ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第7節FC東京vs鹿島アントラーズ@味スタ20180411

2018-04-13 23:38:05 | FC東京

気温の上下動がはげしい4月ですけど、いまさらながら春らしい爽やかでちょっと肌寒い気候になりました。

怒涛の15連戦は、いよいよリーグ戦もミッドウィークを強いられます。社会人には辛いところ。

本日は、ミッドウィークにはちょっと惜しいビッグマッチ、鹿島です。You’ll Never Walk Alone♪

みんな味スタに集まったかいがあったスリリングな好試合を逆転で制し、4連勝です。

東京はモリゲが大事をとってお休み。シフトはスクエア型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとまる。SBは室屋と諒也。ボランチは洋次郎と拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと永井です。

鹿島は怪我人続出のスクランブルです。シフトはスクエア型の4-4-2。GKはクォン・スンテ。CBは植田と犬飼。SBは右に伊東左に修斗。ボランチは三竿と永木。メイヤは右に土居左にレアンドロ。2トップは夢生と優磨です。

試合開始早々、アクシデントが起こります。ディエゴとのコンタクトで足を負傷した修斗が下がります。代わって大伍が同じく左SBに入ります。

このアクシデントは、結果的に鹿島に大きな影響をおよぼします。大岩鹿島は、標榜するとおり攻撃に重点を置いたチームのようです。試合開始からの鹿島に少し違和感を覚えました。とても上手いのだけど、鹿島っぽくないと感じたからです。

鹿島といえばサイドアタック。サイドにしっかりした基点を作り、人数をかけて数的優位を作る、どちらかというと局面に重点を置くサッカーです。かつSBの攻撃力が高く、ゴール前で攻撃参加することも特徴。これにより守備バランスを崩す意図です。修斗や大伍のシュート力、試合の構成力がチームとしてもストロングポイントとなっています。

いまの大岩鹿島は、昌子や康、PJ、ウッチーなど離脱者が多く、本来のサッカーを披露できているのかはわかりません。でも主力がいないからといってサッカーのスタイルそのものを変えるとは思えませんから、違和感の理由は離脱者が影響したものではないと思います。

大岩鹿島のサッカーはポゼッションスタイルです。個々の選手の広範囲なムービングによるスペースメイクを基調とします。パスはワンタッチを基本とし、スペースに人もボールもどんどん入っていきます。いわば、少し前に席巻したオシムさんスタイルです。強者を標榜する鹿島にして、ずいぶん無個性なサッカーをするなと思ったのが違和感の原因です。

さすがに鹿島ほどのクオリティの高い選手がこれをやると、チームプレーがとてもエレガントです。人もボールもスムーズかつ効果的に連動し、まるでダンスを見るかのようです。一方でこのスタイルのウィークポイントは、鹿島にして乗り越えられないものなのだなと確認できました。パスを回すことを優先するわけではないのだけど、フリースペースへの意識が高すぎるあまり、結果的にコンサバティブなプレーになってしまいます。鹿島の選手の意識は縦にあり、それは客観的にも明らかなのですけど、ペナルティエリアがひとつの壁になっていて、肝心のシュートが有効となるスペースを使えません。このため、シュート数が激減します。

東京も、今日は試合の入りがこれまでと少し違いました。様子を見たのか、鹿島のイニシアチブに対し受動的なスタンスを取ります。これも鹿島のパス回しをスムーズにさせた一因だろうと思います。

ただ、4+4の守備網を維持する大根本はブレません。なのでアタッキングサードに入ってからのタイトなマークで、鹿島の攻撃のギアアップを許しません。鹿島は優磨を右サイドに流して、高い位置で基点を作ろうとしていました。土居と伊東を有効にする意図だと思います。優磨への対処は諒也が担います。結局諒也は優磨を完封します。コンタクトで負けないどころかむしろ優磨がコロコロ転ぶシーンが目立ち、この勝負は諒也が勝ちました。

優磨がサイドに流れるため、最前線は必然的に夢生の一枚になります。夢生はけして目立ってまるを狙ったわけではないと思いますけど、まるは夢生との 1on1の局面でも安定していました。失点はアクシデントがからんでいたので、まるとヒョンスのコンビは実質夢生を封じたといっても良いと思います。

東京はチームの重心が下がるため、攻撃の基軸となるプレーができません。まず、トランジションの起点となる中盤の圧倒的な支配力はかげをひそめます。鹿島のパス回しが巧みだったが故です。今後、鹿島より意志があり、かつ威力の高いポゼッションを基調とするチームと対戦する日を迎えるにあたり、課題がみえたと思います。

もうひとつはディエゴ。ディエゴをターゲットとしたフリックプレーは、そもそもディエゴにロングフィードを送れませんからまったく機能しません。仮にパスを送れたとしても、ディエゴに連動するべき永井、晃太郎、慶悟のスタート位置が低く、フリックは繋がらなかったことでしょう。総合的に見て、あえてコンサバティブな作戦を選んだ東京は、守備の安定を得つつも攻撃のかたちを作れず、劣勢を強いられます。

とはいえ鹿島のポゼッションに試合を決するほどの威力がないのは前述の通り。アクセントマンがいたら手強いなと思っていたら、案の定、現状で唯一の鹿島のストロングポイントとなる強力ドリブラーがにわかに牙をむきます。

29分。伊東のスローインから。鹿島は最終ラインでパスを回し、サイドを変えます。大伍から前方のレアンドロに渡ります。レアンドロは、拳人と室屋を背負い、体重を預けながらターン。二人の間を抜け出します。攻撃スイッチを自ら押します。レアンドロはそのままドリブルで持ち上がり、アタッキングサードに入ります。レアンドロは前方の夢生にパス。夢生はレアンドロのアタックでバランスが崩れた守備網のバイタルエリアに入り、フリーです。夢生はそのまま上がるレアンドロにタベーラのイメージでパスしますけど、レアンドロよりはやく慶悟がカット。でもこぼれたボールが不運なことに夢生に渡ります。ルックアップしてゴールを確認した夢生は、ゴール右隅に決めました。東京0-1鹿島。

