ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第10節FC東京vsサンフレッチェ広島@味スタ20180425

2018-04-27 20:58:09 | FC東京

心配された雨は、昼過ぎにはあがり、蒸し暑くなりました。

本日はミッドウィーク開催。今日も平日には惜しいマッチメイクです。勝ち点差9の首位攻防戦。

そして、ぼくらにとっては、もちろん因縁深い、ヒロシ。おかえりなさいヒロシ。ヒロシには懐かしいこのうたがどんな風に届いたかしら。You’ll Never Walk Alone♪

無敗の広島を撃破です。

東京は前節で負傷したヒョンスがおやすみ。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは室屋と諒也。アンカーは拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴと永井です。

広島は少しターンオーバーです。シフトはスクウェアな4-4-2。GKは卓人。CBは水本と野上。SBは右に和田左に翔。ボランチは青山と吉野。メイヤは右に川辺左に柏。2トップはパトリックとティーラシンです。

試合はいきなり動きます。

5分。ディエゴが翔に倒されて獲得したPKを、ディエゴが自ら決めました。東京1-0広島。

さらにたたみかけます。

9分。広島の自陣からのビルドアップから。青山が下がってきた川辺にパス。川辺はダイレクトで和田に渡そうとしますけど、これを慶悟がカット。このボールが流れ、ペナルティエリアに転がります。いち早く反応したのはディエゴでした。ディエゴは卓人を引きつけ、上がってきた永井に渡します。ディエゴはこれまでペナルティエリア内でシュートを優先していましたから、ちょっと珍しい連携です。走り込んだ永井は右足インステップでコントロールショットを決めます。東京2-0広島。

試合は東京がいきなりシフトをトップに入れた、アグレッシブな姿勢を見せます。執拗に裏を狙うディエゴと永井にロングフィードを送り続けます。これは二つの意図があったと思います。ひとつは中盤を省略すること。広島の作戦の基盤は、中盤のハイプレスにあります。ロングフィードで中盤を省略することで、中盤の攻防を回避することができます。

もうひとつは、広島の好守の切り替えをディレイするために、最終ラインに守備を意識させることです。おそらく各チームの広島攻略のスタンダードになるのだと思います。結論として、東京が今年はじめて広島攻略を成し得るわけですけど、要因は割り切りと実行者のスキルにあります。ポゼッション前提が主流のJ1のなかでは、東京は、ロングスプリントを攻撃の基調とする異質なチームです。おそらくこの作戦には功罪あるのだろうけど、広島対策としてはベストマッチでした。

広島に後方を意識させることで、付加的に中盤の支配力も増します。中盤の守備力を優位性の根拠としている広島に対し、むしろ優位に立ちます。アグレッシブなハイプレスで広島のお株を奪いました。広島の選手は、ちょっと面食らったところもあったと思います。

さらに工夫があります。広島を後方に引っ張ることは、とりもなおさずバイタルエリアにスペースができることを意味します。今日ダイヤモンド型を採用したのは、このためでしょう。洋次郎をチャンスメークの軸に据えます。もちろんセーフティネットも忘れません。洋次郎が上がる分のカバーとビルドアップのルート開拓は、洋次郎に代わって晃太郎が担います。これで、攻撃的なシフトでありながらバランスの取れた布陣が完成しました。

中盤を支配できますからアタックに人数をかけることができます。ディエゴと永井がゴールを目指すだけでなく、慶悟もゴール前に顔を出せます。さらに室屋と諒也も高く位置取ることができ、広島の重心を下げます。これで、ますます中盤のイニシアチブが高まります。

東京は今日の所期の作戦が気持ち良いほどはまり、ポジティブスパイラルに入ります。東京のイニシアチブは、作戦だけの成果ではありません。選手ひとり一人の熱量が広島の選手を凌駕していました。闘うことに対する気持ちの整理とチームとしてのコンセンサスが高い次元でできていたからでしょう。

広島は、なのでほぼ沈黙しますけど、広島の闘いかたの基本は垣間見られたような気がします。それはポイチサッカーの正常進化形です。ポイチさんが組み立てたサッカーは、ワイドオープンに網を作って囲い込んだうえで、網の中をフレキシブルにして守備網を混乱させることを基調とします。ヒロシ広島は、形の上では4バックですけど、コンセプトは同じ。攻撃時にバックスが3枚なので、幾分セーフティといえるくらいです。

攻撃の優位性を生むポイントは、網の中の選手の流動性です。これを体現するのはメイヤです。なかでも柏はボールサイドでの自由をかなり許されているらしく、川辺と頻繁に同サイドにかぶります。このあたりは晃太郎の役割に似ています。柏のフリーランスに対し、川辺は基本的に右サイドに位置取ることで数的優位を作ります。

広島のボランチは縦関係です。攻撃時に青山が最終ラインの真ん中にはいるあたりが、かたちは変わってるけど広島のベーシックな闘いかたを継承する名残です。吉野は攻撃に加わり、網の中の人を担います。メイヤが作る数的優位に対し、吉野が攻守のスペースのバランスを見ている印象です。ただ吉野はターンオーバーで、結果バランサーの色が強かったのでしょう。

広島伝統の網の中の人を機能させるためには基点が重要です。以前はWBを基点にしていましたけど、ヒロシ広島はオーソドックスに前線に預けるスタイルです。なのでパトリックかティーラシンにかたち良く収まることが攻撃を有効にするか否かの基準になります。今日の東京守備陣は、タイトマークでパトリックとティーラシンの自由を徹底的に奪います。勝因のひとつはこの守備陣のがんばりにあると思います。

