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ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(Mission: Impossible ? Ghost Protocol)

2012-01-08 22:45:06 | 映画

ことしの映画初めは、ミッション:インポッシブルです。ひさしぶりにハリウッド大作を観賞。

いやあ、堪能しました。

イーサン君の今回のミッションは、核戦争の勃発危機を未然に防ぐこと。危険な思想を持つ元ストックホルム大学教授の暴挙から、世界を守るという難しいミッションです。しかもIMFが存続の危機に立たされていて(ちなみにゴースト・プロトコルとは、この件にちなんだコードです)、イーサン君のチームしか遂行できない。さらに凄腕の殺し屋やロシア諜報部が絡み、今回もインポッシブルなミッションでございますw。

ドバイのブルジュ・ハリーファは828mと世界一のっぽなビルだそうです。予告でイーサン君が飛び降りるのはこのビル。宙吊りのシーンは、ドキドキしました。同じビルで殺し屋モローと交渉しますけど、このシーンもトリッキーでハラハラします。

ミッション:インポッシブルの魅力は、スピード感、世界を股にかけるスケール感、あっと驚く新しくてかっこいいアイテム、そしてユニークなキャラクター達だと思います。今回もスピード感はそのまま。舞台もブダペストに始まり、モスクワの刑務所、クレムリン、ドバイ、ムンバイとグローバルに展開します。BMW i8かっこいい。エンジン音が電子的なのは、ハイブリッドだからなんですかね。かっこいいのだけじゃなく、マジックハンドやローバーのように、いまいち信頼性がないキュートなアイテムも登場します。

シナリオのスケールが大きいわりに登場人物が少ないのも特長。その分、ひとり一人がキャラ立ちしています。イーサン君のチームは4人。ジェーンはかっこいい女性エージェント。グラマラスなボディにキリッとした顔立ちなんだけど、人間味やユーモアもある。ベンジーはメカ担当。だいたいメカ担当はちょっと抜けた三枚目の線ですが、ベンジーも同じ線でいい味出してる。ブラントはちょっとミステリアスで存在自体がドキドキさせる。

適役も存在感がある。ヘンドリクス教授は、おっちゃんなんだけどアクションが凄い。脇の役、ブロンド微塵の殺し屋モローや、ロシア諜報員のシディロフもいい味出してる。

トム・クルーズは(頑張っているけど)さすがに顔や体型に年齢を感じさせます。だけど、設定をアダルティにした分、違和感がなくて良かったです。やっぱりかっこいいですね。

ふたりの女優さん、ジェーン役のポーラ・パットンと、モロー役のレア・セイドゥが綺麗でした。ポーラ・パットンは迫力満点で、迫られたら引きそうw。「プレシャス」のレイン先生のときもセクシーだなあと思いましたけど、今回はムキムキで強そうでした。レア・セイドゥは透明感のある美しさで、北欧のひとかと思ったらフランス人なんですね。グィネス・パルトロウのような雰囲気を持っています。喋らなくても、画面に映っているだけで引き込まれる美人さんって、凄いですよね。

ミッション:インポッシブルは、原案の基本的な設定を押さえて変な冒険をしなければ、自然と面白い作品になるんだと思います。それだけ原案が優れているってことですね。つまりこのシリーズは、”プロトコル”を合わせることが作品を面白くするポイントということ。今回も、トム・クルーズの年齢に合わせてシナリオをアジャストした他は、基本設定に忠実だったと思います。だから安心して楽しめました。その意味でズルイ作品ですねw。

「せっかく映画に行くなら、確実に面白い作品を」というかたには、ハズレることはないですから安心して観られると思います。オススメです。

なお、このブログは例によって5秒後に。。。


50/50(フィフティ・フィフティ)

2011-12-20 22:11:17 | 映画

クリスマス間近ですね。例年と比べてどうなんでしょう。もし規模が小さめだとしたら、気持ちの問題よりも経済的事情のほうが大きいような気がしますけど。

筑波大学での(個人的な)大仕事を無事終え、師走ですがそれほど走ってません。あ、そうか。そもそも師匠ではないw。

50/50を観ました。

ストーリーも役者さんもしっかりしていて、とても面白いです。安心して楽しめる作品だと思います。ガンをテーマにしているので重いかと思うかもしれませんけど、タッチは比較的ライトめです。ですから眉間にシワを寄せないで観られます。

