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映画・演劇のレビュー

ハレンチキャラメル『流しの下の骨を見ろ!』

2010-07-02 21:47:21 | 演劇
 2時間を超える大作だ。100年後に祟る恨みだ。それってなんだか不条理だが、神原さんなので、納得せざるを得ない。神原さんが100年、と言えばもうそれでみんな納得する。末代まで祟るのだから、仕方ない。
 
 このけれん味たっぷりの神原ワールドは、そのシンプルでストレートなドラマ作りを力にして無理なく観客を心地よい大衆演劇の世界に引き込むことに成功している。だが、転換のもたつきや、あまりにひねりのない展開に、少し疲れたのも事実だ。だが、神原さんなので気にしない。いつもながら豪快だ。つまらないことを言ったりしたら「わたしはこれだからいいのよ!」と一蹴されるはずだ。細かいことには拘らない。そこがいい。

 これはいろんな意味で神原節全開のパワフルな大作時代劇だ。しかも怪談である。夏で、お寺(会場は往典院)だから、ホラーでしょ、と彼女の鶴の一声で決まりである。大胆というか、剛胆というか、さすが神原さんだ。誰にも文句を言わさない。大衆演劇のノリで、いかにもなストーリーを一気呵成に見せていく。単純明快で、それをけれん見たっぷりで見せる。省略とかはしない。だから、見終えたらおなかは一杯である。

 すさまじい惨劇で、全員ちゃんと死んでいく。きれいさっぱりに、である。そこまでしなくてもいいじゃないか、とも思うが、中途半端なことを彼女は許さない。

 話の発端はこうだ。5代将軍綱吉の時代。遊女の夕顔(古川智子)が愛しい男と心中をしようとしていたところに、3人組のチンピラがやってくる。彼らは、彼女たちに自分たちの「お犬さま」殺しの罪を着せるため、2人を殺す。いまわの際の彼女は「今日から数えて100年目、蘇り復讐してやる」と言い残す。なんで100年なのだろうか。それも勢いだろうか。

 これは神原ワールドだから、神原さんがこうだ、と言えばそれがすべてだ。みんなにきちんと見せ場を用意して思う存分に見せる。中途半端はなしだ。問答無用の力業で最後までぶれることはない。


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