後に「西尾つくる会」が韓国に譲歩したことが検定方針を変えてしまったのです。「西尾つくる会」は、後の祭りでは済まされない、取り返しのつかない重大な禍根を残したのです。「西尾つくる会」が新たな近隣諸国条項を作ったと言ってもいいでしょう。
 
今の「藤岡つくる会」の自由社版教科書(平成20年度検定、21年度採択、22年度使用開始)の親韓・自虐ぶりについては、このブログで指摘してきた通り←クリック です。
 
                  □                  □
 
西尾幹二氏は〝韓国の友人が傷ついたと言っているから訂正した〟と情けない弁明を産経新聞に書いていますが、「韓国の友人」とは誰なのでしょうか。
 
当時「つくる会」中枢にかかわった人しか知らない事実ですが、この自主訂正は韓国の元首相・金鍾泌(きん・しょうひつ)が森喜朗氏(検定合格時の首相)に働きかけ、産経新聞社首脳を通じて「つくる会」に伝えられ、「つくる会」が応じた―というのが真相です。福田康夫官房長官の記者会見も筋書き通りでした。
 
金鍾泌は韓国中央情報部(KCIA)の初代部長で、統一教会(世界基督教統一神霊協会)育ての親として知られています。当時、韓日議員連盟の会長として頻繁に来日し、外国人参政権についても政界工作を行っていました。
 
「西尾つくる会」は「自主訂正に応じれば韓国政府の干渉も民団の採択妨害も収まる」と言い訳していたそうですが、結果は全く収まることはありませんでした。
 
金鍾泌も含め、この事件の関係者はすべてご存命ですので、興味のある方は直接お聞きになってはいかがでしょうか。
 
【資料】金鍾泌 工作の軌跡
平成12年
7月20日
 韓日議員連盟会長に金鍾泌を選出
7月29日 金鍾泌、島根県掛合町で故竹下登元首相の葬儀に参列
8月3日 金鍾泌、首相官邸に森喜朗首相を表敬訪問(槙田邦彦外務省アジア局長ら同席)。自民党本部で野中広務幹事長と会談。野中氏が外国人参政権法案について「最後は党議拘束を外してでも成立させたい」と発言
9月4日 金鍾泌、ソウルで自由党の小沢一郎党首と会談
9月18日 金鍾泌、ソウルで自民党の野中広務、公明党の冬柴鉄三、保守党の野田毅の与党3党幹事長と会談。野中氏が外国人参政権法案について「可能な限り、わが党内の未消化部分を議論し、結果は実りあるものにしていきたい」と発言
平成13年
1月13日
 金鍾泌、大阪市で在日本大韓民国民団大阪府本部など主催の年賀交換会に参加
1月16日 金鍾泌、首相官邸で森喜朗首相と会談(槙田邦彦外務省アジア大洋州局長ら同席)。記者団に「教科書問題について、いろいろお願いをした」
3月6日 在日本大韓民国民団が扶桑社版教科書について「容認できない」として「適切な措置」を求める要望書を文部科学省に提出
3月7日 自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」で槙田邦彦外務省アジア大洋州局長が中韓の教科書批判について「強制的な命令でなければ内政干渉に当たらない」と発言
3月8日 金鍾泌、事実上の韓国政府特使として首相官邸で森喜朗首相と会談(福田康夫官房長官ら同席)。「(扶桑社版教科書が)現在の良好な日韓関係に悪影響を及ぼさないようにお願いしたい」と要請。中曽根康弘元首相、河野洋平外相とも会談
3月9日 金鍾泌、産経新聞社で羽佐間重彰会長らと懇談。検定中の教科書について「日本による韓国併合などの歴史問題で正確でない記述があれば、次代を担う子供たちに誤った認識を植え付けることにならないか、と韓国内では懸念がある」と発言。羽佐間氏は「日韓の友好と親善を願う気持ちはわれわれも同じだ」と述べたうえで、かりに意見の違いがあっても互いによりよい未来を築くという意志をもっていることが重要だとの考えを示し、双方は「両国民の相互理解をいっそう深め、問題があれば未来志向で乗り越えていく必要がある」という認識で一致left
4月3日 扶桑社版教科書が検定に合格。韓国政府が声明で「深刻な憂慮」を表明。韓国メディアも反発
4月4日 韓国の韓昇洙外交通商相が寺田輝介駐韓大使を呼び、「日本政府の誠意ある措置」を求める
4月9日 韓日議員連盟(会長・金鍾泌)が5月にソウルで開催予定だった日韓議員連盟との合同総会の無期限延期を決定
4月10日 韓国政府が歴史教科書問題を協議するためとして崔相龍駐日大使を一時帰国させる
4月12日 韓日議員連盟の朴相千副会長らが町村信孝文部科学相、河野洋平外相と会い、扶桑社版教科書の再修正を要求
4月18日 森喜朗首相が退陣会見
4月26日 小泉純一郎内閣が発足
5月3日 金鍾泌、ソウルで鳩山由紀夫民主党代表と会談
5月8日 韓国の韓昇洙外交通商相が寺田輝介駐韓大使を呼び、扶桑社版教科書について25項目の修正を要求
6月30日 藤岡信勝「つくる会」副会長、東京都内で開かれた自由主義史観研究会の緊急学習会で「客観的な間違いがあれば、学校での使用開始までに自主的に改める」と発言
7月2日 西尾幹二「つくる会」会長ら執筆者が文部科学省に自主訂正を申請。福田康夫官房長官が記者会見で「近隣諸国が問題にしている教科書の執筆者が、大局的見地から自主的に修正を行ったことは高く評価したい」。公明党の冬柴鉄三幹事長も「韓国の友人の助言に従い削除した点については評価したい」と発言
7月3日 自民党の山崎拓幹事長が記者会見で「積極的、自主的に修正されたことを評価したい」と発言
7月9日 韓国政府の修正要求に対して日本政府が「扶桑社版の誤りは1カ所(自主訂正申請済みの「新羅を助けて」)のみ」と回答。金鍾泌、ソウルで自民党の山崎拓、公明党の冬柴鉄三、保守党の野田毅の与党3党幹事長と会談。「教科書問題をこのまま放置すれば日韓関係に重大な支障をきたす」と発言
8月15日 教科書採択終了。扶桑社版歴史教科書の採択率0.039%

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★菅談話と自由社版教科書の記述は同じじゃないか

10日に発表された「菅首相談話」をめぐって「新しい歴史教科書をつくる会」は、先月28日に阻止の「緊急アピール」を決定し、9日に首相官邸への抗議呼びかけを行いました。11日には「全力で撤回運動を展開しよう!」というFAX通信を流しました。
 
18日付の産経新聞「正論」欄には、「つくる会」会長の藤岡信勝拓殖大学教授が菅談話を批判する文章が掲載されました(これまで藤岡氏について「拓殖大学教授」と嘘の肩書を掲載していた産経新聞は「拓殖大学客員教授」に軌道修正しました←クリック)。
 
しかし、「つくる会」に菅談話を批判する資格があるのでしょうか? 自分たちが作った自由社版中学校歴史教科書は親朝鮮・自虐史観の教科書で、菅談話と同じことが書いてあります。
 
まず菅談話をお読みください。
                    内閣総理大臣談話
                                        平成二十二年八月十日
 本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど百年前の八月、日韓併合条約が締結され、以後三十六年に及ぶ植民地支配が始まりました。三・一独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。
 私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします。(後略)
 
続いて、自由社版教科書の関連記述をご覧ください。
■自由社版教科書の韓国併合の記述(p172~173)

【写真説明】
 韓国服の伊藤博文 伊藤は首相を引退後、1906年に日韓協約による初代韓国統監として赴任した。1909年満州視察の途中、ハルビン駅で韓国独立の志士、安重根に暗殺された。
※テロリスト安重根を「韓国独立の志士」としている。書店で市販されている『日本人の歴史教科書』では伊藤が「射殺された」になっているが、当ブログ(昨年6月3日付など)が指摘したところ、学校で配る供給本では「暗殺された」に変更。
【本文】
 1910(明治43)年、日本は、武力を背景に韓国内の反対をおさえて、併合を断行した(韓国併合)。韓国の国内には、民族の独立を失うことへのはげしい抵抗が起こり、その後も、独立回復の運動が根強く行われた。
 韓国併合のあと置かれた朝鮮総督府は植民地政策の一環として、鉄道・灌漑の施設を整えるなどの開発を行い、土地調査を開始した。しかし、これらの近代化事業によって、それまでの耕作地から追われた農民も少なくなく、また、その他にも朝鮮の伝統を無視したさまざまな同化政策を進めたので、朝鮮の人々は日本への反感をさらに強めた。

※扶桑社版にない「朝鮮の伝統を無視した」を加筆。
 
■自由社版教科書の三・一独立運動の記述(p185)

【本文】
 日本の支配下の朝鮮では、1919年3月1日、旧国王の葬儀に集まった人々がソウルで独立を宣言し、「独立万歳」を叫んでデモ行進を行った。この動きはたちまち朝鮮全土に広まった(三・一独立運動)。朝鮮総督府は武力でこれを鎮圧したが、以後は統治の方針を文化統治(文治)政策に変更し、のちに、日本との一体化を進めていくこととなった。
【側注】
 最初は非暴力の集会として計画されたが次第に大規模になったため軍隊までが出動したことでかえって衝突がはじまり、民衆に多くの死傷者が出た。日本国内でも吉野作造、宮崎滔天など、「朝鮮民衆の当然の声」として、この運動に理解を示す知識人があった。
※軍隊の出動が多くの死傷者につながったとか、日本国内に三・一独立運動に理解を示す声があったという、この側注は扶桑社版にはない。
 
■自由社版教科書の朝鮮統治の記述(p208~209)

【本文】
 朝鮮半島と台湾では、日中戦争開始後、日本式の姓名を名乗らせる創氏改名などが行われ、朝鮮人や台湾人を日本人化する政策が強められた。戦争末期には、徴兵や徴用が、朝鮮や台湾にも適用され、現地の人々にさまざまな犠牲や苦しみを強いることになった。また多数の朝鮮人や中国人が、日本の鉱山などに連れてこられて、過酷な条件や待遇のもとで働かされた。
【「ここがポイント!」】
 国民の間にどのような苦難と犠牲が生じたか?→(中略)③朝鮮と台湾での創氏改名など日本人化政策強化④朝鮮と台湾の出身者にも徴兵と徴用(後略)
 
