ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015ヤマザキナビスコカップ準々決勝第1戦FC東京vs鹿島アントラーズ@味スタ20150902

2015-09-03 17:33:53 | サッカー

9月になりました。

雨模様が続きます。季節の変わり目、皆さまお変わりありませんでしょうか。

ひさしぶりに青空が覗いた東京です。どことなく空が高く、秋めいた気がします。

ナビスコカップの再開です。ACL組が加わったベスト8は、東京は好調鹿島に挑みます。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

ドロンパの体温計パフォーマンス

プラン通りに試合を進めるも、鹿島に押し返され、一度はリードを許しましたけど、スターター起用に応えるゴールでなんとか2ndレグに期待を残しました。

東京はモリゲとバーンズに続いてまるが代表に初招集され不在です。代わって、相太に続いて慶悟が戻ってきました。シフトは4-3-1-2。GKは達也。CBはカズの相棒に奈良が東京初出場。SBは徳永と宏介。3CHは右から拳人、秀人、ヨネ。トップ下は河野。今日の2トップは遼一と翔哉です。

鹿島は岳が代表で不在です。シフトは4-4-2。GKは曽ヶ端。CBはファン・ソッコと昌子。SBは大伍と脩斗。ボランチは今日の満男の相棒は山村。メイヤは右に康左に充孝。2トップはダヴィと赤崎です。

リーグ戦6連勝中の絶好調鹿島です。石井監督になってから全勝。そもそも好調のきっかけを作ったのがカシマでの東京戦です。リーグ戦を混戦にするためにも、借りを返しておく必要があります。

試合は東京が素晴らしい入りかたでスタートします。東京のプランは、おそらく先行逃げ切りだったと思います。中盤がアグレッシブにチェックをかけます。狙いはバイタルエリアです。鹿島はトップとメイヤが変わるがわるバイタルエリアに入り基点となります。ここで3CHがトランジションを狙います。

序盤の東京は、このチェックが面白いように決まります。好調を支えるタイトな守備が見られず鹿島がなんとなくふわっと試合に入ったこともありますけど、今日の中盤の3人はかなり集中していましたね。主力不在のエクスキューズをしたく無かったのでしょう。

高い位置でトランジションする理由は、今日の前線の布陣にも伺えます。通常遼一とバーンズの二枚ポストを並べる東京ですけど、今日は遼一の一枚だけ。代わって入ったのが高アジリティ系の翔哉です。これを受け、河野の役割も普段とは異なります。いつもの河野は、バイタルエリアを浮遊してハブを担いますけど、今日は遼一を基点に、翔哉とともに積極的に裏への飛び出しを狙っていました。

つまり東京の攻撃プランは速攻です。トランジションしたら、手数をかけずサイドに展開。アーリー気味のクロスを迷うことなくゴール前に供給します。遼一が左右に流れて基点になるので、クロスの受け役がサイズの無い河野と翔哉になる場面が頻繁にあります。逆手にとってアーリーにすることで、サイズギャップの不利をスピードギャップの有利に一気に転換します。結果的にはゴールは成立しなかったけど、ポストに嫌われた河野のシュートやオフサイドになった翔哉のシュートは、プランが機能していたことを表しています。ホントに結果論ですけど、あのシュートが決まっていれば快勝は必定だったでしょう。

鹿島が対処します。サイドに基点を移します。本来の鹿島はサイドでリズムを作るチームですから、ようやくエンジンをかけ始めたとも言えます。メイヤが軸となり、縦のパス交換で流れてきたトップを走らせ、アタッキングサードで基点を作ります。

東京の守備陣には折り込み済みです。抑え処は康と充孝に入るタイミングです。ここでヨネと拳人がプレスしますから、戻しを受けた大伍と脩斗の縦パスは詰まります。なので鹿島はアタッキングサードに入れず、再チャレンジのサイドチェンジをせざるを得ません。中途半端に中央に預けると、秀人のプレスの餌食になります。今日の秀人は鬼気迫る安定感がありました。いつの間にか秀人が充実していて、すっかり頼もしくなりました。

