『風の電話』を見た直後に読んだ本がたまたまこれで、同じように津波ですべてを失った少年(少女)の9年後の今が描かれる。これは『風の電話』の姉妹編のような小説なのだ。同じように17歳の孤独と不安が描かれる。同じように南の町から津波に流された町に戻る旅が描かれる。
余命1年の宣告を受けて故郷の階段町(たぶん尾道、それとも長崎か?)に戻ってきた女性が、ひとりの不思議な少年に出会う。死ぬのが怖い彼女と生き . . . 本文を読む
こんなにも無口で、こんなにも饒舌で、彼女の旅は続く。これは2時間20分に及ぶ長尺映画である。でも、スクリーンから目を離せない。彼女が今どこにいて、どこへ行くのかを見守りたいと思う。
彼女が出会う人たちは、リアルではない。ふつうならこんなうまく旅を続けることは不可能だろう。一種の寓話の意匠をまとうと受け止めるべきだろう。でも、それは嘘くさくはない。ドキュメンタリータッチで描かれる彼らとのやり取りは . . . 本文を読む