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★東京書籍の年表を盗用した自由社版教科書-記述検証〈6〉

追記: 警告。当ブログの報道に対する八つ当たりは一切お断りします。妄想に基づく謀略論にはもう誰もついていきませんよ。
 
「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)の自由社版中学校歴史教科書が驚くべき盗用を行っている事実が判明しました。
 
この連載の2回目で、自由社版歴史教科書市販本の年表が豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)を「侵略」と書いている事実をお伝えしました。
 
 ★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」に戻した自由社版教科書-記述検証〈2〉
  
自由社の年表をよく見ると「朝鮮侵略」だけでなく、左翼色が前面に出ています。
 

「倭寇が高麗や明を侵す」という左翼的かつ特異な表現が使われています。
 

本文にない大逆事件がなぜか年表にあります。
 

本文にない同和対策審議会答申がなぜか年表にあります。
 

本文にない国際人権規約批准がなぜか年表にあります。
 

平成22(2010)年に検定申請した教科書なのに、日本の歴史がなぜか「1997 アイヌ文化振興法制定」(これも本文にない)という特異な項目で終わっていて、北朝鮮拉致被害者5人帰国(2002年)、自衛隊イラク派遣(2003年)、教育基本法改正(2006年)といったその後の大事な出来事が載っていません。
 
ここでピンと来ました。この年表は一般的(左翼的)な教科書か参考書の年表を丸写ししているなと…。
 
すぐに判明しました。自由社版の年表の「日本のおもなできごと」は東京書籍の平成14年度版(14~17年度使用)の「日本のおもなできごと」を盗用しています。比較を一部掲載します。左が自由社版、右が東京書籍平成14年度版です。

  
ご覧のように丸写しです(「大仏完成」は「東大寺の大仏完成」になっていますが)。「倭寇が高麗や明を侵す」「大寺院が勢いをふるう―僧兵の乱暴」といった言い回しまで同じです。
 
こんな調子で、自由社版の年表の「日本のおもなできごと」は「このころ 採集や狩りによって生活する」から「1997 アイヌ文化振興法制定」までの200近い出来事が東京書籍の平成14度版と完全に一致し、過不足がありません。「大和国家」を「大和朝廷」に、「太平洋戦争」を「大東亜戦争(太平洋戦争)」に(これは2年前に当ブログが指摘した結果)するなど、微妙に変えているものもありますが、項目は全く同じです。「年表は歴史事象を並べるのだから誰が作っても同じだ」と強弁することは不可能です。「1997 アイヌ文化振興法制定」の後を補わないところが大胆な犯行です。
 
自由社の本棚には平成14年度版東京書籍歴史教科書が置かれているでしょう。
 
執筆者グループの「新しい歴史教科書をつくる会」は会報『史』の6月増刊号で東京書籍を口を極めて非難していますが、自分たちは東京書籍を丸写ししているのです。古臭い自虐教科書の年表を拝借して、なにが「新しい歴史教科書」でしょうか。
 
著作権侵害ですから、採択から撤退することをお勧めします。東京書籍と文部科学省には連絡しておきました。
 
(つづく)
 
※これまでの連載
 ★南京事件への疑問を削除した自由社版教科書-記述検証〈1〉
 ★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」に戻した自由社版教科書-記述検証〈2〉
 ★梶山静六を梶山清六と書く自由社版教科書-記述検証〈3〉
 ★内村鑑三も新渡戸稲造も載っていない自由社版教科書-記述検証〈4〉
 ★魏志倭人伝への疑問を削除し、ありがたがる自由社版教科書-記述検証〈5〉
 
育鵬社や自由社版の記述について情報を募集しています。
 project-justice@mail.goo.ne.jp
 
※自由社の現行版(平成22年度版)の記述については、こちらから順次ご覧ください。
 ★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
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★魏志倭人伝への疑問を削除し、ありがたがる自由社版教科書-記述検証〈5〉