受け身に回りながらも失点してしまうシチュエーションは、昨年までの東京であれば少なからずの影響がありました。でも今年は、ファイティングポーズを崩さないどころか、むしろモチベーションに変えることができています。東京はモードをあらため、重心を上げて攻撃姿勢を取りはじめます。

これにより、ディエゴにポストがおさまるようになります。アタッカーが積極的にスペースを狙うようになり、SBも攻撃に目を向けられるようになります。とくに局面において、それぞれの選手がそれぞれの役割を果たす意欲を表すプレーを見せます。ディエゴはチャンスメークと積極的なシュートアテンプト、永井はスペースへの仕掛け、慶悟はペナルティエリア内での最終局面の仕事、諒也は相手陣への切り込みとフリーキッカー、晃太郎はアクセントマン、洋次郎は攻撃ルートの選定、拳人は狩人。守備においては全員が献身性を宿す。なかでも室屋は、雑念のない超アグレッシブな仕掛けで右サイドでオンステージを仕切ります。そして、室屋が魅せます。

39分。ディエゴのシュートが鹿島に阻まれたボールを夢生が拾い、攻撃に転じますけど、これをまるがカットしてヒョンスに渡します。ヒョンスは前方右ライン際の室屋に渡します。室屋は大伍との1on1でチャレンジ。ワントラップで大伍を置き去りにして抜け出します。永木のプレスをスピードでかいくぐった室屋はそのまま鹿島陣深くに進入し、ルックアップ。このときゴール前には永井が飛び込んでました。室屋は高速クロスをゴール前に送ります。このボールは永井には合いませんけど、永井の背後にいた植田にピタリと合いました。オウンゴール。東京1-1鹿島。

マコの活躍は、あきらかに室屋のこころに火をつけました。室屋はデビュー以来、ずっと攻撃面での個性を見つけられずにいましたけど、欠場期間のなかで、超アグレッシブという個性に目覚めたようです。もともと個で勝負できるパワー、スピード、技術を持っていたと思うのですけど、雑念を捨て個性を際立たせる整理のプロセスと結論としての覚悟がまだ至らなかったのでしょう。明確なライバルとしてマコと競り合わせるという荒療治で、健太さんは室屋をモチベートしました。もちろんマコのこころにも同時に火がついたことだと思います。

東京躍動の予感を漂わせながら、前半はイーブンのまま終了。

後半から、東京のギアがまた一段上がります。おそらくハーフタイムで健太さんが煽ったのだと思います。前半とは見違えるような、積極性と献身性を具有するチームに変身します。失点後に一度上げたギアは、まだまだ余力がありました。まずプレッシングがハードになります。コンタクトが強くなったというよりか、ボールホルダーをマークするべく執拗にスプリントを繰り返します。まるでサーキットトレーニングのようなスプリントの繰り返しは、観る側に感動すら覚えさせます。これこそが東京の想いをサポ全員が感じたと思います。

加えてゴールに向かう積極性もギアアップします。チャンスが訪れるとアタッカー全員がシュートアテンプトを狙ってゴールを目指します。なので攻撃のスピードと迫力が前半より数段上回るようになります。チャンスシーンで迷いなくゴール前にアタッカーが顔を出しますから、かならずといっていいほどチャンスはシュートで終われるようになります。そして、ついに逆転ゴールが生まれます。

55分。スンテのGKを拳人と優磨が競ってこぼれたボールを自陣で晃太郎が拾います。晃太郎は室屋に戻します。室屋は前方の拳人にパス。拳人は出し処を伺いながらキープ。鹿島はまったく拳人に寄せずスペースを消します。チャンス無しと見た拳人は一度ヒョンスに戻します。このとき、室屋がやにわに自陣からロングスプリントをスタートします。ふたたびヒョンスからパスを受けた拳人はターン。右ライン際のスペースにロングスルーを送ります。攻撃スイッチが押されました。このスペースに走り込んだのは永井。永井は犬飼を引きつけながら室屋の上がりを待ち、おしゃれハヤブサヒールで前方にスルー。室屋はトップスピードのまま大伍を振り切り、アタッキングサードに入ります。ボールに追いついた室屋はペナルティエリアに入り、植田が寄せてくるのを見て長めのトラップで勢いをつけ、そのまま右足を振り抜きました。ゴラッソ。東京2-1鹿島。

圧倒的な距離とスピードでピッチを一気に駆け抜けた室屋は、絶対的な今日のMOMです。

これを受け、大岩さんが動きます。レアンドロに代えて満男をボランチに投入します。伊東が左メイヤ、大伍が右SB、永木が左SBにそれぞれ回ります。停滞するチームに方向性を与える意図だと思います。それでも満男にして状況を変える起爆剤にはなり得ません。

健太さんが動きます。永井に代えて敬真を同じくトップに投入します。もしかすると守備のスプリント回数でチームNo. 1の献身性を見せた永井ですから、おつかれさまのコンディションの考慮でしょう。敬真も同クオリティのスプリンターですから守備強度は揺るぎません。そろそろ敬真も初ゴールが期待されましたけど、永井のみならずチーム全体のコンディションが落ちていたので、今日は守備に専念です。

大岩さんが動きます。伊東に代えて金森を右メイヤに投入します。土居が左に回ります。東京のプレッシングの圧力が弱まりつつあったのを見て、フレッシュなアタッカーで掻き回そうという意図だと思います。