そしてこのプランを成就するゴールが、想像を超える形で生まれます。

15分。鹿島陣に入った左寄りでボールを持ったヨネがライン際にいるどフリーの宏介にパス。宏介をフリーにした時点で鹿島の大ミスと言わざるを得ませんね。この時鹿島は、4+4のラインが揃っています。対する東京は、アタッキングサードには遼一が中央にいるだけ。バイタルエリアに宏介寄りに翔哉。中央に河野。外を拳人が上がっています。4on8。ルックアップした宏介は当然必殺のアーリークロスを狙います。宏介に入るタイミングで、満男の前にいた河野がスルスルッと上がります。満男はたぶん、まだ中盤だったのでソッコに河野のケアを受け渡そうとしたのでしょう。ところがソッコは河野にまったく気付いていません。一方遼一は、昌子の背後を狙っていて、昌子はこれをケアします。つまりこの瞬間、ソッコと昌子の間に意識とスペースのギャップが生まれます。宏介と河野はそこを見逃しませんでした。例によって宏介の、もはや感動すら覚える必殺の芸術的クロスは、河野の頭にぴったり合いました。東京1-0鹿島。

正直なところ、東京の攻勢は長続きしないと思っていました。ヨネと拳人だけじゃなく、前線の運動量も高かったので、どこかでペースダウンすると思いました。なによりも相手は、引き出しの多い鹿島ですから。このゴールを受け、鹿島がアジャストします。満男と山村の役割を入れ替えます。鹿島のボランチはアンカーとスウィーパーで役割が分かれます。通常は岳が広範囲に動くので満男がアンカーを担います。今日も普段通りの分担でした。ところが山村のポジショニングの感覚が岳とは微妙に違うのでしょう。攻撃パターンが単調になっていました。加えてバイタルエリアを基点に使われていたので、CBもできる山村を中央に置こうという意図だと思います。

ここで鹿島にアクシデントが起こります。昌子が負傷で下がります。代わって青木がCBに入ります。東京もそうですけど、スクランブルでも遜色ないCBがスッと試合に入れることは、チームの成績の安定につながります。ところが今日ばかりは、この一連のアクシデントとアジャストが、後々鹿島に微妙ならしくなさをもたらしました。

前半の特長はCKの多さでした。とくに東京の場合は、攻め切れていたことを表す証拠だと思います。宏介が怪我の影響で代表招集が無かったことは、勝負のアイテムとして、もしかするとモリゲとまるよりも影響が大きかったかもしれません。

ただ、そこは鹿島。流れが不調でもセットプレーで結果を掴むことができます。前半はパーフェクトな内容でしたのでこのまま終わるかと思っていたら、やはりセットプレーの怖さを実感させられました。

43分。満男の右CKのクリアがふたたび満男に渡り、ファアの赤崎にクロスを送ります。トラップした赤崎は後ろにいた脩斗に戻します。ペナルティエリアのマークはニアから、赤崎は秀人。山村はカズ、ファアのダヴィには遼一がつきます。脩斗の選択は、目の前にいた康とのタベーラでした。康の戻しに反応した脩斗は、寄せてくる拳人の股をトラップで抜いてペナルティエリアに入ります。この時ゴール前では、秀人がボールウォッチャーになっていて、赤崎のマークがルーズでした。赤崎はカズの背後からゴールに飛び込みます。これを見た脩斗は、真横にクロスを送ります。いち早く反応したのは赤崎でした。東京1-1鹿島。

前半は振り出しに戻った状態で終了。

後半頭から鹿島が次の引き出しを開けます。ロングボールを使いはじめます。スプリントがあるダヴィをCBあるいは徳永の背後に走らせます。意図的に中盤を省略して、東京のチェックを機能不全に持ち込もうとしたのだと思います。そしてこの作戦が、ここまで失点以外はパーフェクトだった東京のリズムを崩し、試合をイーブンに持っていきます。

鹿島が攻めきるようになったので、東京のトランジションポイントが下がります。前半の攻める鹿島を受けてカウンターという図式から、今度は東京もビルドアップを求められます。こうなると今日の布陣は逆効果となります。裏に走ってもボールが出てこないので、パスをつなぐために河野と翔哉がバイタルエリアに降りてきます。二人にパスが渡る位置が低く、河野はサイドに流すか戻します。翔哉は果敢なドリブルを再三試みますけど、鹿島の中盤の餌食になります。翔哉のチャレンジは面白いですね。現状ではまだ、フリーになることで活きる選手ですけど、どんどん実戦でトライしてドリブルの威力を上げたら、分かっていても止められない選手に育つかもしれませんね。時折密集から抜け出す気配を見せることがあるので、そんな未来を予感させてくれます。

攻撃のスタックを見てミステルが動きます。河野に代えて慶悟をトップに投入します。翔哉がトップ下に回ります。慶悟を左ライン際に固定して、明確に基点を定める意図だと思います。つまり好調な翔哉をフリーにすることと、宏介を押し上げる作戦だと思います。

