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映画・演劇のレビュー

『続・深夜食堂』

2016-11-21 21:04:39 | 映画
松岡譲司監督がまた、深夜食堂を撮る。まぁ、それはそれで構わないのだけど、彼にはもっと他の映画を撮ってもらいたい。才能ある作家をこんな風に飼い殺しにするのは忍びない。ルーティンワークで、安心して見ることができる映画なのだ。でも、それでは物足りない。前作はとてもよかった。今回も基本的には、同じようによかった、とは言えるだろう。だが、それだけだ。予定調和のストーリー展開はお約束だから仕方がない。だが、今の時代、こんなプログラムピクチャーが作られる意味はない。もっと攻撃的な映画を見たい。だって作る人が、彼ほどの才能がある人なのだから。



まぁ、そんな不満はともかく、この映画自体には罪はない。ただ、前作と比べるとさらに小粒になった気がする。しかも、お話の作りが緩い。オリジナルであるらしい第3話なんて、あまりに安易な展開で鼻白む。あんな詐欺に引っかかる老人なんていない、と言いたいわけではない。それでも、構わないと思った彼女の心の寂しさこそを、丁寧に台本が掬い取るべきなのだ。渡辺美佐子を呼んできてあんなお話を演じさせるなんて失礼ではないか。甘すぎる。とくに息子の家をタクシーから覗くシーンなんか、それはないやろ、と思った。昔の人情ドラマを見ているような安直さ。そういうお涙頂戴は今の時代通用しない。



深夜食堂にやってくる人たちはそれぞれが脛に傷を持つ。ここはそんな人たちの吹き溜まり。だから、マスターは何も言わずに「何でも作るよ」と言う。その図式な中で映画は、もっとちゃんとそれぞれの孤独と向き合って欲しい。
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