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★東日本大震災がただ1社載っていない自由社版教科書-記述検証〈20〉

平成24年度が始まり、昨年採択された中学校教科書が生徒たちに配られました。これを供給本といいます。教科書各社は検定合格後に見つかったミスや客観的事情の変更を文部科学省に訂正申請して供給本に盛り込みました。歴史教科書を発行するほとんどの出版社は当然、戦後最大の国難である東日本大震災の記述を追加しました。各社の供給本の東日本大震災関係記述を見てみましょう。

 
育鵬社
【p246本文】1995(平成7)年の阪神・淡路大震災に続き、2011(平成23)年には三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震によって東北や関東の太平洋岸を大津波が襲い、死者・行方不明者は2万人近くに達しました(東日本大震災)。被災地の人たちの秩序やがまん強さ、責任感などが世界から称賛されるなか、日本中が助け合って復興への道を歩んでいます。津波によって起きた福島県の原子力発電所の事故のために、多くの周辺住民が避難生活を強いられ、エネルギー政策のあり方が議論されています。
【p246 写真2枚】東日本大震災 震災による津波は、宮城県、岩手県、福島県の沿岸部などに大きな大きな被害をあたえた。上は、宮城県名取市の住宅におし寄せる大津波。右は、避難所生活の中で、協力して食事をつくる宮城県石巻市の人々のようす。
【さくいん】東日本大震災……246
【年表】二〇一一 東日本大震災

東京書籍
【p241 第7章年表】2011 東日本大震災
【p246】(スパリゾートハワイアンズは)2011年の東日本大震災で一時休館したが、その間ダンサーの方々は、復興への願いをこめて全国で公演した。
【p247 いわき市のできごとの年表】2011 東日本大震災で大きな被害を受ける
【年表】二〇一一 東日本大震災

教育出版
【年表】二〇一一 東日本大震災が起こる

帝国書院
【p245本文】2011年3月、大地震が起こり、津波による被害や原子力発電所での事故による放射能もれなど、深刻な問題が発生しました(東日本大震災)。エネルギー政策をはじめ、これからの日本をどうするかが、問われていくことになりました。
【年表】二〇一一 東日本大震災

日本文教出版
【p263本文】1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災では、被災者の支援と復興に多くのボランティアが活躍しました。
【年表】二〇一一 東日本大震災

清水書院
【年表】二〇一一 東日本大震災おこる
【p270本文】そうしたなか、2011年に東日本大震災が発生、地震と津波で多大な人命が失われた。また、原子力発電所も損壊し、大量の放射性物質が外部にもれ出す事故がおきた。
【p271 死者・行方不明者数の地図】東日本大震災 この震災は、岩手・宮城・福島・茨城・千葉県などを襲い、約2万の死者・行方不明者を出した。福島第一原子力発電所からもれ出た放射性物質は広範囲を汚染し、人びとの生活に大きな影響をあたえ、政府の原子力発電を推進する政策にも見直しをせまることになった。
【p273本文】しかし、なお未解決の課題も多い。まずなによりも東日本大震災からの復旧・復興、放射性物質に汚染された地域の除染が緊急の課題である。
【さくいん】東日本大震災……270,271,273
 
自由社
(なし)

東日本大震災の記述が最も充実しているのは上記の通りフジサンケイグループ育鵬社です。なんと「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版中学校歴史教科書の供給本(右の写真)には、中学校歴史教科書7社で唯一、東日本大震災の記述がありません。
 
どうやら自由社は、採択があまりに少なかったため、供給本に向けての訂正申請に投げやりになったようです。以下、自由社版中学校歴史教科書の供給本に残っている間違いをいくつか挙げます(繰り返しますが、供給本とは実際に生徒に配られた教科書です)。
 
p46の地図で漢城に「ソウル」とルビが振ってありますが、漢城は日本語でも朝鮮語でもソウルと読みませんよと昨年10月17日付記事←クリック で教えてあげましたが、供給本でも直しませんでした。
 
 
 
p67で藤原道長の有名な歌「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」の「思ふ」が「思う」になっていますよ、現代仮名遣いにするにしても末尾の「思へば」と整合性がありませんよと教えてあげましたが、供給本でも直しませんでした。
 
 
 
 
 
 
 
p200の「土人」のルビが右にはみ出してますよと教えてあげましたが、供給本でも直しませんでした。
 
 
 
 
 
釜山(ふざん)に「プサン」と朝鮮語読みだけのルビを振ったり、西安(せいあん)に「シーアン」と支那語読みだけのルビを振っているのも直しませんでした。自由社は自分たちが支那・朝鮮語読み単独表記という最低の表記をしながら、日本語読みの育鵬社を攻撃しているのです。
 