まず、以下の文章をお読みください。
 
『国民の歴史』(西尾幹二著、新しい歴史教科書をつくる会編)
『魏志倭人伝』は日本の内情に関する唯一最古の文字文献として、敗戦後の日本古代史研究に猛威をふるってきた。この書が示す邪馬台国の女王卑弥呼の3世紀前半における実在を前提として、大和朝廷の位置や年代が左右されてきたからである。
私には不思議でならない。
尊重されてきた理由は唯一最古の文字文献だからだが、まったく同じ理由から、私はこの文書は歴史資料としての価値がほとんどないと信じている。その所以を説明するのが本項の主題である。
(中略)
結論を先にいえば、『魏志倭人伝』を用いて歴史を叙述することは、はなから不可能なのである。
(中略)
あれは歴史資料ではない。不正確な距離推定や地形描写や、影か幻のような人のうごめきがつづられているだけであり、まさに「廃墟」である。
(後略)

扶桑社『新しい歴史教科書』初版本(代表執筆者・西尾幹二)
しかし、魏志倭人伝を書いた歴史家は、日本列島にきていない。それより約40年前に日本を訪れた使者が聞いたことを、歴史家が記していると想像されているにすぎない。また、その使者にしても、列島の玄関口にあたる福岡県のある地点にとどまり、邪馬台国を訪れてもいないし、日本列島を旅してもいない。記事は必ずしも正確とはいえず、邪馬台国が日本のどこにあったのかはっきりしていない。大和(奈良県)説、九州説など、いまだに論争が続いている。
 
自分は保守だ、日本人の歴史を取り戻したいと思っている人は、全くその通りだと同意するはずです。支那の記録よりも古事記、日本書紀を大事にしろと。
 
ところが、今回検定に合格した「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史教科書の市販本は、表紙を開くと代表執筆者の藤岡信勝会長がこんなことを書いています。


外国人による日本人の道徳性についての高い評価は、今に始まったことではありません。古代中国の文献「魏志倭人伝」は、盗みが無いこと、争いごとが少ないこと、風俗が乱れていないことを伝えています。魏志倭人伝が書かれた3世紀から、日本は道徳的な高さにおいて特別の国だったのです。

教科書の中身にも「外の眼から見た日本 魏志倭人伝から」と題するこんな囲み記事があります。(p39)
風俗は乱れていない。盗みがなく、争いごとも少ない。死者が出ると家族は10日間ほど喪に服し、埋葬したあとは水辺で沐浴し、身を清めている。

  
なんと、不確かな魏志倭人伝をありがたがって、日本人の道徳性を述べているのです。
 
こういう日本人論は生理的に受け付けません。気持ち悪いのです。吐き気がします。
 
どうも怪しい教科書だなあと思って、現行版(平成22年度版)と比べると…。

 
現行版にある「倭人伝の記述には不正確な内容も多く」という文言をそっくり削除しています(ちなみにフジサンケイグループ育鵬社の教科書には「倭人伝の記述の不正確さのために」という表記があります)。
 
西尾幹二さんは自由社版の執筆者欄に名前を残してもらうために黙っているのでしょうか。「新しい歴史教科書をつくる会」は、善良な一般会員を拉致して、とんでもない方向に暴走していると言わざるを得ません。
 
(つづく)
 
※これまでの連載
 ★南京事件への疑問を削除した自由社版教科書-記述検証〈1〉
 ★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」に戻した自由社版教科書-記述検証〈2〉
 ★梶山静六を梶山清六と書く自由社版教科書-記述検証〈3〉
 ★内村鑑三も新渡戸稲造も載っていない自由社版教科書-記述検証〈4〉
 
育鵬社や自由社版の記述について情報を募集しています。
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※自由社の現行版(平成22年度版)の記述については、こちらから順次ご覧ください。
 ★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
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★内村鑑三も新渡戸稲造も載っていない自由社版教科書-記述検証〈4〉

教科書改善の会(屋山太郎代表世話人)が執筆したフジサンケイグループ育鵬社の中学校歴史教科書と「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)の自由社版中学校歴史教科書の決定的な違いを示す資料を公開します。
 
