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★西尾幹二派『藤岡信勝を断罪す』

扶桑社の教科書を継承している育鵬社の教科書は扶桑社の教科書を盗作している―というわけの分からないデタラメ宣伝を続けてきた「新しい歴史教科書をつくる会」のインチキぶりと内部対立がまたまた明らかになりました。
 
1月8日に育鵬社に合流したいと哀願して断られた「新しい歴史教科書をつくる会」 ←クリック は、ホームページ←クリック で「4月15日、東京地裁に提訴したことを報告いたします」「『つくる会』としてはやむなく、法的手段に訴えることになりました」「『つくる会』としては…この問題の提訴に踏み切りました」と公表しました。当初は4月1日に提訴すると言っていましたが、当ブログに「エイプリルフール」と指摘されて、よりによって金日成の誕生日に記念日闘争を行ったのです。北朝鮮がわが国にミサイルを撃つかもしれないと国民が警戒する中、何をやっているのでしょうか。
 
さて、仮に著作権問題が存在するとしても「新しい歴史教科書をつくる会」というグループは当事者ではないので「つくる会が提訴した」というのは嘘発表です。では、原告は誰なのか。な、な、なんと藤岡信勝1人なのです。西尾幹二派の鈴木敏明という人が今月出版した『保守知識人を断罪す―「つくる会」苦闘の歴史』という本で明らかにしています。
 
おかしいではないですか。扶桑社の教科書を継承している育鵬社の教科書は扶桑社の教科書を盗作している―というわけの分からないデタラメ宣伝を続けてきた「新しい歴史教科書をつくる会」側はこれまで「育鵬社は平成18年度版扶桑社教科書の執筆に関わった西尾幹二、高森明勅、坂本多加雄(故人)、藤岡信勝と、平成22年度版自由社版教科書の発行元である自由社の著作権を侵害している」と言ってきました。
 
ところが、西尾幹二も高森明勅も坂本多加雄氏の相続人も自由社も提訴しなかったのです。ちなみに、「新しい歴史教科書をつくる会」内部の事情通によると、藤岡信勝は「つくる会」副会長の高池勝彦弁護士や自由社監査役の三堀清弁護士、保守派の荒木田修弁護士に「弁護団」入りを打診して断られ、代理人は福本修也弁護士だけになりました。そりゃそうです。勝てない裁判なんて誰も関わりたくありません。
 
この西尾幹二派の鈴木敏明氏の本には興味深い事実が紹介されています。3月9日に東京・西池袋の豊島区医師会館で開かれた「新しい歴史教科書をつくる会」東京支部系の研修会で、西尾幹二自由社による扶桑社教科書からの盗作問題←クリック を取り上げ「育鵬社の盗作を告発することは、同質のことをこちらもしている以上、道義的にも世間的にも成り立たないと判断し、もともと『つくる会』の理事でもなく、すでに辞任している立場でもあるので、裁判には参加しない」と宣言していたのです。当ブログもこの西尾発言の詳録を独自に入手しました。
 
西尾幹二派の鈴木敏明氏はこの本で、西尾発言を紹介するだけでなく藤岡信勝批判を繰り広げています。①自由社と「新しい歴史教科書をつくる会」による扶桑社教科書文化史記述盗作問題②「新しい歴史教科書をつくる会」による育鵬社への合流哀願問題③藤岡信勝による育鵬社提訴問題―について、次のように書いています。
今回の「つくる会」の歴史教科書が文化史面で4カ所盗作していたという確認は、私たち「つくる会」の会員にとってまさに青天の霹靂です。一昨年の平成23年の教科書採択戦時に年表流用問題が育鵬社側から指摘され、謝罪し「つくる会」の藤岡信勝会長が杉原氏に替わった。今回の文化史の盗作では歴史教科書の代表執筆者の藤岡信勝氏が代表執筆者の地位を返上した。
(中略)しかし責任をとって代表執筆者を降りただけでは軽すぎると思います。こう思うのは会員では私だけではないでしょう。私には今回の文化史盗作は、致命的な失態だからです。(中略)
私は、藤岡氏は代表執筆者の地位を降りるだけでなく理事をも降り、一会員になるべきだと思います。そして育鵬社との盗作の話し合いにも出席すべきではないと考えています。(p205~206)