次に自由社版公民教科書の供給本(右の写真)を見てみましょう。当ブログは自由社版公民教科書の品質の低さについて度々指摘してきました。

 ★梶山静六を梶山清六と書く自由社版教科書
 ★国旗・国歌法がただ1社載っていない自由社版教科書
 ★脳死臓器移植への疑問を書かない自由社版教科書
 ★知床も納沙布岬もロシアに占領されている自由社版教科書
 ★隠岐と竹島の距離を157メートルと書く自由社版教科書
 
さすがに「梶山清六」は直しましたが、供給本には例えば次のような間違いが残りました(しつこく書きますが、供給本とは実際に生徒に配られた教科書です)。
 
p154の「冷戦下の世界の主な紛争」の年表で「1946年 ベルリン封鎖」「1948年 ベルリン封鎖事件」とダブっていますが、ベルリン封鎖はもちろん1948年です。

 

p163の拉致事件の年表で宇出津事件が昭和52年9月18日とありますが「19日」の誤りです。久米裕さんは昭和52年9月19日、石川県能都町(今の能登町)の宇出津海岸で北朝鮮工作員に工作船で拉致されました。翌20日、石川県警は久米さんを引き渡した在日朝鮮人、李秀吉を出入国管理令と外国人登録法違反の疑いで逮捕しましたが不起訴となりました。政府の拉致問題対策本部のホームページ←クリック にも宇出津事件は19日とあります。

p172の地図の左端の文字が切れています。この供給本は東京都内の教科書販売店で購入したものです。交換を要求しようと思いますが、恐らくみんなこうなんでしょう。私のは結構ですが、生徒たちの分は全部刷り直して交換すべきです
 
 
 
 
裏見返しに掲載されている地図で知床岬や納沙布岬が「他国に占領されているわが国の領土」になっています。円で表していることがそもそもおかしいのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
昨年7月4日付「世界日報」に現「新しい歴史教科書をつくる会」会長の杉原誠四郎(本名・平田誠四郎)が書いた文章←クリック によると、この自由社版公民教科書の「骨格を作った」のは小山常実という人だそうです。小山は扶桑社の教科書を継承している育鵬社の教科書は扶桑社の教科書を盗作している…と、わけの分からない宣伝を執念深く続けています。小山や同調者たちは多くの保守系文化人や政治家に育鵬社の教科書は盗作だという育鵬社に対する業務妨害文書を送り付けています。
 
無視されると「かまって、かまって」と騒いでいます。おかしな人だなあと思っていたら、自らの匿名ブログ←クリック で心身が不安定であることを明かしています。かわいそうな人なのです。ご家族の支えが必要ですが、ブログを見てもご家族の存在が見えません。小山は、家族問題を研究している関西の有名国立大学の女性教授に電話してみてはどうでしょうか。こんな心配をするのは余計なお世話でしょうか…。
  
※自由社版記述検証、これまでの連載
 ★南京事件への疑問を削除した自由社版教科書-記述検証〈1〉
 ★秀吉の朝鮮出兵を「侵略」に戻した自由社版教科書-記述検証〈2〉
 ★梶山静六を梶山清六と書く自由社版教科書-記述検証〈3〉
 ★内村鑑三も新渡戸稲造も載っていない自由社版教科書-記述検証〈4〉
 ★魏志倭人伝への疑問を削除し、ありがたがる自由社版教科書-記述検証〈5〉
 ★東京書籍の年表を盗用した自由社版教科書-記述検証〈6〉
 ★靖国神社も水戸学も載っていない自由社版教科書-記述検証〈7〉
 ★東北の太平洋岸を水没させた「白由社」版教科書-記述検証〈8〉
 ★陸奥宗光を睦奥宗光!ここが違う自由社版教科書-記述検証〈9〉
 ★国旗・国歌法がただ1社載っていない自由社版教科書-記述検証〈10〉
 ★チャンドラ・ボースの名前を削除した自由社版教科書-記述検証〈11〉
 ★脳死臓器移植への疑問を書かない自由社版教科書-記述検証〈12〉
 ★そもそも扶桑社を盗用している自由社版教科書-記述検証〈13〉
 ★年表盗用市販本をHPから削除した自由社版教科書-記述検証〈14〉
 ★二宮尊徳の事績を間違っている自由社版教科書-記述検証〈15〉
 ★長崎の原爆写真を「広島」と説明する自由社版教科書-記述検証〈16〉
 ★知床も納沙布岬もロシアに占領されている自由社版教科書-記述検〈17〉
 ★隠岐と竹島の距離を157メートルと書く自由社版教科書-記述検証〈18〉
 ★支那・朝鮮の地名を現地読みで読ませる自由社版教科書-記述検証〈19〉
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