同時に石井さんも動きます。赤崎に代えて土居をトップ下に投入します。鹿島はシフトを4-2-3-1に変更します。状況によって土居と夢生を投入する作戦は既定だったと思います。石井さんは、アウェイゴールを得たことを、一気に優位性を持つチャンスと見たのでしょう。勝ちに来ました。

この互いの作戦は、徐々に試合のスピードを上げることになります。そして、試合が動きます。

61分。アタッキングサードに入った右寄りでボールを持った山村が、攻撃参加していた大伍にパス。大伍は寄せてきたヨネを振り切り、フリーで前を向きます。大伍は、少しドリブルして縦の動きを作り、寄ってきたダヴィに預けます。この時ダヴィがフリーでポストを受けられたことがポイントでした。大伍がワンプッシュで奈良がダヴィにつく時間を与えませんでした。加えてこのワンプッシュは東京の守備網に後ろを意識させます。こうして康がフリーになります。かつて何度も見た光景。ダヴィの落としを受けた康は、右トラップでタイミングを計り、左足を振り抜きました。ゴラッソ。東京1-2鹿島。

これを受け、ミステルが動きます。遼一に代えて相太を同じトップに入れます。相太は清水戦で遼一と並んだときはバランスがいいなと思ったのですけど、このセットだとまだ組む選手との距離感が合わないような気がしました。ただ流れとしては、相太をターゲットにしたロングボールが増え、縦にはやい展開になります。

興味深かったのはピッチ上の鹿島の対応でした。実質4-1に相当するアドバンテージを得ていますから、鹿島伝統の寝技に持ち込んでも良かったと思います。ダヴィに、裏に抜け出すことが得意な土居も加わり、前線が要求したこともあると思います。さらに後ろに青木、山村、ソッコとフィード系の選手が揃っていたので、出し手と受け手が同調したのでしょう。

こうして東京が望む通りオープンファイトになります。攻守の切り替えがはやくダイナミックに試合が動き出します。どっちにころんでもおかしくない状況に持ち込んで点の取り合いを挑もうという作戦は、形の上では成立します。

さて、この状況に対して石井さんがどうするかなと思っていたら、石井さんの選択は加速でした。ダヴィに代えて夢生をトップに投入します。夢生も裏に飛び出す動きを繰り返します。もしかしたら、リーグ戦の好調を保つために、シーズンのリズムを崩したく無かったのかもしれませんね。

直後にミステルが動きます。拳人に代えてサンダサをトップに投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。慶悟が右翔哉が左メイヤに入ります。これでオープンファイトのキャストが両チームに揃いました。

相太はサンダサを得てポジショニングに迷いが無くなったように見えました。チームとしても縦にはやくというコンセンサスが取れ、活性化します。そして互いにどつき合いを望んだ軍配はミステルに上がります。

88分。鹿島陣に入って相太からのパスを徳永が受けます。徳永はドリブルで仕掛け、攻撃のスピードを上げます。これでカウンターの形ができました。徳永は寄せてきた充孝をドリブルで振り切り、アタッキングサードに入って強引にクロスを中央に上げます。これをサンダサがファアにフリック。そこに走り込んでいたのは翔哉だけでした。翔哉はダイレクトでゴール左隅に叩き込みました。東京2-2鹿島。

この状況で目を引いたのは、カズと奈良の頑張りです。とくに奈良は、フィード系のCBだと思っていたのですけど、フィジカルも強そうですね。体幹がしっかりしてそうで、コンタクトに力強さと落ち着きを感じました。もっと試合経験を積んだら安定感のあるDFに成長してくれそうです。

東京はなお、アウェイゴールのビハインドを軽減しようと縦にはやい攻撃を繰り返しますけど、これ以上の成果は得られませんでした。東京2-2鹿島。

カップを奪い取れ♪

試合前にはモリゲとまるの不在を心配する声がありましたけど、結果的には昌子の離脱で、エクスキューズの無い状況になったと思います。それが後半のガチ勝負を生んだのでしょう。ノックアウト方式ならではのワクワク感を得ることができて楽しかったです。

辛くもベスト4進出の可能性を極小化することは回避できました。鹿島の公式戦連勝のきっかけを作った責務を無事果たし、連勝を止めました。東京の無敗は以前続いています。リーグ戦では相性の良くないカシマですけどカップ戦はさにあらず。参戦しませんけど朗報を待ちたいと思います。

カシマに越境されるかたに託します。よろしくお願いします!。