北海道や関西の中学校の先生たち(自由主義史観研究会の会員も含まれています)が平成24年度版中学校歴史教科書全社の見本本の人名索引を比較した「平成24年度版中学校歴史教科書の人名索引比較」という資料があります。あまりにデータが大きいので、自由社版の索引にない人物をいくつか抜粋してここにアップします(これが全部ではありません)。この表が嘘だと思う人は、育鵬社と自由社版の市販本の人名索引を見比べてください。
 
■平成24年度版中学校歴史教科書の人名索引比較(抜粋)
 
自由社版教科書がここまでひどいとは思いませんでした。驚くべき人物軽視です。
 
人名索引に載っていなくても、本文や側注、キャプション、表、年表などに掲載されている場合もあります。自由社の名誉のために言うと、自由社版の人名索引にない人物でも、例えば、後三条天皇や新田義貞は本文に出ていますし、武田信玄もコラムの中に名前があります。杜撰な索引漏れです(全然名誉じゃありませんね)。しかし大半は、人名索引にない人物は中にも載っていません(津田梅子は調べ学習のページの生徒の作品の中にしか出てこないので索引に載せなかったのでしょう)。いずれにせよ、人名索引はその教科書がどの人物を重視しているかを示す指標です。
 
  人名が少ないため写真で穴埋めしている自由社版の人名索引→
  
 
 
 
 自由社版教科書には内村鑑三が載っていない!
 自由社版教科書には光明皇后が載っていない!
 自由社版教科書には西行が載っていない!
 自由社版教科書にはシーボルトが載っていない!
 自由社版教科書には島崎藤村が載っていない!
 自由社版教科書には豊田佐吉が載っていない!
 自由社版教科書には新渡戸稲造が載っていない!
 自由社版教科書には二葉亭四迷が載っていない!
              :

この教科書を使って高校入試に通るんでしょうか?
 
一方の育鵬社は中学校歴史教科書史上、最も人物を重視した教科書になっています。他社に載っている人物のほとんどをカバーし、受験に強い教科書です。例えば、安藤昌益、市川房枝、片山潜、幸徳秋水、小林多喜二、中江兆民といった、左翼が好む人物も掲載していますが、これらの人物は扶桑社の初版本に掲載されていた人物であり、日本人の教養としても受験対策上も必要な名前です。岩崎弥太郎や天璋院(篤姫)といった話題の人物も取り上げています。

 
その上で、正統保守教科書として、日本武尊、和気清麻呂、上杉鷹山、藤田東湖、大村益次郎、ダライ・ラマ14世、安倍晋三らの名前をきちんと載せています。

自由社版は光明皇后を載せていないという一点で「保守の教科書」失格です。
 
それから、自由社版が内村鑑三や新渡戸稲造を取り上げないのは西尾幹二がこの人たちを嫌いだからだという話もありますが、自由社と「新しい歴史教科書をつくる会」幹部は、内村鑑三と新渡戸稲造がいかに偉大な人物か、下記のリンクで勉強したほうがいいでしょう。
  
 ■代表的日本人キリスト者 内村鑑三「2つのJ」
 ■代表的日本人キリスト者 新渡戸稲造「太平洋の橋」
  
(つづく)
 
※これまでの連載
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 ★梶山静六を梶山清六と書く自由社版教科書-記述検証〈3〉
 
育鵬社や自由社版の記述について情報を募集しています。
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※自由社の現行版(平成22年度版)の記述については、こちらから順次ご覧ください。
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★梶山静六を梶山清六と書く自由社版教科書-記述検証〈3〉

衆議院拉致問題特別委員会でフジサンケイグループ育鵬社の公民教科書の内容が取り上げられ、中野寛成拉致問題担当大臣が「育鵬社よくここまできちっと書いていただいた」「拉致担当大臣として敬意を表したい」と答弁したことを4月28日に取り上げました。
 
 ★拉致担当相「育鵬社よくここまで書いた。敬意を表したい」
 
「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版公民教科書は北朝鮮による拉致事件をどう扱っているのか、読んでみましたが…。いや、ひどいもんです。
 
p163に年表が載っていますが、1行目から間違えています。

宇出津事件は「9月18日」ではなく19日です。
 

「1988(昭和63)年3月 参議院予算委員会で、梶山清六国家公安委員長が、アベック行方不明事件は北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であると言明……マスコミは、1行も報じなかった。」
 