直後に、洋次郎に頭部接触があり、大事を取りつつクロージングのため、健太さんはクローザーヨネを同じくボランチに投入します。

さらに健太さんが〆ます。晃太郎に代えて遼一をトップに投入します。敬真が右メイヤに回ります。

鹿島は猛攻を仕掛けますけど、結局ペナルティエリアにすら入ることができず、有効なアタックは皆無でした。このまま試合終了。東京2-1鹿島。

勝利至上主義を明るく仲良く楽しむサッカーが粉砕した、歴史的な一夜になりました。勝利への執着とそれを実現するチームへの献身性は、なにもガチのストイックからだけ生まれるものではありません。信じてはいたけど、ゆるくても強くなれるものなんだということをはじめて実感できたかもしれません。室屋のシュワッチWE ARE TOKYO♪眠らない街♪

シーズン前に、新体制の一体感は勝利によってもたらされると思ってました。根本からブランニューしたスタイルに対する信頼と自信は、結果でしか得られませんから。開幕直後の低空飛行でざわついたむきが一部サポにはあったけど、健太さんと選手たちにはゆるぎがなかったのですね。ぼくらはあらためて、チームにひっぱってもらってることに感謝です。

やはり心配なのは、連戦のコンディションです。週末は調子を上げてきたセレッソ、さらに今月は絶好調ヒロシ広島との対戦も控えています。今日は不可抗力でモリゲを休ませることができたけど、鹿島を倒すために計画無視のエネルギーを出力した気がします。上手にターンオーバーしていってほしいとの思います。


2018J1リーグ第6節V・ファーレン長崎vsFC東京@トラスタ20180408

2018-04-10 23:33:35 | FC東京

春は急ぎ足で初夏に引き継ごうとしています。

それでも名残り惜しいのか、ちょっと肌寒い週末。

数十年ぶりの長崎でございます。なのでほとんど記憶なく。

めずらしくなんのテーマもない旅ですけど、記憶がないので普通の観光が楽しかったです。新しい街と出会うきっかけ、それがJリーグ。

諫早でございます。

諫早駅のコインロッカーは少ないのですけど、お茶の間通り商店街で一時預かりをしていただけます。500円也。

初J1を経験している長崎。徳永との再開マッチがはやくもやってきました。ヴィヴィくんYou’ll Never Walk Alone♪

ディエゴのハットトリックで味付けされた極上のゴレアーダです。

東京は連勝中のオーダーをほぼ踏襲します。シフトはボックス型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは今日は右に室屋左に諒也。ボランチは洋次郎と拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと永井です。

長崎はミッドウィークのカップ戦勝利を受け、少しスターターをアジャストです。シフトは3-4-2-1。GKは徳重。3CBは右から徳永、チェ・キュベック、高杉。ボランチは中原と碓井。WBは右に米田左に翁長。2シャドウは右に澤田左に中村。1トップはファンマです。

今日も試合は、もはや大エースの名を確固なものとした男のゴールで、はやばや動きます。

4分。モリゲのセンターライン付近左寄りのFKから。モリゲと拳人のパス交換から諒也に渡ります。諒也は縦にチャレンジ。慶悟に渡します。攻撃スイッチが押されます。翁長を背負った慶悟は、パスを受けてターン。翁長のプレスを抜け、フリーになります。さらにこの慶悟の動きにキュベックが引きつけられます。徳永も永井の左に流れる動きに引っ張られます。これでディエゴがフリーになります。このとき中央で晃太郎がフリーでした。慶悟は晃太郎にパス。左寄りにいたディエゴがこれを見て中央に移動します。残る高杉は晃太郎を見てますからディエゴは以前フリー。晃太郎はこれを見逃しません。ダイレクトでディエゴにスルーを送ります。受けたディエゴは、落ち着いてゴール右隅に流し込みました。長崎0-1東京。

長崎は走量とセットプレーを優位性の基盤とするチームです。その点で、進化の工程は異なるけど、第4節の湘南と似たようなチームです。東京は伝統的に、かつての自らと似たスタイルのチームを苦手としています。もっとも、オシムさんシンドロームによって、ムービングの合理性が当時のトレンドとは格段に勝っていますから、部活サッカーの肖像権は純粋に東京のみに帰属しますけど。

それはさておき、東京はようするにハイプレッシングに弱いチームでした。それはパスコントロールが安定していないことに起因します。東京がプレスに弱くパスミスで自滅することは、もはやJのなかでは常識です。さらに、ディフェンシブサードでのマークの受け渡しも苦手です。ゆえに3トップの流動性を攻撃の基盤とする長崎のようなチームは、かつての東京は苦手の極みとしていました。

過去形。そう、健太東京はわずか6節で苦手を払拭することに成功しています。長年東京をサポートしているかたは、いまの東京の姿に夢でも見ているような錯覚を禁じ得ないのではないでしょうか。自分もそのひとり。

東京は長崎を圧倒します。結果的に2失点しますけど、セットプレーとハイプレスでそれぞれ1点ずつ失いましたから、長崎の術中だとも言えます。でもそれを凌駕する内容と結果を得ましたから、総合的に観て、圧勝だったと言えると思います。もちろん課題はまだあるにせよ。

長崎のプレスは試合を通じてほぼ無力化されます。それは東京が繰り出した攻撃の2パターンの効果です。敬真がディエゴと組んだ第4節あたりから、ディエゴのフリックで相棒が抜け出すコンビネーションプレーを見せはじめました。ディエゴが永井と組むようになり、この精度と威力が増します。さらに今日は、二列の選手がディエゴに合わせるパターンも出ていました。これができると永井をフリーランスとして使えるようになりますから、抜け出した後の攻撃の幅を増すことができます。

こうして長崎に背後の恐怖を植え付けたうえで、セカンドオプションを繰り出します。ディエゴがWBの背後にポジショニングするようになります。これは3バックのウィークポイントを狙うというだけでなく、もうひとつの攻撃スタイルを内在するものでした。それは連動性です。