シアトルが舞台。アダムは地元ラジオ局のディレクター。27歳。火山を主題にしたラジオ番組の製作に何箇月もかけている。彼女はアーティストのレイチェル。セックスレスですが、「心が通い合っている」と思っている。同僚で親友のカイルが運転する車で通勤する毎日。アダムは運転免許を持っていません。理由は、死亡原因の5位(ガンとほぼ同レベル)が交通事故だから。酒もタバコもやりません。コンサバティブな生活を送っています。両親とは距離をおいている。痴呆の父親を看病する母親に負担をかけたくないのと、母親が口うるさいから。

そんなアダムは最近、腰痛に悩まされ、診察を受けます。結果はガンの告知。生存の確率は50%。

それで、アダムの生活は一変します。難易度の高い手術を避け、抗がん剤による薬事治療をチョイスします。薬の投与とセラピーを受けるために、病院に定期的に通うようになります。病気を理由に別れ話をしたけど、レイチェルは看病すると残ってくれました。職場の皆は、(一時的に)職場を離れるアダムのために送別会を開いてくれ、心配するなと言ってくれます。母親は前にも増して電話してくる(出ないけど)。抗がん剤仲間のアランとミッチ(どちらもおじいさん)という新しい友達もできました。ミッチが持ってきた「ハッパ」入りのマカロンを食べ、いままで人生安全志向だったのに、「ハッパ」にも目覚めました。そして、頭を剃ります。

もう一つの出会いがあります。セラピストのキャスリーン。研修医でアダムが3人目の担当。実績はないし、治療もぎこちない。患者を診てるというより、マニュアルに沿うだけ。アダムを落ち着かせるつもりで時々体に触れますが、心がこもってないので迷惑なだけ。当然、アダムは信用しないんだけど、治療の一貫だと思い、なんとなく受け続けます。カイルはというと、話題といえばセックスのことばかり。病気のアダムを無理やりナンパに連れ出す始末。

やがてレイチェルの看病がおざなりになってきます。ふいにいなくなったり、帰りが遅かったり。もちろん、お約束の流れ。カイルに現場を目撃され。一人ぽっちになってしまったアダム。そんな時、アダムはキャスリーンとプライベートな話をする機会があり、なんとなく二人の距離が近くなってきます。

ふとしたことでアダムは、口うるさい母親やチャラいだけだと思っていたカイルが、ガン患者との接し方を勉強していることを知り、告知依頼の孤独感が次第に薄れていきます。

抗がん剤の効果がなく、治療方法の選択肢は手術しかなくなります。両親、カイル、チャスリーンが見守るなか、手術が始まります。

キャストは少なめで、とてもコンパクトにできています。

主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットはちょっとエスニックな風貌で、日本人には馴染みやすいかもしれませんね。表情の作り方がとても上手です。戸惑い、苛立ち、他人事、安らぎなど、ストーリーの進行にそってアダムの内面は刻々と変化しますが、それを実に見事に表情で演じています。このひと、実はリバー・ランズ・スルー・イットで、ブラピのお兄さん、ノートンの子供時代を演じていたんですね。

テーマは全然違いますけど、ちょっとSIDEWAYSに雰囲気が似てるかな。様々なメッセージが込められていると思うのですが、肩がこることなく楽しむことができます。大人のコメディと思ってもいいかもしれませんね。案外カップルにオススメかもしれません。


ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド(George Harrison: L

2011-12-20 11:38:12 | 映画

ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールドを観ました。
いやあ、長い映画です。208分ですよw。インターミッション15分を含めると223分。なんと3時間43分。長すぎだろっ! マーティン・スコセッシ。
これは、ジョージ・ハリスンを長年愛してきたファンに対する讃歌だと思います。
平たく言うと、ジョージ・ハリスンマニアだけが浸れる映画ということですね。だから、あまり一般のひとに見せる作品ではないと思います。自分もそれほどジョージ・ハリスンが好きなわけじゃなく、それ以前にビートルマニアでもないので、かなりキツかったです。
という前提に立ちますから厳しめの意見になりますけど、けしてこの作品をダメと思っているわけじゃないです。ジョージ・ハリスンファンにとっては、むしろ短いと感じるのかもしれないですね。
思えばバイオグラフィーって長い作品になりやすい傾向にあるのかもしれません。チェ・ゲバラなんて2作品に分かれてますし。思えばひとの一生を2時間でまとめるのって、関係者が在命だと心情的にかなり難しい作業でしょうから。その意味で、この作品は、豪華なスタッフがお金と時間をかけて作ったファミリームービーだし、だからこそ、ジョージ・ハリスンにたむける愛に溢れているんです。その世界観には、関係者やファンは入っていけるけど、一般人には無理ってことで。
言い替えると、ジョージ・ハリスンという人の類い稀な人懐っこさを表現している作品とも言えます。ジャッキー・スチュワートやクラプトンが、自分は親友だと思っているけど、あいつには親友がいっぱいいるから、みたいなことを口を揃えて言うわけです。アーティストとしての記録(もちろん殿堂入りの巨人ですけど)より、親交のあったひと達の記憶に残るひとだったということでしょう。一般のひとがジョージ・ハリスンの人柄を知る素材としては、十分目的を果たせていると思います。
交友関係の広さという意味では、監督のマーティン・スコセッシにも感じます。他のひとが監督するバイオグラフィーとマーティン・スコセッシの作品の違いは、キャストの豪華さです。チラッとミック・ジャガーが出ますけど(ドキュメンタリー映画のワンカットのなかで)、ストーリーには何の関係もなく。ちょいっとミック級をキャスティングできるあたりが、スコセッシ監督の凄さでしょう。
ジョージ・ハリスンのヒット曲オンパレード。まあ、208分もありますからw。でも、あくまでもバイオグラフィーですから、音楽映画としてみるともの足らないです。どの曲も途中で切れますから。やっぱりハイライトは、ビートルズ時代の名曲、while my Guitar Gently Weeps ♪とSomething♪ この2曲のときは客席みんながリズムに合わせて頭をふってましたw。いい曲ですねー、Something in the way. You know ♪
というわけで、みんなにオススメというわけにはいきません。あくまでもジョージ・ハリスンのファンだけ。


マネーボール

2011-11-13 23:56:59 | 映画

マネーボールを観ました。

いきなり結論をいうとですね、これは純粋に野球映画ですよ。スポーツビジネスの映画という評判ですけど、ちょっと違うと思います。なので、観るひとを選ぶ作品です。野球好きか、ブラピ好きのかただけにオススメです。

2002年のオークランド・アスレチックスの大活躍が舞台になってます。2001年にプレーオフまで進んだA'sは、来るシーズンにワールドチャンピオンが目標ですけど、他チームに主力をごっそり抜かれてしまいます。もともと小規模なA'sは補強にお金をかけられない。物語はそんな背景のなか、進行します。ここを抑えておくと楽しめるかも。A'sのGM、ビリー・ビーン。元プロ野球選手ですが、期待されてプロの世界に入ったけど泣かず飛ばずで引退し、A'sのスカウトから叩き上げた人物。お金がないなか、いわゆる”良い選手”を集めて編成する球界の常識を、アシスタントのピーターと二人三脚で打ち破る挑戦をします。

ストーリーはとってもわかりやすいです。大きくわけて5つのブロックで構成されています。

[第一ブロック] 2002シーズンに向けたチーム編成会議

 球界の常識に根ざしたチームのスカウト陣との戦い。

[第二ブロック] 2002シーズン序盤の苦戦

 ビーンが揃えた選手を使わない監督との戦い。

[第三ブロック] 積極的な移籍が功を奏した歴史的連勝時期

 ビーンの方針にあわない選手を監督に無断で放出。出塁重視のビリーの野球で方針が一致し、選手に迷いがなくなったチームが急上昇。

[第四ブロック] 20連勝がかかったロイヤルズ戦

 11点差を追いつかれたA'sは、果たして20連取できるのか?

[第五ブロック] ヘッドハントを受け悩むビリー・ビーン

 ビリーの功績を認めたレッドソックスが破格の年俸でビリーを勧誘。レッズかA'sか、自分のやるべき道で悩むビリー。決心の行方は?

マネーボールというタイトルからは、お金にまかせて良い選手を集める、ヤンキースのようなチームをイメージしますが、A'sは真逆。マネーボールは、ビリーと仲違いした元A'sのベテランスカウトがインタビューでA'sを揶揄した表現からきているのですが、プレーの統計データを重視するアシスタント・ピーターがイエール大で経済専攻だったため、さながら金融業界のようなやり方で、それは野球じゃないという意味だと思います。