2点目が入ってから、さすがに東京は少しペースを落とします。つっかえが取れたように、変わって広島が攻撃を開始します。守備加重とはいえもともと攻撃特性が高い広島ですから、前を向けるとなると俄然息を吹き返します。広島のかたちができるようになってちょっと危ないなと思いました。それほど前述した広島の攻撃方法は整理されてますし、威力も十分です。広島はけしてメディアで言われているような守備偏重のチームではありません。優位性に根ざした確たる攻撃スタイルを持っています。あらためて、ヒロシ広島は勝てるチームとはなにかということを教えてくれたような気がします。

ヒロシ東京が勝てるチームに成り得なかった理由は、ヒロシと東京がゼロからチームを作ろうとしたためだと思います。それがヒロシ自身の想いだったのか、あるいは東京の当時の強化部の要請だったのかはわかりません。ヒロシ広島をみると、ヒロシ自身も志向が変わったような気がします。と同時に、ヒロシをして勝てるチームを作らしめる広島のチームとしての基盤の強さと厚さに凄みを感じます。前半はリードしたまま終了。

後半も、いきなり動きます。

51分。東京陣内で晃太郎が吉野にチャレンジ。イーブンボールを拳人が拾って、前方を走る洋次郎にパス。洋次郎は、自陣からルックアップ。この時前線では、ディエゴが水本と野上の間を抜け出そうとしていました。これを見逃さない洋次郎は、右足アウトでディエゴにスルーを送ります。追いついたディエゴは、ペナルティエリアに入って、冷静に右足でゴール左隅に流し込みました。東京3-0広島。

これで事実上試合は決まったかなと思いました。ここまでの東京の試合運びは満点でしたから。ところが、このゴールがヒロシ広島の獰猛性を呼び起こします。

まずヒロシが動きます。ティーラシンに代えてフェリペ・シウバを左メイヤに投入します。柏が右メイヤ、川辺がトップにそれぞれ回ります。フェリペは広島に攻撃のリズムをもたらします。前線での基点作りに苦しんでいた広島ですけど、左サイドにはるフェリペにボールを預けることで、またそのフェリペに収まることで、攻撃ルートを開拓します。

一方、東京も、受けモードに入ります。もちろん常套なのですけど、そこはかとない不安を感じました。フェリペを軸にした広島の躍動感に威力がありましたから。結果的に逃げ切るのですけど、これは東京守備陣の執念の賜物だったかもしれません。今日はキャプテン不在でしたから、守備の技術的な安定と牽引力に不安がありました。それをネガティブな結果に結びつけまいとする想いが選手たちにはあったのでしょう。

健太さんが動きます。永井に代えて遼一を同じくトップに投入します。前線の収め処を増やして重心を上げようという意図だと思います。でも広島から攻撃権を奪うまでには至りません。

状況が変わらない処でヒロシが動きます。吉野に代えて稲垣を同じくボランチに投入します。中盤の運動量を上げて支配力を高める意図です。さらに稲垣のアタッキングサードでの仕事に期待して、より攻撃特性を高める作戦でもあると思います。そして、広島の反撃がかたちになります。

60分。遼一が翔と競ったボールが流れ、フェリペのもとへ。フェリペはダイレクトで、最前線でフリーになっていた川辺に渡します。川辺はターン。攻撃スイッチが押されます。広島は、ファアをパトリック、中央を柏、ニアにフェリペが一気に縦に加速します。東京は下がり基調で、マークの確認中です。そのタイミングで、川辺はパトリックにスルーを送ります。パトリックはペナルティエリア外ですけど構わず、ダイレクトショット。これは彰洋がはじきます。こぼれ球をふたたびパトリックがシュートしますけど、まるが防ぎます。このクリアボールが、真ん中を上がってきた稲垣のもとへ。稲垣は右足ダイレクトボレーで合わせました。東京3-1広島。

失点を受け、健太さんが動きます。晃太郎に代えて草民を左メイヤに投入します。慶悟が右に回ります。中盤の運動量を回復しようという意図だと思います。

ヒロシがさらにたたみかけます。柏に代えて工藤をトップに投入します。川辺が右メイヤに下がります。アタッカーのシュート力を上げてフィニッシュの可能性を拡げる意図だと思います。

健太さんが動きます。ディエゴに代えて敬真を同じくトップに投入します。アタッカーを代えるかたちに反して、作戦は守備を意識したものだと思います。それまで流れを取り戻すためのアジャストでしたけど、ここから逃げ切りに作戦の主眼を変えます。敬真は遼一とともに、ボールホルダーへのチェックを厚くする役割です。

この割り切りが奏功します。試合展開を東京伝統の泥仕合に持ち込むことに成功しました。広島は人数をかけて東京を押し込みますけど、シュートを打てども、ほぼ全員をペナルティエリア内に閉じこもらせる東京の堅い守備網をこじ開けられません。今年は守備が洗練されていたので、ひさしぶりに泥仕合を観て懐かしくもありました。このまま試合終了。東京3-1広島。

絵に描いたような先行逃げ切りが決まりました。ロースコアを防ぎきることはあってもここまで先行を有利にしたことはこれまでの東京には無いパターンです。長距離砲を持つ身ですから、基本パターンとして先行逃げ切りもアリかもしれません。できれば、もうちょっと逃げかたを安定させたいところですけど。眠らない街♪ディエゴのシュワッチ。

無敗の首位広島を撃破です。先日の鹿島といい、今年のミッドウィーク開催はポジティブでドラマチックな試合が観られるのかもしれませんね。ワールドカップ開けのミッドウィークもこの流れが続くといいなと思います。

ヒロシノスタルジーを無事勝利で終え、首位との勝ち点差を6に縮めることができました。15連戦を好成績で折り返すことができました。鬼門のゴールデンウィークを今年はどう乗り切ってくれるのかしら?。