習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『タイタンの戦い』

2010-05-16 21:49:05 | 映画
 3D映画が濫造されて、もうなんの有難味もない。どちらかというと、飽きた。それに目が疲れるのはよくない。別に映画は飛び出さなくてもいい。視覚効果は2Dでも充分堪能できる。偏光メガネによる目の錯覚でしか得られないマジックなんて、退屈なばかりだ。

 ということで、今回は2D字幕版で見ることにした。これでも充分に迫力があった。こういうスペクタクル・アクション活劇は3D云々ではなくどれだけ大きなスクリーンで見るかの方が大事な問題なのです。シネスコなのに、小さな劇場なら、反対にビスタより小さなスクリーンで上映されることになる。できるだけ大劇場で、という期待もむなしく、もう大きな劇場は用意されていない。だいたい土曜の夕方の繁華街の劇場での上映なのに、客は15人しかいなかったのだ。この映画はそこそこヒットしているはずなのだが。(まぁ、それは3D版だけの話なのか)

 さて、映画の方だが、テンポがよく、楽しめる作品になっていた。こういう神話を舞台にした映画は、お話が割れているから、ストーリーの意外性ではなく、ツボを抑えていかにメリハリをつけて見せるのかが腕の見せ所だと思う。その点、『トランス ポーター』『インクレディブル・ハルク』というアクション映画の秀作を今まで撮ってきたルイ・ルテリエ監督はよく心得ている。『アバター』のサム・ワーシントンも今回の方が生き生きしていた。

 特撮も迫力がある。大きさがきちんとわかるように設定されているから、おもしろくなる。ただ単にアクションが派手で、スピードばかりを追い求めるのでは、飽きてしまう。この映画は戦い自体における両者の関係をきちんと見せながら、アクションが設定されてあるのがよい。

 だいたい何も考えないで、単純に娯楽映画を楽しむのって、なかなか難しい。くだらない映画だと見ていて醒めてしまうし。その点でもこの映画は合格点だ。こんなにも単純なお話なのに、飽きさせない。自分勝手な神と愚かな人間との戦いに巻き込まれた半神ペルセウスの運命との戦いを、手に汗握る活劇としてきちんとまとめている。106分というコンパクトな上映時間もいい。まぁ、当然のことだが、これはたいした映画ではない。でも、こういう正統派単純大作がこの現代に作られるのはなんだかうれしい。時代錯誤をものともしない。

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