主人公のいない小説である。複数の人物がそれぞれのパートを担うのでもない。語り部となる人物はいる。彼女の担任となる先生だ。彼の語りでお話は進展する。一応は。だが、彼が狂言回しになるのではない。彼は事実の記録に徹する。カナダからの留学生が主人公なのだが、彼女は担任の記録に中で登場するのみで、彼女の気持ちが語られる部分なんかない。それは彼女だけでなく、ここには一人称の語りや会話は存在しない。
とある高校での数ヶ月間を記録していく。カナダから留学生がやってきて、彼女をどう受けいれていくか、その日々の記録だ。全編がほぼ担任のメモになっている。だが、彼の視点からドラマが綴られていくというわけではない。その日にあったこと、感じたことも含めての詳細な備忘録なのである。これはこれで興味深い小説なのかもしれない。斬新なスタイルだ、と言ってもいい。だが、読んでいて、全くおもしろくない。感情のない事実の羅列を読んだところで、それにどれほどの意味があるのか。
もちろんこれはフィクションだから、事実のように書かれてあっても、事実ではない。フィクションの持つ力が何らかの形で作用してきてもいい。敢えてこのスタイルを取ることによって伝えられるものが必ずあるはずなのである。しかし、読んでいても、それが全く感じられない。策に溺れて内容が伴わない、という印象だ。
淡々とした記述をラストまで貫き、唐突に終了する。それも作り手の狙い通りである。だが、それだけだ。この小説の本来の狙いはどこにあったのか、その一番肝心なことが、これではわからない。日本語も英語もあまりできないブラジル系カナダ人の留学生。彼女はポルトガル語しかできないが、受け入れ先の高校にはポルトガル語が出来る人はいない。彼女をを受け入れた担任、クラスメート、さらには学校側の戸惑い、そこから起こるドラマ(はないが)はどこに行き着くのか。それが見たかったのだが、これはそんなありきたりな小説ではなかったようなのだ。4月から始まり、新学期の学校行事をこなしながら、高校2年の春から夏が描かれる。修学旅行が後半の目玉になる。だが、ただの記録でしかない。奇を衒っただけにしか見えない。青木淳悟は今までもこれとよく似た冒険をしてきた。それなりには楽しめたのだが、今回は僕にはダメだった。リアルな学校ものなんて、毎日体験しているから、あまり興味ないからかもしれないが。
とある高校での数ヶ月間を記録していく。カナダから留学生がやってきて、彼女をどう受けいれていくか、その日々の記録だ。全編がほぼ担任のメモになっている。だが、彼の視点からドラマが綴られていくというわけではない。その日にあったこと、感じたことも含めての詳細な備忘録なのである。これはこれで興味深い小説なのかもしれない。斬新なスタイルだ、と言ってもいい。だが、読んでいて、全くおもしろくない。感情のない事実の羅列を読んだところで、それにどれほどの意味があるのか。
もちろんこれはフィクションだから、事実のように書かれてあっても、事実ではない。フィクションの持つ力が何らかの形で作用してきてもいい。敢えてこのスタイルを取ることによって伝えられるものが必ずあるはずなのである。しかし、読んでいても、それが全く感じられない。策に溺れて内容が伴わない、という印象だ。
淡々とした記述をラストまで貫き、唐突に終了する。それも作り手の狙い通りである。だが、それだけだ。この小説の本来の狙いはどこにあったのか、その一番肝心なことが、これではわからない。日本語も英語もあまりできないブラジル系カナダ人の留学生。彼女はポルトガル語しかできないが、受け入れ先の高校にはポルトガル語が出来る人はいない。彼女をを受け入れた担任、クラスメート、さらには学校側の戸惑い、そこから起こるドラマ(はないが)はどこに行き着くのか。それが見たかったのだが、これはそんなありきたりな小説ではなかったようなのだ。4月から始まり、新学期の学校行事をこなしながら、高校2年の春から夏が描かれる。修学旅行が後半の目玉になる。だが、ただの記録でしかない。奇を衒っただけにしか見えない。青木淳悟は今までもこれとよく似た冒険をしてきた。それなりには楽しめたのだが、今回は僕にはダメだった。リアルな学校ものなんて、毎日体験しているから、あまり興味ないからかもしれないが。