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★あくまで「安重根は韓国独立の志士」の自由社版


左は、扶桑社から絶縁された「新しい歴史教科書をつくる会」が自由社という出版社から市販している『日本人の歴史教科書』です。この気持ち悪い表紙の正体は
 
★スクープ!『日本人の歴史教科書』表紙はタイのガラクタ-扶桑社版からの改悪<6>←クリック
 
で紹介しました。
 
右は、新学期に横浜市の8区の市立中と東京都市大学等々力中など一部私立中の子供たちに配られた自由社の『新編 新しい歴史教科書』です。採択期間中の「見本本」に対して、実際に学校で使われる「供給本」と呼ばれます。教科書販売店でも今週末にならないと買えませんが、自由社中枢に近い情報提供者の方が先週届けてくれました。
 
当ブログは、自由社版教科書が扶桑社版を大部分コピーしつつ、コピーしなかった部分で自虐的に改悪している―という連載を昨年夏に17回にわたって掲載しました。
 
★安重根を取り上げ志士と称える自由社版教科書-扶桑社版からの改悪<上>←クリックなど
 
供給本を見ると、連載で指摘した欠陥の一部を修正していました。
 
<全般>活字が扶桑社版より一回り小さく、読みづらい。地紋(背景の模様)の上にある活字は埋没してさらに読めない。ルビに至っては判読不能―と指摘したところ、本文のルビのみ大きくした。
<p23>「弥生土器」の写真説明。「東京都文京区弥生町」という地名は存在しない―と指摘したところ、「東京都文京区弥生」に修正。
<p28>「前方後円墳の分布」の地図の説明で「近畿地方に多く見られることがわかる」とあるが、地図を見ると関東にも九州にも多く、学習上不適切―と指摘したところ、「近畿地方に多く見られることがわかる」を削除。
<p56>国風文化が太字になっていないのは自由社だけ―と指摘したところ、太字に修正。
<p56~57>「女手」「大和絵」「屏風」「桓武天皇」「祈祷」などはルビが必要―と指摘したところ、「女手」「屏風」にルビが振られた。
<p58>「鳥獣人物戯画」の写真説明。「1000年前に動物たちの、こんな楽しい表情を描き分ける才能の持ち主がいたのだ」とあるが、鳥獣人物戯画は12世紀の作品で、甲巻・乙巻以外は鎌倉時代とされているので、1000年前は明らかに間違い。古くて900年前―と指摘したところ、「800年前」に修正。
<p72>「華美を押さえて」は「華美を抑えて」の誤記―と指摘したところ修正。
<p73>「貴族のあいだでは、新しい和歌のかたちを生み出そうとする機運がおこり、藤原定家らによって『新古今和歌集』まとめられた。この中にも武士の身分を捨てて僧になり全国を巡りながら無常的な和歌をよんだ西行の作品が光る」。「この中にも」は文章としておかしい―と指摘したところ、「この中で」に修正。
<p85>東求堂同仁斎の写真説明。文末の「。」が欠落している―と指摘したところ「。」を追加。
<p91>「ここがポイント!」に「②」が2つある―と指摘したところ修正。
<p93>「ここがポイント!」「南蛮貿易でヨーロッパ人、日本人それぞれに人気のあった品物は何か?→世界的な銀の価値②時計③ギヤマン④急に増えたキリシタン大名の理由」。「人気のあった品物」が「急に増えたキリシタン大名の理由」って何が言いたいのか? だいたい「人気のあった品物」がなぜ「ヨーロッパ人の日本来航」の「ポイント」になるのか?―と指摘したところ、「南蛮貿易で①ヨーロッパ人②日本人それぞれに人気のあった品物は何か?→①銀②時計、ギヤマン」に修正。
<p100>「江戸城 江戸図屏風」の写真説明。「壕を幾重にもめぐらした」。水を張った堀なので「壕」ではなく「濠」の間違い―と指摘したところ、「濠」に修正。
<p101>「ここがポイント!」。「江戸幕府は大名の領地をどのように決めたのか?→…②親藩③譜代④外様…⑧藩」とあるのは全くの重複だし、だいいち意味不明―と指摘したところ、「①親藩(徳川一族)②譜代大名(関ヶ原以前)③外様大名(関ヶ原以後)」に修正。
<p150>「樺太・千島交換条約」の地図。幌筵島を占守島と表示している―と指摘したところ、矢印を追加。
<p172>「韓国服の伊藤博文」の写真説明。扶桑社版にない安重根を取り上げ「韓国独立の志士」としている。「韓国では民族的英雄であり」などと韓国の立場を紹介している教科書はあるが、教科書の立場としてこのような記述をするのは自由社だけ。しかも「暗殺」ではなく「射殺」。ルビも朝鮮語の「アンジュングン」のみ―と指摘したところ、「射殺」を「暗殺」に修正。
<p176>津田塾大学の前身が「女子英語塾」となっているが女子英学塾の間違い―と指摘したところ、「女子英学塾」に修正。
<p185>「日本の大戦景気」の小見出しが1行上にずれている―と指摘したところ修正。
<p188>「南北戦争(1865年)以後、アメリカが新たに手に入れた領土や植民地(1912年まで)」の地図。メルカトル図法では緯度が高くなるにつれて距離が拡大され、東西が誇張されるため、縮尺を示すのは誤りである―と指摘したところ、縮尺を削除。
<p198>二・二六事件の側注で、大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている―と指摘したところ、「大東亜戦争」に修正。
<同>「ここがポイント!」。「二・二六事件事件」になっている―と指摘したところ修正。
<p205>「ここがポイント!」。大東亜戦争ではなく太平洋戦争になっている―と指摘したところ、「大東亜戦争(太平洋戦争)」に修正。
<p209>「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」。大東亜戦争で日本の国土で最初に地上戦が行われたのは、昭和20年2月16日に始まった硫黄島の戦いであり、この記述は明らかな間違い―と指摘したところ、「ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」を削除。
<同>「アメリカの軍艦に体当たりする特別攻撃機」の写真説明。「爆弾を積んだ飛行機を乗員ごと敵の艦船に突入させる自殺攻撃で」。特攻隊を「自殺攻撃」と貶めている―と指摘したところ、「自殺」を削除。
<年表3>秀吉の朝鮮出兵について「秀吉が朝鮮侵略を始める」と記述している―と指摘したところ、「出兵」に修正。
<年表6>大東亜戦争ではなく「太平洋戦争」になっている―と指摘したところ、「大東亜戦争(太平洋戦争)」に修正。
<同>「このころ ソ連、人工衛星『スプートニク』打上成功」。モスクワ時間の1957年10月4日22時28分34秒と秒単位で特定できることをなぜ「このころ」とするのか―と指摘したところ、「1957年」に修正。
 

