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★編集趣意書から「太平洋戦争」史観の自由社版-扶桑社版からの改悪<16>

自由社版教科書は、採択してもらうために保守の魂を売り渡しています。
 
扶桑社から絶縁された「新しい歴史教科書をつくる会」が自由社という出版社から出した教科書が、扶桑社版を大部分コピーしつつ、コピーしなかった部分で自虐的に改悪している―という連載をお届けしています。読者の皆様からの膨大な情報提供メールが整理しきれなくなってきたので、主なものをページ順に並べ替えて紹介しています(怒りのあまり表現が過激になっているメールは修正させていただいています)。
 
自由社版教科書の内容は、大別すると、
 
①扶桑社版のコピー部分(約8割)
②採択してもらうため、日教組やリベラル教育委員に迎合した自虐・朝鮮隷属への改悪部分
③ずさんな編集体制による欠陥・誤記・誤植
 
に分けられます。今回取り上げる満州事変から大東亜戦争までの記述は、②の内容がよく分かります。大東亜戦争の呼称について自由社版は、GHQに強制された太平洋戦争または、かぎかっこ付きの「大東亜戦争」に表記変更を行っています。これは確固たる編集方針に基づいているのです。
 
<p197>「五族協和」の側注。「『満州、漢、朝鮮、日本、モンゴルの5つの民族が共存共栄する土地である』という意味。しかし、日本人は、そのリーダーが日本であるのは当然だと勝手に決めていた。日本との関係ばかりでなく各民族間の利害も対立することが多く、現実は理想にほど遠かった」。これでは日本書籍新社の「まほろしの大東亜共栄圏」など自虐教科書の記述と変わらない。(→連載3
<p198>二・二六事件の側注で、大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている↓(→連載3

<同>「ここがポイント!」。「二・二六事件事件」になっている。こんな欠陥商品を子供に使わせるのか。その中身は「昭和11、12年の内外の大事件はどのように展開したか?→①二・二六事件事件が政治家や社会に与えた軍人への恐怖②西安事件による中国二大勢力の抗日優先一致③義和団事件以来の条約駐屯軍と抗日運動との危険な同居④南京占領で終わると考えた日本の誤算」。中国共産党やコミンテルンの謀略、国民党やアメリカの無理解などが何一つ感じられない。すべて日本が愚かだった、悪かった、だから泥沼の長期戦になった、というまとめ。まるでNHKみたい。
<p199>南京事件の記述は全然良くなっていない。あれだけ批判していたくせに。
<p200>「斎藤隆夫の国会質問」の写真説明。「1940年2月2日。鋭い批判に対しても、議会の同意なしに戦争を続ける権限をにぎった政府は明確に答えなかった」。予算は戦時中であってもすべて通っていたので、「議会の同意になしに戦争を続ける」ような「権限」は、戦中の政府にも、どこにもなかった。
<同>「大政翼賛会の発足」の写真説明。「ナチスの見かけの華やかさに近衛らは惹きつけられ政治家が自ら政党を葬った」。もう少し抑制のきいた書き方や一面的でない表現はできないものか。教科書なんだから。
<p201>「1930年代の世界ブロック経済」の地図の説明。「西欧列強各国いずれのブロックにも入っていない中国は日本とアメリカのどちらにも大きな魅力だった」。だからこういう書き方をするなって! 市場とか利益とかを前面に出すのでなく、国防上・安全保障上の問題でしょ。やはりNHKみたいだ。
<同>「近衛内閣」の写真説明。「藤原鎌足を祖先とする貴族の出身」。そもそも不必要な説明だが、藤原鎌足はこの教科書では中臣鎌足の名前でしか出ておらず不親切。
<同>「ここがポイント!」。「長引く日中戦争に政治、外交はどう変化したか?→①拡大する一方の対中戦争②軍事力を過信して日本中心のブロック経済圏をつくろうとした近衛内閣③アメリカの反発と報復措置④石油などの確保を目的に南進論の浮上」。こりゃ、日本だけが悪いと本当に信じている人が書いた文章ですな。
<p202>「ここがポイント!」。「アメリカとの関係を決定的に悪くしたものは?→①近衛首相の『東亜新秩序』②イギリスを攻撃するドイツと結んだ日独伊三国軍事同盟③南部仏印進駐」。アメリカの対日強硬派の不誠実な外交態度は無視ですか。となると日本が全部悪いとなるのだが…。
<p204>扶桑社版が大東亜戦争と書いているところを、かぎかっこ付きの「大東亜戦争」に変えている。
<p205>「ここがポイント!」。大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている↓(→連載3

<同>「マレー半島を自転車で南下する日本軍」の写真説明。「自転車で快進撃したので『銀輪部隊』と呼んだが機械化部隊が乏しいからでもあった」。こんなトホホな説明をするくらいなら別な写真に替えたら? 
<同>米軍反撃の側注。「このころのアメリカは日本の暗号通信をほとんど解読できるようになったので、日本が得意とした忍者のような攻撃は成功しなくなった。日本はそのことに気づかなかった」。「日本が得意とした忍者のような攻撃」なんて記述、教科書の歴史に残るような史上初の珍妙な記述では?
<p207>大東亜戦争の結果について、扶桑社版にある「アジア諸国で始まっていた独立の動きを早める一つのきっかけともなった」という重要な記述を削除した。
<p208>
「日本で日中戦争勃発とともに、物資、経済、産業、交通などのすべてを政府が統制し運用する総動員体制がつくられた」。「日本で…」は文章のつながりがおかしい。
<p209>「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」。大東亜戦争で日本の国土で最初に地上戦が行われたのは、昭和20年2月16日に始まった硫黄島の戦いであり、この記述は明らかな間違い。(→連載3
<同>「アメリカの軍艦に体当たりする特別攻撃機」の写真説明。「爆弾を積んだ飛行機を乗員ごと敵の艦船に突入させる自殺攻撃で」。特攻隊を「自殺攻撃」と貶めている。「つくる会」の一部の人は靖国神社の社頭でビラを撒いているらしいが、英霊に失礼だ。(→連載3
<同>「ここがポイント!」。「 国民の間にどのような苦難と犠牲が生じたか?→…③朝鮮と台湾での創氏改名など日本人化政策強化④朝鮮と台湾の出身者にも徴兵と徴用…」。自虐、朝鮮迎合。
<p210>「ここがポイント!」。「『大東亜戦争』はどのようにして終わったか?」。かぎかっこ付きの「大東亜戦争」になっており、p205の「ここがポイント!」の太平洋戦争と不統一。
<p214>
「日本軍も、戦争中に侵攻した地域で、捕虜となった敵国の兵士や非武装の民間人に対しての不当な殺害や虐待をおこなって多大な惨禍をのこしている」。扶桑社版にない「多大な惨禍をのこしている」が加筆されている。(→連載3
 
大東亜戦争を太平洋戦争と呼ぶ方針は、自由社が文部科学省に提出した編集趣意書↓

に表れている。
 
すべて太平洋戦争と書かれている
 

 

 
(つづく)

連載一覧
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
★自由社版教科書で菅原道真も乃木希典も消えた-扶桑社版からの改悪<中>
★特攻隊を「自殺攻撃」と貶める自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<下>
★進化論から始まり部落史を詳述する自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<4>
★自由社版 そんなに支那が 好きですか-扶桑社版からの改悪<5>
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>
★「ポツダム宣言様ありがとう」の自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<7>
★悪党のくせに(笑)悪党を書かない自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<8>
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