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映画・演劇のレビュー

劇団なつみかん『12』

2018-10-21 21:20:23 | 演劇

これには唖然とした。バカバカしさ全開でオープニングから笑わせてくれる。この突拍子のない無意味なパフォーマンス。こんな振付が必要なわけがない。だけど、それをやることで、このロミジュリもどきのお芝居(劇中劇だけど)は、とんでもなくへんてこな空間を作る。

でも、正直言う。台本がつまらない。本筋に入ってからはあたりまえの展開しか見せないから、後半は退屈してしまうのだ。簡単に一言でいうと、劇団の内紛と和解を描く芝居。だけど、演出がとんでもなくバカバカしさ全開なので(さっきも書いた)刮目させられる。「なんなんだ、これは!」 と。その変なアンバランスさがなんとも魅力的なのだ。

70分という上演時間はこの内容なら限界だろう。だからといって、もっとちゃんとお話を作れば、とか、そんなことは思わない。だって、これだけでとっても普通じゃない魅力を提示できているからだ。この無意味な熱量は半端じゃない。みんな歌う、歌う。自己主張する。なにがなんだか。

43歳の新人(若々しいキャストに混ざって、この人だけ、ほんとうのおじさん! に見える。でも、もしかして、彼も若いかも・・・なんて。ちょっと気になるところだ。)が入団からたった1日で、完全に劇団に馴染んでしまい、みんなを引っ張っていくとか、ありえない展開が笑える。このメンバーで、みんなで、一緒に芝居を作りたい。それぞれが自分の気持ちを全身で表現する。そんな芝居を作りたい。この集団の想いとこの芝居の想いが見事に合致する。実にわかりやすい芝居なのだ。そこがいい。

 


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