≪菅談話≫
「三・一独立運動などの激しい抵抗」

≪自由社版教科書≫
「民族の独立を失うことへのはげしい抵抗」

 
≪菅談話≫
「政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって」
≪自由社版教科書≫
「日本は、武力を背景に韓国内の反対をおさえて、併合を断行した」「植民地政策の一環として」

 
≪菅談話≫
「国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました」
≪自由社版教科書≫
「朝鮮の伝統を無視したさまざまな同化政策を進めたので、朝鮮の人々は日本への反感をさらに強めた」

 
≪菅談話≫
「多大の損害と苦痛」

≪自由社版教科書≫
「さまざまな犠牲や苦しみを強いることになった」「苦難と犠牲」

 
どこが違うのでしょうか? 善良な保守の人々を騙すのはもうやめてください。騙されている人たちにも責任があります。教科書をよく読んでください。
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
自由社と朝鮮半島をめぐるこれまでの記事
★「つくる会」と「自由社・石原萠記」と「ソ連」と「中国」と「社会党右派」と「創価学会」
★つくる会を軍国主義と批判する月刊「自由」(自由社発行)
★慰安婦に興奮する藤岡信勝-by「自由」11月号
★「不敬を正す会」も作ってください。加瀬英明さん
★統一教会は公安警察の監視対象
★石原萠記よ、福留貴美子さんを救え!―「日本出版協会」の正体
★自由社役員「慰安婦は強制連行された」
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
★乃木大将削除を開き直る「つくる会」理事-扶桑社版からの改悪<10>
★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」と書く自由社版-扶桑社版からの改悪<11>
★あくまで「安重根は韓国独立の志士」の自由社版
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★中村粲先生を批判する藤岡信勝元教授

昭和史研究所代表で獨協大学名誉教授の中村粲先生(日本教育再生機構代表委員、教科書改善の会賛同者)が6月23日、肺がんのため逝去されました。偉大なる業績と人格に深く敬意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 
中村粲先生は「新しい歴史教科書をつくる会」ができるずっと前から教科書改善運動をリードされてきました。
 
★渡部昇一、小堀桂一郎、中村粲…教科書改善の先達を大事にしましょう←クリック
 
「つくる会」会長の藤岡信勝氏(元拓殖大学教授)は中村粲先生や渡部昇一先生(日本教育再生機構顧問、教科書改善の会世話人)を“彼らは大東亜戦争肯定史観だ。私は自由主義史観だ。司馬史観なんだ。健康なナショナリズムだ”と批判してきました。
 
藤岡信勝元教授の著書の記述を資料として掲載します。中村粲先生の名著『大東亜戦争への道』について“東京裁判史観と同じ善玉・悪玉史観だ”と指摘しています。
 
特にコメントは付しません。保守を自任する方々は、これを読んで、ご自分が「つくる会」・藤岡元教授の「自由主義史観」(≒司馬史観)に立つのか、中村粲先生・渡部昇一先生の史観に立つのか判断してください。
藤岡信勝著『近現代史教育の改革―善玉・悪玉史観を超えて』(『自由主義史観とは何か』のタイトルで文庫本化)より抜粋。

三 善玉・悪玉史観としての共通性
 中村粲『大東亜戦争への道』の内容は、全編にわたってほぽ百パーセントの日本弁護論である。日本は悪くなかった、ということがいたるところで「証明」される結果になっている。日本がかかわった戦争の責任は常に、侵略的な欧米・ロシアや、守旧にこりかたまり堕落した朝鮮や中国の王朝の側にある。時代が下れぱ中国の排日・侮日の運動であり、コミンテルンの陰謀である。
 この図柄はどこかで見たものである。然り、戦前の日本の歴史教科書がこういう書き方だったのだ。たとえば『初等科国史』(一九四三年版)の「満州事変」の記述は次の通りである。
(略)
 中村の『大東亜戦争への道』は、この戦前の国定教科書と全く同じ論理で書かれている。個々の文章の引用よりも、「第十章 満州事変」の最初の二つの節の小見出しだけを掲出してみよう。
 「第一節 満州緊迫、柳条溝事件ヘ――幣原外交と田中外交/「革命外交」の登場/支那の関税自主権を承認/満州赤化と排日暴動/革命外交で排日激成/「打倒日本」を怒号する支那/事件の勃発/満州事変は結果である」
 「第二節 四半世紀の累積因――満鉄包囲鉄道の完成/商租権の侵害/排日教育の徹底/日支懸案、実に三百件/実力行使を誘発した中村大尉殺害事件」
 『初等科国史』の記述を裏付ける事実がふんだんに書き込まれている。そして、それだけである。悪いのはすべ「海外の諸国」であり、日本だけは少しも悪くないというのである。
 「東京裁判史観」ではどうであったか。悪いのは日本だけである。他の諸国は少しも悪くなかったか、または日本の侵略の被害者であった。この見方は一面的であり公正さを欠く。拒否すべきだ。しかし、だからといって日本だけが正しかったというのもこれまた空想的である。英、米、中、ソがそれぞれの国家意志をもち、彼らの国家行動に悪の要素が含まれていたことを認めることはいい。その中にあって日本だけは悪の要素を含んだ国家意志を少しももたなかったのだろうか。日本だけがあたかも「平和の天使」の如き存在だったのだろうか。そんなことは考えられない。
 結局、中村の歴史観は、「東京裁判史観」の裏返し、ちょうどその図柄のネガ・ポジを反転させたものになっているのである。
 
四  「大東亜戦争肯定史観」の墓本的性格
 歴史家・秦郁彦は、アメリカが対日石油禁輸という強硬策をとったことについて、「そうなるのを知りつつ、日本が南仏印へ進駐して禁輸の口実を与えたのは、正義、不正義の次元で論ずべきではなく、賢か愚かで判定すべきものであろう」と言う。
 ①正義―不正義
 ②賢―愚
 この二つの次元を区別して歴史を見ることは極めて重要である。日本の大陸における行動も、当時の国際社会の行動規範にてらして、それほどはなはだしい不正義を意味するものではなかったことが証明されるかもしれない。日本だけが専ら悪者にされてよいはずがない。中村の著書の主要な目的は悪者にされた日本の名誉回復である。それはそれでいい。すでにのべた通り逆の単純化があるとしても、日本になすりつけられた不当な非難をとり除くことは必要である。
 しかし、もっと重要なのは②の観点に立った歴史の評価である。かりに日本の行動が当時の水準からみてそれほど正義にもとるものではなかったとしても、満州事変は愚かな行動であった。なぜそういう愚かな行動に走ってしまったのか。②の次元を設定することによって探究はその方向に進む。愚行を再びくり返さないための教訓が引き出せる。ところが、中村の論述は、この方向には向かわない。たとえば満州事変について中村は次のように書く。
 「日支関係の悪化の原因は、ひとり幣原あるいは田中の政策に帰すべきものにはあらずして、支那と云ふ統制なき隣国をもった日本の不運と云ふべきであらう」。
 これでは何の教訓も得られない。一種の宿命論である。この部分に中村の論の性格がよくあらわれている。中村は②の次元にそっての、より賢いふるまい方、政治家の結果責任に対応するよりすぐれた政策の探究という課題にはそもそも関心がない。中村の論理においては、支那の不当と日本の正当が証明され傷ついた自我をいやすことさえできればそれで満足なのである。そのことは終章の次の要約部分によくあらわれている。
 「支那事変は特殊な例であり、国防とも生存とも関係なかった。それは挑発されて起した軍事行動であり、挑発した支那側の膺懲が目的であって、我が国家民族の安全と生存といふ切実な要請から発した対外行動ではなかった。さうなればこそ、我国はこの無意味なる事変を速かに終息せしめんと百方努力したのであるが、逆にABCD包囲陣に我国の生存事態が脅威されるに至ったため、已むなく自存の道を求めて南方に進出し、遂には包囲陣を打破して自存自衛を全うせんがため、対米英蘭開戦に踏切ったのであった」。
 「国防とも生存とも関係な」い「無意味」なことなら、挑発されてそういう行動に踏み込むのは、まさに愚の骨頂ということになるはずである。売られたケンカを買うために一家の財産を全部犠牲にしたようなものである。このケンカは「売られたものである」(支那の挑発、コミンテルンの工作)ということを論証すれば小さな範囲で正義は弁じうるかもしれないが、そんなことのために一家の財産をスッてしまう愚かさを帳消しにすることはできないのである。
 中村のものに限らず、「大東亜戦争肯定史観」の本質的性格は、傷ついた魂の慰めという後向きの(だが不必要とはいいきれない)機能にこそある。一見したところ誤解されやすいのだが、それが真の国益や、生存のためのリアリズムとは本来的なかかわりをもたない歴史観であるところに、この歴史観の最大の問題が伏在しているのである。
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★スクープ! 自由社「賃金不払い」で訴えられた

※この記事は産経デジタルのイザ!ブログに掲載されたもののアーカイブです。
「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史教科書の発行元である自由社(加瀬英明社長)が元編集スタッフ2人から未払いの制作報酬計約440万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こされていたことが、プロジェクトJの調べで分かりました。17日に第1回口頭弁論が開かれます。
 
プロジェクトJの調べによりますと、2人は自由社版歴史教科書『新編 新しい歴史教科書』の白表紙本(文部科学省の検定に提出する教科書)や、書店で市販されている『日本人の歴史教科書』などの編集やデザインに携わっていましたが、請負代金のうち計439万1100円が支払われていないと主張しています。自由社側は争う模様です。

▲自由社版教科書の供給本と市販本
 
提訴した2人は自由社の取締役教科書編集室長だった松本謙一氏(元「つくる会」東京支部長、鉄道模型雑誌「とれいん」創業者)の依頼で編集に携わっていました。松本氏は自由社を主導する推理作家・石井竜生氏(現在の肩書は出版部長)や藤岡信勝「つくる会」会長と対立し、加瀬英明社長から教科書編集室長を解任されたという経緯があります。松本氏はその一部始終を暴露するメールを「つくる会」関係者に送っていました。
 
 松本謙一氏の告発メール第1弾←クリック
 松本謙一氏の告発メール第2弾←クリック
 
第1回口頭弁論は6月17日午前10時から東京地裁723号法廷(民事26部、小林昭彦裁判官)で開かれます。
 
裁判記録を閲覧する場合は14階の民事訟廷事務室記録閲覧謄写係で、申請用紙に事件番号「平成22年(ワ)第16140号」を記入してください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて、藤岡信勝元教授の肩書詐称問題ですが、拓殖大学関係者も含め20件以上の情報が寄せられています。
「藤岡信勝・拓殖大教授」と記述した5月24日付産経新聞1面記事などこの1年余りの記事について産経新聞社読者サービス室に誤りだと指摘した人は、「ご迷惑をお掛けし、お詫びいたします」との謝罪の返信を受け取っています。↓

産経新聞社が謝っているのに、産経デジタルはなぜ当ブログを閲覧停止にしているのでしょうか?
 
