このアホなタイトルを見ただけで、力が抜けてしまうはずだ。しかも、このサブタイトル。これって、一体なんだ? と、ふつうの人なら思うだろう。五反田団の前田司郎の原作小説を本人の脚色で贈る脱力コメディー。本田隆一監督作品。惜しい出来だ。
こんなバカな映画を平気で作れる本田監督は偉いとは思う。だが、一筋縄ではいかない原作者のやりかたを忠実になぞるには彼はまじめすぎた。両者の齟齬が後半どんどん大きくなり、ダメになる。これはチープな感じが作品の力にならなくては成立しない映画なのだが、これではただ安っぽいだけで、なんだかなぁ、という感じだ。いつものぐだぐだの会話が竹野内豊と水川あさみという普通の役者がやるから、なんだか嘘くさくなる。かといって、これはB級の低予算映画ではないので、それなりのキャストと予算を使っているから、あまりにバカもできない。なんとも中途半端なのである。三木聡のようなタイプの映画なのだが、彼くらいマニアックならいいのに、これはそうはならない。
地獄をスペクタクルとして、見せるのではなく、わざとしょぼく見せるのだ。先にも書いたようにそれなりの予算をかけた劇場用映画だから、それって難しい。しょぼさを作品のペースにするなんて、観客が理解してくれるだろうか。まず、そこからして難しい。チープさをちゃんと笑えるように作らなくてはならない。それってかなり難しい。前田司郎は大丈夫でも映画としてはそれでは成り立たないからだ。なのに、本田監督はよくやっている。
1泊2日でお一人様1万九千八百円のパック料金の地獄旅行。甘エビ食べ放題。このなんとも嘘くさい,胡散臭い設定。これを何の疑いもなく素直に受け入れる。五反田駅前のライフとか、ダイエーってかんじのスーパーの6階のかたすみにある占いコーナー。そこで軽い温泉旅行のノリで勧められた。じゃぁ、地獄でも行きますか、って感じ。このいいかげんさがこの作品のアウトライン。
つきあって4年。なんとなく結婚した。でも、まるで新婚のドキドキはない。どちらかと言えば倦怠期の2人。ケンカにすらならないような馴れ合いで、一緒にいる。今回の旅行だって、新婚旅行というような華々しさはない。本人たちには、どうでもいいけど、仕方ないから、一応行くか?って感じ。
集合場所が屋上に置かれたバスタブ。そこに頭から突っ込んで、落ちてきたのが地獄、らしい。まるでやる気のない設定。しかも、地獄といっても、赤鬼と青鬼がいるだけで、別にこれといった名所旧跡があるわけではない。観光もないし、宿泊するホテルはなんかでかいばかりで、エレベーターもない。だから、22階の部屋まで、らせん階段を歩かなくてはならない。あほらしい。さらにはお風呂は46階(でしたっけ)の大浴場。まさにそこまで行くことが地獄だ。お風呂のお湯はビーフシチュー。しかも、海のように広い、とか。これってよくある夢の話ではないか。自分の見たくだらない夢を映画化したって感じ。まるで理屈の通らないことばかりだけど、この2人はなんか何の疑いもなくそれを受け入れるのだ。
主人公の2人は基本的には誰とも関わらないで2日間を終える。ここにはドラマチックな展開はない。見事に皆無。こんなにも凄い地獄への旅なのに、感動も興奮も何もない。おまけに不安や恐怖までない。ホテルまでの道では絶対に後ろを振り返ってはならない、という約束を破ってしまう、という展開(お約束だ!)も、その後何も起こらないというそんなあほな、の展開に。禁忌を破ったのに、罰とかないし、それだけ。まぁ、見事に予想を簡単に裏切っていく。だけど、裏切られたからといって、おもしろくなるわけではない。反対にそれがどうした?って感じ。一時が万事そんな映画なのだ。これでは観客に受け入れられない。でも、よくままぁ、こんな映画を作ったものだ。近年稀にみる珍品である。
こんなバカな映画を平気で作れる本田監督は偉いとは思う。だが、一筋縄ではいかない原作者のやりかたを忠実になぞるには彼はまじめすぎた。両者の齟齬が後半どんどん大きくなり、ダメになる。これはチープな感じが作品の力にならなくては成立しない映画なのだが、これではただ安っぽいだけで、なんだかなぁ、という感じだ。いつものぐだぐだの会話が竹野内豊と水川あさみという普通の役者がやるから、なんだか嘘くさくなる。かといって、これはB級の低予算映画ではないので、それなりのキャストと予算を使っているから、あまりにバカもできない。なんとも中途半端なのである。三木聡のようなタイプの映画なのだが、彼くらいマニアックならいいのに、これはそうはならない。
地獄をスペクタクルとして、見せるのではなく、わざとしょぼく見せるのだ。先にも書いたようにそれなりの予算をかけた劇場用映画だから、それって難しい。しょぼさを作品のペースにするなんて、観客が理解してくれるだろうか。まず、そこからして難しい。チープさをちゃんと笑えるように作らなくてはならない。それってかなり難しい。前田司郎は大丈夫でも映画としてはそれでは成り立たないからだ。なのに、本田監督はよくやっている。
1泊2日でお一人様1万九千八百円のパック料金の地獄旅行。甘エビ食べ放題。このなんとも嘘くさい,胡散臭い設定。これを何の疑いもなく素直に受け入れる。五反田駅前のライフとか、ダイエーってかんじのスーパーの6階のかたすみにある占いコーナー。そこで軽い温泉旅行のノリで勧められた。じゃぁ、地獄でも行きますか、って感じ。このいいかげんさがこの作品のアウトライン。
つきあって4年。なんとなく結婚した。でも、まるで新婚のドキドキはない。どちらかと言えば倦怠期の2人。ケンカにすらならないような馴れ合いで、一緒にいる。今回の旅行だって、新婚旅行というような華々しさはない。本人たちには、どうでもいいけど、仕方ないから、一応行くか?って感じ。
集合場所が屋上に置かれたバスタブ。そこに頭から突っ込んで、落ちてきたのが地獄、らしい。まるでやる気のない設定。しかも、地獄といっても、赤鬼と青鬼がいるだけで、別にこれといった名所旧跡があるわけではない。観光もないし、宿泊するホテルはなんかでかいばかりで、エレベーターもない。だから、22階の部屋まで、らせん階段を歩かなくてはならない。あほらしい。さらにはお風呂は46階(でしたっけ)の大浴場。まさにそこまで行くことが地獄だ。お風呂のお湯はビーフシチュー。しかも、海のように広い、とか。これってよくある夢の話ではないか。自分の見たくだらない夢を映画化したって感じ。まるで理屈の通らないことばかりだけど、この2人はなんか何の疑いもなくそれを受け入れるのだ。
主人公の2人は基本的には誰とも関わらないで2日間を終える。ここにはドラマチックな展開はない。見事に皆無。こんなにも凄い地獄への旅なのに、感動も興奮も何もない。おまけに不安や恐怖までない。ホテルまでの道では絶対に後ろを振り返ってはならない、という約束を破ってしまう、という展開(お約束だ!)も、その後何も起こらないというそんなあほな、の展開に。禁忌を破ったのに、罰とかないし、それだけ。まぁ、見事に予想を簡単に裏切っていく。だけど、裏切られたからといって、おもしろくなるわけではない。反対にそれがどうした?って感じ。一時が万事そんな映画なのだ。これでは観客に受け入れられない。でも、よくままぁ、こんな映画を作ったものだ。近年稀にみる珍品である。