ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第11節FC東京vs柏レイソル@味スタ20170514

2017-05-16 23:17:14 | FC東京

街が華やぐ季節がやってきました。

本日は以上です。

嘘です失礼しました(^_^;)。

母の日の本日の相手は好調柏。ここのところ下位に沈むチームとの対戦のなかで順位を上げてきましたから、ホントの調子のいかんを問う、興味深い対戦です。本日のYou'll Never Walk Alone♪

絶好調の柏に当たる不運で、完敗です。

東京は三戦連続同じオーダーです。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとまる。SBは徳永と宏介。ボランチは梶山と洋次郎。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップは遼一と嘉人です。

柏は代表招集の雄太がお休みです。シフトは4-2-3-1。GKは航輔。CBは今日は進之介と次郎。SBは右に小池左に輪湖。ボランチは大谷と手塚。WGは右にIJ左に武富。トップ下は中川。1トップはクリスティアーノです。

試合は歯切れの良い展開ではじまります。これは、互いにやりたいことができていたからだと思います。ちゃんとフィニッシュを見せて終えられていて、ミスからのボールロストがほとんどありませんでした。

東京の攻撃パターンはふたつ。ひとつはバイタルエリアのスペースメイクで重層的な基点を作り、パスをつないでフリーの選手を作るかたちです。もうひとつは左サイドアタックからクロスをゴール前に供給するかたち。序盤は両方とも機能していました。

具現化できていた理由もふたつ。ひとつは、前線のフォアチェックを前提にした中盤のトランジションが機能したこと。もうひとつは、バイタルエリアのスペースメイクとパスの連携が機能しはじめていること。GWをはさんでスターターを固定した効果があらわれてきています。

フィニッシュのかたちも、ミドルレンジの積極的なシュートやアーリークロスにアタッカーが飛び込むかたちなど、これまで見られなかったまとめかたもできていて、少しづつだけど攻撃プランが成り立ちはじめている兆しが感じられます。

柏は四連勝中。完封も三試合連続と、こちらも堅守を根拠に順位を上げています。でも実際に対戦してみると成績から得る超守備的な印象が感じられませんでした。むしろ攻撃を整理しチームとしてのコンセンサスを確立することが試合のイニシアチブを握ることにつながり、それが安定した試合運びと失点の少なさを演出しているのだと思いました。

柏はとても完成度の高いチームです。三連敗でスタートした今シーズンですけど、立て直しが成功したどころか、もしかすると優勝を争うレベルまで上昇するかもという可能性も感じます。柏の攻撃パターンは基本的にサイドに偏っています。サイドの高い位置で基点を作り、ダイレクトのショートパスで、タベーラを多用して守備網をくぐり抜けます。フィニッシュパターンは、ほぼクロス。

柏の伝統的な特長は、なんと言っても高い個人技術です。どのポジションの選手であっても質の高い足元の技術を持っています。柏の攻撃が淀みなく安定して見えるのはこのため。育成段階で共通の価値観のもとに、あるべき選手像をスタッフも選手も家族も認識していることが伺えます。今日のスコッドのうち育成出身は9人。スターターは7人におよびます。

今年のシーズンインは、茨田、TJ、増嶋、秋野、山中、徹郎など、主力級が大量に移籍して編成を心配していたのですけど、杞憂でした。柏には柏のDNAを継ぐ素材が粛々と絶え間なく生まれ続けているようです。東京は今年、基本的には育成型の維持を標榜しながらも結果を残す編成に改革しました。もちろん尊重するし受け入れてますけど、どこか柏をリスペクトする気持ちも正直あります。

というわけで、柏のサイドアタックにおける役割は、サイドにマルチロールの選手が揃っているだけに流動的に変化します。加えて、アタッカーの組み合わせの妙味も柏の攻撃を安定させる理由のひとつだと思います。柏のアタッカーは、それぞれがキャラクターに合ったプレーをします。言い換えると、個々の選手は周りに合わせる意識があまりないと思います。ケミカルの最大効果を狙える現時点でのベストミックスを見つけられているということでしょう。これまた羨ましい限りです。