ディエゴがサイドに流れる動きをきっかけとして、永井、洋次郎、晃太郎、慶悟がまるで一個の意思を持った生物のように連動してスペースメイクします。これにより、長崎の守備網がカバーできないすべてのエリアに東京のアタッカーがいる状態ができます。長崎はただでさえディエゴのケアに注意しなければならないのに、ディエゴをカバーするエリア、中央、逆サイドまで東京の選手がスペースを狙っていますから、守備網を維持しつつ局面にも対処するという難しいオペレーションを強いられます。手前味噌ではなく、長年J1を観ていても、いまの東京ほどクオリティの高い連動性を実現できていたチームは数えるほどです。J1初参戦の選手も少なくない長崎にとっては、なんともやっかいな相手と映ったことでしょう。

というわけで、長崎のハイプレスをいなすというよりか、より能動的に攻撃をコントロールすることで、長崎がハイプレスをしかける状況を作らせないことに成功します。もちろん、ハイプレスに対し、スキルフルなワンタッチパスであっさりと対応できていたことも長崎の基本プランを根底から無力化できた要因でもあります。これは、冒頭に述べた東京のウィークポイントを払拭している象徴として、とても重要な変化です。いまのスターターセットでは群を抜いて足元の技術が高い晃太郎が加入した成果とも言えます。同時に、約束事の成果とも言えます。

パスミスは相変わらずあるのですけど、攻撃のリズムをスタックさせるような致命的なミスはほとんど見られなくなりました。ミスのほとんどは、フリースペースへのパスです。本来はそこに誰か走り込んでいることを想定したパスです。つまり、そこに約束事が存在しているのでしょう。チャレンジを味方が受けてくれることを前提としたパスには、たとえミスであったとしても明確なメッセージがありますから、観ていてもストレスがなく、次のチャレンジを期待する気持ちが湧きます。いまの東京は、そんなポジティブスパイラルにあふれています。そしてかつて一部の心無い人からストレスの象徴として扱われていた男が、覚醒を確実にする二試合連発ゴールを決めます。

15分。高杉のクリアがロブになり、中原が拾います。中原は前方の澤田に渡そうとしますけど、これを洋次郎がカット。はじかれたボールはファンマに当たって、ディエゴへのパスの形になります。ディエゴは右にフリック。これを晃太郎がさらに右ライン際前方にフリックします。走り込んだ室屋が拾い、晃太郎に戻します。アタッキングサードに入ります。晃太郎はドリブルを選択。一度カットインするトラップを見せ、マーカーの中原がひっかかったのを見て、縦に仕掛け、抜け出します。晃太郎はそのままダイレクトでクロス。これは翁長が頭でクリアしますけど真上に上がります。翁長はふたたびクリア。これがまたロブになります。これにいち早く反応したのは慶悟でした。慶悟は頭で流し込みます。長崎0-2東京。

前節と似たようなスコアプロフィールになってきました。前節は安全圏に入るまでの過程に課題がありましたけど、今日もまた、長崎に攻撃権を渡してしまいます。長崎の得点源はセットプレー。長崎の意図的な縦の仕掛けに、最初は高い位置で止めていた東京ですけど、FKの位置をジワジワと高められ、アタッキングサードでのセットプレーの攻防に持ち込まれます。そして、ついにゴールを許します。

24分。中原の左CK。長崎は主力をペナルティエリア中央に置きます。ゴールに近いところから、翁長、徳永、中村、ファンマ。東京はゾーンとマンマークのハイブリッド。ストーンは四枚。マーカーはヒョンス、モリゲ、拳人、諒也。中原のキックモーションとともに、翁長がニア、徳永はファアに流れます。そして中央に中村が突っ込みます。中原のクロスは彰洋と拳人と中原の中間を狙います。これに誰よりもはやく届いたのが中村でした。長崎1-2東京。

取りたい形で点を取れるのですから、やはり長崎はJ2を勝ち抜いてきたチームです。でも東京のここからの闘いかたに、前節の課題に取り組んだことがうかがえます。いたずらに相手の攻撃を受け攻撃権を渡すことなく、東京のリズムを崩しません。引き続きディエゴの安定したポストを基点にし、ボールを持つことで試合をオーガナイズします。試合のなかでイニシアチブが相手に渡る状況はかならずありますけど、自分たちの闘いかたを保つことでリズムを立て直すことが試合中にできるようになりました。そして、その成果が具体的なかたちとなります。

40分。ディエゴのシュートを徳重がはじいたボールを洋次郎が落とします。洋次郎が落としたボールを室屋が拾い、ペナルティエリア内の晃太郎にパス。晃太郎はカットイン、回り込みながらフリーになります。これを見た慶悟が裏に抜け出します。晃太郎はおしゃれロブスルーを慶悟に送ります。慶悟はフリックを後方に戻します。そこにいたのは永井だけ。永井は丁寧に流し込みました。長崎1-3東京。

内容、結果ともに好調なチームのなかで、ディエゴの相棒の座が流動的でした。やっとディエゴの相棒がゴールしたので、永井で確定でしょう。内容を観ても、スペースへのチャレンジを志向するチームの基本プランに、永井は最もフィットすると思います。前半はリードのまま終了。

後半頭から高木さんが動きます。米田と翁長のポジションを入れ替えます。理由はよくわかりませんけど、右サイドのほうが狙い易いと見たのかもしれません。

今日の東京で唯一前節と異なるスタートオーダーは室屋でした。湘南戦とガンバ戦のマコの活躍、とくに邪念なく自分の役割に集中する姿は、室屋の心に火を点けたに違いありません。今日の室屋はとても積極的でした。アタッキングサードに攻め込む意欲も高く、チャレンジングな仕掛けを度々魅せます。守備でも米田、翁長のみならずファンマが流れたときもきっちりとマークしていました。どこか吹っ切れたような爽快さを取り戻していました。

