発行日 2006年10月3日(火) 発行・文責 長坂 徳久
【世の中か危ない・・脳内汚染!】
新聞、ニュースを駆け巡る少年、少女が犯す信じられない事件の数々。
・10代の少女がマンション高層階の窓から赤ん坊を放り投げた。
・6才の少年同士がけんかになり、10階から一人を突き落とした。
・小学6年生の少女が同級生の首を切って殺害した。
・17歳の少年が学校を訪れ、男性教師を刃物で刺し殺した。
・高校入学したばかりの15歳の少年が鉄器や包丁で両親を殺害した。
・中学3年生の少年が兄を文化包丁で滅多突きにした上、隣家の浴槽に投げ込んで 殺害した。
そして、以前のアメリカでの事件。
・コロラド州ハイスクールで、46分間の惨劇の中で13人の死者と24人の負傷者。最後に犯人の二人の少年は銃で自らの命を絶った。実は、犯人の少年は爆弾まで用意していた。不発に終わったが、もし爆発していたら500人以上の犠牲者が出ただろうといわれている。 このアメリカの事件の犯人の少年たちに対して、いじめ、薬物の要因がとりあげられた。しかし、最大の論争点は、二人が熱中していたゲームの影響。二人は、重度のゲームマニアで膨大な時間をゲームに費やしていた。特にお気に入りは、次々に人々を血祭りに上げ、大量殺人を行う内容だった。被害者の遺族はゲームメーカー25社(日本メーカーも含まれる)を相手取り、総額50億ドルの賠償を求めた。 日本の犯行にも共通しているのが、少年少女の「無感覚さ」だ。人を殺害するという一瞬の行為にどれだけ大きな喪失と悲しみと苦悩が生じるかということに、想像が至らない。むしろ、楽しんでいるとさえいえる。
「脳内汚染」という本の著者は、これらの犯行に「ゲーム・ネットなどの依存性映像メディアの長時間の利用が関与している」と告発している。主に三つの観点から説明している。
①攻撃性の要因とテレビなどの映像による暴力シーンの視聴
②依存性と慢性的中毒症状
③ゲーム中毒と軽度発達障害
さらにゲーム・ネット・テレビの映像の依存症は犯罪や暴力の増加だけでなく、現在の教育問題にも広く影響を及ぼしていると著者は主張する。それが、不登校、ひきこもり、家庭内暴力、ニートの増加、学級崩壊、ADHDやアスペルガーなどの発達障害、さらに境界性人格障害の増加などであると。 ところで、中学がおかしくなりはじめたのは、70年代の半ばくらいだという。親のしつけが2,3年でがらりと甘くなったとも思えない。そこで当時の中学生の成育歴を見直すと次のことが判明した。 彼らの成育に大きな影響を及ぼしたと考えられるのは、64年の東京オリンピックであった。なぜなら、その年は各家庭にカラーテレビが急速に普及したからである。当時彼らは、4歳であり、脳の発達でも大事な時期にテレビという新しいメディアにふれ始めたのである。
TOSS代表の向山洋一先生は、テレビの視聴時間の二乗に比例して学力は低下すると主張されている。
1時間→「-1」2時間→「-4」3時間→「-9」4時間→「-16」
これは、ゲーム、ネットにも通じるといえる。いや、ゲーム、ネットのほうが影響が大きいだろう。脳の前頭葉機能が低下するのだ。前頭葉は、思考を司るところである。常識を判断するところである。 いま、真剣に、テレビ、ゲーム、ネットの利用の仕方を大人が考えなくてはいけない。
そして、子どもたちに教えないと。自分の子どもの問題だけではすまされない。社会全体の重大な問題である・・。