ドリーム 2(セカンド)

長坂徳久が語る夢教育(ときどき日常)

指導研究会 A to Z

2014年09月11日 02時56分58秒 | 教育・指導法








少林寺拳法 橋本西道院・橋本西スポーツ少年団 道場通信

ドリーム №776


発行日 2014年8月24日(日) 文責・発行 長坂徳久


※月曜日⇒子どもたちへ。木曜日⇒保護者へ。土曜日⇒一般へ。日曜日⇒指導者へ。



【指導研究会「A to Z」】
 
 「A to Z」は、1998年に発足した「橋本西指導研究会」の名称です。

 今の橋本西の指導者は長坂と土橋だけですが、中高生も指導の手伝いをしてくれますし、

機会があるごとに子どもたちとも接する機会も多くあります。そこで、「指導研究会」

を一般部稽古の中で、月一程度で取り入れていくことにしました。昨日がその1回目でした。書いてみます。


長坂『子どもたちや後輩を教えていて、難しいなぁと思うことやこんなことに困っている、

ということを近くの人と話しあいなさい。指導をしていない人は、部活で後輩に教え

るときや他人に何かを教えるときのことを考えなさい。』


長坂『出た意見を板書しなさい。』


次の点があげられた。


・言葉が難しい(小さい子にもわかるような言葉を使うことなど)

・説明がうまくできない。

・まとめられない。(子どもたちをまとめるという意)


まず長坂が次のように説明した。


『指導、特に子どもたちの指導には次の二つが必要です。

・指導技術

・統率力


指導技術とは、技を教える方法を知っているかどうかです。指導する技術。

たとえば、受身なら、どのような教え方をすれば受身を教えることができるか、

どうすればうまく教えることができるか、などです。


しかし、子どもたちに教える場合は、「統率力」が必要です。

低学年のやんちゃ坊主でも1人だけを教えるなら、そんなに難しいことはありません。

しかし、人数が多くなると、なかなか言うことを聞かなくなります。

それを「統率」する力がないと指導はうまくいきません。

子どもたちの指導がうまくできないという人たちは、この「統率」ができないのです。

決して恐怖で統率するのではありません。』



「説明」というキーワードが出たので、次のことも教えた。


『説明で教えようとしてはいけない。説明は短いほどいい、極端にいえば説明がなくても出来

るようになっていくのが一番いい。』

※この意味がわかるようになるにはまだ少し時間がかかるかもしれない。

言葉で教えるのではなく、作業(行動)をさせて、ほめるを繰り返していく。

そして、評価、評定をしていく。そのことで出来るようになっていく。


次に、裕司(20歳)、夏帆(18歳)に「天地拳第一系」を使って模擬指導をさせた。

他の拳士たちは「小学校3年生」という設定の子ども役。

時間は3分間。

二人とも模擬指導は初めての経験なので緊張し、戸惑っていた。

たった3分間がとっても長く感じられたことだろう。

 指導が終わった後、子ども役の拳士たちに評定をさせる。

『今の指導を5点満点で評定しなさい。ただし、3点はなしです。』

(これで、まあまあというのがなくなる。よかったか、わるかったかになる。)
 
  拳士たちの採点は甘く5点や4点という。先輩への気兼ねもあるのだろう。
 
  
  長坂の評定は、裕司は1点。夏帆は2点だ。ただし、野夏帆は初めてにしてはセンスがある。

  長坂の日頃の指導をよく見ているという感じだ。    

  二人の一番の課題は次のこと。


  裕司⇒指導中に空白の時間が生じることが多い。子どもは2秒の空白でざわつきはじめ、

     4秒で騒がしくなる。よって、3秒以上の空白を生じさせてはいけない。

     (思考させている等の場合は空白ではない。)


  夏帆⇒声が通っていない。まず声を通す。これが指導する者が大切にしなくてはいけない技術である。

     声で統率する。怒鳴るのではない、大声を出すのでもない。声を通すのだ。


   (来週の日曜日へ続く。)

どんなときやる気がなくなりますか?