関係者によると、藤岡信勝元教授は拓殖大学から「教授を名乗っているという外部からの指摘がありまして…」とやんわり言われ、「講義を持っているので教授と名乗ってもいいと思っていた」と案の定「広義の教授」を主張したそうですが、最終的には「今後は使いません」と約束したそうです。
 
もっとも「つくる会」のホームページ←クリックは依然として「拓殖大学教授」になっていますが…。
 
引き続き情報を募集します。
project-justice@mail.goo.ne.jp
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★おい、韓国文化放送!勝手にこのブログを映すな


日本書籍新社撤退のスクープ←クリックを1か月以上たってから産経新聞が「関係者の話で分かった」と後追い報道←クリックしたかと思ったら、今度は韓国文化放送(MBC)のテレビニュース←クリックが当ブログを映し出しました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キャスター
日本の教科書の歴史歪曲がますます激しくなっています。
日本右翼陣営内の鮮明性競争のためです。
東京から朴チャンホ特派員がお伝えします。

■朴チャンホ
右翼系列出版社自由社の中学校歴史教科書の173ページに伊藤博文が安重根に「暗殺された」と書かれていますが、昨年、日本政府の検定を通過したときには「射殺」という表現でした。
比較的中立的な用語である「射殺」を、出版を控えて訂正申請して「暗殺」に変えてしまったのです。
同じような手続きで変わった内容はもっとあります。
「太平洋戦争」は東アジアの共同繁栄のために戦ったという意味の「大東亜戦争」になりました。いわゆる神風特攻隊の自殺攻撃は単に「攻撃」に変わりました。
教科書の修正は、ある右翼団体が自由社の教科書を日和見主義的として非難を浴びせる中でなされました。
自由社教科書を攻撃したこの団体は、他の右翼系列出版社の育鵬社を支援しています。
もともと右翼系列出版社元祖格の扶桑社で同じ釜の飯を食べた彼らは、路線闘争を経て今は自由社と育鵬社に分かれました。
育鵬社側がより極右的で攻撃的なのに、一部の人々は自由社が歴史教科書に三・一独立運動を記述したのも問題視しています。
こうした鮮明性競争の中で、日本の中学校右翼系列歴史教科書の採択率は毎年高まっています。
 
■石山久男(歴史教育者協議会)「(教育委員らが可能ならば)従軍慰安婦とか、強制連行とか、まあそういうことについて、あまり書いてない教科書のほうを採用しようと…」
 
■朴チャンホ
特に育鵬社は強大なメディア資本の支援まで受けています。
右翼系列ではなくとも、中学校歴史教科書を申請した出版社7社中、慰安婦問題を言及してきたところは1社だけで、それも教科書本文でなく脚注に書かれています。
東京からMBCニュース朴チャンホがお伝えしました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
親北朝鮮の全国言論労働組合組合員の朴チャンホさん。
 
「強大なメディア資本」ってフジサンケイグループのことでしょ。韓国文化放送の東京支局はフジテレビの18階にありますね。あなたはそこで毎日海を眺めながら仕事をしてるじゃないですか。フジサンケイグループが気に入らないなら、そこを出て新しい事務所を探してください。
 
「ある右翼団体が自由社の教科書を日和見主義的として非難」「自由社教科書を攻撃したこの団体は、他の右翼系列出版社の育鵬社を支援」って言ってますが、このブログは「教科書改善の会」とは関係ありません。訂正してください。
 
韓国メディアの皆さんは、馬鹿の一つ覚えみたいに「右翼教科書が2つできた」と報道してますが、違います。自由社は親韓国です。このブログでバラされて微修正しただけです。
 
自由社の創業者・石原萠記さんは在日韓国大使館の広報誌を出していたほどの親韓派。社長の加瀬英明さんも韓国人女性を雇って日韓親善に努めてきました。加瀬さんの『韓国人はなぜ日本人が大嫌いか-友好的環境づくり7の提言』っていう本、なかなか面白いですよ。役員の植田剛彦さんは韓国大使館とも民団とも親密です。
 
ナムサンだかアンギブだか国情院だか知りませんが、南麻布にいる工作員に聞けば分かりますよ。
 
俵義文さんとばっかり連絡を取ってないで、たまにはこっちにもメールしてきなさいよ。全部教えてあげますから。
 
プロジェクトJ project-justice@mail.goo.ne.jp
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★あくまで「安重根は韓国独立の志士」の自由社版


左は、扶桑社から絶縁された「新しい歴史教科書をつくる会」が自由社という出版社から市販している『日本人の歴史教科書』です。この気持ち悪い表紙の正体は
 
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>←クリック
 
で紹介しました。
 
右は、新学期に横浜市の8区の市立中と東京都市大学等々力中など一部私立中の子供たちに配られた自由社の『新編 新しい歴史教科書』です。採択期間中の「見本本」に対して、実際に学校で使われる「供給本」と呼ばれます。教科書販売店でも今週末にならないと買えませんが、自由社中枢に近い情報提供者の方が先週届けてくれました。
 
当ブログは、自由社版教科書が扶桑社版を大部分コピーしつつ、コピーしなかった部分で自虐的に改悪している―という連載を昨年夏に17回にわたって掲載しました。
 
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>←クリックなど
 
供給本を見ると、連載で指摘した欠陥の一部を修正していました。
 
<全般>活字が扶桑社版より一回り小さく、読みづらい。地紋(背景の模様)の上にある活字は埋没してさらに読めない。ルビに至っては判読不能―と指摘したところ、本文のルビのみ大きくした。
<p23>「弥生土器」の写真説明。「東京都文京区弥生町」という地名は存在しない―と指摘したところ、「東京都文京区弥生」に修正。
<p28>「前方後円墳の分布」の地図の説明で「近畿地方に多く見られることがわかる」とあるが、地図を見ると関東にも九州にも多く、学習上不適切―と指摘したところ、「近畿地方に多く見られることがわかる」を削除。
<p56>国風文化が太字になっていないのは自由社だけ―と指摘したところ、太字に修正。
<p56~57>「女手」「大和絵」「屏風」「桓武天皇」「祈祷」などはルビが必要―と指摘したところ、「女手」「屏風」にルビが振られた。
<p58>「鳥獣人物戯画」の写真説明。「1000年前に動物たちの、こんな楽しい表情を描き分ける才能の持ち主がいたのだ」とあるが、鳥獣人物戯画は12世紀の作品で、甲巻・乙巻以外は鎌倉時代とされているので、1000年前は明らかに間違い。古くて900年前―と指摘したところ、「800年前」に修正。
<p72>「華美を押さえて」は「華美を抑えて」の誤記―と指摘したところ修正。
<p73>「貴族のあいだでは、新しい和歌のかたちを生み出そうとする機運がおこり、藤原定家らによって『新古今和歌集』まとめられた。この中にも武士の身分を捨てて僧になり全国を巡りながら無常的な和歌をよんだ西行の作品が光る」。「この中にも」は文章としておかしい―と指摘したところ、「この中で」に修正。
<p85>東求堂同仁斎の写真説明。文末の「。」が欠落している―と指摘したところ「。」を追加。
<p91>「ここがポイント!」に「②」が2つある―と指摘したところ修正。
<p93>「ここがポイント!」「南蛮貿易でヨーロッパ人、日本人それぞれに人気のあった品物は何か?→世界的な銀の価値②時計③ギヤマン④急に増えたキリシタン大名の理由」。「人気のあった品物」が「急に増えたキリシタン大名の理由」って何が言いたいのか? だいたい「人気のあった品物」がなぜ「ヨーロッパ人の日本来航」の「ポイント」になるのか?―と指摘したところ、「南蛮貿易で①ヨーロッパ人②日本人それぞれに人気のあった品物は何か?→①銀②時計、ギヤマン」に修正。
<p100>「江戸城 江戸図屏風」の写真説明。「壕を幾重にもめぐらした」。水を張った堀なので「壕」ではなく「濠」の間違い―と指摘したところ、「濠」に修正。
<p101>「ここがポイント!」。「江戸幕府は大名の領地をどのように決めたのか?→…②親藩③譜代④外様…⑧藩」とあるのは全くの重複だし、だいいち意味不明―と指摘したところ、「①親藩(徳川一族)②譜代大名(関ヶ原以前)③外様大名(関ヶ原以後)」に修正。
<p150>「樺太・千島交換条約」の地図。幌筵島を占守島と表示している―と指摘したところ、矢印を追加。
<p172>「韓国服の伊藤博文」の写真説明。扶桑社版にない安重根を取り上げ「韓国独立の志士」としている。「韓国では民族的英雄であり」などと韓国の立場を紹介している教科書はあるが、教科書の立場としてこのような記述をするのは自由社だけ。しかも「暗殺」ではなく「射殺」。ルビも朝鮮語の「アンジュングン」のみ―と指摘したところ、「射殺」を「暗殺」に修正。
<p176>津田塾大学の前身が「女子英語塾」となっているが女子英学塾の間違い―と指摘したところ、「女子英学塾」に修正。
<p185>「日本の大戦景気」の小見出しが1行上にずれている―と指摘したところ修正。
<p188>「南北戦争(1865年)以後、アメリカが新たに手に入れた領土や植民地(1912年まで)」の地図。メルカトル図法では緯度が高くなるにつれて距離が拡大され、東西が誇張されるため、縮尺を示すのは誤りである―と指摘したところ、縮尺を削除。
<p198>二・二六事件の側注で、大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている―と指摘したところ、「大東亜戦争」に修正。
<同>「ここがポイント!」。「二・二六事件事件」になっている―と指摘したところ修正。
<p205>「ここがポイント!」。大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている―と指摘したところ、「大東亜戦争(太平洋戦争)」に修正。
<p209>「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」。大東亜戦争で日本の国土で最初に地上戦が行われたのは、昭和20年2月16日に始まった硫黄島の戦いであり、この記述は明らかな間違い―と指摘したところ、「ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」を削除。
<同>「アメリカの軍艦に体当たりする特別攻撃機」の写真説明。「爆弾を積んだ飛行機を乗員ごと敵の艦船に突入させる自殺攻撃で」。特攻隊を「自殺攻撃」と貶めている―と指摘したところ、「自殺」を削除。
<年表3>秀吉の朝鮮出兵について「秀吉が朝鮮侵略を始める」と記述している―と指摘したところ、「出兵」に修正。
<年表6>大東亜戦争ではなく「太平洋戦争」になっている―と指摘したところ、「大東亜戦争(太平洋戦争)」に修正。
<同>「このころ ソ連、人工衛星『スプートニク』打上成功」。モスクワ時間の1957年10月4日22時28分34秒と秒単位で特定できることをなぜ「このころ」とするのか―と指摘したところ、「1957年」に修正。
 