リベンジといえば、前節PKを献上するミスをしてしまった洋次郎が、ミスを返上するプレーで追加点を呼び込みます。

50分。洋次郎がキュベックに倒されて得たPKをディエゴが落ち着いて決めました。長崎1-4東京。

直後、長崎のハイプレスに、この試合唯一のイージーなパスミスから失点します。

53分。モリゲの自陣のパスミスを中原がカット。前方のファンマに預けてそのまま上がり、タベーラ。中原は流れのままゴール左隅に決めました。らしくないイージーミスでしたから、モリゲは左足首の影響があったかもしれませんね。長崎2-4東京。

それでも東京の勝利への、そしてゴールへの意欲は衰えません。今日秀逸だったのは、失点後の不安定期に東京が点を取っていたことです。とるべきときに点を取れていたら成績は安定するでしょう。そして、東京に絶えてひさしい大先生の称号を与える戴冠式のときが訪れます。

56分。左サイドでアタッキングサードに入った東京は、慶悟と諒也がマークを受けてもキープ。チャンス無しとみて冷静にリセット。サイドを変えます。諒也から洋次郎、晃太郎とスキルフルなパス回しで、右サイドの室屋に渡ります。室屋はルックアップ。このときゴール前は、ディエゴ一枚に長崎は五枚揃ってます。室屋は構わずクロスをディエゴに上げます。でも長崎のラインはボールを見ていてディエゴのマークを確認できていません。長崎の数的有利が逆にセキュリティホールを生みました。ディエゴはキュベックと徳永の間に入り、フリー。徳永が競りますけど時すでに遅し。ディエゴ・オリヴェイラ大先生ハットトリック!。長崎2-5東京。

ディエゴのハットトリックとともに、PKを除く4点すべてに絡んだ晃太郎も、今日のMOMのひとりでしょう。ついに東京の晃太郎がそのかたちを定かにしました。今日は縦に仕掛けるときのチェンジオブペースが鮮やかで、頭もフィジカルも冴えていたと思います。ゴールの日も遠くないと思います。

健太さんが動きます。ディエゴに代えて遼一を同じくトップに投入します。ディエゴが、東京サポからの万雷の拍手と長崎サポの羨望のため息を受ける時間を作る意図だと思います。それに、チームのために遼一のコンディションを上げる、調整の意味もあると思います。これから先苦しいときはかならずきますから、コンディションを整えていれば、遼一を含め、さまざまな選手が助けてくれると思います。

高木さんが動きます。二枚同時代えです。

ファンマに代えて武蔵を同じくトップに、米田に代えて飯尾を同じく右WBに投入します。リズムを変える意図だと思います。

直後にアクシデントが起きます。モリゲが足の負傷で下がります。代わってまるが入ります。モリゲは、後半の最初にクロスを上げたときに左足首を痛めたようです。ワールドカップを控えますから、大事ないことを願います。

チームは重い空気になることもなく、好調なリズムを維持します。そこで健太さんが〆ます。永井に代えてクローザーヨネの投入です。洋次郎をトップに回します。ユーテリティな選手が多いとコンディションの順に交代できて良いですね。

高木さんが最後のチャレンジを仕掛けます。高杉に代えてベン・ハロンを投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。キュベックと徳永がCB。飯尾と翁長がSB。澤田と中村がメイヤ。ハロンは武蔵と並んで2トップを組みます。普段からオプションとして備えているのかはわかりませんけど、攻撃の枚数を増やす意図です。

高木さんの願いもむなしく、このまま試合終了。長崎2-5東京。

東京のハットトリックがいつ以来なのか覚えてないのでどなたか教えてください。ゴレアーダは、リーグ戦は2014年以来。いずれ、ずいぶんひさしぶりに感じます。眠らない街♪

贅沢なことですけど、個人的にはゴレアーダは内容的に緊迫感に欠けるように感じます。今日も5点目を取ってからは、試合の流れを追うのをやめて、のんびりまったりしてました。それはともかく、かつて経験がないほどの好調さに、嬉しさとともにワクワク感を禁じ得ません。なによりも選手が活き活きしていて迷いがなく、積極的にチャレンジしていて、ホントにいまはサッカーが楽しそうです。わずかの時間で長年の問題が解決してしまって、これまでの悩みはなんだったんだろうかと呆然とします。

いま、サポの誰しもがジワジワ感じていることだと思います。リーグ優勝。疑心暗鬼が積み重なって素直になれないけど、リーグ制覇。まだまだ紆余曲折あると思うけど、この状態が続けば、もしかすると秋頃に優勝争いをしているかも、なーんてそんな時期尚早な期待にこころが騒がしくなってきました。

とはいえ、怒涛の連戦がはじまったばかりです。まずはこのスケジュールを乗り切ることでしょう。


小金井公園の桜2018

2018-04-01 22:06:46 | まち歩き

初夏のような陽気のなか、小金井公園の桜も一気に満開になりました。

寒桜。

大漁桜。

陽光。

染井吉野が咲く直前に、今シーズン最後の雪が降りました。

越乃彼岸桜。

最後の雪が溶けるとともに、盛春が訪れました。小金井公園の西口の巨木、駒繋です。

白雪。

御車返。

山桜。

越乃彼岸桜。

唯一もう八重が咲いてました。江戸。

紅枝垂。

大島桜。

衣通姫。

江戸彼岸。

小金井公園は春の花がまだまだいっぱい。シャガ。

菜の花も満開です。

花桃。

木瓜。

最後に、小金井公園の象徴、小金井薄紅桜の二世。

今年は品種によっては咲いてる期間が短く、全種類を観ることができませんでした。次は八重桜の季節に。


2018J1リーグ第5節FC東京vsガンバ大阪@味スタ20180331

2018-04-01 12:42:16 | FC東京

満開の桜が華やぐ春爛漫。

小金井公園もにぎやかです。

桜咲く東京調布に迎えますは、桜じゃないほうのガンバ大阪。You'll Never Walk Alone♪

2点のアドバンテージを追いつかれるも、突き放しての今シーズン初連勝です。

東京はトップ以外は前節と同じオーダー。シフトはボックス型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBはマコと諒也。ボランチは拳人と洋二郎。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。今日の2トップはディエゴと永井です。