この作品が言いたいことは、スポーツビジネスの世界をドキュメントしたいんじゃないと思います。野球ってもっと多様な価値観があっていいんじゃない?というメッセージが込められているんだと思いました。スト依頼選手の年俸が高騰し、各チームがこぞって良い選手を集めようとするあまり、チーム編成では「どういうプレー方針のチームにするか」が議論されず、「選手獲得に幾らかかるか」という話しかされなくなった。結果的にパワーベースボール一辺倒になった。スカウトや現場スタッフも、知らず知らず旧弊の価値観に閉じこもってしまっていた。ビリー・ビーンは、そんな閉塞的な野球界を改革しようとしたんだと思います。もっとも、ビリーはいわゆるスモール・ベースボールを志向していたというわけじゃなく、無い袖は振れないなか、「勝つ」ためにはいろんなアプローチがあることに気づいたことが凄いんだと思います。だから、純粋に野球の映画。

日本のプロ野球にはまず有り得ないシチュエーションですね。そういう意味では、「野球の映画」ではなく「ベースボールの映画」です。プロスポーツチームには二つのロジックがあります。単年度の結果を求める論理と、チームを永続させるロジック。ベースボールは日本の野球よりも単年度の結果を重視する。この違いは選手の扱いに現れます。日本は球団と選手が米国よりウェットに繋がっていますから、移籍は大問題。その点ベースボールは選手の移籍は日常茶飯事。作品中でも描かれてますが、試合当日に相手チームへの移籍が決まって、荷物をまとめる、みたいなことが珍しくないです。マネーボールのような世界が成立するのは、そのような背景があってこそです。その意味で、日本ではまず起こらないと思います。そもそも統計データの重視は日本では珍しくないですから、プレー戦術についてはこの作品で新しい驚きはありません。カウントごとに作戦を変えるなんて当たり前じゃん、なんてねw

逆に日本にあって米国にないのが、チームを永続させる論理。日本人は組織を重視しますから、選手にもチームへのロイヤリティを求めます。チーム生え抜きが最高の価値観。だから、単年度の成績ではなく、同じチーム編成で長く安定して良い成績を納めることに価値を感じる。というわけで、日本人にとってはビジネスをテーマにした物語に見えるのかもしれませんね。

主演はブラッド・ピット。この作品は、徹頭徹尾ブラビのための映画です。いろんな登場人物が絡み合う群像劇ではなく、ブラピだけにフィーチャーした作品。ビリー・ビーンは、ご本人の人柄はともかく、キャストのうえではいかにもブラピ的な、アメリカン・マッチョな人物として描かれています。自分が見ているなかでは、最近のブラピはブラピ的な役柄に固定している感があって、アウトローなイメージが好きでファンになった自分としては、ちょっと残念です。

そんなわけで、他のキャストはブラピのひきたて役という印象しかないんだけど、ピーター役のジョナ・ヒルは良いです。いかにも野球とは無縁そうな外見と、ビリーとの一体感がよく出ていたと思います。

それから娘役のケリス・ドーシーが可愛いんですよ。ギター弾き語りでLenkaの”The Show”を歌うシーンがあって、子供ながらにしてカントリー風の歌唱がすっごい上手い!。その歌、最後のシーンでビリーが決断するところでも使われていて、とっても印象的でした。

自分は2002シーズンのA'sをオークランドで観てるんです。こんな状況のチームとは、当時はまったく知らず。ジオンビがいた記憶があるので、ジェイソンじゃなくジェレミーのほうだったんですね。試合の結果はまったく覚えてないんだけど、同時多発テロの翌年ということで、スタジアムにバッグを持ち込めなかったんですよ。自分はそんなこと知らず、バックパックを持っていて、となりの席のひとに「ダメじゃん」的なことを言われた記憶があります。そんな年でもあったんですね。

というわけで、この作品は野球映画です。ブラピを見たいかたを除くと、野球を知らないと難しいかな。とはいえ、熱くて面白いです。オススメ。


はやぶさ/HAYABUSA

2011-10-16 10:32:54 | 映画

ことしも小金井なかよし市民まつりの季節でございます。

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はやぶさ観ました。

予告編がよかったのですよ。数分の予告編でウルっときました。みんなで何かを成し遂げる的な作品に弱くてw

で、もー、涙涙でしたよ!。感動です。

主役は、古本屋でバイトしてるフリー研究者の水沢さん。フリーの研究者って苦労が多いみたいなんです。博士号をとれない研究者は、大学に残る選択もあるんだけど、学費がかかるからフリーになるひとも多いみたいなんです。どこにも属してないと、社会から外れてるような気持ちですごく不安だと思います。いまは弁護士になってますけど自分の友人にもいましたし、大学のゼミにもそういう先輩がいました。そのあたりの背景を知ってると、この作品をもっと深く味わえるかもしれませんね。