▲左が市販本、右が供給本(いずれもP172)
 
というわけで、安重根については「射殺」を「暗殺」に直しただけで、「韓国独立の志士」はそのままです。他社より詳しい三・一独立運動の記述などの自虐的内容も変わっていません。菅原道真、阿倍仲麻呂、岡倉天心、乃木希典の名前も載っておらず、基本的な傾向は同じです。皇后陛下の頭も切られたままです。
 
当ブログで指摘してあげた個所を直すなら、直しますよと仁義を切ってくださいとお願いしてきたにもかかわらず、自由社から連絡はありませんでした(逆に第三者に圧力をかけてきました)。私たちは別に監修料や校正料を要求しているわけではありません。しかし礼儀というものがあるのではないでしょうか。この様子では、松本謙一さん(追放された教科書編集室長)やスタッフたちにちゃんと報酬が支払われているのか心配になります。
 
一番の問題は、自由社=「つくる会」が供給本の修正作業を進める一方で、市販本は直さずに販売を続けてきたことです。「つくる会」の藤岡信勝代表は、市販本は去年の秋に増刷すると言っていました(「正論」昨年10月号)が嘘でした。欠陥商品だと分かっていながら回収せず、在庫をさばくため今も売り続けているのです。
 
相変わらず道徳心のない、最低の人たちです。
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★スクープ!日本書籍新社が撤退 自由社は…

中学校社会科教科書を発行する日本書籍新社(東京都文京区)が4月の検定申請を断念し、教科書事業から撤退することがプロジェクトJの調べで分かりました。同社は現在、中学校社会科しか発行していませんので、会社をたたむことになります。平成22、23年度は教科書が供給されます。
 
日本書籍新社の前身である日本書籍は教科書業界の老舗で、平成5~12年度は東京23区全区の中学校歴史教科書を独占するほどでした。最も自虐度の高い記述内容にこだわり、扶桑社版教科書が登場した平成13年度採択(14~18年度使用)で大幅にシェアを減らし、東京23区では中央区、墨田区の2区になりました。このため経営は悪化し、親会社の共同印刷の支援で平成14年に日本書籍新社を設立(日本書籍は平成16年破産宣告)、教科書発行を継承しましたが、17年度採択(18~21年度使用)ではさらに減らし、東京23区はゼロになりました。昨年行われた採択(平成22、23年度使用)でも、東京都三宅地区(三宅村、御蔵島村)が日本書籍新社から東京書籍に乗り換え、じり貧状態でした。
 
現在、日本書籍新社のスーパー自虐歴史教科書を使っている恥ずかしい地域は、東京都の青梅市、西東京市、羽村市、大島地区(大島町など)、神奈川県葉山町、大阪府の柏原市、交野市、兵庫県尼崎市、岡山県津山地区(津山市、真庭市、美作市など)、長崎県壱岐市です。恥ずかしい教科書を使っている皆さん、あと2年間は同じ教科書が供給されますのでご安心を。
 
最近、教科書会社の倒産が相次いでいて、一昨年は大阪書籍、去年は一橋出版が経営破綻しています。大阪書籍の版権を譲渡された日本文教出版は、4月の検定申請で旧大阪書籍版と日本文教出版版の2種類を出すそうです。
 
従って、平成22年度の中学校歴史・公民教科書の検定(23年度採択、24年度使用開始)は
 
 ・育鵬社(フジサンケイグループ)
 ・東京書籍
 ・日本文教出版(旧大阪書籍版)
 ・帝国書院
 ・教育出版
 ・清水書院
 ・日本文教出版
 ・自由社(「新しい歴史教科書をつくる会」)

 
の7社8種類ということになります。
 
日本共産党お気に入りの「日本書籍」がまたも倒産することについては、日本書籍から何冊も本を出しているこの人←クリックが一番悲しんでいるでしょう。この『ストップモーション方式による1時間の授業技術中学社会 歴史』、面白いですね。

 
全教や出版労連の関係者の間では、カンパを集めて教科書発行を継続しようという声もあるそうですから、この人も参加してはどうでしょうか。落ち込んでいる池田剛さん(日本書籍新社顧問)に連絡してみたらどうですか?
 
8割が扶桑社版のコピペ、残りが日本書籍新社版みたいな自虐記述というヘンテコな教科書を出した自由社は1月23日、「新しい歴史教科書をつくる会」東京支部長の島崎隆氏を取締役にするなど、「つくる会」の家内工業企業であることを隠そうとしません。登記簿↓

 
相変わらずゴタゴタしていて、検定に出す白表紙本の作成も大変なようです。何しろ、追放した松本謙一氏(元取締役教科書編集室長)←クリック の書いた部分は全部書き直さなければいけないわけですから。
 
公民教科書は小山常実氏が代表執筆者のはずなのに、杉原誠四郎「つくる会」副会長が中心になって書いています。杉原氏は自由社の大株主ですから必死です。出資者が執筆している教科書会社なんて聞いたことがありません。
 
ところで、
松本謙一氏の取締役辞任によって自由社が教科書発行者の資格を失った問題←クリック
について、自由社がやったのは島崎隆氏(「図書の出版に関する相当の経験」なし)の取締役就任で、文部科学省は違法状態を見逃しています。
やはり民主党政権は左翼「つくる会」に甘いようです。
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★スクープ! 自由社は教科書発行者の資格を失っている

扶桑社から関係を解消された「新しい歴史教科書をつくる会」が新たな発行元にした「自由社」という出版社で教科書作りを一手に引き受けてきた松本謙一氏(前「つくる会」東京支部長)が、藤岡信勝「つくる会」会長や側近の石井竜生氏(売れない推理作家)と対立して教科書編集室長を解任されたことは既にお伝えしてきました。
 
 ★松本謙一vs藤岡信勝・石井竜生 同じ穴の狢-「新しい内紛をつくる会」 ←クリック
 
松本謙一氏は自由社の取締役でした。教科書編集室長は解任されたものの、取締役としての立場がどうなったかは不明でした。

この写真はきょう現在の自由社の登記簿です。松本謙一氏の取締役「辞任」がやっと登記されていました。
 
さて、松本謙一氏の取締役辞任は非常に重大な意味を持っています。
 
松本謙一氏が自由社(昨年9月12日設立。石原萠記社長の自由社とは別法人)の取締役に請われたのは、彼が「とれいん」という鉄道模型雑誌を長く発行してきた出版人だからです。
 
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令←クリック は教科書発行者の要件として「法人にあつては一人以上の役員(その法人の業務を監査する者を除く。)、人にあつてはその者が図書の出版に関する相当の経験を有する者であること」と定めています。役員の少なくとも1人が「図書の出版に関する相当の経験を有する者」でなければ、教科書発行者になれないのです。
 
そこで松本謙一氏が「図書の出版に関する相当の経験を有する者」として取締役になることによって、自由社は文部科学省に教科書発行者としての指定を申請し、文科省は今年4月に指定しました。
 
松本謙一氏が辞めた以上、自由社は5月12日以降もう半年間も教科書発行者の資格を失っているはずです。
 
事実関係を文部科学省教科書課に問い合わせてみました。担当者とのやり取りは次の通りです。
 
プロジェクトJ「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令によると、教科書発行者の要件として、役員に『図書の出版に関する相当の経験を有する者』がいなければならないとされていますが、その役員が辞任した場合はどうなるのですか?」
松岡晃代調査係長「発行者の要件を失うことになります」
プロジェクトJ「つまりこの規定は、発行者の指定を受けるための規定ではなくて、指定を受けた後も守らなければ指定が取り消されるという意味ですね」
松岡係長「そうです」
プロジェクトJ「今年、中学校の歴史で検定に合格した自由社では、ただ1人の『図書の出版に関する相当の経験を有する者』が役員を辞任していますが、発行者としての指定を取り消されるのですね?」
松岡係長「(動揺した様子で) し…少々お待ちください」
(2分後)
松岡係長「個別の発行者の役員については…お答えすることはできないんです」
プロジェクトJ「一般論として、『図書の出版に関する相当の経験を有する者』が役員からいなくなった場合は、教科書発行者の指定が直ちに取り消されるのですね」
松岡係長「そうです。そのような役員の異動があった場合は届け出ていただかなくてはいけないんですが…」

 
どうも自由社は「図書の出版に関する相当の経験を有する者」の辞任を文科省に届け出ていないようです。
 
松本謙一氏の辞任によって、自由社の取締役は
 
クリック→加瀬英明社長(韓国人ホステスと同棲していたと週刊新潮に報道された外交評論家)
クリック→植田剛彦氏(著書で慰安婦強制連行説を主張する親韓派ジャーナリスト)
クリック→石井弘子氏(石井竜生氏の妻。推理作家としてのペンネームは井原まなみ)
 
の3人になりました。「図書の出版に関する相当の経験を有する者」はいません。
 
役員だけではありません。「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則←クリック では「教科用図書の編集を適切に行ないうると認められる者が五人以上置かれていることとする」と定められていますが、松本謙一氏のスタッフたちが退社したことによって、この基準も満たされていません。
 
自由社は松本謙一氏の役員辞任が何を意味するかをよく分かっていて、教科書採択が終わった9月11日になってから辞任を登記しました。横浜市の1万3000冊の採択はそんな情報隠蔽の中で行われたのです。
 
10月4日に開かれた自由社の臨時株主総会では「図書の出版に関する相当の経験を有する者」がいなくなったことについて、ある役員が「分かっているが、当分空席でいくしかない」と説明しました。
 
文科省が法律通りに教科書発行者の指定を取り消すか、それとも「もうすぐ誰かに名義を借りて役員を補充しますから待ってください」と泣きつかれて空席=違法を黙認するのか、見ものです。
 