ガンバは今野と市丸が怪我で欠場。中断期間中にマテウスが新加入でさっそく出場です。布陣は4-2-3-1。GKは東口。CBは三浦とファビオ。SBは右にオ・ジェソク左に藤春。ボランチはヤットとマテウス。WGは右にファン・ウィジョ左に井出。トップ下は秋。1トップは長沢です。

試合は開始早々動きます。

2分。拳人の戻しを自陣深くで受けたヒョンスのロングフィードから。これを最前線でディエゴが受け、フリック。走り込む永井に落とします。永井は一気にペナルティエリアに入り、流れのままシュート。これは東口が逆サイドに弾きますけど、そこに慶悟がいました。慶悟はダイレクトで左足を振り抜きました。東京1-0ガンバ。

国際Aマッチウィークの中断明けの初戦の相手は、健太さんの前籍ガンバ。ガンバ時代は毎年趣向を変えていた印象がありますけど、健太さんのサッカーの進化の過程とはいえ、東京はガンバとはメンバーが違いますから、健太東京がその延長線上にあるとは思えません。むしろ、ヤットという圧倒的な象徴がいない分、健太サッカーの純度は東京のほうが高い気がします。今日の対戦でもそれが確認できた気がします。

中断期間中の取り組みはシュートとそこに至る過程のチェックだったそうです。素人目にもはっきりわかる顕著な取り組みの違いはなく、やってきたことの微調整なんだろうと思います。わかり易いのは、2トップの組み合わせ。永井の選択は敬真のそれと同じでしょう。トップ二人の役割を明確に分割する意図だと思います。これによって、メイヤと洋二郎を含め、攻撃系の選手の役割分担が鮮明になりました。このことが、チームとしての攻撃方法の整理につながっているのではないかと思います。2トップは、ディエゴのポストに連動するアタッカーを組み合わせています。遼一はディエゴと同じ役割を交互に担うことで、納め処の選択肢を増やすことができていたと思います。一方で2トップが互いに連携するシーンはあまりなく、トップとメイヤ、SBの局所的なコンビネーションに頼ることになりました。このため攻撃方向に偏りが起こっていたと思います。加えて、相手に主導権が渡ったときにそれを取り戻す基点を作りにくかった印象があります。相手守備網のスペースを狙えるワイドスプリンターを置くことで、攻撃ルート確保におけるディエゴの負担は大きくなりますけど、ディエゴが渡す相手が明確になるので、ポストをシンプルにさばき易くなっていると思います。さらに、後方からのフィードにも反応ができますし、それが相手へのジャブの効果も生んでいると思います。

メイヤの役割も、あらためて整理し直しました。慶悟の覚醒に近い活躍は前節に触れたとおりです。先制ゴールにみられるように、セカンドアタッカーとしてゴール前に顔を出すシーンが増えていますし、攻撃の際に縦に積極的にしかける意欲が出ています。慶悟がパスで攻撃の一翼を担う一方、晃太郎はドリブルです。中断期間のアジャストで一番取り組んだのは晃太郎なのではないかと思います。中断前よりも晃太郎が個で仕掛けるシーンが増えています。しかもアタッキングサードの密集ゾーンで、あえて数枚のマーカーを引き寄せて仕掛けるシーンが顕著です。これができると攻撃が非常に楽になります。晃太郎が二枚ないし三枚のマーカーを引き受けることで必ず守備網にホールができます。なおかつキープすることで、味方に時間を与えることができます。出身のガンバだからモチベーションが高かったのかもしれないけど、晃太郎の仕掛けは明らかに有効でしたから、これからの攻撃の鍵を握る気がします。

それから、セットプレーにも工夫を施したと思います。チームとしての攻撃のアジャストでは、もっとも時間を割いたのがセットプレーでしょう。もともとヒョンス、モリゲにディエゴもしくは遼一、さらには拳人に洋次郎と、セットプレーの優位性を生むアタッカーが四、五枚揃っていますから、これを活かさない手はありません。たとえばヒョンスとモリゲを両方とも隠すスクリーンもできる布陣です。そして、さっそくアジャストの効果を発揮します。

12分。諒也のアタッキングサードに入ったあたり、右寄りのFK。ガンバは壁が二枚。さらにストーンにヤットとマテウスを置き、主力守備陣はペナルティエリア外側に六枚横陣を敷きます。これに対し東京は、ラインにニアから永井、拳人、ファアにディエゴを入れます。洋次郎、ヒョンス、モリゲが後ろから飛び込むパターン。FKは一回やり直したので、東京のパターンはガンバに知られてしまうのですけど、二回目も同じ作戦です。洋次郎がニア、ヒョンスが真ん中、モリゲがファアに飛び込みます。諒也が合わせたのは、真ん中をつっきったモリゲ。抜け出したモリゲは、諒也のクロスに合わせるべく、少しスウェーバックしながら東口の位置を確認、逆サイドにヘッドで流し込みました。ゴラッソ。東京2-0ガンバ。