中央でリズムメイカーを担うクリスティアーノ、サイドの基点でありアタッカーでもあるIJと武富は、それぞれタレントが立った存在です。でもチームとしての特長を際立たせているのは中川でしょう。中川の攻撃面の役割は、フィニッシャーだと思います。クロスに飛び込む頻度は中川が一番多かったと思います。中川は消えます。運動量とサイズを活かして、最終局面まで忍者のように消えます。中川のような個性をトップレベルで活かすことができる土壌も、柏の長所だと思います。

このようにクラブとチームのマネジメントを絶賛しつつも、今日の柏の出来をもたらした要素はおそらくそれだけではありません。東京にとって運悪く、もしくは運良く、柏のコンディションも今がベストかもしれません。もしかすると今年のベストマッチになるかもしれません。運悪くとはもちろん勝ち点のロストのことを言います。運良くとは、ベストパフォーマンスの柏とぶつかったことによって東京が課題を見つける機会を与たことです。

互いにプランを出し合う展開は、やがて柏にイニシアチブが渡ります。要因はふたつ。ひとつは前述の通り、柏のボールホールドの安定感です。もうひとつは航輔。宏介や慶悟や遼一の決定打は、真正面に飛んだ不運もありながら、すべて航輔に阻まれました。

そして、今年のベストGK対決の構図でもあったこの試合を動かしたのは、GKの高い技術を上回るシューターのクオリティでした。

33分。武富のスローインは輪湖を経由して次郎から縦に。この時東京は、柏が例によってパスを繋いでくると想定して、守備の準備として4+4のラインを敷きます。パスを受けた手塚はフリーでターン。シュートコースが見えたのでしょう。まだミッドサードでしたけど左足を振り抜きます。このシュートはドライブがかかって高津のシンカーのように曲がって落ちました。彰洋は手を伸ばしたけど届かず。ゴラッソ。東京0-1柏。

この段階では、まだ東京は闘いかたを変える必要はありません。先制された場合の今年の成績は1分2敗。たしかに分が良いものではありません。それでも宏介のキックのフィーリングが良さそうでしたので、ワンチャンスはどこかで来ると思ってました。前半はビハインドのまま終了。

後半開始早々に試合が動きます。

46分。徳永のスローインを、遼一と競った次郎がフリック。前方に落とします。これを武富が拾います。武富はそのまま手塚に戻します。手塚は縦に仕掛けます。攻撃スイッチが押されます。パスを受けた中川はダイレクトでクリスティアーノへ。クリスティアーノは裏を狙ってスルーを流します。このワンタッチの連鎖に東京の対応はついていけません。クリスティアーノのスルーにIJが反応して飛び出します。宏介が競りますけど、一瞬はやくIJの右足が触りました。シュートはスライディングで防ぐ彰洋の体の上を越え、コロコロとゴールに吸い込まれました。まさに柏が目指すサッカーの象徴のようなゴールです。東京0-2柏。

この2点目が試合を決定付けました。柏は、クリスティアーノを持つストロングポイントを極大化する、ロングカウンターモードに移行します。つまり、リトリートします。柏には三試合連続完封の根拠をイメージできるような、素人がわかる守備の工夫は確認できません。フォアチェックとゾーンを組み合わせたオーソドックスな守りかたです。コンタクトも過剰にハードではありません。たぶんボールコントロールの技術だけでなく個人の守備技術も柏の選手はおそろしく高いのだと思います。つまり守備技術を発揮するコレクティブネスを作りさえすればチームの守備が安定するということでしょう。ここでも個々の役割を明確に整理されていることがわかります。

さて、ここからが東京の課題です。いうまでもなく、点を取りに行かないといけません。東京の三連勝は、周知の通り、守備を優先するコンセンサスのなかで生まれたある種の偶然です。必然にするためには攻撃プランが成立する必要がありますけど、目下のところは構築中。今日はその糸口になるような有効な攻撃パターンをいくつか成功させていましたから、それを確実にかつ90分通して実行できるかたちにまで昇華させる必要があります。残念ながら、今日は、偶然を引き寄せる環境を作ることができませんでした。

あるいは、場合によっては、強引にでも点を取るために、好調宏介の力に期待して、直接FK、あるいはCKを得る闘いかたも、粘り強くかつしたたかにシーズンを闘うためには必要な作戦だと思います。スタッツを確認したわけではありませんけど、とくに後半はボールを持てたにも拘わらずFKの機会は少なかったように感じました。