でも自由社=「つくる会」の皆さん、大丈夫ですよ。民主党政権の文科省は、あなたたち左翼には甘いはずですから。
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
当ブログへの圧力がまだ続いています。
前回エントリーで「つくる会」、産経新聞社、扶桑社の「覚書」の写真を掲載したところ、「あれは産経新聞社にある覚書に違いない」と騒いでいる馬鹿がいます。
前回エントリーでは、「『つくる会』関係者ではないかと思われる人から送られてきた」と控え目に書きましたが、「つくる会」関係者から送られてきたと断言できます。
なぜなら、覚書以外にも多くの内部文書が送られてきましたし、「つくる会」中枢の人しか知り得ない膨大な内部情報も添えられていたからです。
他人を疑う前に、身内に嫌われてないか自分を顧みましょう。
それに、覚書は3通それぞれ、署名の筆跡や印鑑の位置が微妙に違うのですから、誰が持っているものかはすぐに分かるはずです。
拡大写真を掲載しますから、目ん玉かっぽじって、よく見比べなさい。

 
※当ブログへの情報提供はproject-justice@mail.goo.ne.jpへ。
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★スクープ! 東京都教委の教科書採択資料はデタラメだ

【追記】「つくる会」に呼応して扶桑社版の採択無効を叫んでいる増田都子さんたち左翼の皆さん。このエントリーは東京都教委の調査研究資料の在り方について問題提起しているのであって、平成17年度と今年度の採択結果の変更を求めるものではありません。また、ここに掲載されている調査結果の盗用を禁じます。
…………………………………………………………………………………………………………………………
東京都教育委員会は先月14日、都立の中高一貫校と特別支援学校で扶桑社の歴史教科書を継続採択(新設4校は新規採択)しましたが、「新しい歴史教科書をつくる会」の一部の人たちは自由社版が採択されると固く信じていました。
 
なぜかと言うと、都教委事務局が採択審議の参考に作った「調査研究資料」を見て、自由社版の評価が高いと思ったからです。調査研究資料は以下の6つの項目で各社が取り上げている個所数をカウントしています(赤字は1位)。
 
▼歴史上の人物を取り上げている個所数
東京書籍254 教育出版283 清水書院244 帝国書院228 日本文教出版(旧大阪書籍)208 
日本文教出版236 扶桑社447 日本書籍新社294 自由社488 
▼現在に伝わる文化遺産を取り上げている個所数
東京書籍423 教育出版344 清水書院320 帝国書院392 日本文教出版(旧大阪書籍)294 
日本文教出版346 扶桑社484 日本書籍新社372 自由社594
▼国際関係・文化交流を取り上げている個所数
東京書籍 73 教育出版 83 清水書院 86 帝国書院139 日本文教出版(旧大阪書籍) 95 
日本文教出版 91 扶桑社116 日本書籍新社190 自由社114
▼他民族の文化・生活等を取り上げている個所数
東京書籍 54 教育出版 78 清水書院 96 帝国書院 57 日本文教出版(旧大阪書籍) 81 
日本文教出版 37 扶桑社 40 日本書籍新社 53 自由社 40
▼東京に関する歴史的事象(身近な地域の歴史)を取り上げている個所数
東京書籍 98 教育出版 90 清水書院 71 帝国書院107 日本文教出版(旧大阪書籍) 76 
日本文教出版115 扶桑社120 日本書籍新社 82 自由社140
▼人権に関する課題を取り上げている個所数
東京書籍 44 教育出版 39 清水書院 18 帝国書院 42 日本文教出版(旧大阪書籍) 43 
日本文教出版 22 扶桑社 29 日本書籍新社 58 自由社 24

 
数を数えているだけで、優劣を評価しているわけではありませんが、6項目中3項目で自由社が1位になっていて、扶桑社の1位はありません。
 
今回の中学校歴史教科書採択は、新規参入の自由社以外は現行版のままですから、都教委の調査研究資料は自由社版のものを新たに作った以外は前回の平成17年度のものと同じです。自由社はこの調査研究資料で優位に立てるよう、“後出しじゃんけん”で人物の数や東京に関係する記述を増やしていました。
 
「つくる会」のある会員は浮足立って、この調査研究資料をあちこちに送っていましたし、東京支部掲示板の目立たない場所には調査研究資料へのリンクが張られました。しかし、まさかの扶桑社版採択。「つくる会」のある幹部は周辺に「八木が裏から手を回したに違いない」と語ったそうです。
 
数を数えただけの調査研究資料を鵜呑みにせず、教科書をきちんと読み比べて扶桑社版を採択した教育委員に敬意を表します。
 
さてここからが本題です。教育委員の良識の一方で、都教委事務局が作った調査研究資料がとんでもないデタラメだということが判明しました。
 
都教委のホームページ←クリック で調査研究資料をご覧ください。
 
「別紙2―1」「歴史上の人物名とその業績」の「扶桑社」のページに扶桑社版に登場する人物の名前があります。

日本武尊、弟橘姫…ここでまず「えっ?」と思います。扶桑社版の初版本(平成12年度検定、13年度採択、14年度使用開始)には「日本武尊と弟橘姫」というコラムがありましたが、現行版(16年度検定、17年度採択、18年度使用開始)ではそのコラムはなくなりましたし、本文や側注などを探しても日本武尊や弟橘姫の名前はどこにも載っていません。
武田勝頼も載っていません。伊達政宗は「豊臣秀吉の天下統一地図」に小さく名前があるだけです。ナポレオンもありません。なのに調査研究資料では載っていることになっているのです。
 

安藤昌益、平田篤胤、津田左右吉、中江兆民、内村鑑三、幸徳秋水、片山潜、小林多喜二、市川房枝。扶桑社版に載っていない人物が、都教委の調査研究資料では載っていることになっています。
 
ポイントは、これらの人物はすべて初版本には載っているということです。まさか、調査研究資料は初版本を元にしているのではないか…。平成13年度版の調査研究資料を入手して今年度の調査研究資料(17年度作成)と比較しました。扶桑社の現行版は初版本から大幅に改訂されているのに、今年度の調査研究資料は13年度版から韓非子ら数人の名前を削っただけで、ほぼ同じでした。
 
つまり、4年前に調査研究資料を作った都教委の職員は、教科書を詳細に読むのが面倒だからと手抜きをして、13年度版の調査研究資料のエクセルデータをいじって作成したのです。そして適当な仕事の結果、載っていない人物を10人以上も載っていることにしてしまったのです。
 
もっとひどいのは、「別紙2―2」「我が国の文化遺産を示す事項一覧」です。

なんと平成13年度版と今年度版は一字一句同じです(念のため書きますが、17年度版と今年度版が同じなのは当然ですが、13年度版と17、21年度版が同じなのです)。すさまじいインチキです。「※事項は巻末の索引から抽出した」とありますが、刀剣、渡来文化、日本語、和歌、伊勢神宮、音仮名、平仮名、訓読み、片仮名、密教、宋銭、似絵、踊り念仏、軍記物、伊勢参り、大嘗祭、農書、町人文化、湯島聖堂、日光東照宮、大陰暦、元号の22語が、索引にないのにあることになっています。そして、この中には、索引だけでなく全く載っていないものも多くあります。
 
他社の分も似たり寄ったりのようです(詳細は都教委が調べてください)。
 
こんなデタラメな調査研究資料を元に、平成17年度と今年度の2回の採択が行われたのです(19年度に行われた立川国際中等教育学校、武蔵高付属中の採択も合わせれば3回)。
 
今年度の調査研究資料には自由社の分が加わっていますが、4年前にデタラメ職員が数えた8種類の教科書のデータと今年数えた自由社のデータを結合した調査研究資料に整合性など期待できません。
 
この調査研究資料は17年度も今年度も都内のすべての区市町村教委や国立中、私立中に送られて採択の参考にされたはずですが、誰もデタラメぶりに気付かなかったわけです。だったら、こんなものを作るのはやめたらどうでしょうか。
 
4年前にデタラメな仕事をした職員の氏名の公開、処分と経緯の公表を都教委に求めます。そして、記述の数を数えるだけの調査研究資料の在り方を根本的に見直すよう要求します。
 
連絡先 project-justice@mail.goo.ne.jp
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★当ブログは「つくる会」とも「再生機構」とも一切無関係です

※この記事は産経デジタルのイザ!ブログに掲載されたもののアーカイブです。
前回エントリー
で、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝会長が扶桑社版の採択成果を横取りして、自由社版と扶桑社版のシェアを足すのではないかと警告しました。「まさか勝利宣言の記者会見でもして、そんなことをしゃべるんじゃないでしょうね」と書いたら、本当に文部科学省の記者クラブで会見して話したそうです。
 
つくる会ホームページ←クリック には「『つくる会歴史教科書』が2万冊を突破!」とか「採択率は1.68パーセント」などと、合計した数字が宣伝されています(例のタイのガラクタの表紙←クリック いつまで使うのでしょうか)。↓

 
ちなみに教科書改善の会の見解はこちら←クリック です。
 
このように、このブログの「つくる会」内部情報が極めて正確であることから、「つくる会」や自由社とつながっているではないかと疑う人もいますが、当ブログは「つくる会」や自由社とは関係ありません。日本教育再生機構、教科書改善の会、扶桑社、育鵬社、産経新聞社、日本会議、安倍晋三元首相とも一切無関係です。
 
ここでお伝えしていることは、私たちプロジェクトJが集めた独自情報と読者の皆様からの情報提供を元にしています。内紛情報も教科書採択情報もそうしたルートで入手しているのです。
 
藤岡信勝会長は、ここに書かれていることを「つくる会」や自由社への誹謗中傷と言っているそうですが、どこが誹謗中傷なのでしょうか? 具体的に反論してください。もし間違っている部分があれば訂正させていただきます。
 
当ブログは以前から連絡先アドレスproject-justice@mail.goo.ne.jpを公開して反論をお待ちしていますが、毎日寄せられるのは情報提供ばかりです。引き続き反論をお待ちしています。
 
例えば、
・自由社版教科書が安重根を「韓国独立の志士」と称賛したり、秀吉の朝鮮出兵を「朝鮮侵略」と表記していることは嘘ですか?
・安重根を取り上げる一方で、扶桑社版にある阿倍仲麻呂、菅原道真、岡倉天心、乃木希典を削除したというのは嘘ですか?
・特攻隊を「自殺攻撃」と貶めているというのは嘘ですか?
・市販本の表紙が、インターネットで買ったタイのガラクタの写真だというのは嘘ですか?
・チャンネル桜で、教育出版が取り上げている姜が山川出版社の日本史広辞典に載っていないと言っているが、実は載っているというのは嘘ですか?

