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映画・演劇のレビュー

『サンドラの週末』

2016-03-24 22:12:06 | 映画

 

鬱病から休職していたサンドラはなんとか回復して職場復帰するはずだった。なのに、電話一本でいきなり会社から首にされる。彼女がいなくても、職場はまわることがわかったからだ。彼女の首を受け入れたなら、16名のスタッフには、1000ユーロのボーナスが支給される。そんな話、ありか。憤慨した彼女は会社と戦うことにする。社長の提案は、週末の2日間で、16名の過半数から、サンドラの復帰(それはボーナスの放棄になる)支持を取り付けることが条件だ。みんな生活が苦しい。ボーナスがなければ生活が立ち行かない。サンドラも同じだ。ここで馘首されたら、親子4人暮らしていけない。

 

夫の応援のもと、ひとりひとりの家を訪問して、なんとかして、月曜の無記名再投票で、サンドラ支持に1票を投じてもらおうと、お願いに回る。だが、厳しい。

 

日本語タイトル通り、週末の2日間のお話だ。何度も挫ける。休みの日の職場の同僚の自宅を訪れ、家族や、それぞれの生活を垣間見て、さまざまなことを理解する。このダンデンヌ兄弟の新作は今までの彼らの映画とはまるで趣を異にする。さわやかなラストシーンもすばらしい。生きていこう、と思う。どんなことがあっても、下を向かず前を向く。これは単純な映画ではない。だが、ここにある彼女の覚悟は力強い。みんなが教えてくれた。泣いてばかりだった彼女がたった2日間でこんなにも逞しくなるなんて、思いもしなかった。

 


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