梶山静六が「梶山清六」になっています。自由社も文部科学省も、自民党の政治家の名前などどうでもいいようです。
 
梶山答弁を「マスコミは、1行も報じなかった」というのも誤りです。日本経済新聞とサンケイ新聞が昭和63年3月26日付夕刊で報じています。

 
この2紙だけで32行報じているのに「1行も報じなかった」とはどういう意味でしょう。「お前たちはマスコミではない」と、日本経済新聞社と産経新聞社に喧嘩を売っているのでしょうか。両社は自由社と文部科学省に抗議すべきです。
 
地図の出典も間違っています。

「拉致問題対策室」ではなく拉致問題対策本部です。
 
このページだけで4カ所誤りがあります。検定を通した文科省もどうかしてます。
 
年表の田口八重子さんと地図の李恩恵が同一人物であることの説明もなく、生徒に不親切な記述です。
 
「新しい歴史教科書をつくる会」関係者によると、このページの執筆者は小山常実という人です。「つくる会」の会員は多くが「救う会」の活動にも関係していて拉致問題には詳しいのです。自由社版公民教科書を読めば直感するでしょう。「モグリが書いている」と。
 
決定的に駄目なのがp9の次の記述です。

「1977(昭和52)年以来、多くの日本人が北朝鮮によって拉致されたといわれています。」
 
「いわれています」ではなく拉致されたのです!
 
自由社と拉致事件といえば、この件はどうなりましたかね。↓
 
 ★石原萠記よ、福留貴美子さんを救え!―「日本出版協会」の正体
 
(つづく)
 
※これまでの連載
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★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」に戻した自由社版教科書-記述検証〈2〉

教科書改善の会(屋山太郎代表世話人)が執筆したフジサンケイグループ育鵬社の中学校歴史・公民教科書と、「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)の自由社版中学校歴史・公民教科書の記述検証の2回目です。
 

自由社版歴史教科書の巻末にある歴史年表で「1592 秀吉が朝鮮侵略を始める」と、豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)を「侵略」と書いています。
 
東京書籍などの自虐教科書と同じ表記です。言うまでもなく、前近代の歴史に「侵略」という20世紀の価値観を持ち込んで断罪することは、歴史教科書としてあってはならないことです。
 
この問題は2年前に自由社版が初めて検定に合格したときに私たちが指摘しました。

 ★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」と書く自由社版-扶桑社版からの改悪<11>
 
この指摘で「つくる会」の会員たちは大あわてになり、自由社は仕方なく文部科学省に自主訂正を申請し、供給本(実際に生徒に配られる教科書)では「朝鮮出兵」に改めました。
 
 
 
 
 
 
ところが代表執筆者・藤岡信勝客員教授と自由社は今回、また元に戻してしまったのです。
 
 
「本文は出兵になっているじゃないか」「うっかりミスで最初の版下を使ってしまったのだ」と擁護する人もいるかもしれません。しかしそうではないのです。
 
当ブログは自由社版の年表について、ほかにも
 
 ・大東亜戦争ではなく「太平洋戦争」になっている。
 ・「このころ ソ連、人工衛星『スプートニク』打上成功」。モスクワ時間の1957年10月4日22時28分34秒と秒単位で特定できることをなぜ「このころ」とするのか。
 
との指摘を行い、自由社は供給本で訂正しましたが、その部分は元に戻っていません。

 
「朝鮮出兵」だけを「朝鮮侵略」に戻したのですから確信犯です。今回は良識ある一般会員から批判されても修正はできないでしょう。恥ずかしくて。
 
【追記】自由社が見本本(教育委員会に配る本)で直し、ホームページに「市販本印刷の段階で生じたミス」との苦しい釈明を16日付で掲載しました。恥ずかしいですね。
 
(つづく)
 
育鵬社や自由社版の記述について情報を募集します。
 project-justice@mail.goo.ne.jp
 
※自由社の現行版(平成22年度版)の記述については、こちらから順次ご覧ください。
 ★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>
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