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映画・演劇のレビュー

『バトルシップ』

2012-04-16 21:01:39 | 映画
 何も考えなくていい映画が見たかった。ただ、ぼんやりとスクリーンに向き合い、うわぁすごいよ、とか、言って感嘆の声を上げるだけでいい。頭を使うのは嫌で、ただ、おお、とか、うへぇ、とか、うひょぉとか喚いているうちに終わるような幸福な時間を過ごしたかったのだが、なんだかそこまで、ノーテンキを楽しめる映画ではない。しかもB級映画テイスト満載が、裏目に出ている。『ハンコック』の監督なので、少しは期待したのだが。

 かなり疲れているから、小難しい映画は堪忍して欲しかった。ハリウッドらしいバカ映画で、巨額を投じた超大作。しかも、浅野忠信が『マイティソー』とは違ってちゃんと準主役を演じる派手なSFXを駆使した映画だ。期待しないではいられない。ポップコーン片手に大スクリーンに向き合う。ユニバーサル映画100周年記念大作とかいうキャッチフレーズで宣伝されているけど、そういう冠はいつもつまらないことの代名詞なのだが、本当言うと、最初からこの映画に過大な期待はしていないし、スカッとするアクション映画でさえあればいい、というのが本音だ。なのにこの映画である。

 確かに何も考える必要のない映画だった。エイリアンも極悪ではないけど、ちゃんと悪者で、地球を侵略するみたいで、でも、主人公の熱血青年が頑張るし、浅野忠信のライバルも、最初は敵対するが途中からはちゃんと協力して、力を合わせて戦う。判で押したようなお決まりの展開だ。もちろん最後はハッピーエンドだ。だが、手に汗握るという感じではない。話自体は超アナログ映画で、悪くはないのだが、それがどうした、と思わせるのは問題だ。この映画自体が何も考えていない気がする。最後は第2次世界大戦の英雄たちが力を貸して博物館入りした戦艦ミズーリー(でしたか?)を動かして戦う、という宇宙戦艦ヤマトばりのストーリーになっちゃったりもする。

 日米が力を合わせて未知なる敵と戦うという多分に日本のマーケットを意識した映画なのだが、話があまりに平板で、しかも、ありきたり。少しはお話自体の魅力でひっぱる気がないのか、とあきれる。派手な特撮とアクションだけでは、だんだん退屈してくる。もう少し奥行きのある話を組み立てても観客は理解できると思う。娯楽映画だから話はわかりやすく単純に、とでも考えたのだろうが、ノーテンキもほどほどにしたほうがいい。あまりやるとただのバカにしか見えないし、疲れる。疲れをいやすために見たはずが、反対にもっと疲れた。やはり、しんどいときには一刻でも早く家に帰るほうがいい。 

 

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