習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ウォッチ・メン』

2009-04-05 19:55:28 | 映画
 今までのアメコミの映画化作品とは一味違う超大作なのだが、正直言うとがっかりした。発想の面白さや、切り口の斬新さが、思うようには持続しない。気がついたら、なんか冗長なだけのただのバカ映画になっていた。火星でランデブーのシーンなんか、あほらしくてもういいです、と思う。2時間43分もの長尺映画だから、ただのCG映画ではあるまい(最近CGを目の仇にしてるなぁ)とは思ったが、お話が思ったほどよくは出来てない。一般的なアメリカ人はこの程度の話でも十分納得しちゃうのだろうか。

 歴史上の様々な事件を影で支えていたのはヒーローたちだった、という導入部は快調だ。6人のヒーローたちが活躍して、大衆の支持を受けていたが、政府の方針で引退を余儀なくされる。そんな彼らの仲間のひとりが殺されることから、ヒーロー狩りが始まるのではないかと恐れた彼らの姿が描かれる。監督は『300』のザック・スナイダー。前作はCG映画の悪癖を全面的に展開したつまらない映画で僕は大嫌いだが、今回は必要以上のCGは抑えたので、一応は許せるが、それでも映画として効果的とは言えない。『ウォンテッド』なんかと較べるとまだまだだ。

 ドラマを展開するうえで、CGで何を見せたいのが問われる。あくまでもお話重視の姿勢が大事で、ビジュアル優先では飽きる。そのへんのバランス感覚が問われるのだ。たわいない話を驚異の映像でごまかすには限界がある。話に意外性がないからだんだん単調になる。主人公たちのお話がばらばらと描かれるので、全体的にしまりのない映画になってしまった。主人公はひとりに絞ったほうが良かった気がする。上に掲載した写真の顔全体を覆うストッキング・タイプのマスクをした男、ロールシャッハを主人公にして彼の視点から全体を描けばよかったのに。

 フルチン巨大男の学者はあまりの突飛さゆえ、笑えるが、けっこうマジであの男が描かれる。恋と仕事で悩むなんて、なんだかトレンディードラマ(もうそんな言い方しないなぁ)だが、終盤の火星のシーンは、なんぼ考えてもおかしい。ハゲの偽バッドマンのような男(フルチンと彼、しして紅一点との三角関係が描かれる!)とか、けっこう笑えるはずなのに、なんか真面目に作ってある。大予算の大作だからふざけきれないのか。要するにすべての面で詰めが甘いのだ。見せ方も中途半端だし。

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