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★スクープ! 東京都教委の教科書採択資料はデタラメだ

【追記】「つくる会」に呼応して扶桑社版の採択無効を叫んでいる増田都子さんたち左翼の皆さん。このエントリーは東京都教委の調査研究資料の在り方について問題提起しているのであって、平成17年度と今年度の採択結果の変更を求めるものではありません。また、ここに掲載されている調査結果の盗用を禁じます。
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東京都教育委員会は先月14日、都立の中高一貫校と特別支援学校で扶桑社の歴史教科書を継続採択(新設4校は新規採択)しましたが、「新しい歴史教科書をつくる会」の一部の人たちは自由社版が採択されると固く信じていました。
 
なぜかと言うと、都教委事務局が採択審議の参考に作った「調査研究資料」を見て、自由社版の評価が高いと思ったからです。調査研究資料は以下の6つの項目で各社が取り上げている個所数をカウントしています(赤字は1位)。
 
▼歴史上の人物を取り上げている個所数
東京書籍254 教育出版283 清水書院244 帝国書院228 日本文教出版(旧大阪書籍)208 
日本文教出版236 扶桑社447 日本書籍新社294 自由社488 
▼現在に伝わる文化遺産を取り上げている個所数
東京書籍423 教育出版344 清水書院320 帝国書院392 日本文教出版(旧大阪書籍)294 
日本文教出版346 扶桑社484 日本書籍新社372 自由社594
▼国際関係・文化交流を取り上げている個所数
東京書籍 73 教育出版 83 清水書院 86 帝国書院139 日本文教出版(旧大阪書籍) 95 
日本文教出版 91 扶桑社116 日本書籍新社190 自由社114
▼他民族の文化・生活等を取り上げている個所数
東京書籍 54 教育出版 78 清水書院 96 帝国書院 57 日本文教出版(旧大阪書籍) 81 
日本文教出版 37 扶桑社 40 日本書籍新社 53 自由社 40
▼東京に関する歴史的事象(身近な地域の歴史)を取り上げている個所数
東京書籍 98 教育出版 90 清水書院 71 帝国書院107 日本文教出版(旧大阪書籍) 76 
日本文教出版115 扶桑社120 日本書籍新社 82 自由社140
▼人権に関する課題を取り上げている個所数
東京書籍 44 教育出版 39 清水書院 18 帝国書院 42 日本文教出版(旧大阪書籍) 43 
日本文教出版 22 扶桑社 29 日本書籍新社 58 自由社 24

 
数を数えているだけで、優劣を評価しているわけではありませんが、6項目中3項目で自由社が1位になっていて、扶桑社の1位はありません。
 
今回の中学校歴史教科書採択は、新規参入の自由社以外は現行版のままですから、都教委の調査研究資料は自由社版のものを新たに作った以外は前回の平成17年度のものと同じです。自由社はこの調査研究資料で優位に立てるよう、“後出しじゃんけん”で人物の数や東京に関係する記述を増やしていました。
 
「つくる会」のある会員は浮足立って、この調査研究資料をあちこちに送っていましたし、東京支部掲示板の目立たない場所には調査研究資料へのリンクが張られました。しかし、まさかの扶桑社版採択。「つくる会」のある幹部は周辺に「八木が裏から手を回したに違いない」と語ったそうです。
 
数を数えただけの調査研究資料を鵜呑みにせず、教科書をきちんと読み比べて扶桑社版を採択した教育委員に敬意を表します。
 
さてここからが本題です。教育委員の良識の一方で、都教委事務局が作った調査研究資料がとんでもないデタラメだということが判明しました。
 
都教委のホームページ←クリック で調査研究資料をご覧ください。
 
「別紙2―1」「歴史上の人物名とその業績」の「扶桑社」のページに扶桑社版に登場する人物の名前があります。

日本武尊、弟橘姫…ここでまず「えっ?」と思います。扶桑社版の初版本(平成12年度検定、13年度採択、14年度使用開始)には「日本武尊と弟橘姫」というコラムがありましたが、現行版(16年度検定、17年度採択、18年度使用開始)ではそのコラムはなくなりましたし、本文や側注などを探しても日本武尊や弟橘姫の名前はどこにも載っていません。
武田勝頼も載っていません。伊達政宗は「豊臣秀吉の天下統一地図」に小さく名前があるだけです。ナポレオンもありません。なのに調査研究資料では載っていることになっているのです。
 

安藤昌益、平田篤胤、津田左右吉、中江兆民、内村鑑三、幸徳秋水、片山潜、小林多喜二、市川房枝。扶桑社版に載っていない人物が、都教委の調査研究資料では載っていることになっています。
 
ポイントは、これらの人物はすべて初版本には載っているということです。まさか、調査研究資料は初版本を元にしているのではないか…。平成13年度版の調査研究資料を入手して今年度の調査研究資料(17年度作成)と比較しました。扶桑社の現行版は初版本から大幅に改訂されているのに、今年度の調査研究資料は13年度版から韓非子ら数人の名前を削っただけで、ほぼ同じでした。
 
つまり、4年前に調査研究資料を作った都教委の職員は、教科書を詳細に読むのが面倒だからと手抜きをして、13年度版の調査研究資料のエクセルデータをいじって作成したのです。そして適当な仕事の結果、載っていない人物を10人以上も載っていることにしてしまったのです。
 
もっとひどいのは、「別紙2―2」「我が国の文化遺産を示す事項一覧」です。

なんと平成13年度版と今年度版は一字一句同じです(念のため書きますが、17年度版と今年度版が同じなのは当然ですが、13年度版と17、21年度版が同じなのです)。すさまじいインチキです。「※事項は巻末の索引から抽出した」とありますが、刀剣、渡来文化、日本語、和歌、伊勢神宮、音仮名、平仮名、訓読み、片仮名、密教、宋銭、似絵、踊り念仏、軍記物、伊勢参り、大嘗祭、農書、町人文化、湯島聖堂、日光東照宮、大陰暦、元号の22語が、索引にないのにあることになっています。そして、この中には、索引だけでなく全く載っていないものも多くあります。
 
他社の分も似たり寄ったりのようです(詳細は都教委が調べてください)。
 
こんなデタラメな調査研究資料を元に、平成17年度と今年度の2回の採択が行われたのです(19年度に行われた立川国際中等教育学校、武蔵高付属中の採択も合わせれば3回)。
 
今年度の調査研究資料には自由社の分が加わっていますが、4年前にデタラメ職員が数えた8種類の教科書のデータと今年数えた自由社のデータを結合した調査研究資料に整合性など期待できません。
 
この調査研究資料は17年度も今年度も都内のすべての区市町村教委や国立中、私立中に送られて採択の参考にされたはずですが、誰もデタラメぶりに気付かなかったわけです。だったら、こんなものを作るのはやめたらどうでしょうか。
 
4年前にデタラメな仕事をした職員の氏名の公開、処分と経緯の公表を都教委に求めます。そして、記述の数を数えるだけの調査研究資料の在り方を根本的に見直すよう要求します。
 
連絡先 project-justice@mail.goo.ne.jp
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