2014年09月11日 02時38分24秒 | 教育・指導法
少林寺拳法 橋本西道院・橋本西スポーツ少年団 道場通信

ドリーム №778


発行日 2014年8月28日(木) 文責・発行 長坂徳久


※月曜日⇒子どもたちへ。木曜日⇒保護者へ。土曜日⇒一般へ。日曜日⇒指導者へ。


【どんなときやる気がなくなりますか?】


月曜日の学科は「集合知」をやりました。集合知は

1,テーマを長坂が指定し、それを拳士たちが考えてノートに書く。

2,その中から一つを板書する。

3,順に自分の分を読んでいく。

4,誰かのものに一つ質問を考えて発表。質問者は答える。このあたりはもっと

 複雑なのですが紙幅の関係で割愛。

5,討論的に展開していく。

6,討論なので結論は出なくていい。

 討論・・結論はでなくていい。

 議論・・結論が必要。


 この日のテーマは、


 
 どんなときに「やる気」がなくなるか?

 
  
  おそらく、一般的に問うなら、「どうすればやる気がでるか?」または

 「なぜやる気がでないのか?」と問うでしょう。

  今回は、あえて逆のアプローチをしてみました。


   ヒントは、全中の未唯(中3)の指導でこれをやってみたのです。


   ・未唯(やる気が出るとき)⇒ほめられたとき

   ・未唯(やる気がでないとき)⇒上から目線で「やれ!」と言われる時。
 

一見すると、「指導者や親が上から目線で指示するのは当たり前やろ?」と

思うかもしれませんが、それでもこれが拳士たちの(この場合は思春期の)

本音なのです。それを知っておくことは指導者には大切なことであり、かつ、

その子に応じた適切な指導を行うのに有効です。決して、その子の言うことをすべて聞く、

指導者が妥協するということではありません。拳士と指導者が一体となる、

そのためには指導者が拳士に寄り添わなくてはいけません。

これが、「コーチング」(引き出す)です。反対は「ティーチング」(教え込む)です。



では、木曜日に拳士から出た意見を書いておきます。

みなさんはどう感じますか? 長坂にはものすごくいい勉強になりました。

・夏帆(高3) 体がだるいとき  

・彩可(高2)しんどいとき

・綾乃(高2)技が思うようにできないとき

・竜太郎(中2)「おこられたとき

・健太郎(中2)「親にやれといわれた時」

・穂高(20)「学校などでいじめられたとき」

・拓海(5年) 上の先輩たちに強くしかられたとき

・柚葉(6年) 疲れているとき

・太一(4年) きつくいわれたとき

・彩央里(5年)しゃべっていておこられたとき

・彩乃(4年) せんぱいにきつくいわれたとき

・翔也(5年) 技を間違えた時

・結衣(3年)せんぱいや先生たちにおこられたとき

・駿太(5年) 間違えた時

・武洋(3年) 家でお母さんにおこられたときやきつくやれといわれたとき

・優斗(2年) おこられたとき

・心咲(5年) へたといわれたとき

・泰生(2年) おこられたとき

・泰生(6年) 具合が悪い時

・匠海(6年) 体調が悪い時

・諒(2年) ともだちにいやなことをいわれたとき

・昊輝(3年) きつくいわれたとき

・遥希(4年) できないことをいわれたとき

・純平(5年) しんどいとき

・誠弥(3年) しゃべっているときやる気をなくす

・七海(5年) やっているときに上から目線で同じ級の人とかに何か言われた時

・誠人(5年) イラついた時

・真柾(3年) つかれたとき、ねむいとき、しんどいとき、だるいとき



(長坂分析)

 高学年以上(特に6年生以上)になると、「しんどいとき」「体調がすぐれないとき」が挙がってきます。

 これは、客観視できていることに加えて、「しかられたとき」などは自分が悪いからだという理解が

 あるからでしょう。

 反対に、低学年などは「おこられたとき」「きつくいわれたとき」などが大半を占めます。

 これは、低学年のうちはとくに「ほめる」ことがやる気を涵養するという証にもなります。

 おとなは「励まし」「鼓舞」するつもりで言っているのでしょうが、そのことで自信を失い、

 やる気をなくしているという事実も知っておく必要があるでしょう。



 「子どもらしい勝手な意見だ」「やる気を出さないのが悪いのだ」と思われるかもしれません。

  しかし、大切なのは、「そのときにやる気をなくしている」という事実の方なのです。