 
前回指摘した通り、横浜市教育委員会で当ブログの内容を発言した委員がいて、藤岡信勝会長は「正論」で「指摘は的確であり、脱帽せざるを得ない」と言っているのに、どうして元の資料が誹謗中傷なのですか?
 
藤岡信勝会長はこのブログの指摘について「松本謙一が悪い」「文部科学省に訂正申請する」と周囲に話しているのに、どうして誹謗中傷なのですか? ここで指摘した個所を訂正するなら必ずご連絡くださいと呼びかけました。引き続きお待ちしています。
 
あるブログによると、8月3日に開かれた「つくる会」東京支部の幹事会で、恐らくこのブログを指して「自由社を誹謗している人を訴えたらどうか」と言った人がいるそうです。どの部分が誹謗ですか? 訴える? 正気ですか? 言論には言論で答えてください。
 
産経デジタルにねじ込んでも無駄ですよ。規約に違反してませんから。仮にここが使えなくなっても他で問題提起するだけです。情報発信はやめません。ネット言論を弾圧できると思っているのは中国共産党とあなたたちくらいでしょう。
 
藤岡信勝会長は八木秀次さんに謀略文書を流されたと妄想して訴えた裁判の2審と、扶桑社に教科書を出すなと訴えた裁判の両方で全面敗訴しました。扶桑社を訴えた裁判は控訴を断念しましたが、八木さんを訴えた裁判は上告するのでしょうか。最高裁に上告するには憲法判断の誤りなどの理由がないとできないのですよ。「つくる会」の内部情報によると、2日夜の理事会で「もうやめたらどうですか」という意見が出たそうですね。少しは周囲の忠告に耳を傾けたらどうでしょうか。
 
良識派の教科書が2種類できるのかと思ったら、自由社版はプチ自虐教科書でした。「つくる会」一部首脳は教科書正常化運動の大同団結の障害になっています。大局的見地に立ち、教科書正常化運動の前進という「公」の利益のために、教科書発行から撤退することをお勧めします。
 
このブログには全国から膨大な情報が集まってきています。あまり絡んでくるようなら、それらの正確な情報を公表して、徹底的に言論で反撃します。
 
連絡先および情報提供先project-justice@mail.goo.ne.jp
  
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
自由社版教科書記述検証連載
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
★自由社版教科書で菅原道真も乃木希典も消えた-扶桑社版からの改悪<中>
★特攻隊を「自殺攻撃」と貶める自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<下>
★進化論から始まり部落史を詳述する自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<4>
★自由社版 そんなに支那が 好きですか-扶桑社版からの改悪<5>
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>
★「ポツダム宣言様ありがとう」の自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<7>
★悪党のくせに(笑)悪党を書かない自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<8>
★藤岡信勝会長、独禁法に違反してませんか?-扶桑社版からの改悪<9>
★乃木大将削除を開き直る「つくる会」理事-扶桑社版からの改悪<10>
★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」と書く自由社版-扶桑社版からの改悪<11>
★自由社版「ラスコーの壁画」はニセ写真だ-扶桑社版からの改悪<12>
★みんなニコニコ古墳を造ったと描く自由社版-扶桑社版からの改悪<13>
★錦の御旗で威圧したと書く自由社版-扶桑社版からの改悪<14>
★ナチスのユダヤ人迫害を消した自由社版-扶桑社版からの改悪<15>
★編集趣意書から「太平洋戦争」史観の自由社版-扶桑社版からの改悪<16>
★石原慎太郎を載せても都教委は採択しないぞ自由社版-扶桑社版からの改悪<17>
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★扶桑社と自虐・自由社のシェアを足さないでください藤岡信勝会長


扶桑社から絶縁された「新しい歴史教科書をつくる会」が自由社という出版社から出した教科書が横浜市の18区中8区で採択されたことについて、「つくる会」の藤岡信勝会長が「正論」10月号に報告を書いています。そこに紹介されている教育委員会でのやりとりの中で、委員の小濱逸郎さん(評論家)はこう発言しています。
 
<自由社が加わったので、(教育委員の間で)散々議論した。自由社は一長一短というべきか。長所は、中身が濃い。詳しく書かれている。大人が読んでも面白い。短所としては、文字が小さいし、ルビがよく見えない。自分が年寄りだからかな……。女性の歴史が強調されているのは結構だが、津田梅子のところで誤植がある。「英語塾」とあるが、「英学塾」でないのか。ところどころに間違いがある。人名索引に大和田建樹(「鉄道唱歌」の作詞者―藤岡注)が載っているが、この人物がどんな人物なのか、私は知らない。登場人物が多いが、一方で当然載っているはずの岡倉天心、菅原道真、阿倍仲麻呂が載っていない。本文の記述はしっかりしていて面白いが、中学生として、この教科書は少し難しいのではないかという感じもする>
 
小濱逸郎さんの発言について藤岡信勝会長は
<この発言を読むと、実に細かく目を通していることがわかる。自由社について長所と短所の両面を見ている。指摘は的確であり、脱帽せざるを得ない>
と書いています。
 
藤岡信勝会長が自由社版の欠陥を認め、解任された元自由社教科書編集室長、松本謙一氏のせいにしていることは前回述べましたが、「短所」「指摘は的確」という表現で初めて公に表明したわけです。「実に細かく目を通している」のではなく、小濱さんが述べていることはすべて当ブログで指摘した事実です。実は小濱逸郎さんは当ブログの読者なのです。脱帽していただいて恐縮です、藤岡会長。
 
藤岡信勝会長が書いている審議の要約はおおむね正確ですが、隠している部分もあります。横浜市教委が公開した会議録←クリック によると、小濱逸郎さんはこうも言っています。
 
<せめて菅原道真は載っていてほしいですね。例えば、自由社の97ページですが、陶祖李参平、私は馴染みにくいのですがご存じですか。記述の中で「捕虜にしてつれかえり、自分の領国の発展に利用した」という記述は、強制連行したかのようなイメージを与えるものと思いました>
 
これも当ブログをお読みになっての発言です。小濱逸郎さんは自由社版の自虐・朝鮮隷従記述についても指摘したのです。
 
さて、前回予告した通り、先週は
・藤岡信勝、西尾幹二氏らが扶桑社を訴えた訴訟で藤岡氏らが全面敗訴(東京地裁)
・藤岡信勝氏が怪文書を流されたと妄想して八木秀次氏を訴えた訴訟の控訴審判決で藤岡氏が全面敗訴(東京高裁)
・大阪の浪速中と愛媛県今治地区(今治市と上島町)で扶桑社版新規採択。愛媛県教委が継続採択

という出来事がありました。
 
8月いっぱいで教科書採択は終わりました。扶桑社版を使っている私立中はほぼ継続採択ですが、兵庫県の甲子園学院中が「つくる会」に「自由社版に替えたい」と早い段階で伝えてきたそうです(つくる会内部情報)。自由社版を採択したのは横浜の8区とそこぐらいでしょうか。
 
藤岡信勝会長は「正論」の文章の最後にこんなことを書いています。

<栃木県大田原市と東京都杉並区及び東京都は、前回同様、扶桑社を採択した。扶桑社版もまた、藤岡信勝を代表執筆者とする「つくる会」の教科書であることに違いはない。これらを含めると、2%ラインにどこまで近づくか、今後判明する最終結果が楽しみである>
 
ずうずうしいにもほどがあります。「扶桑社版もつくる会の教科書」で、採択は自分のものだというわけです。まさか勝利宣言の記者会見でもして、そんなことをしゃべるんじゃないでしょうね。発行差し止め訴訟で負けたことを真摯に受け止めるべきじゃないでしょうか。
 
当ブログで連載してきた通り、自由社版は扶桑社版とは全く性格の違う教科書になっています。「つくる会系教科書」なる言葉で両方の採択を足して計算するのは、左翼の発想です。
 
名誉毀損訴訟で2審も勝訴した八木秀次さんは報道機関へのコメント←クリック で「訴訟という形での妨害ははなはだ迷惑です」と述べています。藤岡信勝会長の「自分の周りは謀略が渦巻いている」という妄想や「何が何でも藤岡信勝個人が輝き、注目を集めなければいけない=スターリン、毛沢東、金日成と変わるところは無い個人崇拝誘導、独占支配体制の確立」(by松本謙一の告発文←クリック)は、保守国民運動全体にとって非常に迷惑です。2つの裁判で全面敗訴したことで、少しは目を覚ましてください。
 
まずは、この自己診断チェック←クリック をやってみてください。
  
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
当ブログは読者の皆様からの情報提供で成り立っています。project-justice@mail.goo.ne.jp
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★松本謙一vs藤岡信勝・石井竜生 同じ穴の狢-「新しい内紛をつくる会」


  ▲松本謙一さん                     ▲石井竜生さん      ▲藤岡信勝さん
自由社教科書編集室長を解任された松本謙一さん(前「新しい歴史教科書をつくる会」東京支部長)が「つくる会」会長の藤岡信勝さんと側近の石井竜生さん(推理作家)に対する恨み辛みを綴った告発文を楽しく読ませていただきました。
 
自由社教科書編集室長からの告発メール←クリック
 
この件について、松本さんと藤岡・石井さんそれぞれを支持する人から情報提供をいただいています。この人たちの仲間割れには興味はないのですが、告発文の中身について、いくつか整理しておきます。
 

↑自由社版のこういう反日・自虐や欠陥記述の担当が松本謙一さんであることはよく分かりました。
 
松本謙一(まつもと・けんいち) 昭和24年、東京都中央区生まれ。父は天皇嫌い、妹はクリスチャンで反戦主義者(Wikipediaより)。49年、月刊鉄道模型雑誌「とれいん」を創刊。平成12年から18年まで「新しい歴史教科書をつくる会」東京支部長。14年2月7日に開かれたつくる会のシンポジウムで、場内整理係であるにもかかわらず小林よしのりに野次を飛ばしたことで有名。自由社の取締役・教科書編集室長として教科書作成を任されたが、検定合格後の今年4月15日に解任された(本日現在、登記簿上はまだ取締役)。
 

↑自由社版市販本の表紙に「日本人の歴史」とは何の関係もないタイのガラクタを、さも日本の仏像であるかのように載せた(→連載6参照)のが石井竜生さんであることも判明しました。
 
