コミックを題材にして大塚雅史がキャパ600人規模の中劇場での芝居に挑む。ランニングシアターダッシュ解散後、様々な作品に取り組んでいる彼が本領を発揮した熱いドラマ。相変わらす、主人公たちを終始走らせ続ける。照明と音響を最大限に駆使して、見せる。派手な立ち回りが全編を覆い2時間半の上演時間の半分以上は、殺陣のシーンであろう。
これだけあまりに長いとさすがに少し退屈してしまうが、そんなこと気にしないで、これでもか、これでもかと体力が続く限り見せ続ける。若い役者たちはスタミナがあるからこれだけやっても息切れしない。
第2部の前半は少し落ち着いたドラマ部分となっているが、その後怒濤の大殺陣で、ラストの池田屋事件まで、息つく間もない。爽やかな青春ものといういかにも大塚さんらしい纏め方になっており、祇園祭りのシーンで幕を閉じるのも悪くはない。
殺人集団でしかない新撰組のことを新しい視点から描くとかいう野心はない。タイトルの『ピースメーカー』は反語的な意味として描かれてあるわけではないが、それでも額面通りに受け止めることはできない。そういう意味でいいタイトルなのだが、このタイトルを生かすだけのドラマが欲しかった。できることなら台本も大塚さんに任せたなら面白いものができたのではないか。もちろん時間的な制約もあるし、どこから彼がこの企画にタッチしたのかも分からないから、なんともいえないが、少なくとも彼の本なら、今以上に泣ける芝居になったはずだ。
兄と弟の関係にしても、お互いの関係性がもう少ししっかり伝わるように描くべきだし、何より15歳の少年が父の敵討ちという願いを叶えるために強くなりたいと思い、強くなるため仲間に出会い、そこで何を得てどう成長していくのかが、もっとしっかり描かれていくべきだった。
リアリズムはこの際置いといて、幕末、新撰組という設定のみを貰いもっと自由に劇世界を展開させてもいい。そのためにも、もう少し人間を描き込む必要があったのだ。ここに居る人たちがどう魅力的かが、描かれなくては復讐に燃えていただけの鉄之介が、それ以上のものをこの場所で身に付けていくドラマに説得力は生じない。さらには、いやな奴だと思っていた土方歳三という人物に心惹かれていく過程が、もっと上手く描かれないことにはこの芝居は成功しない。
熱くて感動を呼ぶ大塚芝居のテイストを十二分に発揮できたなら、ここにやってきた子供たちのハートをもっとがっちり摑めたはずである。単なるファンの集い以上のものを見せることは充分可能だった。これでは残念ながら、一般の観客には中途半端な印象を与える。よくできているだけにそこが残念なのだ。
これだけあまりに長いとさすがに少し退屈してしまうが、そんなこと気にしないで、これでもか、これでもかと体力が続く限り見せ続ける。若い役者たちはスタミナがあるからこれだけやっても息切れしない。
第2部の前半は少し落ち着いたドラマ部分となっているが、その後怒濤の大殺陣で、ラストの池田屋事件まで、息つく間もない。爽やかな青春ものといういかにも大塚さんらしい纏め方になっており、祇園祭りのシーンで幕を閉じるのも悪くはない。
殺人集団でしかない新撰組のことを新しい視点から描くとかいう野心はない。タイトルの『ピースメーカー』は反語的な意味として描かれてあるわけではないが、それでも額面通りに受け止めることはできない。そういう意味でいいタイトルなのだが、このタイトルを生かすだけのドラマが欲しかった。できることなら台本も大塚さんに任せたなら面白いものができたのではないか。もちろん時間的な制約もあるし、どこから彼がこの企画にタッチしたのかも分からないから、なんともいえないが、少なくとも彼の本なら、今以上に泣ける芝居になったはずだ。
兄と弟の関係にしても、お互いの関係性がもう少ししっかり伝わるように描くべきだし、何より15歳の少年が父の敵討ちという願いを叶えるために強くなりたいと思い、強くなるため仲間に出会い、そこで何を得てどう成長していくのかが、もっとしっかり描かれていくべきだった。
リアリズムはこの際置いといて、幕末、新撰組という設定のみを貰いもっと自由に劇世界を展開させてもいい。そのためにも、もう少し人間を描き込む必要があったのだ。ここに居る人たちがどう魅力的かが、描かれなくては復讐に燃えていただけの鉄之介が、それ以上のものをこの場所で身に付けていくドラマに説得力は生じない。さらには、いやな奴だと思っていた土方歳三という人物に心惹かれていく過程が、もっと上手く描かれないことにはこの芝居は成功しない。
熱くて感動を呼ぶ大塚芝居のテイストを十二分に発揮できたなら、ここにやってきた子供たちのハートをもっとがっちり摑めたはずである。単なるファンの集い以上のものを見せることは充分可能だった。これでは残念ながら、一般の観客には中途半端な印象を与える。よくできているだけにそこが残念なのだ。