12分間で中断期間の取り組みの成果を示すことができました。一方、守備は、前節の安定感をそのまま持続しています。4+4の2ラインの布陣を代えなかったことも一因だろうと思います。少なくとも前半は、ガンバが新しく取り組むサッカーを完全に封じることができていました。

クルピガンバは、攻撃に偏重したサッカーを志向しているようです。ガンバらしいスタイルのようであり、それでいて、これまでのヤットシステムから脱却しようとしているようでもあり、成績が伴わないところを考えると、まだ整理しきれていないようです。でも、今日の90分間で、クルピガンバの方向性はしっかり定まったのではないかと思います。その意味では、光明が見えているのでしょう。

クルピガンバの攻撃スタイルは、ネルシーニョさん時代の最後のほうに柏に似ています。SBを最前線に上げ、ボランチの一枚もシャドウに配することで、攻撃に七枚もの人数をかける超攻撃スタイルです。それをさばくのは扇のかなめの位置に入るヤット。当然のことながら、セーフティネットが極めて薄い、もしくは無い闘いかたです。そこは、全員のボールコントロールの技術が高いガンバらしさ自体をセーフティネットとしているのだと思います。つまり前提として、ヤットのパスルートが確保されている必要があり、そのルートがない場合は無理をせず、後方でポゼッションします。

前半のガンバは、ようするにヤットのパスコースを確保できませんでした。要因は加入したばかりのマテウスの役割を整理できていなかったことにあると思います。前半は左サイドでの仕掛けに比重をかけていました。マテウスを左に寄せて基点とし、さらに秋も加わって、左サイドに人数をかけます。これで藤春と井出をフリーにし、一気にゴールに仕掛けるイメージだと思います。ところが、東京のウィークポイントだと踏んでいたであろうマコサイドが思いのほか守備力が高く、思惑通りにはいきません。マコをカバーすべく晃太郎の守備位置セットがとてもはやく、さらにこのサイドには中盤の壁、拳人がいます。結局マテウスのサイズとパワーを優位に使うことができません。

左サイドが停滞するのでヤットは他のルートを探ります。でも、左サイドに人数をかける反動で、当然中央と右サイドは人が足りません。それでもヤットはなんとか攻撃ルートを確保しようとパスを散らしますけど、パスコースが読みやすく、東京のインターセプトの餌食になります。ヤットのパスミスは、そのままガンバのピンチに直結します。せっかく藤春とジェソクを最前線に置いて攻撃の厚みを加えようとしても、そこにボールが収まらないのであれば宝のもちぐされ。むしろ逆に、ガンバのウィークポイントとなっていました。先制点は顕著な例です。

ガンバを停滞させたのは、東京の中盤の守備強度です。それを成し得るのは、前線のチェイスのおかげでしょう。ディエゴも永井も献身的にボールホルダーのチェックに動き回ります。遼一や敬真が入っても同じクオリティでチェイサーの役割を果たしますから、守備に関してはアタッカーの組み合わせに不安はありません。むしろ年間通じてコンディションがもつのかが心配なところです。

停滞するガンバにアクシデントが起こります。藤春がディエゴにタックルしたときに負傷し、そのまま離脱します。代わって初瀬が同じく左SBに入ります。この交代が、結果的に眠れるガンバを呼び起こすことになりますけど、前半はアジャストで手一杯だったと思います。

後半のガンバの発動のきっかけは初瀬だけではありません。井出です。

前半アディショナルタイム+2分。洋次郎が井出を倒して与えたPKをウィジョが決めました。東京2-1ガンバ。

とても快調に試合を進めていた東京ですけど、終了間際に嫌な流れを作ったまま、前半は終了。

さて、クルピさんがアジャストします。ポイントは初瀬と井出。マテウスを中央、秋をオリジナル通りにフリーマンとし、左を初瀬と井出にまかせます。さらに、長沢を少し中盤に下げます。これにより長沢にポストが収まるようになります。これがガンバの攻撃を機能させるきっかけになりました。

ガンバはサイドアタック基調のチームですけど、単純な同一サイド偏重の攻撃方法ではありません。ひとくせあります。サイドチェンジを多用して相手をゆさぶり、能動的にサイドにスペースを作っていきます。サイドの崩し方も、人数をかける数的優位性とスピードを活かしたスペースの優位性を両方具有するチームです。前半は左に人数をかけ右でスペースを使いました。後半は逆で、右に人数をかけ左はスペースを狙います。このバランスのアジャストが奏功します。初瀬と井出のコンビネーションで左サイドの仕掛けが活性化します。スペースができるために晃太郎とマコの距離があき、井出もしくは初瀬の仕掛けにマコが1on1状態になります。これに対応するために、チームはいったん、4+4のラインを維持する選択をします。これがピンチを招きます。

ガンバは左サイドでアタッキングサードに入ることができたため、全体を押し上げることに成功します。このためヤットがより攻撃的に位置取ることができるようになります。ヤットのパスがシュートに直結できる距離になります。さらにマテウスを中央に置くことで、サイドのコンビネーションも整理できます。これにより、選手間の距離を保つことができますので、ガンバ本来のボールロストしないパス回しが円滑に行えるようになります。こうして、ヤットとマテウスを経由するサイドチェンジがスムーズになります。東京をじわじわとゆさぶります。危険な状況だなと思っていると、案の定でした。

