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映画・演劇のレビュー

『アウトロー』

2013-02-07 21:49:35 | 映画
 こういう映画を見るとほっとする。懐かしい昔ながらの正統派アクション・ミステリーだ。ちゃんとしたストーリーがある! そんなことに驚かなくてはならないくらいに今のハリウッドの大作アクション映画は、バカばかり。ド派手なアクションを適当なCGで見せたなら、観客は喜ぶだろう、とばかりの中身のない安直な映画ばかりが横行する。最近ではCGアクションは見ていて、バカにされた気分になる。まじめにやれよ、と言いたくなる。頭の悪い映画=ハリウッドという図式すら出来上がった。そんな中、この映画は正しい映画のありかたを実践してくれる。さすがトム・クルーズである。しっかり体を張って大活躍するし、演技もする。実にオーソドックスな映画で好ましい。しかも、『ミッション・インポッシブル ゴーストプロトコル』の後、ちゃんとバランスを取るようにこういう映画に出て、ちゃんと話のある映画の、でも、やっぱり、「ヒーロー」を演じるのだ。だって彼は天下のトムさまである。

 今回は派手なアクションは控え目。で、ストーリーでしっかり見せていく。でも、当然、クライマックスは、見せ場をたっぷり用意する。とはいえ、それだって、リアリティー・ゼロのアホ派手なものではなく、結構渋めで決めている。トム・クルーズは、こういう昔ならたくさんあったはずの、あたりまえの娯楽活劇を現代に復活させてくれる。

 でも、見た目の派手さに慣らされてしまった今時の観客は、こういうしっかりした映画は退屈なのかもしれない。なんだかなぁ、である。苦肉のタイトルも、地味すぎてインパクトはない。原題は主人公の名前である『ジャック・リーチャー』。このタイトルではちょっと弱い。でも、『アウトロー』なんていうタイトルでは同工異曲だろう。ジャック・リーチャー・シリーズ第1作と銘打たれてあるが、はたして2作目の登場はあり得るのか。気になるところだ。アメリカの興行成績はまずまずなのだろうが、日本ではかなり苦しいはずだ。特別大騒ぎするほどの映画ではないけど、こういう良質のアクション映画がコンスタントの登場してくれることを望む。2時間10分飽きさせることなく、楽しませてくれる。


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