はやぶさプロジェクトのドラマは、いろんなところで報道されてるんで、作品のストーリーを語るのはくどいですから、感想だけ。それでも暑苦しくなってスミマセン((^^))。

この作品ははやぶさプロジェクトに関わったすべてのひとの知恵と忍耐に向けたオマージュです。実際に作って飛ばした、動力班、カメラ班、軌道班、サンプル採集班、運用班、回収班といった技術陣だけじゃなく、広報や総務といったJaxaの裏方さんにもスポットライトがあたってます。それに、文科省や漁師、Jaxa周辺の住民もちゃんと描いてあります。このひと達も陰に陽に、いろんな形でプロジェクトに関わっているんですね。

この作品の素晴らしさというか凄さは、とにかくディレクションがナチュラルだということです。メジャーで、しかも個性が立った役者さんをずらっと揃えているんだけど、あえて控えめに演技している。竹内結子さんのインタビューをちらっと聞いたら、控えめな演技は堤監督のオーダーだったようですね。個性的な演技は、えてしてアクが濃くなり勝ちですよね。作品を観たのか、役者を観たのかわかんなくなる時もあります。邦画作品が面白くなくなる時は、たいがいそんなところが原因だと思います。この作品は演技を抑えていますけど、逆にすごく個性が活きてるんです。役者さんの個性に併せてキャスティングしてるからなんだと思います。ホントにキャスティングが絶妙!。はやぶさにまつわる物語は、なにも味付けしなくても、もともとが凄く面白いじゃないですか。おそらく、関係者のかたも、とてもユニークなかた達なんだと思います。だから、映画にするにあたって、あえて演出を誇張しなくても、”そのまんま”やったら、自然に面白くなるんだと思います。堤監督の意図は、そのあたりにあるのかもしれません。監督は現場再現に徹底的にこだわったそうですけど、それも、できるだけ演出を控え、ナチュラルにしたいという狙いからきた発想なんじゃないかと思います。ちなみに的場先生がモニターにピースサインを送ったシーンだけじゃなく、会見場にはいるときずっこけるところや、川渕先生が両手でマイクを握るところ、登場人物の服装や髪型が、いかにも科学者っぽくちょっと変なのも(スミマセン)、現場再現なのかなと思いました。まあ、唯一無理があるなと思ったのは水沢さんのミッションで、カメラの研究をしつつ広報もしつつってポジションって、現実にはないよね?と思ったくらいです。まったく違和感はなかったので問題ないです。

というわけで、キャストは役柄のイメージとぴったりです。竹内結子さんも、西田敏行さんも、佐野史郎さんも、高島政宏さんも、山本耕史さんも、筧利夫さんも、鶴見辰吾さんも、高橋長英さんも。西田さんや佐野さんが出演すると、大御所だけに”いかにも”な感じになるじゃないですか。この作品はそれがまったくない。

最初のほうからウルウルきてたので、はやぶさが帰還するシーンなんて、涙でスクリーンがくもってみえたくらい。自分が物つくりに関わっているからでしょうね。この作品は、日本の物つくりに関わるすべてのひとへのオマージュでもありますし、いまとても厳しい局面にあるモノツクリアート(言葉つくっちゃいましたw)みんなに向けた応援歌でもあります。自分もウルっときながら、がんばろうって思えました。

「続けられっとは、あんた自身が面白いと思わんといかんじゃなかね?」

「結果がどうなるのかわからないことに予算をとるのは大変なんですよ」

そんなセリフ(正確ではないですが)が心に残りました。創造と忍耐。NHKの「神様の女房」でも、松下幸之助のセリフとして「成功の秘訣は続けること」ってのがありましたけど、はやぶさプロジェクト7年の継続は、科学的な成果だけじゃなく、続けることの大切さを教えてくれたんだと思います。

自分は物作りのプロジェクトに関わってますけど技術者じゃないんで、立場的には的場先生に近いです。だから対外協力室の人たちに思い入れしてました。文科省にかけあって予算とってきたり、内之浦周辺各県の漁師さんと交渉して、旬の時期にもかかわらず漁をとめてもらったり。技術陣が思いっきり実力を発揮できるような舞台を整える役割。自分もそんな仕事をしてますから、とっても勇気をもらいました。

とにかくオススメです。日本の物作りにかかわるすべてのひとに観てもらいたい。

観てください!