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映画・演劇のレビュー

劇団往来『ママはダンスを踊らない』

2011-06-29 21:59:27 | 演劇
 春演では、毎年大作が続いた往来が、今年は少し軽めのシチュエーション・コメディーに挑む。1幕ものというのもうれしい。小味で、適度にスパイスが効いたキレのいい作品を期待したのだが、会場は今回もOBP円形ホールである。難しい。結果は残念だが、僕の期待通りにはいかなかった。作品自体は相変わらずの大作仕立てで、なんとも大味なものとなってしまったようだ。題材と方法とがうまく噛み合っていないのだ。

 おかまバーで働くこの道26年のベテラン明菜(要冷蔵)が、小学6年生の女の子の面倒を見ることになり、奮闘する姿を描くのだが、派手なショーのシーンばかりが突出し、一番大事な少女とおかまの中年オヤジの心の交流がちゃんと描けない。全体のバランスが悪すぎるからだ。

 彼が女にあこがれ、この道に入ったのはなぜか。当然、男だから子供を産むことなんか出来ないけど、心は女だから母性はある。そんな彼(女)が、突然子供の母親役を押しつけられて戸惑いながらもそこに何を見出していくこととなるのか。彼の母性は少女に届くのか。描くべき事は山盛りあったはずなのに、まるで描かれることはない。

 そのくせお店のシーンはなぜか絢爛豪華で、40人以上にも及ぶ膨大なキャストをちゃんと捌いてみせてくれるのは立派だ。だが、演出はそこだけに腐心して、本題の方は疎かになる。これでは本末転倒だ。だいたいこのお話に2時間20分もの上演時間はいらない。なのに、営業上の問題もあるのだろうが、些末の枝葉にばかり気を取られてこの始末である。素材と料理法の間にあまりの齟齬が生じ、せっかくの作品がこれでは台無しだ。なんだかもったいない。要冷蔵がいつもながらいい味を出しているだけに、これでは彼がかわいそうだ。ごつい中年オヤジが、自分の中の女と向き合い、少女を通して何を見出して行くのか。そんなドラマが見たかった。


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2 コメント

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Unknown (ぽん太)
2011-07-02 02:12:42
出てくる役名をろくに覚えず、話の筋も覚えていないのに劇評やら映画批評する人に、コメント欄で何を訴えても無駄だと思いますよ。
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これもアリじゃないでしょうか? (大橋むつお)
2011-06-30 19:31:54
わたしはドラマを期待してはいませんでした。昨年、一昨年は、鈴木君が高校生のころから引きずっている傾向が出過ぎて、閉口でしたが、ドラマ風エンタメとして見れば、上々の出来であったと思います。なにより観客の多くの心を温めたという点で、他の春の演劇まつりよりもよかったと思うのですが。
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