新装オープンしたゲキバコ!の第1弾である。前回のアトリエ公演に続き今回もしっとりとしたお話に仕上げてあり、今までの吉野圭一さんとは一味違う。だが、彼の持ち味であるロマンの香りは充分に漂う作品になっており、悪くはない。吉野さんは徐々に自分独自の世界を形作ろうとしている。その姿勢は好ましい。
ただ今回の芝居のテンポはちょっと遅いし、描かれた2つの世界がどう関わりあうのかも、しっくりとはいっていない。暗号解読という仕事に従事する男と、パズル雑誌の編集社で働く男。2人の男はそれぞれ別の世界で生きている。彼らが生きる世界は決して交わりあうことはない。
2人の渡辺(キクタカツヤ)はどちらも現実の存在であるべきだ。表面的には現実と空想の世界という枠組みがあってもいい。だが、それを芝居がどう裏切るのか、そこが作者の腕の見せ所であろう。
今回の吉野さんはなんだかあまりに真面目すぎて、その境界から1歩を踏み込もうとしない。2つの世界がリンクして話がどう広がりを見せるのか、楽しみにしながら見たのに、これではなんだか少し肩すかしを食らった気分だ。
暗号解読ということを通してこの芝居がどこに向かうのか、それも楽しみだったが、思ったほど話は広がらない。綺麗に全体をまとめてあるし、少しずつ芝居の構成や見せ方はこなれてきたが、その分おとなしくなって意外性がない話運びだ。
作品の背後に広がるはずの世界観が、この芝居では明確にされない。こじんまりとまとまりはしているが、その先に行かない。なんだか残念だ。
ただ今回の芝居のテンポはちょっと遅いし、描かれた2つの世界がどう関わりあうのかも、しっくりとはいっていない。暗号解読という仕事に従事する男と、パズル雑誌の編集社で働く男。2人の男はそれぞれ別の世界で生きている。彼らが生きる世界は決して交わりあうことはない。
2人の渡辺(キクタカツヤ)はどちらも現実の存在であるべきだ。表面的には現実と空想の世界という枠組みがあってもいい。だが、それを芝居がどう裏切るのか、そこが作者の腕の見せ所であろう。
今回の吉野さんはなんだかあまりに真面目すぎて、その境界から1歩を踏み込もうとしない。2つの世界がリンクして話がどう広がりを見せるのか、楽しみにしながら見たのに、これではなんだか少し肩すかしを食らった気分だ。
暗号解読ということを通してこの芝居がどこに向かうのか、それも楽しみだったが、思ったほど話は広がらない。綺麗に全体をまとめてあるし、少しずつ芝居の構成や見せ方はこなれてきたが、その分おとなしくなって意外性がない話運びだ。
作品の背後に広がるはずの世界観が、この芝居では明確にされない。こじんまりとまとまりはしているが、その先に行かない。なんだか残念だ。