篠田さんの手の打ち処だなと思っていたら、動きます。遼一に代えてウタカを同じくトップに投入します。この同タイプの入れ替えは、遼一にコンディションの問題があるならともかく、結果的に攻撃のテイストを変える打ち手を、自ら一枚失うことになりました。

篠田さんが続けます。広貴に代えて翔哉を左メイヤに投入します。慶悟が右に回ります。柏をベンチマークに今のスターターセットを見ると、柏にあってそこに無いものは、独力で局面を変えられる、クリスティアーノやIJのようなドリブラーです。東京の攻撃が停滞するように見えるのはこのため。なので翔哉投入は妥当だと思いました。でも残念ながら、翔哉はほとんど独力突破を見せられません。翔哉のチャレンジを削ぐほど、現場感覚の柏の守備網には穴が無かったのかもしれません。

篠田さんが一気に重ねます。梶山に代えて草民を同じくボランチに投入します。柏のリトリートよって中盤でパスミスが増え、それがカウンターの機会を与える原因になっていたので、そのケアでしょう。それからボランチが最終局面でシューターとして加わることも期待していたと思います。

東京が左右から攻め、柏が受けカウンターを狙うシーンが延々と続きます。リトリートした相手を崩し切れない東京の攻撃に課題が見えた一方、改善も確認できました。結局エースクリスティアーノは完封しました。さらには柏がロングカウンターモードに入ってからの再三の大ピンチにも、守備陣は体をはることかできていました。点を取りにいってカウンター一閃に失点してしまうこともウィークポイントのひとつでしたから、敗戦のなか地味ですけど、明るい話題だと思います。

下平さんはずいぶん長く動きませんでした。それほど今日は思い通りの試合運びができ、満足していたのでしょう。ようやく下平さんが動いたのは最終盤。クリスティアーノが疲れを見せていたのをきっかけに、代わりにディエゴ・オリヴェイラを同じくトップに投入します。

続けて、武富が足をつり、代わりに細貝を同じく左WGに投入します。

案の定、下平さんが動くことで試合が呼応します。けしてディエゴと細貝に落ち度があったわけではないのですけど、サッカーの不思議な処です。攻め続けた東京が一矢報います。

後半アディショナルタイム+3。慶悟のアタッキングサードのスローインから。東京は右サイドを崩そうとしますけどペナルティエリアに入るルートがなく、右サイドに参加していた翔哉からまるに戻ります。まるは栗澤のプレスを1フェイクでかわし、ルックアップ。この時ゴール前は、ペナルティエリアの中央に嘉人、ファアにウタカ、慶悟、草民が固まってます。少し下がり気味に洋次郎と翔哉。柏は嘉人を小池と進之介がケア。ウタカは次郎、慶悟は細貝、洋次郎は大谷がケアしています。つまり6on4の数的優位で、草民と翔哉がフリー。両ボランチがゴール前に出る超攻撃モードに対し、柏は今日唯一組織的守備でミスをおかしました。これをまるは見逃しません。狙いはセオリー通り。細貝の背後から飛び込む大外の草民にクロスを送ります。草民はきっちり合わせました。東京1-2柏。

なんとなく、最後に1点取るなと思っていました。これを受け、下平さんが動きます。中川に代えて栗澤を同じくトップ下に投入します。試合が動いてしまったので最善策を取ったのだと思います。

東京にとっては時すでに遅し。このまま試合終了。東京1-2柏。

終わってみれば、双方とも連続完封が途絶えることになりました。ただ試合後の状況は、当然のことながら明暗が分かれました。それでも、今節も首位が負けたので、勝ち点差はターゲット圏内のまま。そんななかちょっと不気味なのは、勝ち点が伸びないけど敗戦数が少ないガンバ、セレッソ、川崎です。地味に勝ち点を積み重ねることが後々効いてくるような気がします。

東京は、戦前からわかっていた攻撃の課題を再認識することができました。残念ながらすぐに成果が出ることではないけど、いろいろトライしてみてほしいです。後半の守備陣の頑張りは、攻撃のかたちのリビルドへの取り組みを後押ししてくれると思います。方向性も見えていると思うので、迷いなくチャレンジしてほしいと思います。

さぁ、待ちに待った、秀人とマックスとの再会が楽しみです。