石井竜生(いしい・たつお) 本名・石井龍雄。昭和15年、神奈川県横須賀市生まれ。東京都豊島区立小学校の警備員をしながら文筆活動を行った。都職労豊島支部の組合員だった。昭和63年、朝日新聞社の懸賞論文「明日への挑戦」で妻の弘子(作家としてのペンネームは井原まなみ)とともに準入選。平成8年に共産党系の「あゆみ出版」から著書を出版。藤岡信勝が共産党員時代からの知り合い。「文芸春秋から本を出した」「藤岡先生と産経新聞で対談した」が自慢のタネ。妻の弘子は自由社の取締役。
 
もちろん、両方の最高責任者は藤岡信勝さんです。
 
↓これは自由社が文部科学省に提出した著作編修関係者名簿です。


松本謙一さんの専門分野が文化史とは笑ってしまいました。立教大学を1年で中退した松本さんは、どこで文化史を学ばれたのでしょうか。ニーチェの伝記を書いたに過ぎない西尾幹二さんが「哲学史」と、無理やり歴史学者になっています。
 
告発文に出てくる「K.I.女史」は板倉京子さん、「両Sデザイナー」は佐々木也寸志さん、須藤美香さんです。この人たちについては大変気の毒だと思います。
 
印税(著作権料)の配分は
 松本謙一さん・板倉京子さんが2割強
 藤岡信勝さんが7割強
 その他の執筆者10人で残り数%を分け合う

 
とのことですが、藤岡信勝さんは扶桑社の著作権を侵害している上に随分がめついですね。西尾幹二さんや高森明勅さんは一体いくらもらえるのでしょうか。
坂本多加雄先生のご遺族は印税を受け取れるのでしょうか。そもそも著作編修関係者名簿では坂本先生の名前が「坂本多加男」と誤記されています。ふざけた人たちです。
 
藤岡信勝さんは当ブログが指摘した自由社版の欠陥をほぼ認め「松本謙一が悪い。文部科学省に訂正申請する」「扶桑社版のレベルに戻す」と言っているそうです。松本謙一さんには「極力扶桑社色を排除するよう」指示したのに、今度はコピー度を増すわけです。
 
前回も書きましたが、品質に不満がある商品を「最も優れている」と宣伝したり、税金で1万冊以上採択させたり、これから大幅訂正することが決まっている市販本を在庫一掃とばかりに売り続けることは商道徳に反する行為です。
 
なお、このブログで指摘した個所を訂正するなら必ずご連絡ください。掲載させていただきます。
project-justice@mail.goo.ne.jp
 
松本謙一さんは現在の「つくる会」について「スターリン、毛沢東、金日成と変わるところは無い個人崇拝誘導、独占支配体制の確立」と批判していますが、情報統制という面ではその通りでしょう。
 
「つくる会」は自由社版が検定で去年の12月にいったん不合格になったことを今でも隠していますし、藤岡信勝さんたちが扶桑社に教科書発行差し止めを求めて訴訟を起こした(→昨年11月25日付エントリー参照)ことも公表しませんでした。
 
その訴訟の判決が25日に言い渡されます。翌26日には藤岡信勝さんが八木秀次さんを名誉毀損だとして訴えた言いがかり訴訟(→昨年11月17日付エントリー参照)の控訴審判決があります(いずれも原告代理人は有名な福本修也弁護士)。
 
石井竜生さんは去年の10月31日、一審敗訴の後の記者会見で、記者でもないのに記者席から発言して「私は推理作家で、本を出しています」「裁判官は駄目だ。裁判員制度を導入しなければいけない」と意見を述べました。
  
「つくる会」副会長の高池勝彦さんは「裁判員制度に反対する会」の呼びかけ人ですが、民事訴訟にまで裁判員制度を導入しろと言う人がいると知ったら呆れるでしょう。
 
石井竜生さんは控訴審敗訴の記者会見でも記者席の中心で不当判決を叫ぶのでしょうか。
 
来週はいろいろ楽しい週になりそうです。
 
自由社版教科書記述検証連載
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
★自由社版教科書で菅原道真も乃木希典も消えた-扶桑社版からの改悪<中>
★特攻隊を「自殺攻撃」と貶める自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<下>
★進化論から始まり部落史を詳述する自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<4>
★自由社版 そんなに支那が 好きですか-扶桑社版からの改悪<5>
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>
★「ポツダム宣言様ありがとう」の自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<7>
★悪党のくせに(笑)悪党を書かない自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<8>
★藤岡信勝会長、独禁法に違反してませんか?-扶桑社版からの改悪<9>
★乃木大将削除を開き直る「つくる会」理事-扶桑社版からの改悪<10>
★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」と書く自由社版-扶桑社版からの改悪<11>
★自由社版「ラスコーの壁画」はニセ写真だ-扶桑社版からの改悪<12>
★みんなニコニコ古墳を造ったと描く自由社版-扶桑社版からの改悪<13>
★錦の御旗で威圧したと書く自由社版-扶桑社版からの改悪<14>
★ナチスのユダヤ人迫害を消した自由社版-扶桑社版からの改悪<15>
★編集趣意書から「太平洋戦争」史観の自由社版-扶桑社版からの改悪<16>
★石原慎太郎を載せても都教委は採択しないぞ自由社版-扶桑社版からの改悪<17>
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★石原慎太郎を載せても都教委は採択しないぞ自由社版-扶桑社版からの改悪<17>

「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝会長は自由社版教科書について、「松本謙一(自由社教科書編集室長を解任された前つくる会東京支部長)のせいで記述もデザインも滅茶苦茶にされた」と言って文部科学省に訂正申請する準備を進めています。この連載にも言及しているそうですが、ここで指摘した個所を訂正するなら必ずご連絡ください。謝意は求めませんが礼儀として。
project-justice@mail.goo.ne.jp
 
しかし、「最も優れた歴史教科書」と宣伝しているのにどうして訂正するのでしょうか? 内部で欠陥商品だと認めながら、その欠陥商品を横浜市に1万冊以上採択させて「公平に評価されれば必ず採択されると信じていた」などと喋るのは道義上どうなんでしょうか。
 
さて、「つくる会」=自由社は早い段階から横浜市での採択を狙っていて、横浜の海を描いた「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を表紙に載せました(これは学校で使われる教科書「新編 新しい歴史教科書」の表紙で、書店で市販されている「日本人の歴史教科書」の表紙については→連載6を参照)。

自由社版教科書は欠陥だらけですが、表紙はよくできています。横浜市の採択は松本謙一さんの置き土産です。「神奈川沖浪裏」の下にあるのは両国橋のジオラマです。東京都での採択も狙っているのですが、こちらはうまくいかないようです。 【8月14日追記】やはり採択されませんでした。
 
扶桑社から絶縁された「つくる会」が自由社という出版社から出した教科書が、扶桑社版を大部分コピーしつつ、コピーしなかった部分で自虐的に改悪している―という連載をお届けしてきました。「つくる会」会員を含む読者の皆様からの膨大な情報提供メールが整理しきれなくなったので、主なものをページ順に並べ替えて紹介してきましたが、今回は戦後史とさくいん、年表です(怒りのあまり表現が過激になっているメールは修正させていただきました)。
 
<p219>昭和30年代の説明で、扶桑社版にない「一方、ソ連を理想とする共産主義も進歩的な思想として労働者や学生、知識人を魅了するようになった」が加筆された。自分のことを書くなよ、昭和38年入党の代表執筆者さん。
<p221>「日中国交正常化」の写真説明。「このあと両国間の貿易は急速に拡大し、中国の開放政策への転換で交流はさらに盛んになっている」。日中間には歴史教科書、戦没者追悼に対する内政干渉や、領土や資源が脅かされているという問題がある。商売の話に特化するなら、こんな写真説明は必要ない。
<p222~223>「さらに戦後独自の新しい若い作家として三島由紀夫、石原慎太郎などが現れ、新鮮なイメージで人々を惹きつけた」

石原慎太郎の名前載せたって、都教委は採択しないぞ。「戦後独自の新しい若い」や「新鮮なイメージ」は中身のない修飾語。ただ名前を載せるための記述。
<p225>「阪神大震災被災者を見舞う天皇・皇后両陛下」の写真。皇后陛下の頭や背中が切られており不敬だ

お顔だけとか上半身だけというトリミングはあっても、頭を切るのは考えられない。戦前なら許されないことだし、戦後も出版関係者はこういうことのないよう配慮しながら仕事をしてきた。これは朝日新聞など左翼メディアも同じである。自由社が文部科学省に提出した「出典一覧表」によると、この写真は読売新聞社から購入している。そこで読売新聞の写真データベースを見ると↓

元の写真はもちろん切られていない。切ったのは自由社である。
「つくる会」や自由社の首脳には皇室への尊崇の念はない。西尾幹二が「私は日常生活のうえで、天皇の存在を必要としていません」とか「天皇制度の廃棄に賛成するかもしれない」と公言していることを見れば分かる。(→昨年9月28日付エントリー
自由社のホームページでは仁親王殿下を「仁親王」と呼び捨てにしている

これが「天皇」や「皇太子」「美智子皇后」と同じ呼び捨てであることが、保守でない彼らには理解できないのだろう。そういえば西尾幹二も「朝まで生テレビ!」で皇太子妃殿下を「雅子妃」と呼び捨てにしていた。
<p226>「歴史のこの人 昭和天皇」。二・二六事件と終戦のご聖断について、扶桑社版にある「どちらも君主としての強い自覚によってなされた行動だった」が削除された。
<p227>「昭和天皇のお言葉」。参考文献に、半藤一利、保阪正康など正統保守ならまず出さないような本を挙げている。程度が知れる。(→連載2
<p228>「5章のまとめ」。ポツダム宣言について「日本に降伏の機会を与えるため」「これによって日本の本土決戦が回避され、日本の分断国家化は防がれた」と説明しているが、日本が救われたのは「ポツダム宣言」のお陰か? そうじゃなくて昭和天皇のご聖断だろう。(→連載7
<p230>「エルトゥールル号事件」。慰霊碑の写真の説明に「和歌山県・串本町役場蔵」とあるが、慰霊碑の写真は文化財じゃないんだから「蔵」ではない。「提供」である。そもそも自分で撮影すべし。
<p234=さくいん>葛飾北斎の葛がになっている。この表記は自由社だけ。
<p235=さくいん>森鷗外の鷗がになっている。この表記は自由社だけ。
<年表2>「倭寇が高麗や明を侵す」となっている。扶桑社版は「倭寇の出没」なのに。(→連載11
<年表3>秀吉の朝鮮出兵について「秀吉が朝鮮侵略を始める」と記述している。扶桑社版は「秀吉、朝鮮出兵」。秀吉の朝鮮出兵に侵略という用語を使うのは間違いだという「つくる会」の主張を放棄している。(→連載11
<年表4>葛飾北斎の葛がになっている。この表記は自由社だけ。
<年表5>森鷗外の鷗がになっている。この表記は自由社だけ。
<年表6>大東亜戦争ではなく「太平洋戦争」になっている。(→連載3
<同>「このころ ソ連、人工衛星『スプートニク』打上成功」。モスクワ時間の1957年10月4日22時28分34秒と秒単位で特定できることをなぜ「このころ」とするのか。
<同>扶桑社版にある「2002 北朝鮮拉致被害者5人帰国」が削除されている。