58分。ジェソクのスローインを右ライン際、アタッキングサード深くでウィジョが受けます。ウィジョを軸に、秋とジェソクが加わり、スモールゾーンを作り、守備網を片寄せします。そこで秋はインサイドのマテウスにパス。マテウスはさらに中央のヤットにパス。これで守備網が中央に戻ります。ヤットはすかさずスペースができた右サイドにボールを送ります。そこにいたのはフリーのジェソク。それでも東京はペナルティエリアに五枚を入れ、ガンバの三枚にまさります。ジェソクはふたたび中央のマテウスに戻します。マテウスはキープし、ルックアップします。このとき左サイドを初瀬が上がっていました。マテウスはサイドチェンジ。これを受けた初瀬はゴール前を確認。ガンバはニアに秋、中央に長沢と井出、ファアにマテウスがいます。さらにウィジョがオフサイドゾーンにいます。東京はニアからヒョンス、モリゲ、洋次郎、諒也。マテウスのサイドチェンジで数的不利が生まれてました。初瀬がボールを持ったことをみたウィジョがオンサイドに戻ります。この動きでウィジョが消えました。初瀬が狙ったのはそのウィジョ。ふたたびゴール前に顔を出したウィジョは、洋次郎の頭上を越えてきたクロスに合わせました。東京2-2ガンバ。

すかさず健太さんが動きます。永井に代えて遼一を同じくトップに投入します。ガンバの攻撃に対し過剰に受けに回ってしまっていたので、前線の基点を増やし、重心を上げるメッセージを込めた作戦だと思います。そして、いきなり奏功します。

64分。ヤットの自陣からのフィードを自陣で遼一がカット。すぐに前方の洋次郎に渡します。攻撃スイッチが押されました。洋次郎はライン際をオーバーラップするマコにパス。マコは洋次郎に戻します。それから洋次郎、拳人、慶悟と渡ってサイドを変えたボールは左サイドの晃太郎に渡ります。フリーで受けた晃太郎はドリブルイン。ペナルティエリアに侵入します。そのままキープしてジェソクとマテウスを引きつけ、諒也の上がりを待ちます。諒也の上がりを受け、晃太郎はパス。それを諒也がダイレクトで中央にクロスを上げます。このときゴール前は、三浦、ファビオ、初瀬がいますけど、晃太郎のワンプッシュが効いてマークの確認ができていません。三浦の背後に慶悟、中央に遼一、ファアにディエゴがそれぞれフリーです。諒也が選択したのは、一番ミスマッチになっていたファアのディエゴでした。ディエゴは初瀬の前を取り、クロスに合わせました。東京3-2ガンバ。

三点目も新しい取り組みの成果がしっかりあらわれました。さらに、目には目を。ガンバのおかぶを奪うような綺麗なパス回しによるサイドチェンジからのゴールでしたから、メンタルの威力もまた格別です。

これを受け、クルピさんが動きます。長沢に代えて森を右WGに投入します。ウィジョをトップに回します。ドリブラーの井出が有効だったので、右サイドにもドリブラーを配置する意図でしょう。加えて2ゴールと当たっているウィジョにボールを集める作戦だと思います。

一方東京も、二失点目の反省をさっそくアジャストします。ガンバのポゼッションを受けるのではなく、ふたたび積極的に前線から守備を仕掛けるようになります。とくにマコにより積極的な守備を担わせます。初瀬サイドの攻撃のかたちができる前に、マコが自陣にいる初瀬に圧度の高いプレッシングを仕掛けます。これが奏功し、ガンバの左サイドが沈黙します。

状況を打開すべく、クルピさんが動きます。秋に代えて敬斗を同じくトップ下に投入します。中央の高めに敬斗を置き、シュートアテンプトを増やす意図だと思います。さらにウィジョにスペースメイクの自由を与えようとしたのだと思います。

ガンバのアジャストにも安定が揺らがないことをみた健太さんが〆にかかります。洋次郎に代えてクローザーヨネを投入します。もちろん中盤の守備の強化です。

健太さんがさらに〆ます。ディエゴに代えて敬真を同じくトップに投入します。前線のチェイシングを安定させる意図だと思います。これが、本来の意図に反して奏功します。

クルピさんのアジャストも奏功して、ガンバはアタッキングサードに入ったときに中央に人数をかけられるようになります。さらにウィジョがスペースを意識するようになり、シュートを打ちやすい状況を自ら作れるようになります。そして今日最大のドラマは、後半アディショナルタイムに起こります。ガンバが左サイドから仕掛けたゴール前の混戦のなか、ウィジョがファアでフリーになり、ボールが渡ります。ウィジョの放ったシュートは彰洋を抜け、逆サイドにオンゴールのコースをたどります。そこにいたのは、なんと敬真でした。敬真は渾身のヘッドで跳ね返します。1ゴールにも値する大ファインプレーでした。このまま試合終了。東京3-2ガンバ。

様々な要素が盛り込まれたドラマチックな極上エンターテイメントでした。中断期間に取り組んだことがすぐに明確な結果に結びついたことは、シーズンのはじめとしてとても良かったと思います。ベースとなる健太さんのサッカーがとてもシンプルなことが良いのだと思います。選手の理解がはやく、なので戸惑いがなく、選手間の話し合いも円滑になっているのでしょう。眠らない街♪ディエゴのシュワッチ。健太さんトリビュートの新チャント、おどるポンポコリン♪

とはいえ、ガンバを覚醒しそうになった守備の流れは課題です。ピッチ上でのアジャストがデフレスパイラルになりそうだったところをベンチワークで修正できたことは良かったのですけど、できるならピンチを未然に防ぐことができたほうが失点リスクを最小化できます。健太東京がはやくもその域まできてることに期待感が増しつつも、課題には真摯に向き合い、チームでひとつずつクリアしていってほしいと思います。

さあ、ワールドカップ本戦開催前の二ヶ月間、怒涛の15連戦がスタートしました。その内訳も難敵揃いです。コンディションを上手に整えて乗り切ってほしいです。さらに代表候補選手は、代表選出に向け、調子を上げていってほしいと思います。ヒョンスは好調ですし、モリゲも一年以上ぶりにゴールできました。チームの調子が上向けば代表候補リストに名を連ねる選手がほかにも出てくるかもしれません。いよいよ熱い時期がきます。