育鵬社が教科書の一体化を拒否したのは当然でしょう。彼らもなぜいまさら教科書の一体化を要求してくるのか理由がわからないからです。その話を聞いた私は、「執行部は、気がくるったのでしょうか」というメールを「つくる会」のメイリングリストに送りました。(p209)

文化史盗作が表面化したのは1月7日でした。執行部(杉原誠一(ママ)郎会長)が育鵬社への一社化を申しでた日は1月8日です。これはいくらなんでもおかしいと西尾氏は言いました。自分の側に過失が判明したら、しばらく反省し、理事会で討議し、それからゆっくり次の手を打つのが常識でしょう。
まるで自分の犯した過ちをごまかすかのように、あわてて即日に自分を売り込むような、理解できない迷走ぶりを展開したのがこの件における執行部の行動でした。中心にいたのは、藤岡信勝氏自身でした。西尾氏が辞めてから「つくる会」が藤岡氏の独走体制で運営されてきた欠点がもろに出たのではないかというのが、西尾氏の推測で、従ってこういう不合理な体制が徹底されて改まらない限り、自分は協力を続けることはできないという判断でした。(p210~211)

「つくる会」側から育鵬社との一体化を、会員の意見も聞かずに執行部独自で提案し、育鵬社側に拒否されているのです。私に言わせれば、執行部自ら「つくる会」を裏切っているのに等しい。
これほど重要な問題にもかかわらず会員には一切知らされず、今年3月9日の「つくる会」の講演日は、藤岡理事は、「これは総会マターではない」、総会にかけるような問題でないとはっきり公言さえしているのです。彼は一体何様なのかと聞きたいくらいです。やっていることの幼稚さがわかっていないのです。(p220)

提訴したのは藤岡氏だけです。西尾氏と高森氏は、提訴辞退です。状勢が変わったのです。つくる会が歴史教科書の文化史で育鵬社と同じ盗作を指摘され、つくる会は謝罪しているからです。こうなると提訴する道義的理由はなくなるし、法的根拠もあるのかどうか分かりません。提訴しない方がよいのかどうかがむずかしくなってしまったのです。提訴するかしないかは著作権者の判断ですから会員は、提訴に賛成か反対か悩むところです。こういうむずかしい問題になっているのに、東京地裁に提訴したことだけを報じるのは姑息な手段のような気がしてなりません。なぜなら藤岡氏は、「つくる会」東京支部主催の講演で、西尾氏が、すでに触れていますが、3月9日の講演で「つくる会」が育鵬社と同じ罪を犯したのだから、「私は提訴しません」と公言しているのです。その西尾氏の発言を藤岡氏は直接聞いて、講演終了後の質問時間に立ち上がって「私は提訴します」と反論しているのです。私はその両者の発言を聞いているのです。にもかかわらず、「東京地裁に提訴した」だけの情報では、西尾、藤岡、高森の3氏が提訴したという誤解を会員にあたえてしまいますし、西尾氏と高森氏には、大変迷惑だと思います。(p221~222)

「つくる会」執行部のなかには、多くの敵に必要以上にきらわれ、味方には彼の支援者がいますが、多くの会員から徹底的にきらわれる人物がいるのです。この人物についての詮索はここではいたしません。しかし「つくる会」は、この人物をどう処理して解決していくか、また組織をどう変えてゆくべきか、いわゆる組織変更は、これからの「つくる会」の重要な課題だと思います。(p224)

「気がくるった」「一体何様なのか」…。西尾幹二派の鈴木敏明氏は要するに「藤岡信勝は引っ込んでろ」と言っているのです。
 
育鵬社は盗作しているとか、八木秀次氏は中国のスパイだとか、事実無根のマインドコントロールを受けているのは藤岡信勝派にも西尾幹二派にも共通していますが、西尾幹二派には筋が通っている面が一部あることは確かでしょう。
 
30日に開かれる「新しい歴史教科書をつくる会」総会では①自由社と「新しい歴史教科書をつくる会」による扶桑社教科書文化史記述盗作問題②「新しい歴史教科書をつくる会」による育鵬社への合流哀願問題③藤岡信勝による育鵬社提訴問題―について、藤岡信勝派と西尾幹二派が徹底的に話し合ってみてはどうでしょうか。

 
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