▲左が市販本、右が供給本(いずれもP172)
 
というわけで、安重根については「射殺」を「暗殺」に直しただけで、「韓国独立の志士」はそのままです。他社より詳しい三・一独立運動の記述などの自虐的内容も変わっていません。菅原道真、阿倍仲麻呂、岡倉天心、乃木希典の名前も載っておらず、基本的な傾向は同じです。皇后陛下の頭も切られたままです。
 
当ブログで指摘してあげた個所を直すなら、直しますよと仁義を切ってくださいとお願いしてきたにもかかわらず、自由社から連絡はありませんでした(逆に第三者に圧力をかけてきました)。私たちは別に監修料や校正料を要求しているわけではありません。しかし礼儀というものがあるのではないでしょうか。この様子では、松本謙一さん(追放された教科書編集室長)やスタッフたちにちゃんと報酬が支払われているのか心配になります。
 
一番の問題は、自由社=「つくる会」が供給本の修正作業を進める一方で、市販本は直さずに販売を続けてきたことです。「つくる会」の藤岡信勝代表は、市販本は去年の秋に増刷すると言っていました(「正論」昨年10月号)が嘘でした。欠陥商品だと分かっていながら回収せず、在庫をさばくため今も売り続けているのです。
 
相変わらず道徳心のない、最低の人たちです。
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