連載一覧
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
★自由社版教科書で菅原道真も乃木希典も消えた-扶桑社版からの改悪<中>
★特攻隊を「自殺攻撃」と貶める自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<下>
★進化論から始まり部落史を詳述する自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<4>
★自由社版 そんなに支那が 好きですか-扶桑社版からの改悪<5>
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>
★「ポツダム宣言様ありがとう」の自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<7>
★悪党のくせに(笑)悪党を書かない自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<8>
★藤岡信勝会長、独禁法に違反してませんか?-扶桑社版からの改悪<9>
★乃木大将削除を開き直る「つくる会」理事-扶桑社版からの改悪<10>
★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」と書く自由社版-扶桑社版からの改悪<11>
★自由社版「ラスコーの壁画」はニセ写真だ-扶桑社版からの改悪<12>
★みんなニコニコ古墳を造ったと描く自由社版-扶桑社版からの改悪<13>
★錦の御旗で威圧したと書く自由社版-扶桑社版からの改悪<14>
★ナチスのユダヤ人迫害を消した自由社版-扶桑社版からの改悪<15>
★編集趣意書から「太平洋戦争」史観の自由社版-扶桑社版からの改悪<16>
★石原慎太郎を載せても都教委は採択しないぞ自由社版-扶桑社版からの改悪<17>
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★編集趣意書から「太平洋戦争」史観の自由社版-扶桑社版からの改悪<16>

自由社版教科書は、採択してもらうために保守の魂を売り渡しています。
 
扶桑社から絶縁された「新しい歴史教科書をつくる会」が自由社という出版社から出した教科書が、扶桑社版を大部分コピーしつつ、コピーしなかった部分で自虐的に改悪している―という連載をお届けしています。読者の皆様からの膨大な情報提供メールが整理しきれなくなってきたので、主なものをページ順に並べ替えて紹介しています(怒りのあまり表現が過激になっているメールは修正させていただいています)。
 
自由社版教科書の内容は、大別すると、
 
①扶桑社版のコピー部分(約8割)
②採択してもらうため、日教組やリベラル教育委員に迎合した自虐・朝鮮隷属への改悪部分
③ずさんな編集体制による欠陥・誤記・誤植
 
に分けられます。今回取り上げる満州事変から大東亜戦争までの記述は、②の内容がよく分かります。大東亜戦争の呼称について自由社版は、GHQに強制された太平洋戦争または、かぎかっこ付きの「大東亜戦争」に表記変更を行っています。これは確固たる編集方針に基づいているのです。
 
<p197>「五族協和」の側注。「『満州、漢、朝鮮、日本、モンゴルの5つの民族が共存共栄する土地である』という意味。しかし、日本人は、そのリーダーが日本であるのは当然だと勝手に決めていた。日本との関係ばかりでなく各民族間の利害も対立することが多く、現実は理想にほど遠かった」。これでは日本書籍新社の「まほろしの大東亜共栄圏」など自虐教科書の記述と変わらない。(→連載3
<p198>二・二六事件の側注で、大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている↓(→連載3

<同>「ここがポイント!」。「二・二六事件事件」になっている。こんな欠陥商品を子供に使わせるのか。その中身は「昭和11、12年の内外の大事件はどのように展開したか?→①二・二六事件事件が政治家や社会に与えた軍人への恐怖②西安事件による中国二大勢力の抗日優先一致③義和団事件以来の条約駐屯軍と抗日運動との危険な同居④南京占領で終わると考えた日本の誤算」。中国共産党やコミンテルンの謀略、国民党やアメリカの無理解などが何一つ感じられない。すべて日本が愚かだった、悪かった、だから泥沼の長期戦になった、というまとめ。まるでNHKみたい。
<p199>南京事件の記述は全然良くなっていない。あれだけ批判していたくせに。
<p200>「斎藤隆夫の国会質問」の写真説明。「1940年2月2日。鋭い批判に対しても、議会の同意なしに戦争を続ける権限をにぎった政府は明確に答えなかった」。予算は戦時中であってもすべて通っていたので、「議会の同意になしに戦争を続ける」ような「権限」は、戦中の政府にも、どこにもなかった。
<同>「大政翼賛会の発足」の写真説明。「ナチスの見かけの華やかさに近衛らは惹きつけられ政治家が自ら政党を葬った」。もう少し抑制のきいた書き方や一面的でない表現はできないものか。教科書なんだから。
<p201>「1930年代の世界ブロック経済」の地図の説明。「西欧列強各国いずれのブロックにも入っていない中国は日本とアメリカのどちらにも大きな魅力だった」。だからこういう書き方をするなって! 市場とか利益とかを前面に出すのでなく、国防上・安全保障上の問題でしょ。やはりNHKみたいだ。
<同>「近衛内閣」の写真説明。「藤原鎌足を祖先とする貴族の出身」。そもそも不必要な説明だが、藤原鎌足はこの教科書では中臣鎌足の名前でしか出ておらず不親切。
<同>「ここがポイント!」。「長引く日中戦争に政治、外交はどう変化したか?→①拡大する一方の対中戦争②軍事力を過信して日本中心のブロック経済圏をつくろうとした近衛内閣③アメリカの反発と報復措置④石油などの確保を目的に南進論の浮上」。こりゃ、日本だけが悪いと本当に信じている人が書いた文章ですな。
<p202>「ここがポイント!」。「アメリカとの関係を決定的に悪くしたものは?→①近衛首相の『東亜新秩序』②イギリスを攻撃するドイツと結んだ日独伊三国軍事同盟③南部仏印進駐」。アメリカの対日強硬派の不誠実な外交態度は無視ですか。となると日本が全部悪いとなるのだが…。
<p204>扶桑社版が大東亜戦争と書いているところを、かぎかっこ付きの「大東亜戦争」に変えている。
<p205>「ここがポイント!」。大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている↓(→連載3

<同>「マレー半島を自転車で南下する日本軍」の写真説明。「自転車で快進撃したので『銀輪部隊』と呼んだが機械化部隊が乏しいからでもあった」。こんなトホホな説明をするくらいなら別な写真に替えたら? 
<同>米軍反撃の側注。「このころのアメリカは日本の暗号通信をほとんど解読できるようになったので、日本が得意とした忍者のような攻撃は成功しなくなった。日本はそのことに気づかなかった」。「日本が得意とした忍者のような攻撃」なんて記述、教科書の歴史に残るような史上初の珍妙な記述では?
<p207>大東亜戦争の結果について、扶桑社版にある「アジア諸国で始まっていた独立の動きを早める一つのきっかけともなった」という重要な記述を削除した。
<p208>
「日本で日中戦争勃発とともに、物資、経済、産業、交通などのすべてを政府が統制し運用する総動員体制がつくられた」。「日本で…」は文章のつながりがおかしい。
<p209>「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」。大東亜戦争で日本の国土で最初に地上戦が行われたのは、昭和20年2月16日に始まった硫黄島の戦いであり、この記述は明らかな間違い。(→連載3
<同>「アメリカの軍艦に体当たりする特別攻撃機」の写真説明。「爆弾を積んだ飛行機を乗員ごと敵の艦船に突入させる自殺攻撃で」。特攻隊を「自殺攻撃」と貶めている。「つくる会」の一部の人は靖国神社の社頭でビラを撒いているらしいが、英霊に失礼だ。(→連載3
<同>「ここがポイント!」。「 国民の間にどのような苦難と犠牲が生じたか?→…③朝鮮と台湾での創氏改名など日本人化政策強化④朝鮮と台湾の出身者にも徴兵と徴用…」。自虐、朝鮮迎合。
<p210>「ここがポイント!」。「『大東亜戦争』はどのようにして終わったか?」。かぎかっこ付きの「大東亜戦争」になっており、p205の「ここがポイント!」の太平洋戦争と不統一。
<p214>
「日本軍も、戦争中に侵攻した地域で、捕虜となった敵国の兵士や非武装の民間人に対しての不当な殺害や虐待をおこなって多大な惨禍をのこしている」。扶桑社版にない「多大な惨禍をのこしている」が加筆されている。(→連載3
 
大東亜戦争を太平洋戦争と呼ぶ方針は、自由社が文部科学省に提出した編集趣意書↓

に表れている。
 
すべて太平洋戦争と書かれている
 

 

 
(つづく)

連載一覧
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
★自由社版教科書で菅原道真も乃木希典も消えた-扶桑社版からの改悪<中>
★特攻隊を「自殺攻撃」と貶める自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<下>
★進化論から始まり部落史を詳述する自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<4>
★自由社版 そんなに支那が 好きですか-扶桑社版からの改悪<5>
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>
★「ポツダム宣言様ありがとう」の自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<7>
★悪党のくせに(笑)悪党を書かない自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<8>
★藤岡信勝会長、独禁法に違反してませんか?-扶桑社版からの改悪<9>
★乃木大将削除を開き直る「つくる会」理事-扶桑社版からの改悪<10>
★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」と書く自由社版-扶桑社版からの改悪<11>
★自由社版「ラスコーの壁画」はニセ写真だ-扶桑社版からの改悪<12>
★みんなニコニコ古墳を造ったと描く自由社版-扶桑社版からの改悪<13>
★錦の御旗で威圧したと書く自由社版-扶桑社版からの改悪<14>
★ナチスのユダヤ人迫害を消した自由社版-扶桑社版からの改悪<15>
★編集趣意書から「太平洋戦争」史観の自由社版-扶桑社版からの改悪<16>
★石原慎太郎を載せても都教委は採択しないぞ自由社版-扶桑社版からの改悪<17>

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